概要情報
事件名 |
東海旅客鉄道(組合ビラ配布等) |
事件番号 |
東京地裁平成20年(行ウ)第762号 |
原告 |
東海旅客鉄道株式会社 |
被告 |
国 |
被告補助参加人 |
ジェイアール東海労働組合 |
判決年月日 |
平成22年3月25日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、①会社施設内で勤務時間外にビラ配布活動を行ったX1分会書記長(「X1書記長」)に対し、就業規則及び基本協約に違反するとして事情聴取を行い顛末書の提出を求めたこと、②分会掲示板から掲示物2点を撤去したことが不当労働行為に当たるとして、救済申立てがなされた事件である。
初審大阪府労委は、会社に対し、ビラ配布を行ったX1書記長に注意指導を行い、総務科に呼び出し、事情聴取を行い顛末書の提出等を求めた会社の一連の対応(「本件一連の業務命令等」)、及び掲示物2点の撤去に関する文書手交を命じた。
会社は、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令の一部を変更して、①X1書記長が会社の業務指示に従わなかったことを理由に、1日半にわたる事情聴取を行うとともに顛末書の提出を求め、就業規則の書き写しを命じたこと(「本件事情聴取等」)、及び②分会掲示板から掲示物2点を撤去したことについて文書を手交を命じた。
会社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起した。
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判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟の費用は原告の負担とする。
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判決の要旨 |
1 被告補助参加人分会の当事者能力の有無について
X組合分会は民訴法29条の規定により当事者能力が認められる権利能力なき社団に当たると解される団体であるということができ、また、労働組合としての団体性・独立性に欠けるところはなく、使用者の不当労働行為に対しての救済申立てをすることができる労働組合としての実体を備えているというべきである。
2 本件事情聴取が労組報7条3号の支配介入にあたるか。
Y会社が、その管理職をして、X1書記長に対し、1日半にわたって本件事情聴取を行い、その中で、顛末書の提出を求め、本件終業規則総則服務規程の書き写しを命じたことは、X組合らの組合運営への支配介入に当たるというべきである。
3 本件各撤去が労組法7条3号の支配介入にあたるか
本件掲示物の記載事項は、本件撤去要件のうちの「事実に反するもの、会社の信用を傷つけるもの及び職場の規律を乱すもの」に実質的に該当するということはできないことから、労働組合法7条3号の支配介入にあたるというべきである。
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