概要情報
事件名 |
西日本電信電話 |
事件番号 |
東京地裁平成20年(行ウ)第701号 |
原告 |
西日本電信電話株式会社 |
被告 |
国(処分行政庁:中央労働委員会) |
参加人 |
通信産業労働組合 |
判決年月日 |
平成22年2月25日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
重要命令に係る判決 |
事件概要 |
1 Y会社が、[1]組合に提案した「NTTグループ3か年経営計画(2001~2003年度)」に基づく構造改革に伴う退職・再雇用制度(以下「本件退職・再雇用制度」)の導入等に関するX組合との団体交渉(以下「本件退職・再雇用制度導入団交」)において多数派労働組合と比べて差別的に取り扱うなど誠実に対応しなかったこと、[2]組合員の勤務地等に関する希望を尊重した配置を行うことなどを求めた団体交渉(以下「本件配転団交」)に応じなかったこと等が、不当労働行為(労働組合法第7条第2号及び第3号)に該当するとして、救済申立てがあった事件である。
2 大阪府労委は、本件退職・再雇用制度の導入の当初の提案の内容において組合間格差があったことが不当労働行為(労働組合法第7条第3号)であるとして、会社に対し、文書手交を命じ、その余の救済申立ては棄却した。これを不服として、X組合及びY会社は、再審査を申し立てた。
中労委は、 初審命令を変更し、Y会社に対し、[1]本件退職・再雇用制度導入団交において、X組合に対する提案並びにX組合の求める資料の提示及び説明について、合理的理由がないにもかかわらず、多数派労働組合と比べて取扱いに差異を設けたこと等、[2]本件配転団交に応じなかったことは、不当労働行為(労働組合法第7条第2号)であると認定されたことなどに関する文書手交を命じ、Y会社の再審査申立ては棄却した。
これを不服としたY会社は、東京地裁に行政訴訟の提起を行った。
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判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
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判決の要旨 |
1 Y社の各対応のうち、①本件退職・再雇用の導入に密接に関連する経営上の諸問題等、②NTT労組との激変緩和措置の事実上の合意後のみなし取扱い等に関する説明態度を除き、いずれも不誠実な交渉態度であると認められ、これらは使用者の労働組合に対する誠実交渉義務に反するものであるといえるから、本件命令の判断は相当であるが、①②に係る部分の判断は相当ではない。
本件命令は、不誠実な交渉態度であると判断した原告の各対応について、個別に不当労働行為該当性を認めたものではなく、本件退職・再雇用制度導入団交における一連一体の行為としてその不当労働行為該当性を認め、①②を除いた原告の不誠実な交渉態度も、一連一体の行為と同一性を有するものである。
2 配転は業務上の必要性があって行われるものであるが、使用者は、業務上の必要性を考慮するだけではなく、労働者の職業上、生活上の不利益にも配慮して労働者の配転を行わなければならないことからすると、特に本件退職・再雇用制度のように大規模な配転を行うことを予定している場合には、組合員の労働条件を守る立場にある参加人にとって配転がどのような方針で行われるのかは、正に組合員の労働条件に関する事項として、原告に対して確認し、協議していく事項であり、説明する義務があったというべきである。
Y社は、X組合とは交渉しない、要求に応じられないとの対応をするなどして、協議に応じることをしなかったことは、不誠実であるだけでなく、当該事項についての団体交渉を拒否したものと評価することができる。
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