概要情報
事件名 |
麒麟麦酒 |
事件番号 |
東京地裁平成18年(行ウ)第208号 |
原告 |
個人X |
被告 |
国(処分をした行政庁 中央労働委員会) |
被告補助参加人 |
麒麟麦酒株式会社 |
判決年月日 |
平成19年4月23日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、個人Xを、①正社員として採用しながら、労働組合への加入資格のない有期雇用の契約社員としたこと、②雇止めしたことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。初審埼玉地労委は、申立てを棄却し、中労委もこれを維持して再審査申立てを棄却した.Xは、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起し、同地裁は、Xの請求を棄却した。 |
判決主文 |
1.原告の請求を棄却する。 2.訴訟費用は、補助参加によって生じた部分を含め、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
① XはY会社に期間の定めのない正社員として雇用されたのに、Y会社の不当労働行為意思により、契約期間1年の契約社員として扱われ続けたと主張するが、XとY会社との雇用契約書3通にはいずれも期間の定めがあり、各契約書の被雇用者の欄にはXの名が記載され、Xの印影があり、X自ら押印したことにより提出されたことは証拠及び弁論の全趣旨から明らかであることから、Xの主張は、その主張の前提事実を欠き、その余の点について判断するまでもなく理由がないとされた例。 ② Xは、Y社の面接の際、自分の国での労働組合活動歴やY社入社後の労働組合加入の希望を述べ、平成7年11月にY社の組合の事務所を訪れるなど、組合加入に向けての活動をし、その意思を表明していた旨を供述するが、組合の事務所を訪れたという供述は疑わしく、また、Xが提出した書証には、在職中から組合加入を求めたかのような記載があるが、それらは会社提出書類の写しであり、原本と比較対照すると、そのような記載はXがY会社に提出した後に加筆したものであることが明らかであって、その他の事実、証拠を検討しても、Y会社がXに対し雇用止めを通知した平成9年5月20日以前に、Xが組合へ加入しようとしたり、社外労働組合の分会を設立しようとしたり等の組合活動を行った事実を認めるに足る証拠はないことから、Xの主張はいずれもその主張の前提を欠き、理由がないとされた例。 |