事件名 |
東日本旅客鉄道(鶴見駅) |
事件番号 |
東京地裁平成15年(行ク)第287号
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申立人 |
中央労働委員会 |
被申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
判決年月日 |
平成16年 9月27日 |
判決区分 |
一部認容 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が(1)国労組合員X1を鶴見駅から東京第ニベンディ
ング事業所に配置転換したこと、(2)同組合員X2を鶴見駅から東京第一ベンディング事業所に配置転換したこと、及び同組合
員X3を上司に対する暴行行為を理由に懲戒解雇にしたことが、それぞれ不当労働行為に当たるとして申立てられた事件である。
神奈川地労委は会社の行為がいずれも不当労働行為に当たるとして、右組合員らの原職復帰等を命じ、中労委もこれを維持したと
ころ、会社が東京地裁にその取消しを求めて行政訴訟を提起したため、中労委が緊急命令を申立てていた事件で、東京地裁は申立
てを一部認容した。 |
判決主文 |
1 被申立人は、被申立人を原告とし、申立人を被告とする当庁平成
15年(行ウ)第445号救済命令取消事件の判決の確定に至るまで、申立人が中労委平成6年(不再)第42号、第43号事件
について発した命令によって一部変更された神労委平成3年(不)第10号事件について、神奈川県地方労働委員会が平成6年
11月30日付けでした命令の主文第1項ないし第3項、すなわち、
「1 被申立人は、申立人ら組合所属の組合員X1およびX2に対し、次の措置を講じなければならない。
(1)X1に対する平成2年7月1日付け東京第二ベンディング事業所事業係への配置転換命令がなかったものとして取り扱
い、同人を原職または原職相当職に復帰させること。
(2)X2に対する平成3年2月9日付け東京第一ベンディング事業所事業係への配置転換命令がなかったものとして取り扱
い、同人を原職または原職相当職に復帰させること。
2 被申立人は、国鉄労働組合の組合員X3に対して行った平成2年11月17日付け懲戒解雇処分がなかったものとして取り
扱い、同人を原職に復帰させなければならない。
3 被申立人は、X3に対し、平成2年11月18日から本件初審命令交付の日までの間については、同人が受けるはずであっ
た賃金相当額の半額を、また、その翌日から前項の原職に復帰させた日までの間については、同人が受けるはずであった賃金相当
額をそれぞれ支払わなければならない。」
に従わなければならない。
2 申立人のその余の申立てを却下する。
3 申立費用は、被申立人の負担とする。 |
判決の要旨 |
7230 必要性の審査
7311 全部認容された例
7315 全部認容された例
本件記録によれば、中労委により変更された命令主文第1項(X1及びX2に対する本件配転のなかったものとしての取扱い)、
第2項及び第3項(X3に対する本件懲戒解雇のなかったものとしての取扱い及びバックペイ)、第4項(組合員の配置に関し、
他の組合員と差別することによる支配介入の禁止)は、その認定及び判断において正当であり、適法であると認められ、会社は、
本件命令受領後も同主文第1項ないし第3項について、今日に至るも履行しておらず、このような不履行の状態が基本事件の判決
確定に至るまで継続した場合、ベンディング事業所に配転されたX1及びX2、懲戒解雇処分を受けたX3の個人的損害、同人ら
が所属する組合及びその下部組織の団結権侵害が著しく進行し、回復困難な損害が生じるおそれがあると認められるから、同主文
第1項ないし第3項については、緊急命令の必要性が認められるとされた例。
7240 相当性の審査
7334 不作為命令に関する申立て(その他:一部認容された例、全部却下された例等)
変更後の主文第4項は、会社に対し、将来の不当労働行為を事前に禁止するもので、いわゆる抽象的不作為命令であるが、同主文
第4項は、同第1項により、X1及びX2について原職又は原職相当職への復帰を命じても、なお、会社が組合分会所属の組合員
の配置に関し、他の従業員と差別することによって、組合の運営に対する支配介入を再び繰り返すおそれがあるとの事情について
は、いまだ疎明されているとはいえず、少なくとも、本案判決確定前に緊急命令の必要があるとまでは認められないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2005年 4月10日 1042号 49頁
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