事件名 |
東日本旅客鉄道(鶴見駅) |
事件番号 |
東京地裁平成15年(行ウ)第445号
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原告 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告補助参加人 |
国鉄労働組合 |
被告補助参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部 |
被告補助参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部横浜支部 |
被告補助参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部横浜支部鶴見駅分会 |
被告補助参加人 |
国鉄労働組合東日本本部 |
判決年月日 |
平成16年 9月27日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が(1)国労組合員X1を鶴見駅から東京第二ベンディ
ング事業所に配置転換したこと、(2)同組合員X2を鶴見駅から東京第一ベンディング事業所に配置転換したこと、及び(3)
同組合員X3を上司に対する暴行行為を理由に懲戒解雇にしたことが、それぞれ不当労働行為に当たるとして、申立てられた事件
である。神奈川地労委は会社の行為がいずれも不当労働行為に当たるとして、上記組合員らの原職復帰等を命じ、中労委もこれを
維持した。
これを不服として、会社が東京地裁にその取消しを求めたが、同地裁は請求を棄却した。
なお、同地裁は本件判決言渡しと同時に緊急命令の決定を行った。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じた費用を含め、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
副分会長として組合活動の中心的役割を担っていたX1を本人が希望しない東京第二ベンディング事業所に、また、物損事件を理
由に分会長等を歴任し、本件配転当時も書記長として活動していたX2を東京第一ベンディング事業所に配転したことは、会社が
鶴見駅において労使協調路線をとる別組合を多数組合にし、これに敵対する組合を少数組合にすることに腐心していたこと及びベ
ンデイング事業所への配転を組合員や役員経験者を鉄道事業から排除する目的で利用していたことが推認され、さらに、配転先が
組合員とりわけその役員経験者を鉄道事業から排除する目的で利用されていたと推認されるベンデイング事業所であることを併せ
考えると、X1及びX2に対する本件配置転換は、同人らに不利益を課す意図と、同分会の弱体化を意図してなされたものと推認
するのが相当であり、労働組合法7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。
0600 暴力行為
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
Y1首席助役に対する傷害を理由とするX3に対する本件懲戒解雇は、(1)本件傷害事件の発生原因は、Y1助役のX3に対す
る侮辱的発言であるとの蓋然性が高いこと、(2)公平な観点から客観的、合理的な判断をするためにはX3及びY1助役から事
情聴取を行うことが容易であるのに、同人らに事情聴取を行っていないこと、(3)Y1助役の怪我の程度が比較的軽微であるこ
とやX3のこれまでの勤務状況から懲戒解雇とすることの相当性判断には慎重さが求められるところ、現場管理者は国労組合員の
取りまとめ役的立場にあったX3の対応に手を焼いていたことなどを考慮すれば、本件懲戒解雇は会社が本件傷害事件に藉口し
て、国労組合員であるX3に不利益を課す意図及び同分会を弱体化させる意図に基づき、X3を企業外に放逐するためなされたも
のと推認することができ、X3の組合活動を理由とした不利益取扱いであると同時に組合運営に対する支配介入であるとされた
例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2005年 4月10日 1042号 49頁
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