事件名 |
JR東海(東京運転所) |
事件番号 |
東京高裁平成15年(行コ)第61号
|
控訴人 |
東京都地方労働委員会 |
控訴人参加人 |
ジェイアール東海労働組合 |
被控訴人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
判決年月日 |
平成15年12月17日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
(1)東京運転所長が、新幹線における添乗指導中の経緯について虚
偽の事実及び「JR東海労への警告」などを掲載したビラを全所員に配布したこと、(2)指導助役が添乗指導中の組合員である
運転手に組合からの脱退勧奨をしたこと、(3)組合員X1に対し、列車遅延等についての虚偽報告を理由に減給処分とし、運転
業務から外したこと、(4)列車遅延に関わる労使協議に応じなかったこと等が不当労働行為であるとして争われた事件で、東京
地労委は、(1)組合員X1の減給処分がなかったものとして取扱い、バック・ペイ及び通常業務への復帰、(2)文書手交(上
記申立事実の(3)及び(4)について)、(3)履行報告を命じ、その余の申立てを棄却したところ、これを不服として会社が
行政訴訟を提起した。東京地裁は、東京地労委の救済部分を取り消したため、東京地労委が東京高裁に控訴を提起していたもので
あるが、同高裁は、控訴を棄却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用のうち、控訴人補助参加人に生じた費用を除く費用は、控訴人の負担とし、控訴人補助参加人に生じた費用は、控訴
人補助参加人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2620 反組合的言動
3604 労働者に落度がある場合
列車の遅通事故は組合員X1の責任であり、これについて助役に責任があるとはいえないし、X1が運転士に復帰していないのは
フォロー試験に合格していないためであるから、X1が本件処分等を受け、助役が何ら処分を受けていないからといって、これを
問題視することはできず、会社が組合員X1にとった運転士に復帰させていないことや本件減給処分等の措置に問題があるとはい
えないから、これがJR東海労の組合活動への支配介入に当たるとした本件命令は違法であるとした原判決は相当であるされた
例。
2620 反組合的言動
会社が組合の申入れに対し、一定程度応じていることや、事実関係の解明が団体交渉事項とされていないこと、不十分とはいえ会
社は窓口折衝において一応の概括的説明をしていることからすれば、会社の労使協議の拒否が、組合の申入れにまともに応じず、
組合活動に影響を与え、組合の弱体化を企図したものとまではいえず、会社が組合の求める列車遅通問題についての協議申入れに
応じなかったからといって、組合に対する支配介入であるとまではいえず、これを認めた本件命令は違法であるとした原判決は相
当であるとされた例。
|
業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
中央労働時報 2004年7月10日 1030号 48頁
|