事件名 |
東日本旅客鉄道(千葉動労・不採用支配介入) |
事件番号 |
東京高裁平成14年(行コ)第232号
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控訴人 |
個人X1外8名 |
控訴人 |
国鉄千葉動力車労働組合 |
被控訴人 |
中央労働委員会 |
判決年月日 |
平成15年12月25日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、自民党を始めとする4党が、JR採用問題について合意し、
この合意に基づいて、国労に全国大会においてJRに法的責任がない旨を決定させたことが、組合らに対する不当労働行為である
として、国土交通大臣、自民党及び会社の3者を相手方として申立てがあった事件である。東京地労委は、本件救済申立てを却下
する決定をし、中労委は、組合らの再審査申立てを棄却したところ、組合らは、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起し
た。同地裁は、組合らの請求を棄却し、組合らは、これを不服として東京高裁に控訴を提起したが、同高裁は、組合らの控訴を棄
却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人らの負担とする。 |
判決の要旨 |
5144 不当労働行為でないことが明白
国土交通大臣及び自民党は、組合員との関係において労働契約上の雇用主ではなく、労働者の基本的な労働条件等について、雇用
主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にないことから、労組法7条の使用者
に当たらないことは明らかであり、国土交通大臣及び自民党に対する本件救済申立てが労委規則34条1項5号の「申立人の主張
する事実が不当労働行為に該当しないことが明らかなとき」に該当するした中労委命令の判断を支持した原判決は相当であるとさ
れた例。
5144 不当労働行為でないことが明白
四党合意は、いわゆるJR不採用問題について、政治レベルにおいて国労の任意的対応を求め、同問題の解決を図ろうとする試み
に他ならず、合意形成過程にJR東日本による何らかの関与があったとしても、労組法7条の規制の対象となる行為ではないこと
から、JR東日本に対する本件救済申立てについて、労委規則34条1項5号の「申立人の主張する事実が不当労働行為に該当し
ないことが明らかなとき」に該当するとした中労委命令の判断を支持した原判決は相当であるとされた例。
5124 その他の審査手続
6330 審査手続の違法
労組法27条1項及び労委規則39条1項の規定は、同規則34条1項5号により申立てを却下すべきであると判断される場合に
まで審問を行うべきことを定める趣旨のものでないことは規定上明らかであるから、初審委員会が審問を行わなかったことをもっ
てこれら規定に違反するということはできず、初審における手続が違法ということはできないとした原判決は相当であるとされた
例。
5124 その他の審査手続
6330 審査手続の違法
労組法27条1項にいう調査とは、審問の準備のための手続きであって、必ずしも調査期日を設けて行うことは予定されておら
ず、労委規則55条2項の定めからすると中労委の調査方法としては、初審記録、再審査申立書その他当事者の提出書面等を審査
することも含まれると解されることから、本件において調査はなされており、また、再審査手続きにおいて審問を開催するか否か
は中労委の裁量に属し、中労委がこれら書面等により命令を発するに熟すると認められた場合には、「申立てのあった日から原則
として30日以内に審問を開始する」と規定する同規則39条1項の適用はないというべきである等として、中労委の審査手続き
に違法はないとした原判決は相当であるとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
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