事件名 |
日本アイ・ビー・エム |
事件番号 |
東京高裁平成14年(行コ)第97号
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控訴人 |
全日本金属情報機器労働組合 外2名 |
控訴人 |
日本アイ・ビー・エム株式会社 |
被控訴人 |
中央労働委員会 |
判決年月日 |
平成14年 9月10日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
会社が団体交渉において賃金制度を公開せず、これに関する資料の提
示を許否していることは不当労働行為であるとの申立てにより発せられた東京地労委の救済命令に対し、会社が再審査を申し立て
たところ、中労委は初審命令を変更し、会社に対し、賃金制度の公開ないし同制度に関する資料の提示要求について応じられない
理由を説明するよう命令した。会社、組合双方がこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は双方の請求を棄却
したため、会社、組合双方が東京高裁に控訴した。同高裁は、いずれの請求も棄却した。 |
判決主文 |
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用(参加により生じた費用も含む)は、控訴人全日本金属情報機器労働組合、控訴人全日本金属情報機器労働組合東京本
部、控訴人全日本金属情報機器労働組合日本アイビーエム支部の控訴により生じたものは同控訴人らの負担とし、控訴人日本ア
イ・ビー・エム株式会社の控訴により生じたものは同控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2240 説明・説得の程度
組合の要求の具体性や追求の程度、会社の回答内容等を考慮すると、本件団体交渉において、会社が組合の開示要求に応じなかっ
たことそれ自体をもって不誠実とすることはできないが、要求に応えられない理由を具体的に説明する義務を誠実に尽くしている
とはいえないから、この限りにおいて会社は誠実交渉義務に違反したものであり、これは労組法七条二号の不当労働行為に該当す
るというべきである。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
本件命令発出後、会社の賃金制度に変更があったことが認められるが、賃金制度の中核に大幅な変更はない。したがって、賃金制
度の変更後においても、なお地労委申立時と同様ないし類似の機能を果たしている資料が存し、それを会社が公開し得ないものと
している以上、組合としては、当時の資料の開示を求める利益があるかどうかはともかくとして、本件命令によって命ぜられた組
合からの賃金制度の公開ないし同制度に関する資料の提示の要求に応ずることができない理由を説明すべき誠実交渉義務について
は、その履行を求める利益を失わないというべきである。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集37集697頁 |
評釈等情報 |
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