事件名 |
日本ニューホランド |
事件番号 |
札幌高裁平成12年(行コ)第9号
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控訴人 |
日本ニューホランド株式会社 |
被控訴人 |
北海道地方労働委員会 |
被控訴人参加人 |
札幌地域労働組合 |
被控訴人参加人 |
日本ニューホランド従業員組合 |
判決年月日 |
平成13年 4月26日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、組合の執行部の代表者資格がないことを理由とした
団体交渉拒否、会議室使用拒否等が不当労働行為に当たるとして争われた事件である。
北海道地労委(平成8年(不)第24号、平成10・2・27決定)が、(1)平成8年年末一時金等に関する団体交渉応諾、
(2)(1)及び会議室利用拒否等による支配介入の禁止、(3)文書掲示を命じ、その余の申立て(上部団体との団交応諾等)
は棄却したところ、これを不服として会社が行政訴訟を提起した。
原審の札幌地裁(平12・3・24決定)は、北海道地労委の命令を支持したため、会社が控訴したが、札幌高裁は、控訴を棄
却し、原審を支持した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(参加にかかる費用を含む。)は控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2123 その他交渉出席者
4830 代表者
団体交渉の場において、代表権ありと主張する組合執行部が真にその組合を代表しているか否かの問題は、本来組合内部の問題で
あり、あくまでも組合内部において解決されるべき事柄であるが、本件では、組合内部で問題となる以前から、会社の方が積極的
に問題視し、独自の調査に基づき先に一方的に結論を導き出し、X1執行部との団体交渉拒否の姿勢を鮮明に打ち出しているので
あり、しかも、その前後の会社関係者の行動と併せ考えると、この姿勢は、単に勇み足という限度を超え、参加組合を嫌悪してな
したことを強く推認させるものと言わざるを得ないところであり、この事情をもって団体交渉拒否の正当事由には当たらないとさ
れた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
4830 代表者
X1執行部がリコールにより代表者性を喪失しているか否かの点については、リコールの正否について組合内部で争いがあり、旧
組合規約は、具体的な手続については規定がなく、リコール実行委員会のリコール手続が相当な手続であるが疑わしいが、このよ
うな場合、会社としては、安易に一方に与することなく、中立の立場を堅持して対処すべきところであるが、会社は、直ちにリ
コール実行委員会の見解に立脚してリコールが成立したものと判断し、団体交渉を拒否しているのであるから、本件命令が会社の
姿勢を「作為的で正当性が見出すことができない」と評価し、会社の団体交渉拒否を不当労働行為に当たるとして、会社に団体交
渉応諾を命じたことは適法であるとされた例。
4611 P.Nの掲示の場所を配慮した例
6352 ポスト・ノーティス、文書交付命令
ポスト・ノーティス命令は、地労委によって会社の行為が不当労働行為と認定されたことを関係者に周知徹底させ、会社による同
種行為の再発を抑制し、参加組合の活動一般に対する侵害を除去しようとする趣旨のものであって、組合員の個人的な雇用関係上
の権利利益の回復を図るものではないから、地労委に認められた裁量権の範囲を逸脱したものとはいえないとされた例。
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業種・規模 |
専門サービス業(法律事務所、経営コンサルタント業
等) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集36集234頁 |
評釈等情報 |
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