事件名 |
日本ニューホランド |
事件番号 |
札幌地裁平成10年(行ウ)第5号
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原告 |
日本ニューホランド 株式会社 |
被告 |
北海道地方労働委員会 |
被告参加人 |
札幌地域労働組合 |
被告参加人 |
日本ニューホランド従業員組合 |
判決年月日 |
平成12年 3月24日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、組合の交渉資格を問題にして団体交渉を拒否した
り、上部団体への加盟の撤回を求めたこと等が不当労働行為に当たるとして争われた事件である。北海道地労委(平成8年(不)
第24号、平成10・2・27決定)が、(1)平成8年年末賞与等に関する団体交渉応諾、(2)(1)及び会議室利用拒否等
による支配介入の禁止、(3)文書掲示を命じ、その余の申立て(上部団体との団交応諾等)は棄却したところ、これを不服とし
て会社が行政訴訟を提起したが、札幌地裁は、地労委の救済命令を支持して、会社の請求を棄却した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
2113 交渉団体として不適格
本件規約改正は、旧規約に定める改正手続によらないものであり、事前に議題の告知や通知を要求する手続に違反したものと認
められるが、組合が、内部規約に違反して執行部を選出したとしても、それは単に内部規約違反にとどまるものであり、使用者
が、組合規約違反を理由として当該執行部の選出の効力を否定して交渉資格と権限がないと判断して団体交渉を拒否することは、
特段の事情のない限り、許されないと解すべきであり、会社の団体交渉の拒否に正当の理由がある、との事情を認める証拠はな
く、団体交渉拒否は不当労働行為に当たるから、団体交渉に応じることを命じた本件命令主文第1項は、適法であるとされた例。
2620 反組合的言動
会社は、執行部が上部団体に加入することや組合事務所を設置することに反対していることなどから、執行部の組合活動を嫌悪
し、参加組合に対する反組合的意思があったものと推認でき、参加組合の自主性や組織力を弱体化するための、参加組合の結成や
運営を支配し、介入しようとする行為であり、支配介入を禁じた本件命令主文第2項は、適法であるとされた例。
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
会社の団体交渉拒否及び支配介入は不当労働行為に当たると認められるから、その謝罪文の掲示を命じた本件命令主文第3項
も、労働委員会に委ねられた救済方法の内容を決定する裁量の範囲内にあるものであり、適法であるとされた例。
4825 その他
労働組合の規約は、法律上の制約に抵触しない限り、本来当該組合が自由にこれを定めうるものであり、組合規約の改正は、原
則として、当該組合の意思に任せられたものであって、当該労働組合の自治の範囲内に属する問題である、とされた例。
2113 交渉団体として不適格
4825 その他
労働組合法五条は、労働組合が同法二条及び五条二項の規定に適合することを促進するという国の立法目的を達成するための規
定であり、使用者の利益を保障するためのものではないから、労働組合法五条二項九号の規定に反する組合規約の改正であったこ
とをもって、不当労働行為の成立を妨げる事由にはならない、とされた例。
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業種・規模 |
専門サービス業(法律事務所、経営コンサルタント業
等) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集35集66頁 |
評釈等情報 |
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