概要情報
事件名 |
日本ニューホランド |
事件番号 |
北海道地労委 平成 8年(不)第24号
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申立人 |
日本ニューホランド従業員組合 |
申立人 |
札幌地域労働組合 |
被申立人 |
日本ニューホランド株式会社 |
命令年月日 |
平成10年 2月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、組合の交渉資格を問題にして団体交渉を拒否したり、上部団体への加盟の撤回を求めたこと等が不当労働行為に当たるとして争われた事件で、(1)平成8年年末賞与などに関する団体交渉応諾、(2)(1)及び会議室利用拒否等による支配介入禁止、(3)文書掲示を命じ、その余の申立て(上部団体との団交応諾等)は棄却した。 |
命令主文 |
1.被申立人は、申立人日本ニューホランド従業員組合中央執行委員長X1が、申 し入れた平成8年年末賞与などに関する団体交渉に速やかに応じなければならな い。 2.被申立人は、同申立人組合中央執行委員会が、正規の手続未完のまま変更さ れた組合規約に基づく組織であって、組合代表者としての交渉資格を認めること ができないとして団体交渉を拒否し、管理職に指示して直接全組合員に団交拒否 理由を伝達・周知させたり、同申立人組合が組合大会で決定した上部団体への加 盟及び組合事務所の設置に反対してその撤回を求め、リコール実行委員会のリコ ール運動に関与し、その後はX1執行部がリコールによって解任されたとする新た な理由を挙げて団体交渉を拒否し、X2副委員長、X3書記次長及びX4支部委員らに 対し業務上不利な取扱いをし、さらには同申立人組合が申し入れた会議室の利用 を何らの理由も示さず拒否するなどして、同申立人組合の運営に支配介入しては ならない。 3.被申立人は、本命令書交付の日から5日以内に下記の陳謝文を縦1メートル 、横1.5メートルの白紙に横書で明瞭に記載し、本社、各支店・営業所の正面 入口付近の見やすい場所に、2週間掲示しなければならない。 記 平成 年 月 日 (掲示する日を記載すること) 札幌地域労働組合 日本ニューホランド従業員組合 日本ニューホランド株式会社 陳謝文 当社は、日本ニューホランド従業員組合の中央執行委員長X1から平成8年年 末賞与などに関する団体交渉の申し入れを受けたのにこれを拒否したこと、同組 合中央執行委員会が正規の手続未完のまま変更された組織であって、組合代表者 としての交渉資格をみとめることができないとして団体交渉を拒否し続け、管理 職に指示して直接全組合員に団交拒否理由を伝達・周知させたり、同組合が組合 大会で決定した上部団体への加盟及び組合事務所の設置に反対してその撤回を求 め、リコール実行委員会のリコール運動に関与し、その後はX1執行部がリコール によって解任されたとする新たな理由を挙げて団体交渉を拒否し、X2副委員長、 X3書記次長及びX4支部委員らに対し業務上不利な取扱いをし、さらには同組合が 申し入れた会議室の利用を何らの理由も示さず拒否するなどして同組合の運営に 支配介入したことについて、今般、北海道地方労働委員会において、労働組合法 第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。ここ に深く陳謝し、今後このような行為を繰り返さないようにします。 4 申立人らのその余の申立を棄却する。 |
判定の要旨 |
2120 交渉委任
組合大会で選出された組合役員の資格・権限を、会社独自の見解もしくは執行部に批判的な組合員らの私的グループの非公式な意見に基づいて安易に拒否して、団体交渉を拒否することは許されないとされた例。
2901 組合無視
組合の大会で議決された上部団体への加盟・組合事務所の設置について撤回するよう執拗に要求したこと、団体交渉申し入れに対してリコール成立を理由に拒否した行為等は、会社の意のままにならないX1執行部を嫌悪し、これを弱体化して組合活動の排除もしくは、抑制を意図して行ったものであり、労組法第7条3号の不当労働行為に該たるとされた例。
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業種・規模 |
専門サービス業(法律事務所、経営コンサルタント業等) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集110集283頁 |
評釈等情報 |
 
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