事件名 |
青山会 |
事件番号 |
東京地裁平成11年(行ウ)第76号
|
原告 |
医療法人財団青山会 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
上秦野病院労働組合 |
判決年月日 |
平成13年 4月12日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、医療法人財団青山会が、平成7年1月1日に申立外の仁和会
越川記念病院の施設、業務等を引き継いで青山会みくるべ病院を開設した際に、越川記念病院の職員であった組合員2名を採用し
なかったことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。
初審神奈川地労委は、医療法人に対し、組合員2名の採用、バックペイ及び組合活動を理由に採用しないなどの差別的取扱いを
することによる支配介入の禁止並びに文書手交を命じ、中労委もこれを維持した。
医療法人はこれを不服として東京地裁に取消訴訟を提起していたところ、同地裁は、原告の請求を棄却する旨の判決を言い渡し
た。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
1500 不採用
企業者の採用の自由と労働者の団結権保障とを比較考量した場合、労働者の雇入れについても、労働組合法第七条第一号本文前段
の適用があり、雇入れにおいて労働組合の組合員であること等を理由に労働者を不利益に取り扱うことは、同号本文前段により禁
止されていると解するのが相当であり、このことは、法律によって採用の自由を制限したものと解することができるとされた例。
1500 不採用
雇入れにおいて労働組合の組合員であること等を理由に労働者を不利益に取り扱うことは、これにより、労働組合の組合員の就職
を著しく困難にすることになり、その生活の基盤である資金、給料その他これに準ずる収入を得ることを著しく困難にするもので
あって、他面では、労働組合の結成そのものを妨害する結果となり、また、労働組合の組織、活動の弱体化を招くことになるか
ら、労働組合法第七条第三号本文前段の不当労働行為にも当たるとされた例。
1500 不採用
1900 営業譲渡・合併
会が、別法人の経営する施設、業務等を引き継いで新病院を開設した際に、旧病院の職員であった組合員X1、X2を採用しな
かったことについて合理的な理由は伺えず、X1、X2が採用を希望していることを十分承知しながら、組合活動を行っていたこ
とを嫌悪し、そのため当初から意図的に不採用としたものと認めるのが相当であり、X1、X2が組合員であること、組合の正当
な行為をしたことの故をもって、不採用という不利益取扱いを受けたというべきであり、また、会は不採用により組合への打撃を
与えることを意図し、X1、X2が組合を運営することを支配し、介入したものというべきであるから、本件不採用は、労働法第
七条第一号本文前段に該当し、不当労働行為に当たるとされた例。
|
業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集36集151頁 |
評釈等情報 |
|