労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  西神テトラパック 
事件番号  東京高裁平成11年(行コ)第141号 
控訴人  西神テトラパック株式会社 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  全日本金属情報機器労働組合西神テトラパック支部 
判決年月日  平成11年12月22日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  第1審東京地裁(平成9(行ウ)145、206、平11・4・21 判決)は、組合の請求を認容して、中労委命令のうち、委員長の配転に関する組合の救済申立てを棄却した部分を取り消し、会社 の請求は棄却したため、会社が控訴していたものであるが、東京高裁は控訴を棄却した。 
判決主文  1 本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、参加によって生じたものを含め、原審甲事件控訴人兼原審乙事件控訴申立人の負担とする。
判決の要旨  4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
労委規則三五条第一項・第四項の規定によれば、一度取下げた不当労働行為救済申立てについて救済利益を存する限り再度同じ申 立てをすることは妨げられないと解するのが相当であるとした初審判断を維持した中労委命令を、組合の救済利益放棄の証拠及び 本件配転に関する申立てが信義則違反の事実はなく、不当労働行為申立ては大会付議事項とする規定もないとして支持した原判決 が維持された例。

3900 「不利益の範囲」
X1の配転は、(a)製造と工務では配属する従業員の採用を異にしていること、(b)工務部門からの機械オペレーターへ配転 を命じた例はなかったこと、(c)X1は第2種電気主任技術者資格者で一貫して工務部門に従事し、プロジェクトチームには電 気担当として配属されていたこと、(d)本件配転により専門技術を要しない単純作業を命じられたこと、(e)給与等級が下位 のチームリーダーの下に配属されたこと等の諸事情を総合すると、会社の従業員の一般的認識に照らせば不利益と受け止めるのが 通常であるとした原判決が維持された例。

1300 転勤・配転
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
本件配転は、会社の合理化計画にことごとく反対し、実力手段を厭わない活動を遂行する組合の指導的立場にあるX1を嫌悪し て、そのような立場で合理化の実施に反対したことに報復する反組合的意図に基づくものとして、労組法七条一号の不当労働行為 を構成するとして、不当労働行為の成立を否定した中労委命令を取消した原判決が維持された例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社による従業員への組合は闘争至上主義である旨等の文書配布及びX2工場長の組合が会社を訴えたことは組合員が会社を訴え たことになる旨等の発言は、いずれも組合の意思決定に介入するものか又は組合活動に萎縮的効果をもたらすものに当たり、加え て、その内容、配布ないし発言の時期等に照らし、いずれも反組合的意図に基づくものであることも明らかであって、労組法七条 三号に該当する不当労働行為を構成するとして、中労委の救済命令を支持した原判決が維持された例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y1課長らがY2工場長との連携の下に組合員を個別に呼び出し組合からの脱退を働きかけたことは、その内容及び態様に照ら し、工場の業務全般を管理運営する工場長ないし上級職制である総務課長が、反組合的意図をもって、組合員に対し、組合からの 脱退を推奨したものであることは明らかで、いずれも労組法七条三号に該当する不当労働行為を構成するとして、中労委の救済命 令を支持した原判決が維持された例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y3マネージャーらが組合員に対して組合員の氏名が警察のブラックリストに載る旨の発言したことは、組合を脱退しなければ警 察に提出するリストに名前が載り、不利益を受ける恐れがあることを示唆し、もって反組合的意図に基づき、組合を脱退するよう 勧奨したものであることは明らかで、いずれも労組法七条三号に該当する不当労働行為を構成するとして、中労委の救済命令を支 持した原判決が維持された例。

業種・規模  パルプ・紙・紙加工品製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集34集588頁 
評釈等情報  中央労働時報 2000年4月10日 967号 35頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
兵庫地労委平成 5年(不)第1号
兵庫地労委平成 5年(不)第3号
一部救済 平成 6年12月 6日
中労委平成 6年(不再)第45号 一部変更(初審命令を一部取消し) 平成 9年 5月 7日
東京地裁 平成9年(行ウ)第145号(甲事 件)・第206号(乙事件) 一部取消 平成11年 4月 21日
 
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