事件名 |
東日本旅客鉄道(東京総合病院) |
事件番号 |
東京地裁平成 8年(行ウ)第45号
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原告 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部 |
被告参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部中央支部 |
被告参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部中央支部東京総合病院分会 |
判決年月日 |
平成10年 5月21日 |
判決区分 |
救済命令の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、国労の東京地本中央支部東京総合病院分会の当時の
分会長X1を平成元年4月1日に、病院の眼科の視能訓練士(発令上は事務部総務課課員との兼務)から、同事務部医事課の病歴
管理室(「診療録の管理」を業務とする部署)へ配置転換したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、東京地労委は、
X1に対する配転命令の撤回及び原職への復帰並びに文書掲示等を命じたところ、会社は、これを不服として再審査を申し立てた
ところ中労委は、初審命令を維持し、再審査申立てを棄却した。会社はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起していた
が、同地裁は、中労委の救済命令を全部取り消した。 |
判決主文 |
1 被告が中労委平成4年(不再)第25号事件について平成8年1
月24日付けでした命令を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とし、参加によって生じた訴訟費用は被告補助参加人らの負担とする。 |
判決の要旨 |
1300 転勤・配転
本件配転命令には、昭和62年4月の病院発足後、総合的な診療管理体制の確立に取り組み、その中で、特に病歴管理業務が遅れ
ていることから、改善を図る必要があったこと、経営効率化の観点及び病院の経営状況からみて、新規採用の余裕はないので、社
員の中から配置することとしたこと等から、業務上の必要性があるとされた例。
1300 転勤・配転
本件配転の人選については、視能訓練士の過員解消、看護婦不足のため眼科に看護婦資格者を残したこと、X1分会長は看護婦資
格がなく、事務職の中では医療に関する基礎的な知識を有しているので、病歴管理業務の専任者として配転させたこと等から、妥
当性、合理性があるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
右記(1)(2)からすると、本件配転命令は業務上の必要性があり、人選も合理性があるので、X1が分会員であること又は労
働組合の正当な行為をしたことの故をもってする不利益取扱いや組合活動に対する支配介入と評することはできないとして、不当
労働行為の成立を認めた初審命令を維持した中労委命令を取り消した例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集33集294頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年12月 945号 34頁
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