労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  ネッスル(霞ヶ浦工場) 
事件番号  東京地裁昭和61年(行ク)第34号 
申立人  中央労働委員会 
被申立人  ネッスル株式会社 
申立人参加人  ネッスル日本労働組合 
申立人参加人  ネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部 
判決年月日  昭和61年12月 1日 
判決区分  一部認容 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、社内には申立人組合と同一名称の申立外組合しか存 在しないとして、(1)申立組合の団体交渉申入れを拒否したこと、(2)申立人組合の組合員からチェック・オフした組合費を 申立外組合霞ヶ浦支部に交付したことが、不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審の茨城地労委の一部救済命令に 対し、会社・組合双方から再審査の申立てがなされ、中労委は、チェック・オフした組合員費相当額に年5分の割合による金員を 付加する等、一部変更したほかは初審命令を維持したところ、会社はこれを不服として行政訴訟を提起した。中労委は、緊急命令 の申立てを行ったところ、東京地裁は、団交応諾、申立人組合の組合員から組合費をチェック・オフすることの禁止、チェック・ オフした組合費相当額の申立人組合支部への支払いについて認容し、年5分の金員の付加について却下する緊急命令を決定し た。 
判決主文  1 被申立人を原告、申立人を被告とする当庁昭和61年(行ウ)第 67号不当労働行為救済命令 取消請求事件の判決の確定に至るまで、被申立人に対し、次のとおり命ずる。
 (1)被申立人は、被申立人の霞ヶ浦工場に関する事項について、申立人補助参加人らから団体交渉の申入れがあったときは、 「被申立人には申立外ネッスル日本労働組合(本部執行委員長X1)1つしか存在せず、申立人補助参加人ネッスル日本労働組合 は存在しない。」という理由、又は、「被申立人の霞ヶ浦工場には申立外ネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部(支部執行委員長 X2)1つしか存在せず、申立人補助参加人ネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部は存在しない。」という理由で、これを拒否しては ならない。
  (2)被申立人は、「ネッスル日本労働組合」との間の従前のチェックオフ協定に基づいて、申立人補助参加人 ネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部に所属する組合員の給与から組合費のチェックオフをしてはならない。
  (3)被申立人は、昭和58年9月分以降この決定の告知の時に至るまでの間に補助参加人ネッスル日本労働組合 霞ヶ浦支部に所属する組合員の給与からチェックオフをした組合費相当額を同支部に支払え。
2 申立人のその余の申し立てを却下する。
判決の要旨  7230 必要性の審査
7321 全部認容された例
「会社には申立人組合は存在しない」との理由で団体交渉を拒否することの禁止を命じた労委命令の適法性は一応肯定でき、緊急 命令を発する必要性は優に肯定することができる。

7230 必要性の審査
7331 作為命令に関する申立て(全部認容された例)
チェック・オフの禁止及びチェック・オフした組合費相当額の組合への一括支払いを命じた労委命令の適法性は一応肯定でき、緊 急命令を発する必要性は優に肯定することができる。

7230 必要性の審査
7332 作為命令に関する申立て(その他:一部認容された例、全部却下された例等)
チェック・オフした組合費相当額の返還を受けることにより組合の団結権侵害の状態は一応回復されると認められ、年5分の割合 による金員の支払いの相当性は是認するに足りず、緊急命令を発する必要性は存しない。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集21集533頁 
評釈等情報  判例時報 1217号、137頁 
労働判例 488号 43頁 
季刊労働法 藤原稔弘 143号 197頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
茨城地労委昭和58年(不)第3号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和59年11月22日 決定 
茨城地労委昭和58年(不)第2号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和59年11月22日 決定 
中労委昭和59年(不再)第64号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和61年 3月19日 決定 
中労委昭和59年(不再)第63号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和61年 3月19日 決定 
中労委昭和59年(不再)第62号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和61年 3月19日 決定 
東京地裁昭和61年(行ウ)第67号 請求の棄却  平成 1年12月 7日 判決 
東京高裁平成 1年(行コ)第136号 控訴の棄却  平成 3年 6月26日 判決 
最高裁平成 3年(行ツ)第202号 控訴審判決の一部破棄自判  平成 7年 2月23日 判決 
中労委平成 7年(不再)第15号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 7月17日 決定