労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大藤生コン三田 
事件番号  東京高裁平成 8年(行ケ)第51号 
控訴人  大藤生コン三田株式会社 
被控訴人  大阪府地方労働委員会 
被控訴人参加人  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 
判決年月日  平成 9年 4月23日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  A社構内に設立されたB社の解散に伴い、A社にB社の従業員であったX1の所属する組合からの平成5年10月28日付「分会長X1の雇用関係確認の問題について」、及び平成6年9月16日付「未払賃金の精算、X1の労働条件、その他」を議題とする団交申入れを、A社がX1の使用者でないことを理由として拒否したことが争われた事件である。
 大阪地労委は、A社がX1の労働関係上の諸利益に対して、X1の雇用契約上の雇主と同視し得る程、具体的な影響力ないし支配力を及ぼし得る地位にあることから、労組法7条の使用者に当たり、本件団交拒否を不当労働行為であると判断し、A社に対し速やかに両議題についての団交に応じることを命じた。
 A社は、これを不服として大阪地裁に行訴を提起したが、棄却されたため、大阪高裁に控訴したが、同高裁は、控訴を棄却した。 
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。 
判決の要旨  4900 請負・委任・派遣契約
原告とX1の間には黙示の雇用契約が成立していたと見るべきであり、原告は、形式上X1がB社の従業員であることをもってX1との労働契約関係を否定することはできない。

2130 雇用主でないことを理由
A社は、X1との関係において労組法7条2号所定の使用者に該当するのであるから、X1が現に加入している労働組合である補助参加人との団体交渉を正当な理由がなく拒むことはできない

2301 人事事項
組合の申入れに係る団交事項は、いずれも組合員の労働条件に関する事項で使用者が処分可能なものであるので、団体交渉の対象として許容される

2301 人事事項
「分会長X1の雇用関係確認の問題について」は、X1が就労を拒否されている状況において、同人の現実の就労を求める趣旨であると解されるので、使用者であるA社に処分可能なものであるので、この点も団体交渉の対象として許容される

5008 その他
労働委員会は、大阪府が設置する独立の行政委員会であり、その法律上の権限の一つとして労働者又は労働組合の申立てを受けて、使用者の不当労働行為の成否の審査をし、事実の認定をした上、この認定に基づいて、救済命令や棄却命令を発する権限を有しているのであるから、委員会にA社をX1の労組法上の使用者と認定して、本件各命令を発する権限があるのは明白である。

業種・規模  建設業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集32集174頁 
評釈等情報  中央労働時報 1997年10月10日 928号 42頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
大阪地労委平成 5年(不)第67号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 7年 3月29日 決定 
大阪地労委平成 6年(不)第67号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 7年12月12日 判決 
大阪地裁平成 7年(行ウ)第28号/他 請求の棄却  平成 8年 9月30日 判決 
大阪地裁平成 8年(行ウ)第1号/他 請求の棄却  平成 8年 9月30日 判決