概要情報
事件名 |
小南記念病院 |
事件番号 |
大阪高裁平成 7年(行コ)第67号
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控訴人 |
小南記念病院ことY1 |
被控訴人 |
大阪府地方労働委員会 |
被控訴人参加人 |
小南記念病院労働組合 |
判決年月日 |
平成 8年 7月30日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
小南記念病院ことY1が、<1>レントゲン室に施錠し組合員X1をレントゲン技師としての業務に従事させなかったこと、<2>同人が廊下で待機用に使用していた椅子を撤去したことをめぐって争われた事件である。 大阪地労委は、<1>についてX1をレントゲン技師としての業務に従事させること及び<2>を含めそれぞれの文書掲示を命じた。 X1はこれを不服として大阪地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁がX1の請求を一部認容し、一部を棄却したため、この棄却部分についてX1が大阪高裁に控訴していたところ、同高裁は、控訴を棄却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合員X1は本件救済命令発令時には既に退職していたことによりX1の職場復帰に対する救済利益が消滅しており、X1の職場復帰等に関する救済申立は却下すべきであったにもかかわらず本件救済命令を発したことは違法であるとして本件救済命令主文第1項(X1の転職復帰等を命じた部分)を取消した原判決は、相当である。
4102 承認・合意
本件救済命令発令前に、控訴人とX1との労働契約が終了したことにより、(更にX1が補助参加人の組合員資格を喪失したとしても)、本件救済命令主文第2項(ポストノーティス)についての被救済利益が消滅したということはできない。
6360 取消しの範囲
複数の救済方法を命じた本件救済命令の主文第2項のみでも救済の目的を達成できるというべきであるから、主文第1項だけを取り消すことを当然許容される。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
院長の組合に対する敵対的な言動は、院長が組合に対して強度の嫌悪感を有していたことから発せられたものであり、本件団交拒否、組合の執行委員長である組合員X1に対する配置転換等の行為は、組合を嫌悪し、その弱体化をねらった不当労働行為にあたる。
4611 P.Nの掲示の場所を配慮した例
院長がレントゲン室を施錠し、レントゲン技師である組合員X1の待機用の椅子を除去したことは不当労働行為であり、このような行為を反復しない旨を告知するよう命じた本件救済令は病院業務という特殊性を考慮してもなお、労委にあたえられ裁量権の合理的範囲を逸脱したとはいえない。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集31集290頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1997年7月10日 925号 48頁 
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