概要情報
事件名 |
普連土学園 |
事件番号 |
東京高裁平成 7年(行コ)第35号
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控訴人 |
学校法人普連土学園 |
被控訴人 |
東京都地方労働委員会 |
被控訴人参加人 |
普連土学園教職員組合 |
判決年月日 |
平成 9年10月16日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学園が、団体交渉開催条件に関する協議申入れ及び賃上げ、一時金その他の労働条件に関する事項についてそれぞれ拒否したとして争われた事件である 東京地労委が、<1>団体交渉の開催条件についての協議拒否の禁止及び誠実な協議の実施、<2>賃上げ、一時金その他の労働条件に関する事項についての団交応諾及び誠実な対応、<3>文書手交及び履行報告を命じた。 学園が、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁が請求を棄却したため、東京高裁に控訴したところ、同高裁はこれを棄却した |
判決主文 |
本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2213 交渉人数
昭和63年度の第2回団交について、組合が通告なしに7名で団交に臨んだ等の態度が、学園の態度に鑑みると、やむを得ないともいえる一面を有するとして、原判決は相当である
2211 団交ルールの先議
組合が当日の団体交渉を開催条件のルールに関する事務折衝に切り換えてほしいと要求したのに学園が応じなかったことは、団体交渉の開催条件に関する交渉を正当な理由なく拒否したものと評価されてもやむを得ない
2212 交渉の場所・時間
組合の「時間・交渉員については特に制限を設けず」という要請が、開催条件に関する要求・提案に該当する
2211 団交ルールの先議
従来一定の開催条件に固執し、組合が、やむなくこれに応じて開かれた団体交渉の場において、開催条件の再検討を求めたが前向きの態度を示そうとしなかったのであり、右の<1>ないし<3>等の、学園の一連の対応が、誠実な対応であったとはいいがたく、全体としてみると、労働組合法7条2号の事由に該当する
2212 交渉の場所・時間
団体交渉を学園内で行わなければならないとすることは、学園の経営責任に問題を生ずるような事態を想定しているものではなく、これを理由とする団交拒否は、正当な理由なく拒否した
2244 特定条件の固執
賃上げ要求等に関する第1回団交は、長期間人勧準拠に固執し、格差改善の努力を怠り、要求を真摯に受けとめる姿勢も示さず、改善の方策につき積極的に説明しない等、学園が誠実義務を尽くしたとは評価しがたい
2300 賃金・労働時間
職務手当等の公開要求事項は、団交の対象とすべきかにつき双方が誠実に協議すべきであり、学園の態度は、組合の理解を得られるように対応したと評価することはできず、原判決は相当である
2250 未妥結・打切り・決裂
学園による団体交渉期日の引き延ばしについては、故意に行っているとはいえないにせよ、その対応を一連のものとしてみると、学園の誠実性を疑われても致し方内と言えるものであるとして原判決は相当である
6310 違法判断の基準時
本件命令後の団交の状況は、ある程度改善されていることがうかがえるが、本件命令の当否は基本的にはその発せられた時点で判断するのが相当であり、その後の事情によっても、本件命令を取り消すまでの状況はない
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集32集377頁 |
評釈等情報 |
 
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