| 事件名 | 黒川乳業 | 
                  
                    | 事件番号 | 東京地裁昭和58年(行ウ)第32号 東京地裁昭和58年(行ウ)第79号
 
 | 
                  
                    | 原告 | 黒川乳業  株式会社 | 
                  
                    | 被告 | 中央労働委員会 | 
                  
                    | 被告参加人 | 関西単一労働組合 | 
                  
                    | 判決年月日 | 平成 1年12月20日 | 
                  
                    | 判決区分 | 救済命令の一部取消し | 
                  
                    | 重要度 |  | 
                  
                    | 事件概要 | 本件は、会社が、(1)誠意ある団体交渉を行わずに会社再建案を実 施したこと、(2)昭和52~53年度の賃上げ及び夏季・年末一時金について誠意ある団体交渉を行わず、賃上げの実施、一時 金の支給を行わなかったこと、(3)地労委の審問等に出席した組合員の賃金カットを行ったこと等が不当労働行為であるとして 申立てがあった事件で、初審の大阪地労委は、昭和52年夏季一時金の不支給を除き救済したが、中労委は同初審命令を一部変更 して、会社再建案の実施及び昭和52~53年度賃上げ、昭和52年夏季・年末一時金に関する団交応諾等を命ずるとともに、賃 金カット等については救済申立てを棄却したところ、これを不服として労使双方が東京地裁に行政訴訟を提起した。同地裁は、昭 和52~53年度賃上げに関する団交応諾命令の必要性は消滅していたとして、その部分に関する中労委命令を取り消すととも に、その余の請求を棄却する旨の判決を言い渡した。 | 
                  
                    | 判決主文 | 1 被告が、中労委昭和53年 (不再) 第57号事件、同昭和55年 (不再) 第 4号事件及び同第 5 号事件につき、昭和57年12月 1日付でした命令中、主文第 1項第 1号において、原告会社に 対し、原告組合との間で、昭和52年度及び同53年度の賃上げの実施に関して、速やかに誠意 をもって団体交渉を行うべきことを命じた部分を取 り消す。 2 原告会社のその余の請求及び原告組合の請求をいずれも棄却する。
 3 訴訟費用は、参加によって生じたものを含めて二分して、その一を原告組合の各負担とす る。
 | 
                  
                    | 判決の要旨 | 2249 その他使用者の態度 3103 労働協約締結をめぐる行為
 会社再建案の実施ないしその内容の一部をなす労働条件の変更を巡る会社の一連の交渉態度が、誠意をもって団交を行わず、労働 協約締結権を無視したこと等は、不当労働行為に該当するとした再審査の認定・判断は維持できる。
 
 2245 引き延ばし
 賃上げ、夏季及び年末一時金に関し、誠意をもって団交を行うこともないまま、長期間にわたり正当な理由もなく、団交を拒否し たことは不当労働行為に該当するとした再審査の認定・判断を支持した。
 
 1201 支払い遅延・給付差別
 一時金の支給に関し、誠実団交義務を懈怠し、その支給に関する協定の成立を不可能ならしめ、その結果、長期間にわたる一時金 の不支給という経済的不利益を与えていることが、不当労働行為に該当するとした再審査の認定判断を支持した。
 
 6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
 賃上げの実施に関して、本件命令の発令時には、その救済の必要性が消滅しており、団交を行うことを命じたことは、救済の必要 性についての判断を誤り、違法である。
 
 5008 その他
 会社再建案の撤回を求める再審査申立てを棄却した点を違法とする組合の主張は採用できない。
 
 1201 支払い遅延・給付差別
 会社が賃上げを実施しなかったことは、分会員に対する不利益取扱に当たらないとして賃上げの仮実施等を命じた初審救済命令を 変更して、組合の救済申し立てを棄却したことは相当である。
 
 1203 その他給与決定上の取扱い
 会社が、労委の審問等出席に伴う不就労時間に相当する賃金カットを行い、それ以上の便宜を与えなかったとしても不当労働行為 に該当しない。
 
 1203 その他給与決定上の取扱い
 4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
 組合員X1の生理休暇中の組合活動に対する賃金カットは、不当労働行為に該当せず、しかも本件命令の発令時までに賃金カット 相当額については供託されており、救済の必要性は消滅している。
 
 2610 職制上の地位にある者の言動
 2621 個別的示唆・説得・非難等
 所長による組合員X1に対する説得行為は、組合の組合活動に対して介入する意図でなされた不当労働行為とはいえない。
 
 3607 労働者の行為と不利益取扱の程度との関連
 会社が所轄警察署へ連絡したり刑事告訴をするについては、組合の側にも穏当を欠く行為があり、組合の弱体化を図る意図の下で なされた不当労働行為とは断定できない。
 
 
 | 
                  
                    | 業種・規模 | 食料品製造業 | 
                  
                    | 掲載文献 | 労働委員会関係裁判例集24集344頁 | 
                  
                    | 評釈等情報 | 労働関係民事裁判例集 40巻 6号  648頁 判例時報 1353号  129頁
 労働判例  554号 30頁
 
 |