労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  黒川乳業 
事件番号  大阪地労委昭和52年(不)第40号 
大阪地労委昭和52年(不)第76号 
大阪地労委昭和52年(不)第105号 
申立人  関西単一労働組合 
被申立人  黒川乳業 株式会社 
命令年月日  昭和54年12月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合の反対する会社再建案を十分に団交を行うことなく一方的に実施したこと、労委の審問等に出席した組合員の賃金をカットしたこと、団交中の組合員の言動を理由に賃上げ・一時金の団交を拒否し、別組合員には支給した賃上げ・一時金を支給しなかったこと等が争われた事件で、賃上げ・一時金等に関する誠意ある団交応諾、賃金・一時金等の仮支給、賃金カット分の返還(年5分を乗じた額を含む)、文書手交を命じ、生理休暇中の賃金カット、暴力行為を理由とする告発、組合脱退者にかかる申立てについては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人との間で、昭和52年賃上げ、同年年末一時金、53年賃上げ、同年夏季一時金及び同年年末一時金問題等、組合が要求した事項に関して、速やかに誠意をもって団体交渉を行わなければならない。
2 被申立人は、上記各賃上げ及び一時金について、申立人と妥結するまでの間、申立人の黒川乳業分会員に対して、総評全国一般大阪地方本部黒川乳業労働組合との妥結額を、賃上げについては同組合員及び非組合員に実施した日に遡って仮に実施し、また、一時金については速やかに仮に支給しなければならない。
 ただし、52年9月1日以降の分については、上記労働組合員と黒川乳業分会員との週所定労働時間数の割合に応じて実施・支給することで足りるものとする。
 また、被申立人は、上記措置によって生じたX1に対する退職金の精算を仮に行わなければならない。
3 被申立人は、下記記載の黒川乳業分会員に対して、同表記載の各金額及びこれに各年5分を乗じた額を返還しなければならない。
4 被申立人は、申立人に対して、速やかに下記の文書を手交しなければならない。
            記
                       年 月 日
  申立人代表者あて
                    被申立人代表者名
 当社が行った下記の行為は、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。
(1) 貴組合と誠意ある団体交渉を行わず、貴組合の同意なく、昭和52年5月11日に、貴組合員の労働条件を一方的に変更する会社再建案を実施したこと。
(2) 昭和52年賃上げ、同年年末一時金、53年賃上げ、同年夏季一時金及び同年年末一時金等に関する貴組合の要求に対して誠意ある回答を行わず、団体交渉を拒否したこと。
(3) 大阪府地方労働委員会の審問及び大阪地方裁判所の審尋に出席した貴組合員に対して、貴組合と交渉することなく、従前の取扱いを変更し、賃金カットを行ったこと。
5 申立人のその他の申立ては棄却する。


 年月日  対象時間   X2   X3   X4

        時間   円     円    円
 52. 7.15   2.5        2,110   2,275
   8.11   2.0  1,756
   9. 1   2,0                1,820
   9. 8   1.5  1,317         1,365
   9.16   1.0    878           910
   10. 3   2.5  2,195    2,110
   10.28   2.0           1,688
   11.11   2.5  2,195    2,110
   11.28   2.0           1,688
   12.16   2.5  2,195    2,110
 53. 1.12   2.0  1,756         1,820
   2. 3   2.5  2,195    2,110
   3. 2   2.0  1,756    1,688
   4.27   2.0  1,756    1,688
   5.19   2.5  2,195    2,110
   6.15   3.0  2,634         2,730
   7.19   3.0  2,634         2,730 
判定の要旨  1203 その他給与決定上の取扱い
労委の審問等に出席する組合員の賃金カットの取扱い方法を十分に団交を行うことなく一方的に変更したことが不当労働行為とされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
生理休暇中の組合活動を理由に賃金カットしたことが不当労働行為ではないとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2251 一方的決定・実施
2901 組合無視
賃上げ・一時金につき別組合との妥結額による仮実施・仮支給を拒否したことが組合の弱体化を図った不当労働行為とされた例。

2400 その他
2900 非組合員の優遇
賃金等の改定を内容とする会社再建案について、組合と誠意ある団交を行わず一方的に実施したことが不当労働行為とされた例。

2230 不穏当な態度
組合の団交中等の行き過ぎた言動を理由に賃上げ・一時金等に関する団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
営業所長らが組合員X3に対して行った「会社をやめてしまえ」などの言動が職務上の注意であり不当労働行為ではないとされた例。

3106 その他の行為
組合員の暴力行使・強要行為に対して警察官に通報し告訴したことが直ちに組合に対する支配介入とはいえないとされた例。

5121 挙証・採証
組合旗・立看板の盗難が会社によってなされたとの疎明がないとして申立てが棄却された例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
賃上げ・一時金の仮実施・仮支給拒否につき、その後に組合を脱退している者は被救済利益がないとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
労委の審問等出席者の賃金カットの是正につき、その後に組合を脱退している者は被救済利益がないとされた例。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集66集736頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
大阪地労委昭和52年(不)第87号 棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下)  昭和53年10月30日 決定 
中労委昭和53年(不再)第57号
中労委昭和55年(不再)第4号
中労委昭和55年(不再)第5号
一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和57年12月 1日 決定 
東京地裁昭和58年(行ウ)第32号
東京地裁昭和58年(行ウ)第79号
救済命令の一部取消し   平成 1年12月20日 決定 
 
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