概要情報
事件名 |
亮正会(高津中央病院) |
事件番号 |
横浜地裁昭和60年(行ウ)第14号
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原告 |
医療法人 社団亮正会 |
被告 |
神奈川県地方労働委員会 |
被告参加人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 |
被告参加人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 |
判決年月日 |
昭和61年 4月24日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、一時金に関して不誠実な交渉による妥結の遅延、交渉中に組合を無視した「同意書」の配布と同書を提出した非組合員のみへの一時金の支給をめぐって争われた事件で、神奈川地労委の救済命令を不服として病院が行訴を提起していたが地裁は請求を棄却した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用及び参加によって生じた費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
2300 賃金・労働時間
一時金の支給に関し、一般職員について具体的回答をしながら、パートタイマー等については具体的回答をせず、分会との交渉の対象とすることを拒否したことは労組法7条2号の不当労働行為である。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
3103 労働協約締結をめぐる行為
一般職員に関する一時金の分離解決を拒否し、パートタイマー等との一括解決を主張し、更に救済申立の取り下げを差し違え条件とするなどしたことは分会を弱体化しようとしたものであり、労組法7条3号の不当労働行為である。
2901 組合無視
同意者のみに早期に一時金を支給するという内容の「同意書」の配布は、会社の一時金支給を一方的裁量により行うとの方針を貫くため分会員に心理的圧力をかけて組合を弱体化しようとしたもので、労組法7条1・3号の不当労働行為である。
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
同意者のみに早期に一時金を支給するという内容の「同意書」の配布は、会社の一時金支給を一方的裁量により行うとの方針を貫くため分会員に心理的圧力をかけて組合を弱体化しようとしたもので、労組法7条1・3号の不当労働行為である。
4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
5005 損害賠償の請求
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
一時金の支給が遅延した期間についての遅延損害金相当額の支払いを命ずる救済命令は、私法上の損害賠償ではなく、不利益の原状回復として命じたもので、労委に認められた合理的裁量権の範囲内である。
5000 具体的請求の欠除
申立の全趣旨から「同意書」の配布が支配介入行為であるとして救済を求めていることが容易に理解できるから、労委がその行為について救済を命じても、申し立てていない事項についての救済命令とは言えない。
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
本件のポスト・ノーティスは原告のした不当労働行為の態様からみると、組合の受けた不利益の回復方法としては相当であり、労委の裁量権を著しく逸脱した違法はない。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集21集260頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 37巻2・3号 194頁 
労働判例 480号 57頁 
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