労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  岩手女子奨学会(岩手女子高校) 
事件番号  盛岡地裁昭和56年(行ウ)第4号 
原告  学校法人 岩手女子奨学会 
被告  岩手県地方労働委員会 
被告参加人  岩手女子高等学校  教職員組合 
判決年月日  昭和58年 3月31日 
判決区分  救済命令の一部取消し 
重要度   
事件概要  組合員が校門付近で登校する生徒に父兄宛文書を手渡したことに対する申入書の交付、組合加入を妨げる発言等をめぐる事件で地労委の一部救済命令(56・3・18)を不服として、使用者側から行訴が提起(56・4・2)されていたが、地裁は、一部を取り消した。 
判決主文  被告が原告に対し、昭和54年(不)第1号及び同(不)第5号不当労働行為救済申立事件について昭和56年3月18日付でした救済命令の主文第1項及び第2項中「昭和54年6月1日付の岩手女子高等学校校長Y1一名による申入書を参加人組合に交付したこと」に関する部分をいずれも取消す。
原告のその余の請求を棄却する。
訴訟費用はこれを二分し、その一を原告、その余を被告の負担とする。 
判決の要旨  0200 宣伝活動
組合の生徒に対する私学助成運動の賛同等を呼びかける文書の配布行為を未だ正当な組合活動の範囲を逸脱したものではないと解する余地は十分ある。

3020 組合活動への制約
校長の組合の文書配布行動に対する申入書は、組合の行動を問責するというよりは、むしろ就業規則違反を指摘して、将来を戒めたものとみられ、この交付をもって直ちに組合の組識運営に対する支配介入と断ずるのは性急に過ぎる。

2610 職制上の地位にある者の言動
校長の発言は単なる一先輩の個人的忠告と必ずしも受け取られにくい客観的時期場所においてなされたと認められ、校長の発言としての性格を問題にせざるを得ず、これを不当労働行為とした労委の判断は相当である。

2621 個別的示唆・説得・非難等
校長の発言は単なる一先輩の個人的忠告と必ずしも受け取られにくい客観的時期場所においてなされたと認められ、校長の発言としての性格を問題にせざるを得ず、これを不当労働行為とした労委の判断は相当である。

6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
校長の組合の文書配布行動に対する申入書の交付を労組法7条3号の不当労働行為として救済を命じた部分は正当でないので取消を免れない。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集18集105頁 
評釈等情報  労働判例  413号 75頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
岩手地労委昭和54年(不)第1号
岩手地労委昭和54年(不)第5号
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和56年3月18日 決定 
仙台高裁昭和58年(行コ)第7号
仙台高裁昭和58年(行コ)第8号
控訴の棄却  昭和60年6月28日 判決 
最高裁昭和60年(行ツ)第170号 上告の棄却  昭和61年7月14日 判決 
 
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