概要情報
事件名 |
郵政省新宿郵便局控訴 |
事件番号 |
東京高裁昭和47年(行コ)第44号
東京高裁昭和47年(行コ)第45号
|
控訴人 |
公共企業体等労働委員会 |
控訴人 |
国 |
被控訴人 |
全逓信労働組合 |
判決年月日 |
昭和55年 4月30日 |
判決区分 |
一審判決の一部取消し |
重要度 |
|
事件概要 |
郵便局長が、(1)自宅の酒席において、新労結成の中心人物による全逓組合員に対してのオルグ活動を制止せず放置したこと、(2)職員の配置転換、昇任、研修所への入所許可に当たり、全逓組合員を別組合員に比べ不利益に扱ったこと、(3)庁舎内で開催された職場集会に対して解散命令を通告したこと、(4)組合掲示板を無許可であることを理由に撤去したこと、(5)別組合に対して掲示板を供与しながら、全逓には供与しなかったこと、(6)別組合に対して食堂の使用を許可しながら、全逓には許可しなかったことが争われた事件で、公労委は、組合の申立てを棄却した。組合はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起していたが、同地裁は、救済申立棄却命令の一部を取り消した。 公労委はこれを不服として、東京高裁に控訴していたが、同高裁は原判決のうち、公労委が敗訴した部分を取り消した。 |
判決主文 |
原判決中控訴人公共企業体等労働委員会敗訴の部分を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用(参加によって生じた費用を含む。)は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2620 反組合的言動
郵便局長が、貯金募集打合会の席上、別組合を賞揚し、原告組合を非難した事実は認められず、不当労働行為を構成するとはいえない。
2620 反組合的言動
郵便局長が、採用後日が浅く、まだいずれの組合にも属していない臨時補充員らに対し、自宅の酒席において発言した内容は、組合の運営に対する支配介入に当たらない。
2620 反組合的言動
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
郵便局長が、採用後日が浅く、まだいずれの組合にも属していない臨時補充員らを局長室に呼んで発言した内容は、入ったばかりの臨時補充員をねぎらい激励するためのものであり、組合を誹謗したことにならず、不当労働行為を構成しない。
3020 組合活動への制約
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
休憩室といえども許可願を出して承認を受けなければ職場集会のために使用できないというほかなく、休憩時間中に休憩室で開かれた無許可集会は正当な組合活動ではなく、それに対する解散通告は不当労働行為ではない。
3020 組合活動への制約
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
郵便局局舎内における無許可集会は正当な組合活動といえず、課長らが解散を通告するとともに、現場にとどまり集会の模様をメモした行為は不当労働行為ではない。
3020 組合活動への制約
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
郵便局局舎内の組合掲示板からの無許可掲示物の撤去については、その後個々の掲示物の掲示に許可を要しない取扱いになっており、これをなお未解決のものとしておくべき格別の特殊事情を認めるに足りないことから、あえて救済命令を発する必要ない。
|
業種・規模 |
分類不能の産業 |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 31巻2号 544頁 
|