労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  富里商事 
事件番号  東京高裁昭和59年(行コ)第3号 
控訴人  富里商事 株式会社 
被控訴人  中央労働委員会 
判決年月日  昭和59年11月29日 
判決区分  一審判決の一部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、組合が昭和55年4月8日から同年5月13日までの間に行った時限ストに参加した組合員24名に対して、会社が、無断職場離脱であるとして三次にわたって警告等を発したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審千葉地労委は、(1)警告等の撤回、陳謝文の手交及び掲示を命じ、中労委もこれを支持し、ポスト・ノーティス等の文言の一部を変更したほかは再審査申立てを棄却したところ、会社はこれを不服として行政訴訟を提起した。東京地裁は会社側の請求を棄却し、会社は更に控訴していたが、東京高裁は昭和59年11月29日に、文書交付対象者のうち、中労委命令発令前に任意退職した5名について救済利益が消滅したものとして却下すべきところ、本件命令は、この点を看過した違法があるとして、これを取り消したことなどのほかは一審判決を支持し、控訴を棄却した。 
判決主文  1 原判決を次のとおり変更する。
1 被控訴人中央労働委員会が中労委昭和56年(不再)第4号事件について昭和57年6月16日付けでした命令中、別紙第1目録記載の再審査被申立人らに関する部分を取り消す。
2 前項の命令中、別紙第2目録記載の再審査被申立人らに関する部分にかかる請求につき、本件訴えを却下する。
3 控訴人のその余の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、第1、2審とも控訴人の負担とする。 
判決の要旨  5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
 救済命令発令前に会社を任意退職し、同時に組合員たる地位を喪失した再審査申立人5名の救済申立ては、救済利益が消滅したものとして却下されるべきであるから、本件命令中当該5名に関する救済部分は違法であるので取り消す。

6140 訴の利益
 救済命令発令後に会社を任意退職し、同時に組合員たる地位を喪失した再審査申立人5名の救済申立ては、事情の変更によりその基礎を欠くに至り、会社に対する拘束力を失ったから会社には回復されるべき実質的利益がなく、訴を却下する。

1400 制裁処分
2610 職制上の地位にある者の言動
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
 ストに参加した組合員に対し、職場離脱を繰り返すと懲戒処分もあり得る旨の警告書を交付したことを不当労働行為であるとした原審の認定判断は相当である。

業種・規模  旅館、その他の宿泊所 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集19集360頁 
評釈等情報  判例時報 1134号  146頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
千葉地労委昭和55年(不)第1号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和55年12月24日 決定 
千葉地労委昭和55年(不)第2号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和55年12月24日 決定 
千葉地労委昭和55年(不)第3号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和55年12月24日 決定 
中労委昭和56年(不再)第4号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和57年 6月16日 決定 
東京地裁昭和57年(行ウ)第118号 請求の棄却  昭和59年 1月19日 判決 
最高裁昭和60年(行ツ)第62号 上告の棄却  昭和61年 2月18日 判決 
 
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