労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大阪赤十字病院(日本赤十字社) 
事件番号  東京高裁平成 1年(行コ)第17号 
控訴人  日本赤十字社 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  大阪赤十字病院労働組合 
判決年月日  平成 2年 7月11日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、組合の昭和57年夏期一時金の上積み要求に関する団体交渉申入れに対し、同一時金の支給によりこの問題は解決済みであるとして病院が団体交渉に応じなかったことが不当労働行為であるとして申立てのあった事件で、初審大阪地労委は、病院は同一時金の上積み要求について誠意をもって交渉に応じるよう命じ、中労委は命令の名宛人を日本赤十字社に変更するほかは初審命令を維持したところ、日赤は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起し、同地裁は元年2月14日、これを棄却したため、日赤は東京高裁に控訴していたが、同高裁は平成2年7月11日、日赤の控訴には理由がないとしてこれを棄却した。 
判決主文  本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。 
判決の要旨  2244 特定条件の固執
控訴人の本訴請求は理由がなく、これを棄却すべきものであると判断するが、その理由は一部付加するほか、原判決の理由説示のとおりである。

5110 申立人の追加
日赤を再審査手続に関与させる手続として、単に初審命令の名宛人の表示が誤りであると取り扱うか、当事者の追加・変更という形をとるかは日赤の法律上の利益に関係がないものであって、本件命令の取消事由とはならない。

2250 未妥結・打切り・決裂
昭和57年6月28日付け確認書の調印によって昭和57年夏期一時金が全部妥結したものとはいえず、上積み問題は未解決のまま残されているから、大阪赤十字病院の団交拒否は正当な理由がなく不当労働行為であるとした原判決は相当である。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
初審命令後に行われた団交では、夏期一時金についての交渉は行われず、その後病院から組合への団交申し入れも誠実な団交申入れとはいえないから、夏期一時金問題についての団交拒否は継続しているというべきであり、組合の被救済利益は失われていないとした原判決は相当である。

業種・規模  医療業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集25集425頁 
評釈等情報  中央労働時報 815号 27頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
大阪地労委昭和57年(不)第64号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和59年 1月13日 決定 
中労委昭和59年(不再)第7号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和61年 1月22日 決定 
東京地裁昭和61年(行ウ)第44号 請求の棄却  平成 1年 2月14日 判決 
最高裁平成 2年(行ツ)第179号 上告の棄却  平成 3年12月17日 判決