労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  明輝製作所 
事件番号  東京地裁昭和57年(行ウ)第168号 
東京地裁昭和57年(行ウ)第170号 
原告  株式会社 明輝製作所(第 168号) 
原告  総評全国一般労働組合神奈川地方本部(第 170号) 
被告  中央労働委員会(第 168号、第 170号) 
被告参加人  株式会社 明輝製作所(第 170号) 
被告参加人  総評全国一般労働組合神奈川地方本部(第 168号) 
判決年月日  昭和60年 5月27日 
判決区分  請求の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、会社が組合員に対し、従来の仕事を取り上げ雑役等に従事させ、残業及び休日出勤を拒否したことが不当労働行為に当たるとして争われたもので、初審神奈川地労委は、(1)仕事上の差別の禁止、(2)残業及び休日出勤拒否の取消し、是正に至るまでの間の残業手当等相当額の支払い、(3)ポスト・ノーティス等を命じ(55・8・26、命令)、(4)その余の申立て(損害金の請求)を棄却し、中労委は、初審命令を一部変更し、初審結審時までに組合を脱退した者についての救済を取り消し、その余の再審査申立てを棄却した(57・9・1命令)ところ、労使双方が行訴を提起したが、東京地裁は、双方の請求を棄却した。 
判決主文  1 昭和57年(行ウ)第168号事件原告株式会社明輝製作所の請求及び同年(行ウ)第170号事件原告総評全国一般労働組合神奈川地方本部の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、昭和五七年(行ウ)第168号事件に関し生じたものは同事件の原告株式会社明輝製作所の負担とし、同年(行ウ)第170号事件に関し生じたものは同事件の原告総評全国一般労働組合神奈川地方本部の負担とする。 
判決の要旨  3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が分会員に対して命じた雑作業の内容、期間、態様、必要性や他の従業員が命じられた雑作業との比較及び組合公然化後の労使関係の状況等を考慮すると、会社が分会員に雑作業を命じあるいは本来の仕事を命じなかったことは、組合員に対する不利益取扱いであるとともに組合の弱体化を図った支配介入行為である。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員が組合の方針に従い残業を拒否しているのであって、会社の方から残業の申出を拒否したことはないとの、会社主張を認めるに足りる証拠はなく、かえって、組合は組合員に残業させないことに対して抗議していることからすると、会社は何ら合理的な理由がないのに組合員に対してだけ残業及び休日出勤を命じていないこととなり、このことは不利益取扱いであり組合に対する支配介入行為である。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
不利益取扱いを受けた労働者が労働組合を脱退した場合にその者が受けた不利益を除去することは、その者が労働組合による救済を受ける意思を有しているとしても、そのことだけでは、特段の事情がない限り、労働組合自体としてはその利益侵害の回復に寄与するところがあるということはできないから、このような場合に脱退組合員に賃金相当分の金員の支払を命ずることは救済方法として適切を欠き、許されず、特段の事情が認められない本件において、脱退した組合員に賃金相当額の金員の支払を命じることを認めなかった本件命令は結論において相当である。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集20集176頁 
評釈等情報  労働関係民事裁判例集 36巻3号  386頁 
判例時報 1153号  223頁 
労働判例  453号 52頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和52年(不)第33号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和55年 8月26日 決定 
中労委昭和55年(不再)第56号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和57年 9月 1日 決定 
東京高裁昭和60年(行コ)第45号/他 控訴の棄却  昭和63年 8月31日 判決 
東京高裁昭和60年(行コ)第37号/他 控訴の棄却  昭和63年 8月31日 判決 
 
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