労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  池上通信機 
事件番号  横浜地裁昭和56年(行ウ)第13号 
原告  池上通信機 株式会社 
被告  神奈川県地方労働委員会 
被告参加人  全日本電機機器労働組合連合会池上通信機労働組合 
判決年月日  昭和58年 9月29日 
判決区分  救済命令の全部取消し 
重要度   
事件概要  組合集会開催のための食堂使用許可をめぐる事件で、地労委の一部救済命令(56・7・27)を不服として使用者側から行訴が提起(56・8・10)されていたが地裁は、命令の救済部分を取消した。 
判決主文  1 被告が、補助参加人を申立人、原告を被申立人とする神労委昭和55年(不)第4号不当労働行為救済申立事件について、昭和56年7月27日付でなした命令中、主文第1、2項を取消す。
2 訴訟費用は原告と被告との間に生じた分は被告の、参加によって生じた分は補助参加人の各負担とする。 
判決の要旨  0202 会社施設の利用
 組合又は組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の物的施設を使用して組合活動を行うことは、これらの者に使用を許さないことが権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、正当な組合活動に当たらない。

0202 会社施設の利用
3020 組合活動への制約
 組合が、会社施設使用は組合の権利であるとの考えに立ち、会社の貸与案も無視し、会社の阻止を実力で排除し無許可で食堂を使用し続けている状況下にあっては、会社が食堂使用許可を拒否しても権利の濫用とはいえない。

2901 組合無視
3020 組合活動への制約
 従業員のサークル活動に食堂の使用を許している事情が存するからといって、会社は組合に対し組合活動のために食堂を使用させなければならない義務を負うものと解することはできない。

3020 組合活動への制約
 本件食堂使用拒否は、支配介入に該らず、会社が食堂の無許可使用に対し組合員の入構を阻止し、集会の中止命令及び警告を発したことは職場秩序維持のために必要な施設所有権等の正当な行使であって、不当労働行為に該当しない。

1400 制裁処分
 会社が、従業員が就業時間外に会社の制止を無視して工場構内に立入り、食堂で行われていた組合による無許可集会に参加したことに対し服務規律違反である旨警告したことは正当な行為であって、不当労働行為を構成しない。

6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
 労委が、本件食堂使用拒否、集会の妨害、集会参加に対する警告等を不当労働行為として救済命令を発したことは違法というべきであるから、本件救済命令は取消しを免れない。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集18集220頁 
評釈等情報  労働判例  420号 60頁 
労働経済判例速報 1168号 5頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和55年(不)第4号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和56年 7月27日 決定 
東京高裁昭和58年(行コ)第86号 控訴の棄却  昭和59年 8月30日 判決 
最高裁昭和60年(行ツ)第1号 上告の棄却  昭和63年 7月19日 判決 
 
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