ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 他分野の取り組み > 研究事業 > 平成9〜22年度の厚生労働科学研究費補助金各研究事業の概要について > 平成19年度 厚生労働科学研究費補助金の概要 > 平成19年度厚生労働科学研究費補助金公募要項 > V.公募研究事業の概要等 > 7. 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業

7. 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業

7. 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業
  <事業概要>
   平成18年度より、生活習慣病の一次予防から診断・治療までを網羅し、生活習慣病対策について体系的かつ戦略的に進めていく研究事業を行っており、平成19年度も引き続き生活習慣病対策についての研究を総合的に推進する。平成18年度より運動分野に関して遅れている若手研究者の育成を図るため、若手育成型の研究を実施しているところであるが、平成19年度においてはこれを継続するとともに、新たに栄養分野、循環器疾患分野においても若手育成型の研究を実施する。また、近年虚血性心疾患、脳卒中等の危険因子として注目されているメタボリックシンドロームの有効な対策に資するエビデンス構築に関する研究や、有病者が増加し患者のQOL(生活の質)を低下させ、医療経済的にも大きな社会負担を強いている糖尿病をターゲットとした研究等を実施する。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 国民を悩ます病の克服

  <新規課題採択方針>
   本研究事業は、生活習慣病の予防、診断、治療について質の高い研究を優先的に採択するとともに、健康フロンティア戦略、医療構造改革に掲げられた生活習慣病対策の実現に向け、実践的な指針の作成や新たなエビデンスの構築に資するものを優先的に取り扱う。生活習慣病の予防の観点から、健康づくりのための食生活・身体活動等についての指針の改定につながる研究を推進する。また、平成20年度よりメタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導が行われるところであり、そのための効果的な保健指導についての実践的な指針等の作成につながる研究を推進する。さらに、循環器疾患等の臨床研究については、日本人におけるエビデンスの構築につながる大規模な多施設臨床研究を推進する。

 
研究費の規模 初年度1課題当たり1,000〜50,000千円程度(1年当たり)

研究期間 1〜3年

新規採択予定課題数 一般公募型は15課題程度、若手育成型は2課題程度

若手育成型の応募対象
 平成19年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和45年4月2日以降に生まれた者に限る。)
  ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
  ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。
  ※ 産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

  <公募研究課題>
【一般公募型】
 (1) 健康づくり分野(19160101)
 例1 日本人の健康づくりのための運動基準改定に資するエビデンスの構築に関する研究
(留意点)
 「健康づくりのための運動基準」の改定に資する日本人における身体活動量、運動量、体力に関する調査研究を行い、最新の知見に基づき運動基準の改定を行うための研究とする。

 例2 日本人の食事摂取基準の改定のためのエビデンスの構築に関する研究
(留意点)
 日本人の食事摂取基準を改定するためのライフステージに応じたエネルギー及び栄養素に関するエビデンスの構築、食事摂取基準の活用方法について検討を行う研究とする。

 例3 保健・医療サービス等における栄養ケアの基盤的研究
(留意点)
 保健・医療サービス等における栄養ケアの推進のための人材の養成や効果的なシステムの構築に関する研究とする。

 例4 未成年者の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究
(留意点)
 未成年者の喫煙・飲酒状況の実態を把握し、その傾向と要因を分析して効果的な対策を検討する研究とする。

 例5 各種禁煙対策の経済影響に関する研究
(留意点)
 たばこ価格の値上げ、各種禁煙支援、健康教育等の禁煙対策による喫煙率低下効果と経済効果を明らかにする研究とする。

 例6 アルコール飲料に関連する諸問題や生活習慣病とその対策に関する研究
(留意点)
 アルコール飲料に関連する諸問題や、糖尿病、循環器疾患、肝疾患、膵疾患等の生活習慣病との関連においてその因果関係を検討し、かつ、その対策の基盤となる医療経済面や公衆衛生上の問題にも留意した研究とする。

 例7 健康寿命の評価手法に関する研究
(留意点)
 健康寿命を評価するための指標について検討を行い、その定義・算出方法等を都道府県健康増進計画改定ガイドラインとして示すことを目的とした研究とする。

 (2) 循環器疾患分野(19160201)
 例1 循環器疾患に関する診療体制の構築に関する研究
(留意点)
 循環器疾患について、発症後、病院に搬送される間とそれに続く病院内での治療についての対応、医療機関における診療の連携体制、救命救急センター等の急性期に対応する医療機関とリハビリテーション等の回復期に対応する医療機関との地域での連携体制、多くの病院に広く普及することが可能である診療技術により救命率の向上等に資するモデルを科学的根拠に基づき提示できる研究を優先的に採択する。

 例2 虚血性心疾患の心臓リハビリテーションに関する研究
(留意点)
 虚血性心疾患に対する心臓リハビリテーションの有効性についてエビデンスの構築を行うとともに、心臓リハビリテーションを広く普及させるための方策について検討する多施設共同研究とする。

 例3 心不全における新たな治療方法に関する研究
(留意点)
 心不全における新たなサイトカイン系等の神経・体液因子を検索し、それらを利用した新たな治療法の開発につなげることを目的とした研究とする。

 例4 糖尿病を合併した虚血性心疾患に対する至適治療法に関する研究
(留意点)
 糖尿病を合併した虚血性心疾患患者において、いかなる冠血行再建法が最適であるのかを明らかにし、本邦における治療指針を確立させるような研究とする。

 例5 動脈硬化性疾患の発症予知・早期病変検出・進展予防に関する研究
(留意点)
 動脈硬化早期病変の観察に有効な診断法を開発し、動脈硬化性疾患の発症予知・早期病変検出・進展予防につなげる研究とする。

 例6 地域コホートを基盤にした糖尿病・メタボリックシンドロームの発症要因とそれらが動脈硬化性疾患の発症に果たす役割に関する研究
(留意点)
 糖尿病・メタボリックシンドロームのリスク要因、生命予後及び動脈硬化性疾患に与える影響に関するデータを大規模前向きコホートにおいて集積し、日本人におけるエビデンスの構築を行う研究とする。

 例7 保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理指針に関する横断・縦断研究
(留意点)
 メタボリックシンドロームの原因と考えられる内臓脂肪蓄積、アディポサイトカイン動態等について検討し、その診断指針や管理指針をガイドラインとして作成・公表することを目指した研究とする。

 例8 2型糖尿病患者のQOL、血管合併症及び長期予後改善のための前向き研究
(留意点)
 日本人の2型糖尿病患者の生活習慣関連因子とQOL、血管合併症、長期予後及び医療費との関係について、大規模コホートを用いた検討を行う研究とする。

【若手育成型】
 (1) 健康づくり分野(19160301)
 例1 健康づくりのための効果的な食育の推進に関する調査研究
(留意点)
 地域における民間と連携した食環境整備の取組や普及啓発など、健康づくりのためのポピュレーションアプローチとしての食育の推進に関する国内外の事例を体系的、網羅的に収集し、データベースの構築を行う研究とする。

 (2) 循環器疾患分野(19160401)
 例1 生活習慣病の診断・治療におけるアディポサイトカイン測定の有用性に関する研究
(留意点)
 生活習慣病の早期診断、治療のモニタリングにおける血中アディポサイトカインの有用性についての検討を行う研究とする。

  <研究計画書を作成する際の留意点>
   これまでに公募研究課題と同様な課題について研究実績がある場合は、研究計画書に詳細を記載すること。
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


8. 障害関連研究事業

(1) 障害保健福祉総合研究事業
  <事業概要>
   障害保健福祉施策においては、障害者がその障害種別に関わらず、地域で自立して生活できることを目的に、障害者自立支援法による新しい障害保健福祉制度の枠組みを構築しようとしている。そのため、地域生活支援を理念として、身体障害、知的障害、精神障害及び障害全般に関する予防、治療、リハビリテーション等の適切なサービス、障害の正しい理解と社会参加の促進方策、障害者の心身の状態等に基づく福祉サービスの必要性の判断基準の開発、地域において居宅・施設サービス等をきめ細かく提供できる体制づくり等、障害者の総合的な保健福祉施策に関する研究開発を推進する。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 誰もが元気に暮らせる社会の実現

  <新規課題採択方針>
   障害全般について、治療からリハビリテーションに至る適切なサービス、社会参加の推進、地域における生活を支援する体制等に関する研究を実施する。ただし、障害保健福祉総合研究において現在実施中の課題と重複する課題は原則として採択しない。

 
研究費の規模 1課題当たり5,000〜20,000千円程度(1年当たり)

研究期間 1〜3年

新規採択予定課題数 10課題程度、「若手育成型」については数課題程度

若手育成型の応募対象
 平成19年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和45年4月2日以降に生まれた者に限る。)
 ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
 ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。
 ※ 産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

  <公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  障害保健福祉施策推進のための基盤的政策研究(19170101)
(留意点)
 障害者自立支援法を踏まえた総合的な障害保健福祉施策を推進するための強固な基盤・根拠となる障害者保健福祉政策研究であること。

 (2)  障害者の医学的認定基準のあり方に関する研究(19170201)
(留意点)
 障害者の認定について現在の医学的知見等を踏まえ、その範囲に関する定性的・定量的な検討を行う研究であること。

 (3)  精神障害者の地域ケアの促進に関する研究(19170301)
(留意点)
 精神障害者、特に社会生活面への支援が困難である物質依存症や人格障害を中心に、社会復帰を目的とした地域ケアについて、実証的科学的に支援方策の開発・有効性の証明を行い、その成果について普及を図る研究であること。

 (4)  障害者自立支援法を踏まえた精神保健福祉センター、保健所の役割と機能強化についての精神保健福祉施策研究(19170401)
(留意点)
 障害者自立支援法施行により、地域で安心して暮らすことができる地域社会の一層の確立を目指す現状において、精神保健福祉施策における精神保健福祉センターと、保健所の求められる役割を明らかにするとともに、具体的な方策についてマニュアル作成と人材育成のあり方を検討する研究であること。

 (5)  発達障害者に対する効果的な支援方策に関する研究(19170501)
(留意点)
 発達障害者の成長と社会生活への適応に関する支援方策を開発し、その有効性を科学的に証明した上で、その成果について普及を図る研究であること。

 (6)  効果的な障害児サービスに関する研究(19170601)
(留意点)
 障害児を支援するサービスについて、年代を通じて必要なサービスがとぎれることなく提供する手法を開発し、その有効性を科学的に証明した上で、その成果について普及を図ることができる研究であること。

 (7)  障害者の地域生活を支援する補助手法に関する研究(19170701)
(留意点)
 補助犬や機器の活用などの障害者の地域生活を支援するための補助手法について、有効性を科学的に証明し、その成果について普及をはかることができる研究であること。

 (8)  障害(感覚器障害を除く)を補完する医療・福祉機器の開発需要とフィージビリティーに関する研究(19170801)
(留意点)
 特定の障害に特化することなく、障害全般について、障害によって失われた機能を補完する機器の開発需要と開発可能性についての研究であること。

【若手育成型】
   障害保健福祉総合に関する研究を推進するにあたっては、新たな若手研究者の参入による常に新しい技術を取り入れた研究体制が望まれる。
 そこで、若手育成型の研究枠を設けることにより新たな若手研究者の参入を促進し、新しい技術によって、より幅広い観点から研究が可能となる体制を整備する。特に、臨床的な研究で障害保健福祉分野への貢献が大きい研究が望まれる。(19170901)

  <研究計画書を作成する際の留意点>
   目標を明確にするため、上記(1)から(8)の公募研究課題において、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の施策等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


(2) 感覚器障害研究事業
  <事業概要>
   視覚、聴覚・平衡覚等の感覚器機能の障害は、その障害を有する者の生活の質(QOL)を著しく損なうが、障害の原因や種類によっては、その軽減や重症化の防止、機能の補助・代替等が可能である。そのため、これらの障害の原因となる疾患の病態・発症のメカニズムの解明、発症予防、早期診断及び治療、障害を有する者にたいする重症化防止、リハビリテーション及び機器等による支援等、感覚器障害対策の推進に資する研究開発を推進し、研究成果を障害者にフィードバックする。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 国民を悩ます病の克服、誰もが元気に暮らせる社会の実現

  <新規課題採択方針>
   視覚、聴覚・平衡覚等の感覚器障害における研究開発を進めることにより、感覚器障害の軽減や重症化の防止、障害の予後判定、機能の補助・代替等に関する成果を得ることを目的とする。ただし、感覚器障害研究において現在実施中の課題と重複する課題は原則として採択しない。

 
研究費の規模 : 1課題当たり10,000〜100,000千円程度(1年当たり)

研究期間 1〜3年

新規採択予定課題数 5課題程度、「若手育成型」については数課題程度

若手育成型の応募対象
 平成19年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和45年4月2日以降に生まれた者に限る。)
 ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
 ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。
 ※ 産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

  <公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  感覚器障害を有する者の就労・日常生活の自立支援に係る機器の開発研究(19180101)
(留意点)
 感覚器障害を有する障害者の就労・日常生活を支援する機器の開発ないし有効性実証研究。課題の採択に際しては、達成目標と実用化の可能性を評価する研究であること。

 (2)  感覚器障害の原因疾患に着目した発症予防及び治療法に関する研究(19180201)
(留意点)
 緑内障や糖尿病眼症、先天性聴覚障害等の感覚器障害を起こし頻度の高い疾患に関して、予防および治療法の開発等に資する臨床的研究。課題の採択に際しては、臨床応用の有用性と具体的研究計画を評価する研究であること。

 (3)  感覚器障害を有する者のリハビリテーション及び自立支援に関する研究(19180301)
(留意点)
 感覚器障害を有する者の自立と社会参加を促進するための効果的なリハビリテーション及び自立支援手法の開発を行い、その有効性について定量的な検証を行う研究であること。

【若手育成型】
   感覚器障害研究に関する研究を推進するにあたっては、新たな若手研究者の参入による常に新しい技術を取りいれた研究体制が望まれる。
 そこで、若手育成型の研究枠を設けることにより新たな若手研究者の参入を促進し、新しい技術によって、より幅広い観点から研究が可能となる体制を整備する。特に、臨床的な研究で感覚器障害研究分野への貢献が大きい研究が望まれる。(19180401)

  <研究計画書を作成する際の留意点>
   目標を明確にするため、上記(1)から(3)の公募研究課題および若手育成型において、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。
 介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。
 また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。


9. エイズ・肝炎・新興再興感染症研究事業

(1) エイズ対策研究事業
  <事業概要>
   国内における新規HIV・AIDS患者報告数は昭和59年のサーベイランス開始以降、依然として増加が続いており、平成17年のHIV感染者報告数は832件、AIDS患者報告数は367件と、昨年に引き続き併せて1,000件を超え、過去最高となり予断を許さない状況にある。また、アジア・太平洋地域においてもHIVの急速な感染拡大がみられ、我が国への波及阻止が重要な課題となっている。
 平成9年からの多剤併用療法(HAART)の開発により、HIV・AIDSは「不治の特別な病」から「コントロール可能な一般的な慢性感染症」に移りつつあるとはいえ、根治的治療法や予防薬がない疾患であることから常に最新の治療法の開発、治療ガイドラインの作成や、社会的側面や政策的側面にも配慮した医学的・自然科学的研究等、エイズに関する基礎、臨床、社会医学、疫学等の研究を総合的に推進する必要がある。また、平成8年のHIV訴訟の和解を踏まえた恒久対策の一環として、人権に配慮しつつ予防と医療の両面におけるエイズ対策研究の一層の推進を図るものである。
 このような状況の中、平成18年度から「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(以下、エイズ予防指針)」の改正を行い、今後5年間のエイズ対策の新たな方向性を示したところであり、この実現に資する研究を優先的に採択する。(「エイズ予防指針の見直し検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0613-5b.html)」を参照。)
 また、HIV感染者・AIDS患者が増加する中、エイズ研究分野に新たな研究者が参画することを狙って、「若手育成型」研究枠を設ける。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と施策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 安全が誇りとなる国
 中目標 暮らしの安全確保

  <新規課題採択方針>
   HIV/AIDSに関する(1)臨床医学、(2)基礎医学、(3)社会医学、(4)疫学研究。

 
研究費の規模 1課題当たり8,000千円〜60,000千円程度(1年当たり)
ただし、「若手育成型」については、8,000千円〜15,000千円程度

研究期間 1〜3年

新規採択予定課題数 一般公募型については6課題程度、「若手育成型」については3課題程度。

若手育成型の応募対象
 平成19年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和45年4月2日以降に生まれた者に限る。)
  ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
  ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。
  ※ 産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

  <公募研究課題>
【一般公募型】
 (1) 臨床医学のうち次に掲げるもの
HAARTの長期的副作用対策・長期的予後に関する研究(19190101)
(留意点)
 HAARTによる脂質代謝異常、虚血性心疾患、脳血管障害、脂肪分布異常、糖尿病、発ガン、ミトコンドリア機能障害、うつ傾向等の長期的副作用が深刻化している。一方でHAART療法の普及に伴い多くの日和見的合併症は減少したが、治療成績も不良な悪性リンパ腫等の合併症が相対的に増えている。日本のHIV感染症における悪性リンパ腫の治療を評価し、どのようなレジメが必要か確立する等HAART療法の長期的副作用・長期的予後の解決に資する研究を採択する。

 (2) 基礎医学研究のうち次に掲げるもの
 薬剤耐性HIVの発生機序とその制御方法に関する研究(19190201)
(留意点)
 採択に当たっては1997年のHAART治療導入後、治療状況は大幅に改善されたが、薬剤耐性やHAARTの長期使用による人体毒性が明らかになりつつあるため、採択に当たっては、薬剤耐性HIVの発生機序に関して具体的な結果を短期間で望める研究を優先する。

 (3) 社会医学研究のうち次に掲げるもの
自立困難なHIV陽性者のケア・医療に関する研究(19190301)
(留意点)
 自立困難で、支援がなく在宅医療も困難なHIV陽性者が抱える固有の課題について明らかにし、具体的な解決策を構築する研究を行う。

個別施策層に対するHIV感染予防対策とその介入効果の評価に関する研究(19190401)
(留意点)
 課題採択に当たっては、これまでの個別施策層への予防対策等の研究成果を踏まえ、具体的な介入を行い、その評価並びに施策へ繋がるような提言を行える研究を優先する。また、研究の効率性の点から、個別施策層(特に外国人)との十分な信頼関係を築くことができ、必要なデータ収集、介入等の面で協力可能なNGO等の参加する研究を優先する。

 (4) 疫学研究のうち次に掲げるもの
先進諸国を中心とした海外におけるエイズ発生動向、調査体制、対策の分析(19190501)
<参考>
 課題採択に当たっては、少なくとも米、豪、英、仏の発生動向(感染経路、予測を含む)、調査体制(捕捉率を含む)、感染経路別の対策とその評価、これらを踏まえ、我が国のエイズ対策に対する提言を含む研究を優先する。

薬剤耐性HIVの動向把握のための調査体制確立およびその対策に関する研究(19190601)
 HAART療法を行っていく上での問題点として薬剤耐性ウイルスの出現があり、治療の有効性を損なう大きな要因になっている。全国規模の薬剤耐性検査・調査体制を構築し、薬剤耐性の症例を抑制し、その治療の支援のために薬剤体制検査と薬剤血中モニタリングシステムを統合した高度医療の実践を可能にする研究を採択する。

【若手育成型】
   エイズ研究の分野に新たに参画する研究者を促進し、増加しているHIV・エイズの各種研究の推進を図ることを目的としている。社会医学、疫学研究については研究課題は設定しないが、「エイズ予防指針見直し検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0613-5b.html)」を踏まえた上で、特に行動変容科学等を用い成果を定量的に評価する研究でかつユニークな研究を優先的に採択する。基礎、臨床研究分野については、HAARTの長期的副作用のメカニズムに関する研究、免疫再構築症候群の予防と治療に関する研究、悪性リンパ腫の治療に関する研究、HIV感染症に合併する日和見感染症の予知と予防に関する研究、宿主因子同定及び構造・生物情報を元にした薬剤開発の基礎となる研究について優先的に採択する。(19190701)

  <留意点>
   なお、研究計画書の提出に当たり、以下の点も留意すること。
 (1)  「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。
 (2)  「12.申請者の研究歴等」につき、より詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を1組として20部提出すること。外国語文のものについては、日本語の要旨も添付すること。
 ア  申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 イ  申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
 ※  若手育成型については、アは必ずしも満たす必要性はない。


(2) 肝炎等克服緊急対策研究事業
  <事業概要>
   肝炎については、現在、B型肝炎キャリアが110万人から140万人、C型肝炎キャリアが150万人から190万人存在すると推計されており、これらの患者は、何の症状も自覚せず肝機能が障害され、症状が現れ始めた段階では、慢性肝炎・肝硬変・肝がんにすでに移行している場合も少なくない。また、厚生労働省では、肝炎に関する総合的な施策を実施するため「C型肝炎対策等に関する専門家会議」を設置し検討を行ってきたが、同会議においても肝炎に関する研究、特に「新しい治療法に関する研究」は重要な対策の一つと位置づけているところである。
 このようなことから、肝炎ウイルスの病態及び感染機構の解明並びに肝炎、肝硬変、肝がん等の予防及び治療法の開発等を目的とした研究を推進させる。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と施策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 安全が誇りとなる国
 中目標 暮らしの安全確保

  <新規課題採択方針>
   肝炎ウイルス等について、その病態や感染機構の解明を進めるとともに、肝炎、肝硬変、肝がん等の予防、診断及び治療法等に資する研究

 
研究費の規模 1課題当たり10,000〜80,000千円程度(全13課題1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 13課題程度

  <公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  ウイルス性肝炎の病態、肝炎ウイルス持続感染機構の解明に関する研究分野
 ○ 肝炎ウイルスにより惹起される炎症性誘発要因及びウイルス増殖に対する人為的制御による肝炎制圧(19200101)
(留意点)
 課題採択に当たっては、肝炎ウイルスの持続的感染によりもたらされる細胞の障害及び過増殖要因の解明、及びウイルス増殖制御機構の解明により、肝炎制圧に資する研究を優先させる。

 ○ 薬剤耐性肝炎ウイルス感染の病態の解明とその対策に関する研究(19200201)
(留意点)
 課題採択に当たっては、核酸アナログ耐性HBV、HCV遺伝子変異と治療反応性、治療抵抗性慢性肝炎における宿主因子の問題、薬剤耐性の予測法、新たな抗ウイルスの探索などの解析、病態解明等に資する研究を優先させる。

 ○ ウイルス肝炎感染防止体制の確立に関する総合研究(19200301)
(留意点)
 課題採択に当たっては、血液(輸血含む)を介する肝炎ウイルス(HBV、HCV、HEV)感染防止体制について、疫学、ウイルス学、血液学、輸血学などの観点から、現在の問題点等に関する分析等の研究を実施し、医学的・行政的対策の提言に資する研究を優先させる。

 (2)  肝硬変の予防及び治療法の開発に関する研究分野
 ○ 肝炎ウイルスの培養系を用いた新規肝炎治療法の開発(19200401)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、ウイルスの感染複製におけるすべての過程が解析可能となったため、これに基づいた新規技術の開発に取り組むとともに、感染、複製、粒子形成、粒子放出過程などを標的とする研究、特に、B型肝炎ウイルスの遺伝子型の違いによる感染複製過程を解析することにより、B型及びC型肝炎ウイルスの新規治療法開発の資する研究を優先させる。

 ○ 肝炎ウイルス感染防御を目指したワクチン接種の基盤構築(19200501)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、HBV感染防御に有効な抗HBs抗体価の基準について、国内で販売されている抗HBs抗体価測定キットの性能比較、ワクチン投与後の抗体価推移のフォローアップ等の検証等に関する研究を行い、HBV感染予防のためのワクチン投与の有効性に関する提言を含めた実践的な研究を優先させる。

 (3)  肝がんの発生・進展分子メカニズム及び早期診断法の開発に関する研究
 ○ 新規RNA情報基盤を活用したウイルス性肝炎の進展機構の解明と治療法の開発(19200601)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、ウイルス感染、発がん等と関連していると示唆されるnon−coding RNAについては個人差もある事が報告されており、この知見を基にしたウイルス肝炎の制御はウイルス性慢性疾患の病態解明及び治療法開発に資する研究を優先させる。

 ○ B型及びC型肝炎ウイルスの感染による肝がん発生の病態解明とその予防・治療法の開発に関する研究(19200701)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、発がん原因であるウイルス肝炎について、がんによる死亡を抑止するために、ハイリスク群からの肝がん発生を予防し、さらに肝がんの進展を抑止する智慮法の開発に資する研究を優先させる。

 ○ ウイルス肝炎による肝がんの再発防止メカニズムの解明に関する研究(19200801)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、ウイルス肝がんの再発防止のため、再発メカニズムの解明、特にSNPを肝がん再発の関連機序に関する研究を優先させる。

 (4)  肝炎状況・長期予後の疫学に関する研究分野
 ○ 肝炎状況・長期予後の疫学に関する研究(19200901)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、ウイルス肝炎キャリアの実態把握、ウイルス肝炎検査の実施状況、肝炎検査の制度や費用対効果等からの効率性、肝炎治療に関する実効性・効率性・効果性など、今後の国の肝炎対策の基礎資料に資する疫学研究を優先させる。

 (5)  B型及びC型慢性肝炎の治療法の開発研究分野
 ○ ジェノミクス技術を用いたB型及びC型肝炎に対する新規診断・治療法の開発(19201001)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、難治性のウイルス肝炎例の肝炎進展と発がんについて、治療効果の予測診断に貢献するジェノミクス研究を優先する。また、肝炎の進展と発がんを抑制する新規の薬物をスクリーニングする、或いは新規の治療法開発に資するジェノミクス技術を用いた研究を優先する。

 ○ HCV感染における宿主応答の分子機構の解析と新規創薬標的の探索(19201101)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、C型肝炎ウイルス(HCV)は宿主因子に作用して、自然免疫及び獲得免疫を攪乱させ、高率に肝細胞癌を発症させることから、HCVが自然免疫及び獲得免疫を攪乱させる要因を同定し、それらをターゲットとした効果的な治療薬の開発に資する研究を優先させる。

 (6)  治療法の普及に関する研究分野
 ○ 肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究(19201201)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、多くの場合肝がん発生の母地となる肝硬変に対する治療が肝がん発生防止の鍵を握っていることから、肝炎ウイルスを原因とする将来の発がんを効果的に減らすため、肝硬変も含めた肝疾患治療の標準化の研究を行い、肝炎治療に関するクリティカルパスの確立に資する研究を優先させる。

 (7)  肝テーラーメイド治療を目指した肝炎ウイルスデータベース構築に関する研究分野
 ○ テーラーメイド治療を目指した肝炎ウイルスデータベース構築に関する研究(19201301)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、HBV、HCV等について、ウイルスゲノム配列、蛋白機能の解析情報等と臨床情報、治療情報等をリンクさせた統合的データベースモデルを構築と、さらにヒトゲノム情報とリンクさせることで、患者個人ごとの遺伝子情報を基にしたい治療法(テーラーメイド治療)への応用に関する研究を優先させる。

  <研究計画書を作成する際の留意点>
   目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること。(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合には)その理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得る事に留意すること。


(3) 新興・再興感染症研究事業
  <事業概要>
   近年、新たにその存在が発見された感染症や既に征圧したかに見えながら再び猛威を振るいつつある感染症(再興感染症)が世界的に注目されている。これらの新興・再興感染症は、その病原体、感染源、感染経路、感染力、発症機序について解明すべき点が多く、また迅速な診断法、治療法等の開発に取り組む必要がある。さらに病原体管理体制強化として、原因となる病原微生物等検出法の開発・普及とバイオセキュリティー(保管法、輸送法、安全性強化)、予防・治療法等について、関係省庁等との連携した研究が必要である。
 またこのような感染症が発生した場合、国民への不安を解消するための情報提供のあり方(リスクコミュニケーション)が重要となってくる。このため本事業は、国内外の新興・再興感染症に関する研究を推進させ、これら感染症から国民の健康を守るために必要な研究成果を得ることを目的とする。
 なお、本研究事業は、総合的かつ効果的な推進のため、総合科学技術会議連携施策群新興再興感染症ワーキンググループの下、文部科学省、農林水産省、環境省との共同・連携を図っていくこととしている。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と施策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康安全の確保
 大目標 安全が誇りとなる国
 中目標 暮らしの安全確保

  <新規課題採択方針>
   ウイルス、細菌、寄生虫・原虫による感染症等に関連し、特に新型インフルエンザ、ウエストナイル熱、アジアで流行している感染症等の国内への新たな流入・まん延防止のための観点からこれらの感染症の病態解明、予防法、診断法、治療法、情報の収集と分析、行政対応等に資する研究を行う。

 
研究費の規模 1課題あたり10,000〜70,000千円程度(1年当たり)

研究期間 1〜3年

新規採択予定課題数 14課題程度

  <公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  感染症伝播予防のための管理体制整備に関する研究
 ○ 医療機関における感染症伝播に関する研究(19210101)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、(1)消毒・滅菌手法、感染性廃棄物に関する研究、(2)医療機関における施設内感染の改善方策に関する研究、(3)薬剤耐性菌等に関する研究を優先する。

 (2)  感染症新予防・診断技術開発に関する基盤研究分野
 ○ 新規に発生しているレンサ球菌による劇症型感染症の臨床的・細菌学的解析と診断・治療法に関する研究(19210201)
(留意点)
 最近、A群以外のB,G群等の溶血性レンサ球菌、肺炎球菌、ブタレンサ球菌による劇症感染症例が増加してきている。そのため、課題の採択に当たっては、それら症例に関し臨床的、疫学的な調査を行い、その特徴等を分析すること及び実験モデル等の開発を行い、宿主及び菌側の要因を解明し、早期診断及び治療法の開発に結びつける研究を優先させる。

 ○ 防疫上緊急を要する新たなウイルス性出血熱に対する患者の病原体診断法の確立及び予防・治療法の開発に関する研究(19210301)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、これまでにわが国へのウイルスの侵入はなく、輸入患者の報告もないため十分な診断法が確立されていないが、近年感染地域が拡大し、感染すれば重篤な症状と高い致死率を示す感染症(主たる対象疾患は、南米出血熱、リフトバレー熱、クリミヤ・コンゴ出血熱、ラッサ熱及びチクングニヤとする。)に対する迅速な病原体、遺伝子、血清診断法の確立及び予防・治療法の開発等に関する研究を優先させる。

 (3)  リスクコミュニケーションに関する研究分野
 ○ 感染症への国民啓発に効果的なリスクコミュニケーション方法と教育方法に関する研究(19210401)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、国民に対する情報提供について、情報提供を行う側と行われる側双方に対する教育訓練法の開発などを行い、感染症に関する知識の向上のための研究を優先させる。

 (4)  感染症病原体の適正管理に関する研究分野
 ○ 病原体等の移送の適正化に関する研究(19210501)
(留意点)
 感染症を引き起こす病原体等については、環境を含め人にまん延させない対策は重要であり、病原体を取り扱う者は、その病原体を適正に管理しなければならない。そのため、課題の採択に当たっては、実験室等においては、BSLの概念が定着しており、安全管理がなされているが、それ以外の部分、特に病原体搬送時における適正管理等に関する研究を実施し、病原体安全管理に資するものを優先させる。

 (5)  新型インフルエンザに対する研究分野
 ○ インフルエンザH5N1の死亡要因となる劇症型ARDSの病態解明と治療法の開発(19210601)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、インフルエンザ(H5N1)においてみられる重症の肺急性呼吸障害(ARDS:急性呼吸窮迫症候群)に関する病態解明のための研究及びARDSの特異診断法・治療法に関する研究を実施し、インフルエンザ(H5N1)対策、新型インフルエンザ対策に資するものを優先させる。
 その他、インフルエンザH5N1の治療法の開発に資する研究を優先させる。

 (6)  再興感染症(ハンセン病、結核等)に関する研究分野
 ○ 抗酸菌感染症の発症・診断・治療・新世代予防技術に係わる分子機構に関する研究(19210701)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、抗酸菌感染症の感染病態の分子機構の解明とそれを応用した薬剤耐性結核菌に対する新たな治療法の開発やBCGに変わる新たな予防ワクチン、特に高齢者の結核発症を防ぐためのワクチン開発等、結核対策に資する研究を優先させる。

 (7)  寄生虫感染症に関する研究分野
 ○ 慢性寄生虫感染症の侵入監視及びその健康管理体制の確立(19210801)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、日本国内で発生していない国から在日している外国人の慢性的に推移する寄生虫症/原虫症を中心とした感染症の状況の把握と監視体制の確立、迅速診断/治療法の開発や健康管理/教育体制の整備のための地方自治体などと協調してのガイドライン作成等に関する研究を優先させる。

 (8)  真菌感染症に関する研究分野
 ○ 深在性真菌症と輸入真菌症に関する新しい検査法と抗真菌薬の開発、並びに病原因子の解明に向けたポストゲノムの基盤的研究(19210901)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、日和見感染症としての深在性真菌症及び輸入真菌症(特に、今回感染症法改正案で示されているコクシジオイデス症)に関する新しい検査法と抗真菌薬の開発、並びに病原因子の解明に向けたポストゲノムの基盤的研究を行う。

 (9)  動物由来感染症等に関する研究分野
 ○ 動物由来感染症の生態学的アプローチによるリスク評価等に関する研究(19211001)
(留意点)
 採択の課題に当たっては、近年、国内で患者発生があるが、その発生頻度、生態系における存在様式等未だ不明な動物由来感染症について、動物の側からの生態学的な調査・研究を実施するとともに、その公衆衛生上のリスク評価を行い、動物由来感染症対策に資するものを優先させる。その他、国内侵入時に重大な影響を及ぼす可能性のある狂犬病をはじめとする動物由来感染症に対する危機管理として、検査のための人工動物モデル(模型)の開発等の研究を行い、教育・啓発用マニュアル・ガイドライン等の整備に資する研究を優先させる。

 ○ 我が国における動物由来感染症の感染実態把握に資する研究(19211101)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、我が国における動物由来感染症の感染実態等をより正確に把握するため、人の側からの動物由来感染症の症例報告の積極的掘り起こし・集積等の調査・研究を行うとともに、医師等関係者に対してこれら情報等を適切に提供するための体制整備等に関する研究を行い、動物由来感染症の診断、まん延防止等の感染症対策に資する研究を優先させる。

 (10)  昆虫等媒介感染症に関する研究分野
 ○ 国内で発生のないベクター媒介性感染症の疫学診断法の開発等の研究(19211201)
(留意点)
 採択の課題に当たっては、現在提出中の感染症法改正案に伴い、新たに動物由来感染症等が対象となったが、一部のものは国内での発生がないため、国内における検査体制の確立と簡易検査法の開発に関する研究を行い、行政が行う感染症対策に資する研究を優先させる。

 (11)  根絶に向けた感染症対策に関する研究分野
 ○ VPD(ワクチン予防可能疾患)の効果的制御れのための病原体サーベイランスシステムの検討(19211301)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、これまで感染症の中でも、天然痘については世界中から根絶されている。その後、WHOでは、ポリオ、麻疹等を対象に対策を講じているが、それに資するサーベイランスや国内における実態調査等に関する研究について優先させる。

 (12)  新興ウイルス感染症等に対する中空ウイルス粒子を用いた新しい検査法・予防法等の開発に関する研究分野
 ○ 中空粒子ウイルスを用いたウイルス性肝炎の新しい検査・予防法の開発(19211401)
(留意点)
 課題の採択に当たっては、培養が困難なウイルス等では、ウイルスを用いた診断法、治療法、予防法の開発が困難なため、ウイルス粒子のゲノムだけを取り除き、ウイルスと同じ抗原を持ちながら非感染性のウイルス粒子(中空ウイルス粒子)の作成及びそれを用いた検査法・ワクチン等への応用に関する研究を優先させる。

  <研究計画書を作成する際の留意点>
   目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る行程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


10. 免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業
  <事業概要>
   リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、及び花粉症などの免疫アレルギー疾患は、長期にわたり生活の質を低下させるため、国民の健康上重大な問題となっている。このためこれらの疾患について、発症原因と病態との関係を明らかにし、予防、診断及び治療法に関する新規技術を開発するとともに、既存の治療法の再評価を行うことにより、国民に対してより良質かつ適切な医療の提供を目指す。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 国民を悩ます病の克服

  <新規課題採択方針>
   免疫アレルギー疾患に影響を与える要因及び治療法、診断法に関する研究等を優先する。

 
研究費の規模 1課題当たり10,000千円〜50,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 5課題程度

  <公募研究課題>
【一般公募型】
   免疫アレルギー疾患の病因・病態、予防、治療、合併症に関する研究を行う。
 (1)  免疫アレルギー疾患の病因・病態に関する研究(19220101)
(留意点)
 自然免疫と獲得免疫の機序の解明、遺伝的要因と環境要因の寄与の解明、小児と成人との発症機構の病態異同の解明、免疫アレルギー性疾患の中心となる細胞の同定、免疫抑制、組織破壊、及び組織リモデリングの解明などを行うものとする。

 (2)  免疫アレルギー疾患の予防に関する研究(19220201)
(留意点)
 早期診断による重症化予防、胎内環境の影響、安全で正確な抗原特定手法の開発、自宅で実施可能な環境中抗原調整手法の開発、及び食物アレルギーの予防薬の開発などを行うものとする。

 (3)  免疫アレルギー疾患の治療法の開発に関する研究(19220301)
(留意点)
 自宅で実施可能な減感作療法の開発と推進、外科的治療法の開発、免疫療法の開発、生物学的製剤の開発、及びテイラーメード医療の応用などを行うものとする。

 (4)  免疫アレルギー疾患の全身臓器への障害に関する研究(19220401)
(留意点)
 免疫アレルギー疾患に伴う肺や腎臓等の臓器合併症は、患者の生活の質を著しく悪化させるばかりでなく、患者の生命予後を規定する場合が少なくない。免疫アレルギー疾患の全身臓器への障害につき、予防のための手法や、適切な治療のための評価法に関する研究を行うものとする。

 (5)  免疫アレルギー疾患に対する代替医療(民間医療を含む)の実態把握と有効性評価に関する研究(19220501)
(留意点)
 免疫アレルギー疾患に対して行われている代替医療(民間療法を含む)の実態を把握し、有効性を評価することで、国民が適切な医療を選択するための判断材料となる研究を行うこととする。

  <留意点>
   なお、研究計画書の提出に当たり、以下の点も留意すること。
 (1)  「7.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。
 (2)  「11.申請者の研究歴等」につき、より詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を1組として20部提出すること。欧文のものについては日本語要旨も添付すること。
 ア  申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 イ  申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
 (3)  申請者は、主任研究者及び分担研究者の研究内容が、他の研究課題と重ならないよう研究計画書を作成すること。
 (4)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 (5)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。
 また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。


11. こころの健康科学研究事業
  <事業概要>
   自殺者数が高い数値で推移する問題をはじめ、社会的関心の高い統合失調症やうつ病、睡眠障害、ひきこもり等の思春期精神保健の問題、また自閉症やアスペルガー症候群等の広汎性発達障害等のこころの健康に関わる問題と、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、免疫性神経疾患等の神経・筋疾患に対して、心理・社会学的方法、分子生物学的手法、画像診断技術等を活用し、病因・病態の解明、効果的な予防、診断、治療法等の研究・開発を推進する。
 また、障害者自立支援法や心神喪失者医療観察法等による新たな行政課題への研究的な対応を図る。併せて若手研究者による研究を活性化するため、「若手育成型」による研究課題を募集する。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 国民を悩ます病の克服

 ※  厚生労働科学研究費補助金の電子システム化に向けて、申請書類は申請書作成支援システム(https://mhlw-sinsei.niph.go.jp/)を用いて申請すること。

  <新規課題採択方針>
   精神疾患及び神経・筋疾患について、データの蓄積と解析を行うことにより、病因・病態の解明、画期的な予防、診断、治療法等の開発のための研究を実施する。また、心神喪失者等医療観察法における処遇及び医療等に関する研究・精神保健医療福祉の改革ビジョンの成果に関する研究を実施する。

 
研究費の規模 1課題当たり10,000〜50,000千円程度(1年当たり)

研究期間 1〜3年、ただし若手育成型については3年

新規採択予定課題数 20課題程度、「若手育成型」については数課題程度

若手育成型の応募対象
 平成19年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和45年4月2日以降に生まれた者に限る。)
 ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
 ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。
 ※ 産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

  <公募研究課題>
(精神疾患分野)
  【一般公募型】
 (1)  成因理論に基づく精神疾患の新しい診断法・治療法の開発に関する研究(19230101)
(留意点)
 統合失調症や気分障害、神経症性障害等の症例の多い精神疾患について成因理論に基づく診断法・治療法の開発研究であること。課題の採択に際して、臨床応用の有用性と具体的研究計画を評価する。

 (2)  精神科領域における薬物療法・精神療法の臨床研究基盤の確立に関する研究(19230201)
(留意点)
 日本の精神科医療の特徴を踏まえた上で、科学的データに基づいた薬物療法や精神療法の臨床研究を行うための基盤整備を図る研究であること。

 (3)  発達障害者の新しい診断・治療法の開発に関する研究(19230301)
(留意点)
 自閉症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)といった発達障害について、客観的な診断法及び有効な治療法の開発研究であること。課題の採択に当たっては、臨床応用の有用性と具体的研究計画を評価する。

 (4)  心理学的剖検データベースを活用した自殺の原因分析に関する研究(19230401)
(留意点)
 心理学的剖検に関するデータベースを構築し、それを用いて自殺に至った経緯・関連要因を究明する実証的研究であること。

 (5)  精神医療サービスの供給量及び質に関する総合的研究(19230501)
(留意点)
 我が国の精神科病床数及び医療状況を踏まえて、医療必要度についての実態把握を行い、必要な病床数及び地域サービスのボリュームを検討し、精神医療の質的向上に結びつける研究であること。

 (6)  精神科救急医療、特に身体疾患や認知症疾患合併症例の対応に関する研究(19230601)
(留意点)
 一般救急医療体制と比較して整備の遅れている精神科救急医療体制の現状把握と、臨床の現場で問題となると言われる身体疾患や認知症疾患の合併症例への対応方策を検討する研究であること。

 (7)  社会的問題における精神科疾患の疫学的研究(19230701)
(留意点)
 大規模災害等による外傷後ストレス反応や、いわゆるひきこもりの状態にある精神疾患等の社会的問題に対する、実態把握及び精神科的介入方策の開発研究であること。

 (8)  思春期精神疾患の疫学と介入方策に関する研究(19230801)
(留意点)
 思春期に発症する種々の精神疾患について、その発生頻度や関連要因などを疫学的手法により明らかにすると共に、治療等適切な介入方策の開発とその有効性を明らかにする研究であること。

 (9)  精神科領域における睡眠障害の疫学的・臨床的研究(19230901)
(留意点)
 精神疾患に関わる睡眠障害について、疫学データの集積及び効果的な治療方法の開発研究であること。

 (10)  緊急に実態を把握し対策を講ずるべき精神疾患に関する研究(19231001)
(留意点)
 上記(1)〜(9)以外の課題であって、緊急に対応すべき精神疾患に関する研究であること。課題の採択に際して、研究としての重要性、公衆衛生的・臨床的意義、他研究との重複の有無などを評価する。

(神経・筋疾患分野)
  【一般公募型】
 (1)  ニューロパチーの病態解明に関する研究(19231101)
(留意点)
 遺伝的背景など内的要因、感染・免疫や酸化ストレスなど外的要因の両面から、ニューロパチーの原因を特定するとともに、発症機序を解明し、もって予防や治療への展望を広げる研究であること。

 (2)  肢帯型筋ジストロフィーの病態解明に関する研究(19231201)
(留意点)
 筋ジストロフィーの中でも研究が遅れている肢帯型につき、症例を集積することにより原因遺伝子同定やその発症機序の解明を効果的に進める研究であること。

 (3)  大脳白質病変による病態の解明と予防法の確立に関する研究(19231301)
(留意点)
 大脳白質病変は、画像の進歩によって一般臨床で遭遇する頻度が極めて高いことがわかり、アルツハイマー病とは異なる高次脳機能障害をきたすことも明らかになっている。その原因が血管障害から遺伝性のものまで、きわめて多彩であることに鑑み、この病態の理解とその予防に資する研究であること。

 (4)  神経疾患あるいは筋疾患に対する診断・治療の確立に関する研究(19231401)
(留意点)
 難治性といわれた神経疾患や筋疾患に対しても、近年では治療法の開発研究が盛んになり大きな潮流になっている。この流れを大きく進める、あるいは新しい成果の普及を図る研究であること。

【若手育成型】
   研究水準の向上、従来の手法にとらわれない新たな手法の開発のために、上記の課題につき若手の研究者を積極的に採択してゆく枠を数課題採択する。(19231501)

  <研究計画書を作成する際の留意点>
   目標を明確にするため、上記応募研究課題(精神疾患分野:(1)から(10)、神経・筋疾患分野:(1)から(4)、若手育成型)において、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。
 介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。
 また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。


12. 難治性疾患克服研究事業
  <事業概要>
   原因が不明で、根本的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残すおそれが少なくない難治性疾患のうち、患者数が少なく研究の進みにくい疾患に対して、重点的・効率的に研究を行うことにより進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の開発を行い、患者のQOLの向上を図ることを目的とする。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 国民を悩ます病の克服

  <新規課題採択方針>
   難治性疾患の克服に向け、特定疾患調査研究分野の範疇に含まれる疾患の臨床調査研究、横断的基盤研究並びに治療成績及びQOLを著しく改善させることが期待できる治療法の開発を優先する。

 
研究費の規模 1課題当たり20,000千円〜50,000千円(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 10課題程度

  <公募研究課題>
【一般公募型】
(1) 臨床調査研究分野
 臓器別、疾患別に特定疾患に係る科学的根拠を集積・分析し、医療に役立てることを目的とする研究のうち、次に掲げるもの
 (1)  難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(19240101)
(留意点)
 次の疾患を対象とすること:○潰瘍性大腸炎、○クローン病

 (2)  ライソゾーム病(ファブリ病を含む)に関する調査研究(19240201)
(留意点)
 次の疾患を対象とすること:○ライソゾーム病(ファブリ病を含む)

 (3)  特発性大腿骨頭壊死症に関する調査研究(19240301)
(留意点)
 次の疾患を対象とすること:○特発性大腿骨頭壊死症、特発性ステロイド性骨壊死症

 (4)  重症多形滲出性紅斑に関する調査研究(19240401)
(留意点)
 次の疾患を対象とすること:重症多形滲出性紅斑(急性期)

<備考>
   なお、研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。
 (1)  「7.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される目標と研究分野の長期的な目標とを別々に明記すること。
 また、研究の成果が当該疾患の治療成績の向上あるいは患者のQOLの向上に対して具体的にどのように寄与するかについても記載すること。
 (2)  「11.申請者の研究歴等」につき、より詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する及当該研究に関連した論文3編を添付すること(各編毎に、論文(全文)の写し20部を添付すること。)。欧文のものについては日本語要旨を添付すること。
 ア. 申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 イ. 申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
 (3)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 (4)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。
 また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

(2) 横断的基盤研究分野
 臨床調査研究や他の先端的厚生労働科学研究(ヒトゲノム・遺伝子治療研究、免疫・アレルギー研究等)における研究者との情報交換、技術的支援等の連携のもと、特定疾患に係る基盤的・基礎的な科学的根拠を集積・分析し、医療に役立てることを目的とする研究のうち、次に掲げるもの。

 (1)  難治性疾患の発症・経過におけるHLA多型の寄与に関する研究(19240501)
(留意点)
 難治性疾患克服研究事業の対象疾患の中にはHLA多型との関連が指摘されている疾患が複数存在する。これらをHLA多型という観点から統一的に分析し、発症・経過におけるHLA多型の寄与について幅広い見地を得て、疾患の予防や治療に貢献する研究とすること。

 (2)  難治性疾患の医療費構造に関する研究(19240601)
(留意点)
 難治性疾患に罹患している患者にかかる医療費に関する分析的研究を行うことは、患者の生活像を把握する上で重要である。医療費における投薬分などの構造解析を行うことにより、各疾患の特性を把握することで、特定疾患治療研究事業の対象疾患を選定する際の参考となる研究とすること。

<備考>
   なお、研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。
 (1)  「7.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される目標と研究分野の長期的な目標とを別々に明記すること。
 また、研究の成果が当該疾患の治療成績の向上あるいは患者のQOLの向上に対して具体的にどのように寄与するかについても記載すること。
 (2)  「11.申請者の研究歴等」につき、より詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する及当該研究に関連した論文3編を添付すること(各編毎に、論文(全文)の写し20部を添付すること。)。欧文のものについては日本語要旨を添付すること。
 ア. 申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 イ. 申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
 (3)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。
 なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 (4)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。
 また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

(3) 重点研究分野
 特定疾患患者の予後や生活の質の改善を目指し、又は明確かつ具体的な目標を設定し、画期的な成果を得ることを目的とする研究のうち、次に掲げるもの。

 (1)  神経変性疾患に対する画期的治療法に関する臨床研究(19240701)

 (2)  難治性炎症性腸管障害に対する画期的治療法に関する臨床研究(19240801)

 (3)  その他の特定疾患に関する病態解明・治療法の開発に関する研究(19240901)

(留意点)
 いまだ有効な治療法の存在しない疾患については、患者を治癒に導くような根本的な治療法が強く望まれているところである。上記疾患について、根治療法の開発に努める研究とする。

<備考>
   なお、研究計画の提出に当たり、以下の点に留意すること。
 (1)  「7.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される目標と研究分野の長期的な目標(特異性の高い早期診断法、効果的な治療法、低侵襲性の診断・治療法等の開発等)とを別々に明記すること。
 また、研究対象となる治療法が当該疾患の治療成績の向上あるいは患者のQOLの向上に対して具体的にどのように寄与するかについても記載すること。
 (2)  「11.申請者の研究歴等」につき、より詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当する及当該研究に関連した論文3編を添付すること(各編毎に、論文(全文)の写し20部を添付すること。)。欧文のものについては日本語要旨を添付すること。
 ア. 申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
 イ. 申請者が第一著者、もしくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
 (3) .介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 (4)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。
 また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

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