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4. 長寿科学総合研究事業

4. 長寿科学総合研究事業
  <事業概要>
   超高齢社会を迎えた今、社会全体で高齢者を支え、国民が安心して生涯を過ごすことができる社会へと転換するため、高齢者に特徴的な疾病・障害の予防、診断及び治療並びにリハビリテーションについて研究を行う。
 また、高齢者を支える基盤としての介護保険制度にも着目し、介護ケアの確立、権利擁護等の社会科学的検討及び保健・医療・福祉施策の連携方策に関する研究を行うことにより、総合的な長寿科学研究を積極的に推進する。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 国民を悩ます病の克服、誰もが元気に暮らせる社会の実現

  <新規課題採択方針>
   老化、老年病、リハビリテーション、支援機器及び技術評価等に関する研究を行う「老化・老年病等長寿科学技術分野」、介護予防、高齢者の健康増進、介護、保健サービスの評価、社会科学等に関する研究を行う「介護予防・高齢者保健福祉分野」、認知症・軽度認知障害、及び運動器疾患等に着目し、より効果的かつ効率的予防、診断、治療、リハビリテーション及び介護等を確立するための研究を行う「認知症・運動器疾患等総合研究分野」について研究課題の募集を行う。
 ただし、基本的に、厚生労働行政と一体的に推進する研究や、高齢者医療、介護保険制度及び老人保健事業等によるサービス提供への応用が可能な研究を採択する。
 また、「老化・老年病等長寿科学技術分野」及び「介護予防・高齢者保健福祉分野」と「認知症・運動器疾患等総合研究分野」との重複を避ける観点から、高齢者の認知症・軽度認知障害又は運動器疾患に関する研究は、原則として「認知症・運動器疾患等総合研究分野」に申請するものとする。
 尚、当研究事業では、第3期科学技術基本計画におけるライフサイエンス分野の41の重要な研究開発課題のうち、
 (1) 「リハビリテーションや、感覚器等の失われた生体機能の補完を含む要介護状態予防等のための研究開発」
(例) 効果的な介護予防プログラムの開発や認知症の早期発見・治療技術等の介護予防や介護現場を支えるための技術
 (2) 「QOLを高める診断・治療機器の研究開発」
(例) 老化・疾患等により低下した身体機能を補助・代替するための医療機器・福祉機器の要素技術の確立
 (3) 「精神・神経疾患、感覚器障害、認知症、難病等の原因解明と治療の研究開発」
(例) 認知症・アルツハイマー病に対する新規治療法・予防法の開発
 に関する研究課題については積極的に採択するものとする。

(留意点)
 (1)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 (2)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

 
研究費の規模 1課題当たり5,000〜30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 原則として3年以内
(ただし、より短期間に成果が得られる研究課題を優先的に採択する。)

新規採択予定課題数 40課題程度
(1) 老化・老年病等長寿科学技術分野
一般公募型 10課題程度
(2) 介護予防・高齢者保健福祉分野
一般公募型 15課題程度
(3) 認知症・運動器疾患等総合研究分野
一般公募型 15課題程度
若手育成型 2課題

若手育成型の応募対象
 平成19年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和45年4月2日以降に生まれた者に限る。)
  ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
  ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。
  ※ 産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

  <公募研究課題>
 
(1) 老化・老年病等長寿科学技術分野
【一般公募型】
 (1)  主要な老年病の診断治療に関する研究(認知症及び運動器疾患に関するものを除く)
(ア) 老年病の新たな治療法の確立に関する臨床研究(19120101)
(イ) 高齢者の性ホルモン低下に伴う各種合併症に対する臨床研究(19120201)
(留意点)
 女性・男性を問わず、加齢に伴う性腺機能低下症に付随する各種合併症に対し、効果的治療を提案する臨床研究で、実効性の高い研究を採択する。
(ウ) 尿失禁の新たな治療法の開発に関する研究(19120301)
(エ) 老年病の標準的医療の確立のための臨床研究(19120401)

 (2)  高齢者リハビリテーションに関する研究
(ア) 高齢者の生活機能低下に対する効果的なリハビリテーション技術に関する研究(19120501)
(イ) 画像診断技術とリハビリテーション技術の統合に関する研究(19120601)
(留意点)
 上記に掲げる高齢者のリハビリテーションについて、国際生活機能分類(ICF)の概念に基づき、全人的な生活機能の向上をめざす方向性が明確なものを採択するものとし、部分的な身体機能の向上に着目したものは採択しない。

 (3)  QOLを高める診断・治療機器の研究開発
(ア) 老化機構の解明に係る技術評価及び普及に関する研究(19120701)
(イ) 老年病治療の有効性判定のための診断・治療機器の開発に関する研究(19120801)
(ウ) QOLを高める診断・治療機器の研究開発の基盤整備に関する研究(19120901)

(2) 介護予防・高齢者保健福祉分野
【一般公募型】
 (1)  介護予防、介護技術に関する研究
(ア) 様々な心身の状態の者に対する運動機能の低下予防法の技術評価・普及に関する研究(19121001)
(留意点)
 様々な心身の状態の者に対する運動機能低下の予防方法を確立することを目的とする。関連因子の研究、在宅高齢者を対象とした知識の普及、インターネット等を使った運動プログラムの普及方法等の開発等も含まれる。
(イ) 生活機能向上にむけた介護予防の技術とプログラムに関する研究(19121101)
(留意点)
 生活機能低下の経過とリスク因子の調査や、生活機能相談窓口における指導効果等の研究が含まれる。
(ウ) 高齢による衰弱の実態と対策に関する研究(19121201)
(留意点)
 高齢による衰弱を研究テーマとし、可逆的な要因を解明し、これに対する効果的な治療、もしくは予防プログラムを提案する課題を採択する。
(エ) 高齢者の口腔健診の質的向上に関する研究(19121301)
(留意点)
 歯周病、齲蝕などの早期診断に資する客観性のある口腔健診システムを構築するための、手法、診断機器等を開発する課題を採択する。
(オ) 要介護度悪化を防止する新たな手法の開発(19121401)
(留意点)
 運動機能向上、口腔機能の維持増進、栄養改善以外の新たな要介護度悪化を防止する介護予防法の開発を行う研究を実施するものとする。

 (2)  高齢者の健康増進に関する研究
(ア) 高齢者の口腔機能の維持増進に関する研究(19121501)
(留意点)
 口腔機能の低下の原因となる歯周病と齲蝕に対する研究であり、新しい歯周病等の予防・治療法の開発、再生医療技術を利用した研究等を含む。
(イ) 褥瘡の病態解析とそれに基づく分類の確立に関する研究(19121601)
(留意点)
 褥瘡の病態を適切に診断するための医学的基盤を開発し、褥瘡診断体系の確立を図る研究を実施する
(ウ) 褥瘡の予防と治療に関する研究(19121701)
(留意点)
 褥瘡の予防・標準的な治療法の確立に向けた臨床研究を提案したものを優先的に採択する。

 (3)  介護及び高齢者保健福祉サービスの評価に関する研究
(ア) 在宅及び施設における介護量の新たな評価手法の開発に係る研究(19121801)
(イ) 介護老人保健施設、介護療養型医療施設等におけるマネジメント等に関する研究(19121901)
(留意点)
 介護老人保健施設、介護療養型医療施設等の調査を行い、対象者の状態、運営状況を明らかにする。
(ウ) 24時間訪問介護・看護の効果的・効率的な実施方法の開発研究(19122001)
(留意点)
 事業所間の連携のあり方についての検討を含む。また、制度上の隘路を明らかにする。
(エ) 高齢者の介護サービス等の利用に影響を与える要因に関する研究(19122101)
(留意点)
 高齢者の健康状態、生活習慣、社会経済的要素等を多面的に評価し、それと介護サービス等の利用等との関係を検討する。さらに、それらの生命予後や要介護度に与える影響を検討する。

 (4)  高齢者福祉、社会科学に関する研究
(ア) 高齢者の社会的ネットワークの形成と維持に関する研究(19122201)
(イ) 入院医療と在宅ケアの連携のあり方に関する調査研究(19122301)
(留意点)
 入院医療と在宅ケアの連携に係る先進的な事例を調査し、今後の連携体制のモデルを提示する。研究は、高齢者・要介護者を対象としたものに限る。

(3) 認知症・運動器疾患等総合研究分野
【一般公募型】
 (1)  認知症、アルツハイマー病等の原因解明と治療の研究開発
(ア) 認知症・アルツハイマー病等のワクチン療法に関する研究(19122401)
(イ) 認知症・アルツハイマー病等のアミロイドB蛋白(Aβ)を標的とした新規治療法開発に関する研究(19122501)
(ウ) 血管性認知症の新規治療法の開発に関する研究(19122601)
(留意点)
 上記(ア)〜(ウ)については、これまでにある程度の基礎的研究を終えており、大型動物・人への臨床研究実施予定のもの、もしくは、その見通しの大きいものを優先的に採択する。

 (2)  認知症、軽度認知症障害に関する研究
(ア) 認知症、軽度認知症障害の治療モニタリングに関する研究(19122701)
(イ) 認知症に対する社会医学的な研究(19122801)
(ウ) 認知症の包括的ケア提供体制の確立に関する研究(19122901)

 (3)  骨折、骨粗鬆症等の運動器疾患に関する研究
(ア) 要介護高齢者の状態の維持・改善に資する運動療法等に関する研究(19123001)
(イ) 転倒、骨折等と認知症の併発に伴う諸問題に関する研究(19123101)
(ウ) 高齢者の骨折、骨粗鬆症等の費用対効果に関する研究(19123201)
(エ) 脳血管障害に伴う運動器障害予防・治療・リハビリテーションに関する研究(19123301)
(留意点)
 特に、脳卒中による運動器障害の予防、SUを含む診療体制、急性期から維持期にかけたリハビリテーションの連携方策について総合的に検討を行う大規模な研究体制を構築した課題を採択するものとする。

 (4)  高齢者医療・介護の総合的な提供体制の確立に関する研究
(ア) 胃瘻の適切な運用に関する研究(19123401)
(留意点)
 胃瘻造設が、高齢者の自己実現につながるよう、造設時の適応、手技等の選択、その際、患者への身体的、精神的な負担軽減や医療費に対する経済効果を比較・評価する臨床研究を提案したものを優先的に採択する。
(イ) 認知症高齢者の在宅・入院治療における切れ目のない総合的な医療提供体制づくりに関する研究(19123501)
(ウ) 終末期における高齢者の福祉保健サービスの標準化・普及に関する研究(19123601)
(留意点)
 在宅福祉保健サービスの現状と問題点及び新たな地域モデルの開発について、保健、福祉、介護及び医療の各領域における地域リソースを包括する研究。

【若手育成型】
 (1) 運動器疾患の新規治療法の開発へ向けた基礎的な研究(19123701)
 (2) 認知症の原因解明・新規治療法の開発につながる基礎的な研究(19123801)

  <研究計画書を作成する際の留意点>
   目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。


5. 子ども家庭総合研究事業

(1) 子ども家庭総合研究事業
  <事業概要>
   「子どもが健康に育つ社会、子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会」の実現のために、次世代を担う子どもの健全育成と、生涯を通じた女性の健康の支援に資する研究について募集を行う。

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 国民を悩ます病の克服
誰もが元気に暮らせる社会の実現

  <新規課題採択方針>
   晩婚化、少子化や不妊治療の普及など、近年の社会環境を踏まえ、当面、厚生労働行政において迅速に解決しなければならない諸課題の解決のための新たな行政施策の企画と推進のために応用が可能な研究を採択する。基礎研究から臨床研究及び臨床応用への橋渡しを行う研究や、大規模な社会医学的研究について公募を行う。なお、より短期間で成果を得られる研究を優先的に採択する。
 重点課題として、不妊の原因究明や生殖補助医療の医療技術の標準化、短期的及び中長期的安全性の確立や不妊治療により出生した児の長期予後の検証を行うための全国規模の大型多施設共同研究のための体制整備を行い、本年度は試行的な調査研究を実施する。また、あと一歩で原因究明と治療法の確立が期待される子どもの先天性疾患や慢性疾患について、基礎/臨床/社会医学分野の大型多施設共同研究について募集を行う。

 
研究費の規模 1課題当たり 10,000〜50,000千円程度(1年当たり)

研究期間 1〜3年

新規採択予定課題数 10課題程度

  <公募研究課題>
【一般公募型】
 (1)  生殖補助医療の医療技術の標準化、安全性の確保と生殖補助医療により生まれた児の長期予後の検証に関する研究(19130101)
(留意点)
 晩婚化が進むとともに、急速に体外受精や顕微授精等の生殖補助医療が進展しているが、統一された手法や評価基準は確立されていない。そのため、生殖補助医療技術の標準化と、短期的・中長期的な安全性の確保を図り、医療の有効性を高めることを目的とした研究を推進する。
 また、生殖補助医療により出生した児の予後の検証方法については整備されておらず、これまで国内外を問わず、出生した児の心身の健康や世代を超えた影響などに関する十分な知見が集積されていない。そのため、2000人を超える規模の出生した児の学童期までを念頭においた長期コホートによる継続的調査体制を構築し、身体的・精神的フォローアップを初年度より開始する。

 (2)  子どもの先天性疾患・慢性疾患の克服のための研究
(ア) 小児慢性特定疾患治療研究事業の登録・管理・評価・情報提供に関する研究(19130201)
(留意点)
 小児慢性特定疾患治療研究事業における疾患の登録・管理を実施して、その評価体系及び患者や医療機関等への情報提供方法について検討を行う。対象疾患の治療法及び長期予後に関するデータ収集・分析方法の確立を含む疫学研究を行う。なお、患者調査や疾患ごとの各種研究調査との比較分析を行うことにより、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患の患者数、年齢、治療、予後等について経年推移についても評価を行う。

(イ) 子どもの先天性疾患・慢性難治性疾患の新しい治療法の開発に関する研究(19130301)
(留意点)
 子どもの先天性疾患や慢性疾患については、近年分子生物学の進歩や遺伝子レベルでの原因究明が進み、酵素欠損や単一遺伝子欠損等に対する治療が可能となってきた。子どもの免疫不全症や代謝異常症等のゲノムワイドな網羅的解析とその応用による遺伝子機能異常と病態の関連の解明が進み、子どもの難治性疾患の組織バンク構築等によるトランスレーショナルリサーチの推進基盤の整備等を目的とした研究を推進する必要があるが、わが国では現在ごく限られた研究機関でしか行われていない。わが国における子どもの難治性疾患克服のための研究を大規模に拡充することを目指し、これまでの疫学的研究や社会医学的研究の成果も踏まえ、ポストゲノムやESを含む幹細胞のアプローチ等を用いて遺伝子治療・細胞療法等の新しい治療法の開発を行う。

 (3)  周産期医療の確保のための科学的根拠の形成に関する研究
(ア) 早産・低出生体重児の増加要因の分析と対策に関する研究(19130401)
(留意点)
 わが国では、早産・低出生体重児は増加傾向にあり、周産期死亡や児の後障害を減らすために、その対策を強化する必要がある。しかしながら、早産・出生体重の低下要因については、周産期医療の高度化、不妊治療に関連した多胎妊娠、妊婦の体重管理の影響等が背景としてあることが指摘されている一方、エピゲノムの異常も指摘されている。これらがどの程度寄与しているのか厳密な評価は確立されていない。そのため、根本原因の探求とともに、有効な対策を検討する上で不可欠な早産・低出生体重児の増加要因の社会疫学的な評価を行う。評価は、母親及び児のリスクファクターの両方を視野に入れて行う。なお、海外先進諸国との国際比較も含めた疫学的評価も実施し、早産・出生体重の減少傾向に歯止めをかける上で参考となる海外事例の分析なども含める。研究の実施に当たっては、多施設共同で行う。

(イ) 今後の周産期医療ネットワークのあり方に関する研究(19130501)

(ウ) 今後の新生児マススクリーニングのあり方に関する研究(19130601)

(エ) 今後の先天性異常モニタリング・サーベイランスに関する研究(19130701)

 (4)  健やか親子21を推進するための母子保健情報の利活用及び思春期やせ症予防のための学校保健との連携によるシステム構築に関する研究(19130801)
(留意点)
 ア. 健やか親子21ホームページ等をはじめとする母子保健情報の利活用のためのモデル構築を行う。
 イ. また、母子保健と学校保健との連携を重視する。特に、思春期やせ症の予備軍ともいえる不健康なやせに関する有効なスクリーニング及び早期発見・対応のシステム構築に関する研究を含める。なお、システム構築を行うために、学校保健現場を活用した実証研究を行うこと。

【若手育成型】
 (1)  不育・流産・死産・早産等の周産期障害の要因分析及び予防に関する研究(19130901)
(留意点)
 若手研究者が主体となって上記研究を推進する。
 若手研究者とは、平成19年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和45年4月2日以降に生まれた者に限る。)を指す。
 ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
 ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。
 ※ 産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

  <研究計画書を作成する際の留意点>
 (1)  目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。
 (2)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 (3)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。


6. 第3次対がん総合戦略研究事業
  <事業概要>
   がんは我が国の死亡原因の第1位であり、国民の生命及び健康にとって重大な問題になっている。がんの罹患率と死亡率の激減を目指した「第3次対がん10か年総合戦略」(*1)が策定されたことを受け、平成16年度から開始した本研究事業では、がんの本態解明の研究とその成果を幅広く応用するトランスレーショナル・リサーチの推進、がん医療水準の均てん化を目的とした効果的な治療法の確立、緩和ケア等の療養生活の質の維持向上に関する研究、がんの実態把握とがん情報の発信に関する研究及び均てん化を促進する体制整備等の政策課題に関する研究に取り組んでいるところである。
 今般、第3期科学技術基本計画(戦略重点科学技術(*2))において、がんに関する研究は戦略重点科学技術の一つである「標的治療等の革新的がん医療技術」に選定され、「がんの予防・診断・治療技術の向上」、「標準的治療法の確立」及び「がん医療水準の均てん化」を強力に推進することとされている。さらに、平成18年6月16日に「がん対策基本法」(*3)が成立し、がん対策を総合的かつ計画的に推進するための基本理念として、がんに関する研究の推進が定められ、さらに、基本的施策として、がんの予防の推進、がん検診の質の向上、専門医等の育成、医療機関の整備、がん患者の療養生活の質の維持向上、がん医療に関する情報の収集提供体制の整備等に必要な施策を講ずることとされていることから、本研究事業ではこれらに資する研究を推進していく。

(*1) 第3次対がん10か年総合戦略
 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/07/h0725-3.html
(*2) 総合科学技術会議(第53回)配付資料 分野別推進戦略
 http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu53/siryo2-2-1.pdf
(*3) がん対策基本法
 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan03/pdf/1-2.pdf

 関連する「第3期科学技術基本計画における理念と政策目標(大目標、中目標)」
 理念 健康と安全を守る
 大目標 生涯はつらつ生活
 中目標 国民を悩ます病の克服

(1) 第3次対がん総合戦略研究事業
  〈事業概要〉
   がんの罹患率と死亡率の激減を目指した「第3次対がん10か年総合戦略」に基づく本研究事業は、がんの本態解明の研究やその成果を幅広く応用するトランスレーショナル・リサーチ、また、革新的な予防、診断、治療法の開発を推進することを目的としたものであり、7つの重点研究分野を定め、研究を推進することとしている。
 特に、今後の研究事業については、がん対策基本法の成立を踏まえるとともに、第3期科学技術基本計画における分野別推進戦略の戦略重点科学技術に盛り込まれた「標的治療等の革新的がん医療技術」をも踏まえ、研究を進める。

研究分野1  発がんの分子基盤に関する研究

 発がんの外的要因・宿主要因のもたらすジェネティック・エピジェネティックな遺伝子異常が、いかに遺伝子発現の異常を介してがんの多様な特性の決定に寄与するかについて、多くの臨床材料等を対象とした詳細な検討を行い、ヒトの諸臓器における多段階発がん過程のシナリオの全貌を明らかにする。
 また、こうして得られた知見のがん予防・診断・治療への革新的な応用を目指す。

  〈公募研究課題〉

 (1) 網羅的なゲノム異常解析に基づく多段階発がん過程並びに臨床病態の分子基盤の解明とその臨床応用に関する研究(19140101)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 高精度かつ網羅的なゲノム異常(遺伝子をコードしていない領域も含めて)の解析により、特に膵がんや肺がんなどの難治性のがんについて、発がん要因の解明を行うとともに、多段階発がん過程や臨床病態における分子異常の詳細について解明する。また、これらの成果を機能解析や生物統計学的解析などを通じ臨床への応用の具体的な道筋を示す。

研究費の規模 1課題当たり100,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (2) ヒト多段階発がん過程におけるエピジェネティックな異常の網羅的解明と臨床応用に関する研究(19140201)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 前がん状態及び腫瘍におけるDNAメチル化異常等のエピジェネティックな異常を、ゲノム網羅的に同定し、その誘発因子の解明を行うとともに腫瘍の臨床病理学的性質との関連をも解明する。また、こうした成果を踏まえ、また、我が国のがん医療の現状をも考慮し、がん罹患のリスク診断、早期診断並びに病態診断への応用に関する具体的な道筋を示す。

研究費の規模 1課題当たり70,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (3) 疾患モデル動物を用いた環境発がんの初期発生過程及び感受性要因の解明とその臨床応用に関する研究(19140301)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 種々の発がんモデル動物の構築とこれらを用いた遺伝学的解析の成果を踏まえて、様々な環境要因に起因する発がんについて、がんの発生初期に関与している遺伝子変化を同定するとともに、発がんの感受性要因や分子機構も解明する。また、こうした成果を活用し、環境要因毎に具体的な対策を提示する。

研究費の規模 1課題当たり70,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (4) 放射線障害に基づく発がんの分子機構の解明とその予防・治療への応用に関する研究(19140401)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 放射線被曝と関連がある固形がんについて、がんの発生に関わる特異的な遺伝子を同定し、感受性の個体差の評価を行う。また、ゲノム障害の修復過程からどのように発がんに至るのかを具体的に解明し、それらの成果を活用して、職業被曝等の放射線障害における具体的な予防策の提示及び放射線障害に起因するがんの治療への応用方法を示す。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (5) その他、発がんの分子基盤に関する特に重要な研究(19140501)

 
研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 2課題程度

研究分野2  がんの臨床的特性の分子基盤に関する研究

 浸潤能・転移能・血管新生能などのがんの個性を規定する分子機構や、遺伝学的背景・がんに対する応答などの宿主の個性を解明し、個々の症例に最も適した治療法を選択する予知医療並びに標準的治療の開発につなげる。

  〈公募研究課題〉

 (1) ゲノム・遺伝子解析情報に基づく診断・予防法開発及び分子標的探索と、免疫遺伝子治療の臨床開発に関する研究(19140601)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がんの臨床試料からゲノム・遺伝子情報を解析し、これらに基づくがんの予防・診断や治療選択に資する診断法の臨床開発を行う。併せて、新たな分子標的の探索及び免疫遺伝子治療とそれに必要なベクター技術の開発を行い、それらの成果を活用した臨床応用を果たす。

研究費の規模 1課題当たり100,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (2) がん病理・病態学的特性の分子基盤の解析とそれに基づく診断・治療法の開発に関する研究(19140701)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がんの病理・病態学的な特徴に着目した分子基盤の解明、がんの病態における微小環境・がん間質相互作用の役割の解明、がん生物像の新たな理解の追求などについて研究を実施し、それらを基盤としたこれまでにない新しい診断法や治療法の研究的開発を行うとともに、それらの臨床応用にかかる道筋を提示する。

研究費の規模 1課題当たり70,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (3) ヒトがんで高頻度に変異している遺伝子を標的とした新たな治療法の開発に関する研究(19140801)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がんで高頻度に変異している遺伝子に着目し、それらのがん関連遺伝子の発がんメカニズムやがん細胞の特性発現における生物学的及び生化学的な機能の解明並びに分子経路の解明を行い、こうした知見を踏まえた新たな分子標的治療法の開発への道筋を提示する。

研究費の規模 1課題当たり70,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (4) 難治性小児がんの臨床的特性に関する分子情報の体系的解析と、その知見に基づく診断・治療法の開発に関する研究(19140901)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 Ewing肉腫、横紋筋肉腫、小児血液腫瘍など難治性小児がんの臨床的特性に関する分子情報の体系的な解析を行い、特に急速な進展や再発を繰り返す亜型の遺伝子の変異、遺伝子発現のプロファイリングなどを明らかにする。また、これらを標的とした新規に開発した治療モデルを提示するとともに、予後の予知やそれに基づくQOL改善に資する治療モデルを提示する。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (5) がんの悪性度に密接に関わる血管新生やリンパ管新生に関する研究(19141001)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 腫瘍血管新生やリンパ管新生に関する研究が進みつつあり、こうした研究成果の一部は臨床の場において使われはじめている。未だ解明されていないがんについて、腫瘍血管新生やリンパ管新生について、分子機構を解明し、それらに基づいたがんの増殖・転移阻害剤の研究開発を行う。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (6) その他、がんの臨床的特性の分子基盤に関する特に重要な研究(19141101)

 
研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

研究分野3  革新的ながん予防法の開発に関する研究

 化学予防方法の確立、発がんに関与するウイルスに対するワクチンや持続感染阻害剤の開発、効果的な禁煙支援方法の開発、ハイリスクグループに対する予防・早期発見の手法の開発などにより、我が国のがん罹患率の減少を目指す。

  〈公募研究課題〉

 (1) がん化学予防剤の開発に関する基礎及び臨床研究(19141201)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がんのハイリスクグループの発がん要因を把握した上で、食品素材や医薬品を対象にした検索を通じ発がんを予防する薬剤の開発を行うとともに、それらを活用した具体的ながん予防法とその普及方法について提示する。
 主に対象とするがんの種類は、胃がん、肝がん、大腸がん、前立腺がんとする。

研究費の規模 1課題当たり100,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (2) ウイルスを標的とする発がん予防に関する研究(19141301)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 ヒトパピローマウイルス(HPV)高リスク型に共通の感染中和エピトープを応用した感染予防ワクチン抗原の開発を行うとともに、それを活用した予防方策のモデルを提示する。
 また、ヒトパピローマウイルス(HPV)やC型肝炎ウイルス(HCV)など発がんに関与するウイルス等について、持続的感染成立及び維持に関するメカニズムの解明を行うとともに、それらを踏まえた感染を阻害するような薬剤の研究開発を行う。

研究費の規模 1課題当たり70,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (3) 効果的な禁煙支援法の開発と普及のための制度化に関する研究(19141401)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 医療機関における効果的な禁煙支援法の開発研究の成果を踏まえて、地域や職域における禁煙推進にかかる医療機関の役割を明確にする。
 また、職域及び地域における禁煙支援事例を評価し、それらを踏まえた効果的な禁煙支援方法の提示及びそれらを普及させる方策の提示を行う。なお、事例の評価に当たっては可能な限り定量的評価を行うとともに、禁煙支援方法の提示及び普及方策の提示については、見込まれる効果も示す。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (4) ハイリスクグループに対するがん予防・早期発見に関する研究(19141501)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がん治療後におけるがんの再発予防や再発の早期発見に繋がるような方法(単に予防方法や検診方法に留まらず、費用対効果を考慮した体制まで)のモデル的開発を行う。また、遺伝的にがんに罹患する可能性が高い者について、どういった体制でがん予防や早期発見をするのか、費用対効果を十分考慮した方法をモデル的に提示する。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (5) その他、革新的ながん予防法の開発に関する特に重要な研究(19141601)

 
研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

研究分野4  革新的な診断技術の開発に関する研究

 コンピューター技術を活用した新しい医療機器の開発及びこれらを利用した新しい診断方法の開発、革新的技術を活用したがん検診方法の開発など、がん検診・がん診断の精度・効率の飛躍的向上を目指す。

  〈公募研究課題〉

 (1) 診断用機器および診断方法の開発に基づいたがん診断能向上に関する研究(19141701)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 飛躍的に進歩しているコンピューター技術を活用し、様々な医療画像技術を組み合わせるなどして、これまでにない新しい医療機器の開発を行う。また、それらを利用した診断方法を確立し、臨床応用した場合の見込まれる効果及びその普及方策について提示する。

研究費の規模 1課題当たり100,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (2) プロテオームやグライコームの解析等を用いたがんに関する個別化医療の開発などの臨床応用に関する研究(19141801)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 個別化医療の開発として、プロテオームやグライコーム(糖鎖)の解析等に基づき、がんの治療応答性や再発・転移の予測などを行い、個人の特性を踏まえ、最適な医療を提供する技術を開発する。また、それらを臨床応用する場合の課題とその解決方策の提示をする。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (3) 革新的な診断技術を用いたこれからの肺がん検診手法の確立に関する研究(19141901)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 低線量らせんCTを用いた検診と従来の胸部X線撮影や喀痰細胞診を用いた検診と比較し、肺がん死亡率について減少効果があるのか否かについて、全国数地区におけるコホートにより追跡評価を行う。
 また、その評価に基づき、今後の検診手法の普及についての方策を提示する。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (4) 新たな胃がん検診システム構築に必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究(19142001)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 内視鏡による胃がん検診の有効性評価を行い、その評価結果に基づいた検診システムの普及の具体的な方法を提示する。
 X線上部消化管造影による標準的な胃がん検診と比較して、有効性評価を行うとともに、対費用効果についても評価を行い、普及性の高い検診方法(検診の枠組み等を含む)を明示する。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (5) その他、革新的な診断技術の開発に関する特に重要な研究(19142101)

 
研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 2課題程度

研究分野5  革新的な治療法の開発に関する研究

 高度な技術を応用した革新的な治療法、がんの免疫・遺伝子・細胞療法や治療分子標的の同定によるテーラーメイド医療の確立などにより、がん治療成績の飛躍的向上を目指す。

  〈公募研究課題〉

 (1) がん治療のための革新的新技術の開発に関する総合的な研究(19142201)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 様々ながんに対して、分子生物学的な技術、高度な医用画像技術など革新的技術を活用し、これまでにないがん治療方法のモデル的開発を行う。
 特に、遺伝子治療、新しい免疫療法、高度に精密化した診断機器の治療応用などについて、新しい治療方法を開発する。

研究費の規模 1課題当たり100,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (2) 新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究(19142301)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 分子標的治療薬など新しい抗がん剤について、それらの適切な臨床導入や治療効果判定などを行う。
 また、分子標的治療薬の開発において薬力学的作用の指標となるバイオマーカーについて、検索・同定を行い、今後の新薬開発に繋げる。

研究費の規模 1課題当たり70,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (3) 新戦略に基づく抗がん剤の開発に関する研究(19142401)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 ゲノム科学やナノテクノロジーなどの新しい研究成果を応用し、がん特異的組織機能に着目した独創的新戦略に基づく新しい抗がん剤の開発を行う。

研究費の規模 1課題当たり70,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (4) その他、革新的な治療法の開発に関する特に重要な研究(19142501)

 
研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 2課題程度

研究分野6  がん患者のQOLに関する研究

 QOLへの障害を最小化した根治的がん治療体系の構築、再生医学を応用した治療後の機能再生法の開発、リハビリテーション並びに患者支援プログラムの開発、Cancer survivorに対する医療資源の整備などにより、がん患者のQOLの飛躍的向上を目指す。

  〈公募研究課題〉

 (1) がん患者のQOLに配慮した低侵襲治療やQOLの改善をもたらす治療開発に関する研究(19142601)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 根治性と機能温存あるいは臓器温存とを両立し得るがん治療法を開発し、患者のQOLの面から、従来の根治的治療法との比較を行う。
 また、がんの治療によって損なわれる様々な障害に対して、QOLを向上させるための様々な治療方法の開発し、その普及方策を提示する。

研究費の規模 1課題当たり100,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (2) QOLの向上のための各種患者支援プログラムの開発に関する研究 (19142701)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がん患者のQOLの向上を目指すため、身体、心理、社会、スピリチュアル等の側面からどのような支援策が有効であるのか検証し、それらを踏まえてQOL向上のための各種患者支援プログラムを開発する。また、それらを普及するための具体的な方策を提示する。
 また、根治的治療が困難ながん患者に対して、診断早期から包括的に患者を支援する体制の検討とそれらを踏まえたモデルプログラムを提示する。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (3) がん生存者(Cancer survivor)のQOLの向上に有効な医療資源の構築に関する研究(19142801)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がん治療後の患者のQOLを向上させるため、医療機関、行政機関、ボランティア組織など様々な資源をどのように活用し、支援体制を構築すればよいのかを、様々な事例を検証し、がん生存者にとってより利用しやすい環境を創出するための具体的なプランを提示する。また、それらを普及させるための課題について検討し、その解決策を提示する。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (4) がんの医療経済的な解析を踏まえた患者負担の最小化に関する研究(19142901)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 新しい抗がん剤などを組み合わせた治療など様々ながん治療が行われる中で、我が国の医療制度の中で、患者の経済的な負担についてどのような課題があるのかを明確にし、それらを踏まえて、がん医療の質、効率性、安全性を確保しつつ、経済的な負担を軽減するような具体的な手法を提示する。また、それらの手法の普及性や見込まれる効果等についても検討を行う。

研究費の規模 1課題当たり20,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (5) その他、がん患者のQOLに関する特に重要な研究(19143001)

 
研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年度当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

研究分野7  がんの実態把握とがん情報の発信に関する研究

 標準化された院内がん登録・地域がん登録システムの普及を図り、全国レベルでのがん死亡・罹患情報の一元管理につなげ、迅速で的確な動向分析体制の構築を目指す。
 また、がん医療に関する必要な情報の収集やその有効な提供方法などの研究を行い、国民のがん医療に関する情報不足感の解消を目指す。

  〈公募研究課題〉

 (1) 患者・家族・国民に役立つ情報提供のためのがん情報データベースや医療機関データベースの構築に関する研究(19143101)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がんに関する様々な情報があるなかで、科学的証拠に基づいたがん情報のデータベースを構築するとともに、我が国における各種がんの診療ガイドラインを収集し、そのエビデンスレベルを評価の上、がん情報提供ネットワークで活用できるようにする。
 また、これらの情報に加えて、がん医療を行う医療機関情報のデータベースを構築し、こういった情報が、患者・家族・国民に役立つものなのかどうか、検証する。

研究費の規模 1課題当たり100,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (2) 患者・家族・国民の視点に立った適切ながん情報提供サービスのあり方に関する研究(19143201)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 がん医療の情報不足感の解消を目的に、患者・家族・国民の個々のニーズを踏まえて、様々ながんに関する情報の内容やそれらの提供方法(インターネット、パンフレット、電話、個別面談等)等について検討する。そして、その結果に基づいた情報提供について、患者・家族・国民のニーズを反映したものとなっているか否かをアンケート調査等により評価する。
 また、相談支援センターの情報提供機能についても、患者・家族・国民のニーズを踏まえたものとなっているか否かを調査し、情報提供機能の向上にかかる具体的な手法を提示する。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (3) 院内がん登録の標準化と普及に関する研究(19143301)

〈新規課題採択方針〉
 
  課題採択に当たっては以下の点を考慮した総合的な研究を優先する。
 院内がん登録を推進するため、がん診療連携拠点病院等で使いやすい院内がん登録の標準的な方法を検討し、それらを踏まえた標準システムの開発を行うとともに、電子カルテなど病院情報システム等と効率的な連携が可能となるよう配慮したものとする。
 また、がん登録を担当する者を教育するための教材の開発を行い、それらを活用した教育研修システムを構築する。
 その他、院内がん登録の情報が地域がん登録や臓器別がん登録に活かされるよう、具体的な連携方法を提示する。

研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

 (4) その他、がんの実態把握とがん情報の発信等に関する特に重要な研究(19143401)

 
研究費の規模 1課題当たり30,000千円程度(1年当たり)

研究期間 3年

新規採択予定課題数 1課題程度

  <研究計画書を作成する際の留意点>
 研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。
 (1)  「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」につき、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的(国民への成果の還元を含む)・経済的メリットを具体的に記載すること。
 (2)  「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 (3)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について 参照)。
 なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 (4)  介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。
 また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。


(2) がん臨床研究事業
  <新規課題採択指針>
   「分野1 主に政策分野に関する研究」においては、全国的に質の高いがん医療水準の均てん化を推進することを目標に、がん専門医等の育成、がん診療連携拠点病院の機能強化と診療連携の推進、がん患者の療養の質の維持向上等に資する緩和ケアや精神的ケアが適切に行われる体制整備の促進に関する研究を推進する。また、がん予防の観点から必要な施策を講じるに資するたばこ対策等の政策課題に直結する研究や、医療経済的な視点から効率的ながん医療体制整備に資する研究についても推進していく。
 「分野2 診断・治療分野に関する研究」においては、我が国におけるエビデンスの確立に資するような、必要な症例数の集積が可能な体制で実施される多施設共同研究を優先的に採択し、転移・再発・進行がん等、難治性のがんを含めたがんの標準的治療法、及び延命効果やがん患者の療養の質を向上させる効果的治療法の開発等を推進する研究を取り扱う。
 なお、小児がんの治療成績は、がん医療の進展とともに飛躍的に向上しつつあるが、小児の病死原因の第1位である状況に変わりはなく、引き続きその対策が必要な状況であることに鑑み、分野1・2の両分野において小児がんに関する研究を推進していく。

  研究費の規模:
【一般公募型】1課題当たり10,000〜30,000千円程度(1年当たり)
(ただし、【一般公募型】分野1ー(9)、分野2ー(4)及び(5)については、50,000千円〜100,000千円程度とする。)
【若手育成型】1課題当たり10,000〜20,000千円程度(1年当たり)

研究期間 1〜3年

新規採択予定課題数:
【一般公募型】30課題程度
【若手育成型】2課題程度

若手育成型の応募対象
 平成19年4月1日現在で満37歳以下の者(昭和45年4月2日以降に生まれた者に限る。)
  ※ 新規採択時にのみ本条件を適用する。
  ※ 満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。
  ※ 産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

  <公募研究課題>

【一般公募型】
  分野1 主に政策分野に関する研究
(1) がん医療の均てん化に資するがん医療に携わる専門的な知識および技能を有する医療従事者の育成に関する研究(19150101)
<留意点>
 がん医療の均てん化を促進する観点から、がん専門医の育成が求められているが、特に、化学療法、放射線療法及び緩和ケアに関する専門医の育成についての研究を推進していく。また、緩和ケアに関する研究については、緩和ケア医の育成のみならず、精神腫瘍医やコメディカルスタッフ等の育成を含め、チーム医療の実践に資する研究課題を優先的に採択する。

(2) がん医療の均てん化に資するがん診療連携拠点病院の機能強化に関する研究(19150201)
<留意点>
 がん医療の均てん化を促進していくことを目的に、がん診療連携拠点病院が持つ機能や地域連携の強化を推進していく。とくに、がん患者がその居住する地域にかかわらず等しく適切な専門的ながん医療を受けることができるような医療体制の整備に資する研究を優先的に採択する。

(3) がん患者のQOLを向上させることを目的とした支持療法等のあり方に関する研究(19150301)
<留意点>
 適切な緩和ケアの提供等により、がん患者の療養生活の質の維持向上を図っていく研究である。緩和ケアの推進に当たっては、がん患者の状況に応じて医療の早期から緩和ケアが適切に行われる体制を整備していく必要があり、緩和ケアを提供することによるアウトカム評価を行い緩和ケアの提供体制の実態を把握し、さらに、一般国民が求める緩和ケアのニーズについても調査した上で、今後の緩和ケアのあり方について研究していくものを優先的に採択する。また、がん患者のQOLの向上という視点に立った栄養のあり方に対する研究や、相談支援に関する研究についても採択していく。

(4) がん患者に対するリエゾン的介入や認知行動療法的アプローチ等の精神医学的な介入の有用性に関する研究(19150401)
<留意点>
 がん患者の療養の質の維持向上を図るためには、身体的なケアだけではなく、精神的なケアが適切に提供される必要がある。がん患者の精神医学的な問題をいち早く指摘し早期に介入を行うだけではなく、予防にも資するようなリエゾン的な介入を推進する。また、がん患者の精神的サポートに関して、認知行動療法的アプローチ等を用いた効果的な精神療法の在り方についても研究していくものを優先的に採択する。

(5) がん患者や家族が必要とする社会的サポートやグループカウンセリングの有用性に関する研究(19150501)
<留意点>
 がん患者やその家族は様々な負担を抱えて生活をしているが、他者に十分な相談をせずにその解決方法を見いだせずにいるものも少なくはない。本研究では、グループカウンセリングを用いて精神的苦痛の軽減を図るとともに、社会的サポートという観点からもその効果が有用である介入方法の確立を推進するものである。採択に当たっては研究者がこれまでに行ってきたグループカウンセリングの実績及びそれに係る研究状況と成果を評価するため、研究計画書にはこの点について明確に記載すること。

(6) 計量的分析(タイムスタディ)等の定量的な検討を踏まえたがん医療における専門スタッフの効果的な配置や支援のあり方に関する研究(19150601)
<留意点>
 がん診療連携拠点病院において、医師、看護師及びその他の専門的ながん医療に携わるコメディカルスタッフの作業の役割分担や作業にかかる時間等の計量的分析等を用いて、効果的な医療スタッフの配置のあり方や支援方法について客観的指標により明らかにする研究である。また、院内の連携及び院外との連携におけるスタッフの配置のあり方についても検討する必要があり、がん診療連携拠点病院の機能強化のための資料となり得る研究成果を出せるものを優先的に採択する。

(7) たばこ対策による健康増進策の総合的な実施の支援かつ推進に関する研究(19150701)
<留意点>
 地域のおける取り組みとして、各種たばこ対策に関する取組がなされているが、その評価や、民間団体との連携についての実態は把握されていない。本研究では、先進的地区でのたばこ対策の取り組みについて実態把握と評価を行い、地域・職域レベルでの民間の取り組みとの連携の実態把握と評価を推進する。採択に当たっては、たばこ対策に取り組む地域にとって参考とすべき資料となり得る研究成果を確実に出せる研究を優先する。

(8) がん医療における医療と介護の連携のあり方に関する研究 (19150801)
<留意点>
 介護保険ではがん患者を含めた要介護者に対するサービスを充実しているところであるが、がん患者の在宅における療養生活の質を向上させるためには、医療と介護の間に切れ目のない連携が重要である。本研究では、がん患者が望む療養生活を可能にする医療と介護の連携のあり方について研究するものである。

(9) 小児がん治療患者の長期フォローアップとその体制整備に関する研究(19150901)
<留意点>
 小児がんの治療成績は、がん医療の進展とともに飛躍的に向上しつつあるが、大量の抗がん剤や放射線照射を受けた患者の長期予後や晩期障害の実態は明らかになっていない。本研究は小児がん患者の実態把握を目的にしており、小児がん治療患者の長期フォローアップとその体制整備に関する研究を推進するものであり、同時に小児がん登録の整備についても推進していく。

分野2 主に診断・治療分野に関する研究
(1) がんの生存率を向上させる標準的治療法の開発に関する研究(19151001)

(2) 再発または進行がん、多発性転移がんに対する効果的治療法確立に関する研究(19151101)

(3) 原発不明がんの診断・効果的治療法の確立に関する研究(19151201)
<留意点>
 原発不明がんについては、診断・治療の手順が確立されておらず、対応可能な医療機関は限られている状況にある。原発不明がんに対する取り扱いについての方法の確立に資する研究課題を優先的に採択する。

(4) がん領域における薬剤のエビデンスの確立を目的とした臨床研究(19151301)
<留意点>
 諸外国で標準的な治療法でありながら我が国では導入されていないがん領域における薬剤の効能等の追加の開発につながる臨床研究を推進する。研究計画書の作成に当たっては、あらかじめ諸外国における当該効能等の安全性・有効性等に係るエビデンスが十分にあることを確認すること。また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。
 また、妥当な研究計画書が作成され、院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。(「臨床研究倫理指針」を遵守すること。))
 研究の実施に当たっては、あらかじめ、研究の内容、費用及び保険の内容等について患者又は家族に説明し文書により同意を得ていること。

(5) 小児がんの治療成績向上をめざしたスクリーニングによる早期発見と治療法の確立(19151401)
<留意点>
 本研究は、予後不良である小児がんについて、早期発見し、死亡率の低下や合併症の減少を含めた治療成績を向上させる、コストベネフィットの高いスクリーニング法の確立を推進するものである。採択に当たっては、申請者がこの研究に関連してこれまでに行ってきた研究状況や成果等から確実に研究成果が出せ、その研究成果が直ちに臨床応用に繋がるものであるか判断する。また、小児についての大規模スクリーニングによる前向き研究を実施するに当たっては、自治体の協力が不可欠であるため、研究実施の体制についても明記すること。

【若手育成型】
  分野1 主に政策分野に関する研究
(1) がん患者の意向による治療方法等の選択を可能とする体制整備に資する研究(19151501)
<留意点>
 がん対策基本法の基本理念の一つとして、「がん患者の置かれている状況に応じ、本人の意向を十分尊重してがんの治療方法等が選択されるがん医療を提供する体制の整備がなされること」と記されている。この理念を踏まえて、がん患者が納得した上で、多様な選択肢から自ら治療方法等を選ぶことを支援する体制整備に資する研究を優先的に採択する。
 また、自ら治療法等を選択していくためには、患者が自分自身の病気を理解することも重要であり、がん患者における告知の実態を調査する研究についても優先的に採択する。

  <研究計画書を作成する際の留意点>
   平成18年度で終了する本研究事業の研究班に参加している研究者が今回の申請を行うに当たり、同じ研究班で申請を行う場合に限り、研究班がこれまでに出した研究成果を明確に記し、それを踏まえた研究計画についても記載すること。また、当初計画していた達成目標を示したうえで、その達成度についても明示すること(様式任意)。
 目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「11.研究計画・方法及び倫理面への配慮」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式任意)。
 なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。
 介入を行う臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究が開始されるまでに、WHO等のミニマム・データセットを満たす臨床研究登録機関に登録を行うこと(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項 エ.臨床研究登録制度への登録について参照)。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。
 介入を行う臨床研究を実施する場合には、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項、ウ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者は家族に説明し文書により同意を得ていること。また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

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