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新型インフルエンザ(A_H1N1)に関する事業者・職場のQ&A(平成21年10月30日)

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新型インフルエンザ(A/H1N1)に関する事業者・職場のQ&A

平成21年10月30日

厚生労働省

Q4,Q7〜Q10,Q13については、お近くの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html

Q1.
職場で取り組むべき新型インフルエンザ対策にはどのようなことがありますか?


事業者においては、労働者の健康管理を徹底するとともに、感染機会を減らすための工夫の検討として、例えば、

  • 発熱症状のある方については、医師の指導に従って、休暇を取得の上、自宅で療養してもらうなどの対応を検討していただくこと

が考えられます。

また、それぞれの事業者において、感染状況を注視するとともに、手洗いや咳エチケットの周知、職場の清掃などに取り組んでいただく必要があると考えます。

その他、

  • 職場における感染防止策について、労働者へ教育・普及啓発を行う
  • 欠勤した労働者本人や家族の健康状態の確認(発熱の有無や発症者との接触可能性の確認)や欠勤理由の把握を行い、本人や家族が感染した疑いがある場合には連絡するよう指導する
  • 労働者の子どもが通う保育施設等が臨時休業になった場合における当該労働者の勤務への配慮を行う

等の対応が考えられますので参考としてください。

(注)「事業者・職場における新型インフルエンザガイドライン」p114に記載する感染防止策の例において、

  • 業務の絞込み(不要不急の業務の一時停止)
  • 患者の入場防止のための検温
  • 訪問者の氏名、住所の把握

といった措置までは、一般的には検討する必要はないと考えます。

さらに、職場における感染防止対策の検討を行うに当たっては、産業医等の助言を受けることや、衛生委員会において対策を審議するなど、労働安全衛生法上の安全衛生管理体制を活用し、実施していくことが望まれます。


Q2.
発熱や呼吸器症状等のインフルエンザ様症状を呈した労働者にはどのような注意をすればよいですか。また、労働者がインフルエンザと診断されましたが、新型インフルエンザ(A/H1N1)と確定されない場合、どのような対応をしたらよいのでしょうか。


基礎疾患を有しない方については、本人の安静のため及び新たな感染者をできるだけ増やさないために外出を自粛し、抗インフルエンザウイルス薬の内服等も含め、医師の指導に従って自宅において療養してもらうことが適当です。

しかしながら、次のような症状を認めるときは、すぐに医療機関を受診するよう、周知してください。

○呼吸困難または息切れがある

○胸の痛みが続いている

○嘔吐や下痢が続いている

○3日以上、発熱が続いている

○症状が長引いていて悪化してきた

○症状が急速に悪化してきた

基礎疾患を有する方(※)や妊婦等については、軽症であっても早期にかかりつけ医等に電話をし、又は医療機関を受診して、抗インフルエンザウイルス薬の内服等も含め、医師の指導に従って療養してもらうことが適当です。

※基礎疾患を有する方:慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、慢性腎疾患、慢性肝疾患、神経疾患・神経筋疾患、血液疾患、糖尿病、疾患や治療に伴う免疫抑制状態、小児科領域の慢性疾患を有しており治療経過や管理の状況を勘案して、医師により重症化リスクが高いと判断される方等

なお、現在、医療機関においては、新型インフルエンザか否かの確定検査は原則として行っておりませんので、インフルエンザと診断された場合は、新型インフルエンザと確定されない場合でも、上記の対応を参考にしてください。


Q3.
労働者が新型インフルエンザ(A/H1N1)に感染した場合の同じ職場の労働者(濃厚接触者)や、同居する家族が感染した労働者(濃厚接触者)は、仕事を休ませる必要がありますか。


発症者と同じ職場の労働者などの濃厚接触者でも、インフルエンザ様症状がない場合は、一般的には仕事を休ませずに職務を継続することが可能となると考えられますが、職務の必要性や内容に応じてその継続の可否を判断して下さい。

その際、勤務を継続する場合は、朝夕の検温や手洗いなどの健康管理を行い、体調が悪化した場合は直ちに上司に報告するよう、徹底することが必要です。特にQ2で示した基礎疾患を有する方や妊婦等については、日々の健康管理を徹底するよう、留意して下さい。


Q4.
労働者が新型インフルエンザ(A/H1N1)に感染していることが確認された場合に、どのような対応をしたらよいのでしょうか。


労働者の感染が確認された場合、事業者は、労働者全員を自宅待機させる必要はないまでも、感染拡大防止の工夫をしていただきたいと考えます。

職場で大規模な集団感染が疑われるケースについては、事業者は、保健所と相談の上、必要に応じ、感染拡大防止のため、事業運営において感染機会を減らすための防止策等の協力をしていただく必要があります。

なお、労働安全衛生法第68条に基づく就業禁止の措置については、現在流行している新型インフルエンザ(A/H1N1)について、多くの感染者は軽症のまま回復し、季節性インフルエンザと類似する点が多いことが明らかになったこと等から、現時点においては、労働安全衛生規則第61条第1項第1号の「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病」には該当せず、労働者が新型インフルエンザ(A/H1N1)に感染したことのみをもって、就業禁止の措置を講ずることは要しません。

しかしながら、労働者が新型インフルエンザに感染し、医師から、本人の病勢や他の労働者への影響を考慮して、自宅療養等をする必要があるとの指導がなされている場合には、それに反して出勤させることは適当ではありません。


Q5.
新型インフルエンザ(A/H1N1)に罹患した労働者が復職する際、留意することはありますか。治癒証明書や陰性証明書が必要ですか。


新型インフルエンザ(A/H1N1)でも、通常のインフルエンザと同様、発熱等の症状がなくなってからも感染力が続くと考えられています。

基本的に、熱などの症状がなくなってから2日目までが外出自粛の目安です。しかし、完全に感染力がなくなる時期は明確でないことから、業務上可能であれば発症した日の翌日から7日を経過するまで、外出を自粛することが望ましいと考えます。

なお、労働者に対し治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることについては、インフルエンザの陰性を証明することは一般に困難であることや、患者の治療にあたる医療機関に過剰な負担をかける結果になることから、望ましくありません。


Q6.
基礎疾患を有する方等が新型インフルエンザ(A/H1N1)に感染すると重症化の可能性が高いとの報告があると聞きましたが、どのような対応をしたらよいのでしょうか。


事業者は、労働者が予め基礎疾患を有すること等を把握した場合、産業医等の意見を聴く等して、事業者と当該労働者において、勤務時における感染予防策や勤務内容、発症時の対応、基礎疾患の日頃の治療環境等について話し合い、Q1で示した感染防止策等をより徹底することが望ましいと考えられます。

なお、基礎疾患を有する方等が発症した場合の対応については、Q2をご参照下さい。


Q7.
労働者が業務上インフルエンザに罹患した場合、事業者は、安全配慮義務違反に問われるのでしょうか。


労働契約法第5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする」ものとしています。本条にいう使用者の安全配慮義務の具体的内容は、労働者の労務の具体的状況等により異なるものであるので、一概には言えませんが、労働者が就業に際し新型インフルエンザに罹患しないよう、Q1で示した必要な感染防止策を講じていただくようお願いします。

いずれにせよ、現時点では、災害が発生したときの責任の有無を論ずるのではなく、まずは、労使が協力して、就業中や通勤途上においてインフルエンザに罹患しないよう必要な備え・対策をお願いします。


Q8.
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。


感染拡大防止の観点からは、感染又は感染の疑いがある場合には、保健所の要請等に従い外出を自粛することその他感染拡大防止に努めることが重要ですが、その際、欠勤中の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。

なお、賃金の支払の必要性の有無等については、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものですが、法律上、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要性の有無については、一般的には以下のように考えられます。(※以下は現時点の状況を基にしており、今後の新型インフルエンザの流行状況等に応じて保健所の要請等が変更される可能性がありますのでご留意ください。)

(1)労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合

新型インフルエンザに感染しており、医師等による指導により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。

医師による指導等の範囲を超えて(外出自粛期間経過後など)休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。

(2)労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合

新型インフルエンザかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱えば足りるものであり、病気休暇制度を活用すること等が考えられます。

一方、例えば熱が37度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。

(3)感染者と近くで仕事をしていた労働者や同居する家族が感染した労働者を休業させる場合

Q3にあるとおり、感染者と近くで仕事をしていた労働者などの濃厚接触者でも、インフルエンザ様症状がない場合は職務の継続が可能となると考えられます。職務の継続が可能である労働者について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。

なお、大規模な集団感染が疑われるケースなどで保健所等の指導により休業させる場合については、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。

※なお、(1)から(3)において休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討する等休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。


Q9.
新型インフルエンザに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いは、労働基準法上問題はありませんか。病気休暇を取得したこととする場合はどうですか。


年次有給休暇は原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものですので、使用者が一方的に取得させることはできません。事業場で任意に設けられた病気休暇により対応する場合は、事業場の就業規則等の規定に照らし適切に取り扱ってください。


Q10.
新型インフルエンザ発生時において、職場又は通勤途上で新型インフルエンザに感染(死亡)したことが明らかとなった場合、労災保険給付の対象となりますか。


一般に、細菌、ウイルス等の病原体の感染によって起きた疾患については、感染機会が明確に特定され、それが業務又は通勤に起因して発症したものであると認められる場合には、保険給付の対象となります。


Q11.
政府の「新型インフルエンザ対策行動計画」に基づいて、自社の行動計画を策定していますが、対応を再考する必要がありますか。


政府において2009年2月に策定した「新型インフルエンザ対策行動計画」については、鳥インフルエンザ(H5N1)に由来する新型インフルエンザを念頭に置きながら策定しているため、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)の特徴を踏まえて「基本的対処方針」等を策定しています。各事業者においても、政府の「基本的対処方針」等に基づいて、再考していただきたいと考えます。

なお、今回の対応としては、Q1でも示したように手洗い、咳エチケット、職場を清掃するなどしていただく必要がありますが、「業務の絞込み(不要不急の業務の一時停止)」、「患者の入場防止のための検温」、「訪問者の氏名、住所の把握」といった措置までは必要ないと考えております。

(参考)

政府においては、今般のウイルスの特徴にかんがみ、国民生活や経済への影響を最小限に抑えることが適当と考えており、対策本部(本部長:内閣総理大臣)で決定した「基本的対処方針」により、対応を行っていくこととしています。また厚生労働省において、「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(二訂版)」を策定しています。

各事業者においては、こうした基本的対処方針や運用指針の他、「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」等を計画策定の参考にしてください。


Q12.
新型インフルエンザの流行状況は「新型インフルエンザ対策行動計画」が定めた「発生段階」では表示されていませんが、どうしてですか。


「新型インフルエンザ対策行動計画」は、今回の新型インフルエンザが発生する前平成21年2月に政府が新型インフルエンザ対策の骨子として定めたもので、病原性が高いスペインかぜや鳥インフルエンザ(H5N1)に由来する新型インフルエンザを念頭に置いています。


しかし、平成21年の春に発生した今般の新型インフルエンザ(A/H1N1)は、軽症の方が多いという特徴を持っており、その健康被害は「行動計画」が念頭に置いているものとは程度がかなり異なっています。


このため、今回の対策はこうしたウイルスの特徴を考慮して、国民生活や経済への影響を最小限に抑えることが適当とし、行動計画等をそのまま適用するのではなく、別途定めた「基本的対処方針」により、地域の実情に応じた柔軟な対応を行っています。(※基本的対処方針(PDF:163KB))


そのため、「行動計画」に定めた「発生段階」も適用しておりません。


なお、流行の状況については新型インフルエンザ対策関連情報ページの「流行状況」、あるいは国立感染症研究所感染症情報センターのホームページをご覧ください。


流行状況
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_surve.html


国立感染症研究所感染症情報センター
新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html


Q13.
医療に従事する労働者が、新型インフルエンザの予防接種を受けたことで健康に被害が生じた場合は、労災保険給付の対象となるのでしょうか?


医師、看護師等の医療に従事する労働者については、今般の優先接種の取扱いに伴い、必要な医療体制を維持する観点から、業務命令等に基づいて予防接種を受けざるを得ない状況にあると考えられますので、予防接種が原因となって健康被害が生じた場合には、その予防接種が明らかに私的な理由によるものと認められる場合を除いて、原則として労災保険給付の対象となります。


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