ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 > 遺伝子組換え食品 > 遺伝子組換え食品の安全性審査について > 組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準(留意事項)
組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準(留意事項)
組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準の留意事項について
食安基発0717第3号
平成24年7月17日
都 道 府 県 | ||
各 | 保健所設置市 | 衛生主管部(局)長 殿 |
特 別 区 |
厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長
食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の規定に基づく、組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準(平成12年厚生省告示第234号)については、平成24年3月1日厚生労働省告示第68号により一部が改正されたところであるが、その取扱いの留意事項について、別添のとおり作成したので、業務の参考として貴管内関係業者等に対し周知をお願いしたい。
なお、今後、組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準第4条第1項に係る適合確認がなされた場合は、製造所を管轄する自治体に申請書の写しを送付し、当該施設の監視を依頼するので、対応をお願いしたい。
組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準(留意事項)
組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準適合確認申請及び申請添付資料の作成については、以下に留意して実施すること。
1 申請者が法人の場合は、「申請者の住所」については、主たる事務所の所在地を記載し、「申請者の氏名」については、法人の名称及び代表者の氏名を記載すること。また、押印することに代えて、本人(法人にあっては、その代表者)が署名することができる。
2 申請添付資料に、申請品目の概要、使用する微生物の情報(宿主、ベクター、挿入する遺伝子等)、製造方法について記載すること。
3 組換えDNA技術応用食品及び添加物を製造するに当たっては、遺伝子組換え微生物を製造施設から拡散させないことが前提となることから、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づき、所管省庁によって第二種使用等の拡散防止措置の確認申請に使用した申請書の写し及び所管省庁の確認書の写しを、申請書に添付すること。
4 第五条に定める製造実施状況の報告のうち、毎年度末の報告については、当該年度の製造安全委員会の調査審議の内容についても記載すること。また、報告の作成に当たっては、製造安全委員会の意見を聴くこと。
5 第六条第一号に定める第四条第一項に規定する確認を受けた事項の変更のうち、同一の設備又は装置の交換(故障等による交換、漏出防止機能に係る部分の交換等)は、厚生労働大臣への届出の対象としない。
6 第七条第一号に定める第四条第一項に規定する確認を受けた事項の変更(軽微な変更を除く。)の「軽微な変更」は以下のとおりである。
- ・申請者の住所又は氏名(法人にあってはその主たる事務所の所在地又は名称及び代表者の氏名)の変更
- ・製造所の名称の変更
- ・設備及び装置の変更(最新機器への変更等製品の衛生に影響を与えるおそれのないものに限る。)
- ・設備又は装置の漏出防止機能に係る部分の改造
- ・製造管理者及び製造衛生責任者の変更
- ・製造安全委員会の委員の変更
7 別表の記入要領及び留意事項は以下のとおりである。
一 施設、設備及び装置の基準 1 作業区域を有しており、他の区域と区分されていること。 |
○製造所内外の建屋の配置及び名称を図示し、作業区域を太線で囲むなど、作業区域以外とは明確に区別できるように示すこと。
○製造所内の遺伝子組換え微生物を取り扱う全体の建屋又は部屋の平面図を示し、作業区域内に設置してある遺伝子組換え微生物を取り扱う主要な装置及び設備の位置について名称を付けて図示すること。なお、培養・発酵、分離、精製等の製造設備関係は、より詳細に図示すること。接続されている複数の作業区域がある場合は接続(例えば、移送用配管の位置及び継手の有無等)の状況についても名称を付けて図示すること。また、接続されていない複数の作業区域がある場合は、遺伝子組換え微生物の輸送方法について記載すること。
2 次に掲げる設備を有すること。 (1)組換え体の生物学的性状及び製品の管理規格の試験検査をすることができる設備 |
○試験検査を適切に行える設備を示すこと。例として以下のものが挙げられる。
生物学的性状を確認するための設備 :PCR装置、アガロースゲル電気泳動装置、DNAシーケンサー、顕微鏡等
製品の管理規格を確認するための設備:イオンクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、分光光度計等
(2)組換え体を他のものと区別して保管することができる設備 |
○遺伝子組換え微生物を他のものと区別して保管できる設備について示すこと。同一の保管設備であっても、内部を明確に仕切ることができて他のものと混同される可能性のない構造であればよい。
(3)組換え体が意図せず製品に混入しないように製品を製造することができる設備 |
○遺伝子組換え微生物を利用した食品及び添加物の製造工程について、その概略を図示すること。図には、各種機器の名称、バルブの箇所等を記載し、必要に応じ各工程の名称及び内容を記載すること。また、当該設備に直接接続された設備である、前培養、菌体分離、滅菌設備等、ろ過装置、分離精製装置及び移送システム等を示し、全体の製造工程プロセスのフローを図示すること。図中には、適宜、各種設備、機器類の名称、バルブ類、ポンプ類の箇所等を記載すること。
(4)培地等を衛生的に調製することができる設備 |
○培地を調製する際に目的外の微生物の混入を防ぐためのクリーンベンチや滅菌のためのオートクレーブ等の設備について記載すること。
(5)製造又は試験検査に使用する器具機械、容器等を洗浄し、かつ、滅菌することのできる設備 |
○使用される器具機械、容器等の洗浄・滅菌方法を示し、培養液等の移送に配管を使用する場合は、配管の洗浄・滅菌方法についても記載すること。
○手指や滅菌した器具機械、容器、配管等を洗浄した、遺伝子組換え微生物を含む可能性のある洗浄液等を排水する設備について記載すること。
○専用の運搬容器を用いる場合は、内容物の漏出が十分防止されていること。また、容器の材質及びサイズを説明すること。
(6)製造に由来する不純物であって、かつ、安全でないものが生じないようにすること又は製品に含まれないようにすることができる設備 |
○製造工程において安全ではない不純物が生じないよう、又は製品に含まれないようにすることができる設備について示し、これらの工程プロセスのフローを図示すること。特に製造に由来する安全ではない不純物が生じる場合には、最終製品から除去されていることを示すデータも併せて提出すること。
3 組換え体を利用して食品又は添加物を製造するための培養及び発酵をすることができる装置を有すること。 |
○食品又は添加物を製造するための培養及び発酵をすることができる装置であることを示すこと。
4 その他必要と認められる設備及び装置を有すること。 |
○その他必要と認められる設備及び装置について、その必要性とともに記載すること。
二 設備及び装置の管理の基準 1 製造作業終了後、使用した設備及び装置を十分に洗浄し、かつ、滅菌すること。 |
○使用される設備及び装置の洗浄・滅菌方法を示し、培養液等の移送に配管を使用する場合は、配管の洗浄・滅菌方法についても記載すること。
2 設備又は装置の漏出防止機能に係る部分の改造時又は交換時は、その都度、当該設備又は装置の密閉度及び性能の検査を行うこと。 |
○漏出防止機能に係る部分の改造又は交換を行った設備又は装置の密閉度及び性能の検査を適切に行うことのできる方法を記載すること。検査結果の判定基準については、「適合」等の記載だけでなく、具体的な基準を記載すること。定期的に交換しなければならない場合は、あらかじめ該当する設備又は装置と交換頻度についても記載すること。
3 培養装置、除菌装置等は、設置直後及び定期的に、密閉度及び性能の検査を行うこと。 |
○設置直後及び定期的に、培養装置(培養及び発酵するための装置並びに当該装置に直接接続された設備)、除菌装置等の密閉度及び性能の検査を適切に行う方法を記載すること。検査結果の判定基準については、「適合」等の記載だけでなく、具体的な基準を記載すること。また、定期検査の実施間隔についても記載すること。
4 除菌装置は、交換時、定期検査時及び製造品目の変更時に、あらかじめ有効性を確認した方法で滅菌すること。 |
○滅菌方法について記載すること。また、定期検査の実施間隔についても記載すること。
三 組換え体の取扱いの基準 1 保管 組換え体を含む材料は、組換え体を含む旨を明示すること。 2 生物学的性状の試験検査 マスターセルバンク(全ての製造用細胞シードの元になる種株を一定の培養条件下で最低限の継代数を経て増殖させ、分注したものをいう。以下同じ。)の作製時及び保存中に、次の項目について試験検査(マスターセルバンクに他の生物が混入していないことの確認を含む。)を行い、その安定性を確認すること。 (1)組換えDNA技術により付与された組換え体の性質の保持に関する項目 (2)組換え体の保持しているベクター及び挿入DNAの基本的構造の維持に関する項目 (3)組換え体の同一性及び均一性の確認に関する項目 |
○マスターセルバンクの作製本数を記載すること。
○マスターセルバンクを作製した際の試験(作製時の試験)、定期的にバンクの品質を確認する試験(保存中の試験)のそれぞれに関して、(1)〜(3)の項目ごとの試験項目・試験内容・判定基準・実施間隔等を記載すること。
○試験結果の判定基準については、「適合」等の記載だけでなく、具体的な基準を記載すること。また、実測値や電気泳動図の写真等の具体的な試験結果を示すこと(電気泳動図については、レーンの説明、電気泳動マーカーが示す分子量を明確に示すこと)。
○マスターセルバンクを更新する場合は、更新方法、更新間隔、更新を行う条件について示すこと。併せて、出発原材料として用いたマスターセルバンクの作製時期などについても示すこと。
3 製品の取扱い (1)製品の安全性評価に基づき、製品の管理規格を設定すること。 |
○製品ごとに適切な管理規格を設定し、適合確認の判定基準についても具体的な基準を設定すること。
○適合確認の判定に用いる試験法を明記すること。
(2)製造ごとに試験検査を行い、製品の管理規格に適合していることを確認すること。 |
○試験結果の判定については、「適合」等の記載だけでなく、具体的な基準を記載すること。
(3)試験検査により、管理規格に適合していない製品が発見された場合には、直ちに製造を中止し、必要な措置を講ずること。 |
○製品の管理規格に不適合であった製品は、製品の範囲を特定して、市場に流通しないように保留し、原因を特定すること。
四 職員及び組織の基準 1 製造所の設置者又は製造所の長 製造所の設置者又は製造所の長は、次の任務を果たすこと。 (1)製造所ごとに製造管理者及び製造衛生責任者を任命すること。 (2)製品の衛生確保のため製造安全委員会を設置し、その委員を任命し、製造安全委員会に調査審議を求めること。 (3)組換えDNA技術に関する情報を収集するとともに、組換え体又は製品の安全性評価に影響を及ぼす知見を発見した場合に、速やかに厚生労働大臣に報告すること。 (4)製造管理者が業務を遂行するに当たって支障を生じることがないよう配慮すること。 |
○情報収集に使用する文献リスト等を作成し、定期的に確認を行うこと。その上で、製造に係る事業実績や新しい文献により知り得た知見が当該遺伝子組換え微生物の安全性に影響を与える可能性がある場合は、速やかに厚生労働大臣に報告すること。
○「三 組換え体の取扱いの基準 3(3)」に該当する場合は、製品の安全性評価に影響を及ぼす知見を発見した場合に含まれることとして、速やかに厚生労働大臣に報告すること。
2 製造管理者 製造管理者は、この別表の基準を熟知し、次の任務を果たすこと。 (1)製造計画を立案するとともに、その実施に際し、組換え体の取扱い等に関する製造作業マニュアルを作成し、製造衛生責任者との緊密な連絡の下に、この別表の基準等を十分に遵守し、製造作業全体の適切な監督管理に当たること。 |
○製造管理者は、製造開始前に製造従事者に対し、本製造基準を熟知させるとともに教育訓練を行うこと。従事者の作業形態に応じて、業務に関する安全性知識の教育・訓練を行うこと。遺伝子組換え微生物を取り扱う上での注意事項や設備・装置の取扱方法、安全・運転管理についてのマニュアルをあらかじめ作成し、従事者に配布しておくよう努めること。
○製造管理者は、製造に当たって、製造状況が適切に確認できる管理項目を定め、製造従事者に記録させること。更に、その記録を製造衛生責任者等に確認させること。
(2)製造従事者に対し、製造作業に従事する前に、この別表の基準及び製造作業マニュアルを熟知させるとともに、次の事項に関する教育訓練を行うこと。 イ 組換え体の起源、性質、製法等組換え体の安全性に関する知識ロ 設備及び装置に関する知識及び技術 ハ 製造過程の衛生的管理に関する知識 |
○製造従事者に対して製造基準及びその関連省令等を熟知させるとともに、遺伝子組換え微生物の取り扱いに関する教育訓練を事前に行い、かつその記録を保管する等、安全管理が徹底されていることについて記載すること。また、知識及び技能の向上に繋がるよう、教育訓練計画を作成しておくことが望ましい。
(3)次の事項を記録し、その記録は、当該食品又は添加物の製造終了の日から5年間保存すること。 イ 設備及び装置の定期点検記録及び製造記録ロ 組換え体の名称及び組換え体を含む保管物の明細目録 ハ 保管開始年月日、保管場所、保管責任者、保管条件等の組換え体の保管及び継代の状況 ニ 組換え体の生物学的性状及びその試験検査の年月日 ホ 製品の試験検査の記録 ヘ 製造従事者への教育訓練の記録 ト 製造安全委員会の審議記録(製造作業マニュアルがこの別表の基準に適合していることを確認する根拠となった資料を含む。) (4)作業区域及び組換え体の保管設備の目につきやすい所に組換え体の取扱いに関する必要な事項を掲示すること。 (5)製造従事者以外の者の作業区域への立入りを作業内容に応じ制限し、製造従事者以外の者が立ち入るときに、製造従事者の指示に従わせること。 (6)製造安全委員会と十分連絡を取り合うとともに、必要な事項を製造安全委員会に報告すること。 (7)その他製品の衛生確保に必要な事項を実施すること。 |
○記録の作成及び保管・管理に係る規定をあらかじめ設けておき、必要な記録事項を適切に作成、保管すること。
○申請資料に製造管理者の氏名を記載すること。
3 製造衛生責任者 (1)組換えDNA技術に関し、製造管理者を補佐する立場として、製造段階及び製品の衛生確保に必要な知識及び技術に高度に習熟した者であること。 (2)この別表の基準を熟知し、次の任務を果たすこと。 イ 製造がこの別表の基準等に従って適正に遂行されていることを確認すること。ロ 製造管理者に対し助言及び報告を行うこと。 ハ その他製品の衛生の確保に必要な事項を実施すること。 |
○製造衛生責任者が製造基準に従って製造されたことを確認すべき事項と頻度を定めておくこと。
○製造衛生責任者が製造管理者に助言又は報告する事項を定めておくこと。また、報告は定期的に行い、製造管理者の承認を得ること。
○申請資料に製造衛生責任者の氏名を記載すること。
4 製造従事者 (1)製造管理者の行う教育訓練をあらかじめ受けた者であること。 (2)製造作業を行うに当たって製品の衛生確保の必要性を十分に自覚し、製造作業マニュアルに従って作業すること。 |
○製造従事者が受ける教育訓練は年度計画等に従い、実施することが望ましい。また、教育訓練については適切に記録すること。
○製造作業マニュアルに従って作業を行った結果は適切に記録し、検証に使用すること。
5 製造安全委員会 (1)高度に専門的な知識及び技術並びに広い視野に立った判断が要求されることを十分に考慮し、適切な分野の者により構成されること。 (2)製造業者の求めに応じて次の事項について調査審議を行い、製造業者に報告すること。 イ 製造作業マニュアルの製造基準に対する適合性ロ 製造従事者に対する衛生教育訓練の状況 ハ その他製品の衛生確保に関し必要な事項 (3)必要に応じて製造管理者又は製造衛生責任者から報告を求めること。 |
○製造安全委員会は、製造所ごとに設置し、委員の構成は、高度に専門的な知識、技術及び広い視野に立った判断が要求されることを十分に考慮して決定すること。また、品質管理の責任者を含むこと。
○申請に際しては、製造安全委員会の名簿を作成し、名簿には氏名、専門分野、組換え体取扱いの実務経験年数を記載し、提出すること。また、少なくとも「微生物」、「安全に関わる労務管理」、「公衆衛生」を管理する構成員についてはその旨明記すること。
○製造安全委員会は申請品目の製造状況に合わせた頻度で定期的に、及び必要に応じて開催すること。
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 > 遺伝子組換え食品 > 遺伝子組換え食品の安全性審査について > 組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準(留意事項)