8 医療施設の安全対策
(1)特定機能病院に対する立入検査について
現状 |
○ 医療法第25条による医療機関への立入検査については、平成12年4月より自治事務となったところであるが、特定機能病院に対する立入検査については、各自治体とともに当省も実施できる旨の規定がなされ、平成12年においては、総数82施設中、各自治体と合同での立入検査を49施設実施した。
○ 今回の省庁再編に伴い、厚生労働省に各地方厚生局が設けられ、従来本省において実施してきた特定機能病院に対する立入検査については、この地方厚生局において実施することとなった。
都道府県への要請 |
○ 都道府県においては、各地方厚生局の医療監視専門官等と連絡を密にし、これまで以上に円滑な合同の立入検査の実施ができるよう、御協力をお願いしたい。
(2)医療事故防止対策(医薬品・医療用具関連事項)
平成12年中の実施事項 |
○ 医療事故については、人的、物的に様々な原因があるが、医薬品、医療用具等医療上使用される製品の容器、表示、仕様、名称などの類似性も医療事故を誘発 する要因の一つになっていると考えられることから、これらの物的要因が考えら れる事例を医療機関から幅広く情報収集し、具体的な改善策を検討し、医療事故 を引き起こしにくい製品を医療の場に提供していくことが重要な対策の一つとなる。
○ このため、平成12年5月に「医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会」を設置し、これまで4回の会合を開催し、検討結果を踏まえ、以下の対策を実施した。
イ)医療事故を防止するための医薬品の表示の改良(平成12年9月19日付け医薬安全局長通知:医薬発第935号)
(参考)医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会開催実績
平成13年の予定事項 |
○ 日常診療の場でヒヤリとしたりハッとした事例いわゆるインシデント事例の情報を収集する体制の整備を進めることとしており、効果的な改善策の検討を 引き続き行い、医療現場に的確にフィードバックしていく予定。
○ 当面、人工呼吸器の安全性確保のための警報に関する基準等を策定する予定。
都道府県への要請事項 |
○ 医療事故防止のための対策を施された医薬品・医療用具等が今後、流通し始めることと思われるが、機会をとらえてこのような製品の普及及び医療事故防 止対策製品に係る理解の啓発にご配慮いただきたい。
(3)院内感染防止対策
平成12年中に実施した事項 |
医療施設における院内感染対策は、(1)手洗いの励行、(2)清掃等院内の環境整備、(3) 院内感染に関する医療従事者への教育が基本である。こうした医療機関における院内 感染対策を支援するため、厚生労働省では次のような事業を進めるとともに、12月 14日には医療施設における院内感染問題の理解と適切な行政対応に資するよう院内 感染主管課長会議を開催した。
(1) 医療従事者の研修・教育
目的 | :医療従事者への院内感染に関する研修・教育の充実。 |
対象 | :医師、薬剤師、検査技師、看護婦 |
参加人数 | :3,530名 |
イ 院内感染相談窓口運営(日本感染症学会に委託)
目的 | :医療施設に於ける事例に個別に対応。 |
相談件数 | :180件 |
(2) 院内感染対策サーベイランス事業開始。
目的 | :薬剤耐性菌の発生状況、感染率等を把握し、院内感染対策に資する。 |
参加施設 | :452施設(平成12年10月現在) |
(3) マニュアル等の整備
透析施設に於ける肝炎の発症、弱毒菌であるセラチア、レジオネラ等の従来院 内感染の原因菌にはなりにくいと考えられていた弱毒菌による院内感染事例を受け以下の通知を発出。
平成13年以降の予定 |
(1) 総合的ガイドライン(仮称)作成
個別疾患ごとに作成されてきたガイドラインを、最新の科学的知見と経験に基 づき統合する。
平成13年の着手項目(予定)は、感染制御、院内感染関連微生物、血流感染 対策、耐性菌の監視体制等。
(2) 院内感染対策サーベイランスの拡充
イ 新生児院内感染対策として新生児・新生児室等サーベイランスの開始。
都道府県への要請 |
(1) 院内感染が発生した場合には軽微な事例であっても今後の行政指導上の参考になると判断される事案については、速やかに情報提供をお願いする。
(2) 院内感染対策は医療施設が個々に取り組み、感染予防に関する原則的な注意事項を実行することが必要であり、医療機関が適切に対処するように周知徹底をお願いする。