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4 医薬品・医療用具の品質確保・市販後安全対策等

(1)GMP・GMPI

平成12年中の実施事項

○ 厚生大臣許可施設である生物学的製剤等製造所においては、GMPソフト及び平成11年4月に省令化された構造設備要件の適合性の監視指導を実施した。

○ 平成8年から運用しているバリデーション基準について、平成12年6月に一部改正を行った。

○ GMP査察の全国的な整合性を図るため、GMP専門分野別研修及び合同模擬査察等の研修を実施するとともに、「GMP等監視指導整合性検討会」においてバリデーションや査察レポートの様式等の検討を行った。

平成13年以降の予定事項

○ ヒト由来細胞・組織加工医薬品や培養皮膚・軟骨等の細胞利用医薬品・医療用具について、GMPハード、GMPソフト、GMPI等について下記のような内容の省令改正を行う予定。(2月中の公布、4月施行を目標)

ア 現行の医薬品に関する生物学的製剤等に関する規定にドナーの選定基準及適格性、採取作業の適切性の確保等の上乗せを行った内容(医薬品・医療用具共通)

イ 製品の有効期間最終日より少なくとも10年間の記録保存

○ 薬事監視に関する情報の交換・共有化を図るため、近く「薬事監視情報交換システムの運用を開始する予定。当面はGMPに関する情報を中心として運用する予定である。

都道府県への要請

○ 輸入販売業者によるGMPIの円滑な実施のため、その趣旨及び具体的実施方法等について指導の強化をお願いしたい。

○ 大臣許可施設については地方厚生局で立入調査を実施することとなるが、日本赤十字社血液センターに対するGMP通常監視については、引き続き都道府県にお願いすることとなるので協力をお願いしたい。

○ 薬事監視情報交換システムは、監視指導における業務の迅速化・効率化を図ることを目的として、国と地方自治体との間の情報ネットワークを内容とするものであり、国及び都道府県間におけるGMP査察等に十分活用されたい。

(2) 医薬品の市販後調査の充実

今回の見直しの概要

 医薬品の市販後調査を充実するため、平成12年12月27日、医薬品の市販後調査の基準に関する省令の一部を改正するとともに、関連通知の改正等を行った。今回の見直しの趣旨及び具体的な内容は次のとおり。

(1) 市販直後調査の新設

 新医薬品の承認までに得られる有効性、安全性に関する情報等については、患者数、併用薬、合併症、年齢等に関する一定の制限のもとに行われる治験等により得られたものに限られることから、限定された情報とならざるを得ない。しかし、新医薬品がいったん販売開始されると、治験時に比べてその使用患者数が急激に増加するとともに、使用患者の状況も治験時に比べて多様化することから、治験段階では判明していなかった重篤な副作用等が発現する可能性がある。
 これまで、市販後の情報収集については、医薬品の市販後調査の基準に関する省令(医薬品GPMSP)等に基づき実施してきたところであるが、こうした新医薬品の特性に応じ、注意深い使用を促し、重篤な副作用、感染症が発生した場合の情報収集体制を強化するため、今般、医薬品GPMSPを改正し、「市販直後調査」を新設した。(平成13年10月1日施行)
 この市販直後調査は、

ア 新医薬品を対象として、
イ 販売開始直後の6ヶ月間において、
ウ 製造業者等の医薬情報担当者(MR)が医師等を定期的に訪問するなどにより、
注意深い使用を促すとともに、当該医薬品に関する重篤な副作用、感染症情報を迅速かつ可能な限り網羅的に把握し、必要な安全対策を講じると

いう仕組みである。

(2) 再審査に係る市販後調査の見直し

 新医薬品については、承認の一定期間後に、有効性、安全性の再確認を行う再審査制度があるが、今般、再審査期間中の調査のあり方について見直しを行い、治験等では十分な情報を収集することが困難な患者群(小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害又は肝機能障害を有する患者等)に関する適正使用情報の充実を図るため、特別調査及び市販後臨床試験に重点をおいた仕組みへと変更し、これまで3000例について調査することを原則として運用してきた使用成績調査については、一律に症例数を限定せず、医薬品の特性に応じて実施することとした。
 特に情報収集の困難な小児集団については、使用経験の情報の集積を図るため、承認申請中又は承認後引き続き、小児の用量設定等のための臨床試験(治験又は市販後臨床試験)を計画する場合にあっては、再審査期間中に行う調査等を勘案し、再審査期間を10年を超えない範囲で一定期間延長することとした。

都道府県への要請

○関係企業に対して今回の見直しの趣旨並びに市販直後調査及び市販後調査(使用成績調査、特別調査、市販後臨床試験)の具体的な内容について、周知徹底を行うなど新たな仕組みが円滑に導入されるようご協力をお願いする。

(3)医療用具GPMSP

現状

 医療用具安全性情報の収集については、これまでも社内体制の整備等について指導してきたところであるが、医療用具の適正使用を推進するため、医療用具輸入販売業者等における必要な安全性情報の収集、検討、評価及び提供のための社内体制、社内教育等を徹底する旨の通知(医薬品GPMSPを参考にした規定)を策定すべく現在作業中である。

都道府県への要請

 医療用具GPMSPについては、平成13年3月末日までに各都道府県あて通知する予定であるので、当該制度の円滑な導入、普及に御協力頂きたい。

(4)薬事監視の状況

現 状

○ 医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質不良、不正表示、虚偽誇大広告等の指導取締りを行うため、厚生省並びに各都道府県、保健所設置市及び特別 区に薬事監視員3,531名(平成12.4.1現在)が配置され、製造業者、輸 入販売業者、販売業者その他業務上医薬品等を取り扱う者の施設に随時立ち入り 検査等を行い、不良医薬品等の発見、発生防止に努めている。

○ 平成11年度中には許可届出施設488,870施設のうち139,164施設及びその他業務上取り扱う施設に立入検査を行った結果(許可届出施設に対する立入検査率28.5%)

(1)違反発見施設数は 8,376件(立入検査に対する発見率3.5%)

(2)処分等を行ったものは、7,455件で、そのうち18件に対しては、業務停止を命じている。

○ また、近年薬局等における薬剤師の不在問題が問題になっており、平成11年度から医薬品の一斉監視指導実施時に薬局等販売業における薬剤師の不在状況についての調査を行っている。平成12年度の業態別薬剤師の不在率は薬局:2.6%、一般販売業:19.1%、卸売一般販売業:9.7%、薬種商販売業:5.9%であり、前年度の結果と比較すると改善傾向がみられる。

都道府県への要請

○ 毒薬及び劇薬に関しては、毒劇及び劇薬による危害の発生を防止するため、薬 事法(昭和35年法律第145号)第48条においてその貯蔵及び陳列上の注意 を規定しているが、今般、宮城県内の医療機関において、毒薬に指定されている 筋弛緩剤を故意に輸液に混入したと疑われる事件が発生したところである。この 事件を踏まえ、貴管下における業務上毒薬及び劇薬を取り扱う施設に対して、薬 事法第48条の趣旨を踏まえ、各施設における毒薬等の適正な保管管理等につい て万全を期するとともに、毒薬等の盗難・紛失及び不正使用等の事態が発生しな いための措置の徹底を図るよう指導されたい。

○ なお、宮城県内の事例に係る毒薬の保管管理の状況等にていては、現在、調査中であるが、調査結果が判明した段階で改めて通知する予定である。


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