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2.規制改革

(1)規制緩和推進3か年計画

平成12年中の実施事項

 平成10年度からの計画として策定された「規制緩和推進3か年計画」に基づき、医薬品・医療用具関係で、平成12年において措置した主な事項は以下のとおりである。

(1)標準的事務処理期間

 平成9年度からの3か年計画により、審査官の倍増等の承認審査体制の抜本的な充実を図った結果、本年4月以降に申請される新薬の標準的事務処理期間について、現行の18か月から米国並みの12か月に短縮した。

(2)管理薬剤師の兼務

 昨年5月には、分割販売を行わず、かつ、薬事法第26条第3項ただし書きに規定する販売先変更許可を受けていない卸売一般販売業の店舗については、都道府県の判断により管理薬剤師の兼務を認めても差し支えないものとする通知を発出した。

平成13年以降の予定事項

○ 今年度末には、行政改革推進本部規制改革委員会の指摘事項、内外からの意見、要望等を踏まえて、新たな「規制改革推進3か年計画」が策定される予定。

○ 現行の「規制緩和推進3か年計画」に基づき、平成12年度中に次の事項について検討する予定。

(1)薬剤師の配置

 次の理由から、毎年度実施する薬事監視の調査結果に基づき、必要な対策を検討することとしている。

ア 近年開発されている効き目の優れた医薬品は薬理作用が強く、使用方法も難しいことから、薬剤師による十分な情報提供が必要であること

イ 安全性情報の公表、添付文書の改訂等の市販後の安全対策の実施に当たっても、常時、薬局等から収集した副作用情報を評価・分析するなど薬剤師の役割は極めて重要であること

(2)管理薬剤師の兼務規制

 関係団体より次の意見があること等を踏まえ、関係各方面との意見交換を行い、どのような方策が考えられ得るのか慎重に検討したい。

ア 他店舗との兼務を認めた場合、服薬指導等の義務、毒劇薬、要指示薬等の規制医薬品の販売管理等の管理業務等が不十分となる危険性があること

イ 兼務規制の緩和は必ずしも経営の合理化等につながらないこと

都道府県への要請

○ 標準的事務処理期間の短縮の趣旨等を踏まえ、各都道府県におかれても、申請書受理から厚生労働大臣への進達までの手続きを迅速に行うようお願いする。また、知事の承認に係る医薬品等についても、迅速な処理と申請者への適切な対応に努められるようお願いする。

○ 国民の生命・健康に支障が生じないように十分配慮しつつ、国際的整合性の確保、事業者の負担軽減、消費者の利便の向上等の観点から、規制改革に取り組む予定であり、今後とも、見直しに関する率直な意見の提出、また、見直しの円滑な実施について、引き続き御協力方お願いしたい。

(2)化粧品の規制緩和

平成13年以降の予定事項

 化粧品については、薬事法に基づき事前の承認・許可、指定した成分についての表示義務などの規制を行っているところであるが、

ア.欧米諸国では事前承認を受けることなく、企業の自己責任において製造し、成分名を表示して供給されていること

イ.企業の製造物責任の考えの進展と相まって、重大な健康被害が発生するおそれが少なくなってきていること

 などから、政府の規制緩和推進3ヶ年計画に基づき、平成13年4月1日から次のような見直しを行うこととした。

(1) 成分規制の見直し(ネガティブリスト・ポジティブリスト化)

 化粧品への「防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の配合の禁止・配合の制限(ネガティブリスト)」及び「防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素の配合の制限(ポジティブリスト)」を「化粧品基準(平成12年9月厚生省告示第331号)」として定めるとともに、基準の規定に違反しない成分については、企業責任のもとに安全性を確認し、選択した上で配合できることとした。

[ネガティブリストの具体例]
 塩化ビニルモノマー、過酸化水素、エストラジオール など

[ポジティブリストの具体例]
 安息香酸、クロルヘキシジン、ジヒドロキシベンゾフェノン など

(2) 全成分表示の導入

 厚生大臣の指定する成分(現在、アレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのあるものを102種類指定)のみの表示を義務づける仕組みから、配合する全成分を表示する仕組みに見直す。

(3) 原則承認制の廃止

 化粧品を11種別に分類し、種別毎に承認を必要とする化粧品の成分を定め、個別承認を行っている現行の仕組みを、原則、届出制へ見直し、成分名称を表示しない成分を配合する化粧品に限り、承認を要することとした。

都道府県への要請

○ 上記により、化粧品については、事前の承認・許可制度から、表示等に対する市販後のチェックを中心とした制度へ大きく変化することとなる。この規制緩和は企業の自己責任を前提とした改正であるが、今後も消費者の安全の確保のため、適正かつ効率的な監視指導をお願いしたい。

(3)医薬品と食品の区分の見直し

平成12年中の実施事項・平成13年以降の予定事項

○ 平成12年3月にとりまとめられた「医薬品の範囲基準の見直しに関する検 討会」の報告書に基づき、いわゆる46通知(昭和46年6月1日付け薬務局 長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」)の中で判断基準とされ ている形状、成分本質、表示の3項目に関し、医薬品の範囲に関する基準の見 直しを以下のとおり行っているところである。

(1) 形状に関する規制を緩和し、食品と明示されている場合、原則として、形状 のみによって医薬品に該当するか否かの判断は行わないこととした。(平成12 年4月5日措置済み)

(2) 成分本質については、現在「医薬品の成分本質の見直しに関するワーキング グループ」において検討中であり、その結果を踏まえ、平成12年度中を目処 として必要な措置を講じていく予定である。

(3) 表示については、食品保健部における保健機能食品制度の検討結果等を踏ま え、平成12年度中を目処として必要な措置を講じていく予定である。

都道府県への要請

○ 形状に関する規制緩和に基づく適切な指導を引き続きお願いしたい。

○ 成分本質、表示に関する見直しを行う際には、医薬品の範囲基準の明確化を 図ることとしているので、各都道府県におかれては、無承認無許可医薬品の監 視指導の円滑な実施につき協力方お願いしたい。


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