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IV 薬事関係

1.医薬分業と薬剤師

(1)医薬分業の動向について

現状

○医薬分業は順調に進展しており、特に、最近の伸びは著しく、平成11年度の処方せん枚数は4億5千万枚、医薬分業率は34.8%、対前年度比4.3ポイント増となっている。

○医薬分業率が50%を越える都道府県から10%に満たない都道府県まであり、未だ地域格差は大きい状況にあることから、かかりつけ薬局の育成を図り、医薬分業のメリットがさらに広く国民に受け入れられるよう、次の事業を実施している。
ア)医薬分業計画策定事業
 都道府県が二次医療圏毎に医薬分業に係る計画を策定するための経費を補助する事業(平成9年度〜)。

イ)未就業薬剤師就業促進事業
 「未就業薬剤師就業促進マニュアル」に基づき、医薬分業が進展している地域における薬局薬剤師の円滑な確保を図るため、都道府県が行うための経費を補助する事業(平成6年度〜)。

ウ)医薬分業推進協議会支援事業
 医薬分業計画に盛り込まれた施策を円滑に実施するための検討の場として、都道府県、市町村、三師会、地域の医療機関、薬局等の代表者からなる協議会の運営費用の1/2を補助する事業(平成10年度〜)。

エ)医薬分業推進支援センターの施設・設備整備費
 使用頻度の低い医薬品の備蓄・薬局への譲渡、医薬品情報の収集・提供、休日・夜間時の調剤等の業務を行う医薬分業推進支援センターの施設・設備の整備に対する補助事業(平成4年度〜)。


平成11年度の医薬分業率の上位・下位10都道府県(日本薬剤師会調べ)

上位10都県 (%)
順 位 都県名 分業率









10
佐賀県
秋田県
神奈川県
東京都
福岡県
沖縄県
長崎県
宮崎県
青森県
宮城県
56.4
56.1
50.1
49.3
45.9
45.1
44.8
44.8
44.5
43.2
   下位10府県 (%)
順 位 都県名 分業率
47
46
45
44
43
42
41
40
39
38
石川県
福井県
和歌山県
富山県
徳島県
京都府
大阪府
愛媛県
高知県
奈良県
8.7
9.1
10.7
13.3
14.7
15.1
18.9
19.2
21.0
21.9


平成13年以降の予定事項

○平成12年度からの2ヶ年事業として、患者ごとの薬剤服用に関する記録である薬歴簿について、電子的により効率よく管理できるモデル様式を策定する「薬歴管理標準化検討事業」を引き続き実施する。

都道府県への要請

○各都道府県におかれては、医薬分業計画策定事業、未就業薬剤師就業促進事業、医薬分業推進協議会支援事業及び医薬分業推進支援センターの施設・設備整備費等を活用しつつ、医薬分業の量的な拡充と併せて質的な充実が図られるよう、積極的な取り組みをお願いする。

(参考)

年度別処方せん発行枚数の推移

年度 処方せん発行枚数
分業率
薬局数 保険薬局数
  対前年度比
  万枚    
61 11,254 106.0 9.7 35,783 30,389
62 11,944 106.1 10.1 35,915 30,523
63 12,699 106.3 10.6 36,142 30,622
13,542 106.6 11.3 36,670 30,885
14,573 107.6 12.0 36,981 31,331
15,957 109.5 12.8 36,979 31,402
17,897 112.2 14.1 37,532 31,761
20,149 112.6 15.8 38,077 32,590
23,516 116.7 18.0 38,773 34,828
26,534 112.8 20.3 39,433 35,915
29,643 111.7 22.5 40,310 36,353
33,782 114.0 26.0 42,412 37,593
10 40,006 118.4 30.5 44,085 39,823
11 45,537 113.8 34.8 45,171 41,656

薬局数 (61年〜8年は12月31日現在)
(9年〜11年は3月31日現在)
保険薬局数 (毎年 4月1日現在)

*分業率=処方せん受取率


(2)薬剤師資格について

(1)障害者に係る欠格条項の見直し

現状

○薬事関係の障害者に係る欠格条項については、昨年12月に、中央薬事審議会常任部会より、見直しを行うよう報告書が提出され、薬剤師の欠格条項については、次のような方針が立てられた。

ア)「目が見えない者」、「耳が聞こえない者」及び「口がきけない者」
 一律に絶対的欠格事由を存続させることは不適当。

イ)「精神病者」
 薬剤師の業務を行うことができるか否かという観点から見直す。

平成13年以降の予定事項

○この報告書を踏まえ、次期通常国会において、「障害者等に係る欠格事由の適正化を図るための医師法等の一部を改正する法律案」(仮称)の中で、薬剤師法について必要な見直しを行う予定。

(2)薬剤師の資質の向上

現状

○薬剤師の資質向上のため、(財)日本薬剤師研修センターが実施する実務研修事業(厚生省の補助事業、平成9年度〜)及び各都道府県の薬剤師研修協議会を中心とした薬剤師生涯教育指導者養成のための研修が進められている。

○薬剤師の養成に係る諸問題については、平成8年より、厚生省、文部省、(社)日本薬剤師会及び(社)日本病院薬剤師会の4者で「薬剤師養成問題懇談会」を設けて、定期的に意見交換を行ってきたが、平成11年5月からは、国公立及び私立の大学薬学部・薬科大学の関係者を加え、いわゆる「6者懇」として、薬学教育の年限延長問題を含めて検討が進めてきた。

平成13年以降の予定事項

○実務研修事業については、実務研修受入医療機関の問題点等を把握するため、「薬剤師卒後受入医療機関等確保対策検討事業」を行う予定である。

○薬剤師生涯教育推進事業については、平成12年度にて終了する。

○薬剤師養成問題懇談会における薬学教育の年限延長問題については、関係団体等の十分な理解と合意の下に意見の集約が図られていくことが肝要であり、厚生労働省として、懇談会の議論の集約に向けて必要な取り組みを行う予定。

都道府県への要請

○各都道府県においては、引き続き、実務研修事業の地域薬剤師への周知等、実務研修事業への御協力をお願いする。


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