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2011年10月19日 第7回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会議事録

医薬食品局総務課

○日時

平成23年10月19日


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第22会議室(18階)


○出席者

委員

片木委員 坂田委員 澤委員 鈴木委員
寺野委員 永井部会長 長野委員 七海委員
花井委員 羽生田委員 原澤委員 藤原委員
堀田委員 望月(正)部会長代理 望月(眞)委員 山本委員

事務局

小宮山厚生労働大臣 木倉医薬食品局長 平山審議官(医薬担当)
宮本総務課長 赤川審査管理課長 俵木安全対策課長
中井川監視指導・麻薬対策課長 鳥井医薬品副作用被害対策室長 山本薬事企画官
浅沼医療機器審査管理室長 渡邊安全使用推進室長 佐藤監視指導室長
佐原研究開発振興課長(医政局) 山田治験推進室長(医政局)

(独)医薬品医療機器総合機構

成田理事(技監) 内海理事・審査センター長

○議題

1.薬事法等改正の方向性(たたき台案)について
2.その他

○議事

○永井部会長 ただいまから、「第7回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会」を開催します。本日は、委員の皆様にはお忙しい中ご出席を賜りまして、ありがとうございます。議事に入ります前に、事務局から本日の委員の出欠状況についてご報告をお願いします。

○宮本総務課長 委員の出欠状況ですが、山本委員があらかじめ遅れるという連絡をいただいていますが、出席をされると聞いています。したがいまして、本日は、委員16名全員のご出席をいただくことになります。厚生科学審議会令の規定によりこの部会は定足数に達していますので、会議が成立することをご報告いたします。

○永井部会長 議事に入ります前に、本日は小宮山厚生労働大臣にご出席をいただいています。大臣から一言ご挨拶をいただければと思います。

○厚生労働大臣 皆様、今日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。9月から厚生労働大臣をさせていただいております小宮山洋子でございます。第7回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会の開催に当たりまして、ご挨拶をさせていただきたいと思います。
 薬事行政につきましては、昨年4月に薬害肝炎検証・検討委員会で最終提言を取りまとめていただきました。この検証・検討委員会では、平成20年5月から平成22年3月まで全体で23回にわたる会議を開催していただきまして、最終提言をまとめていただいたと聞いています。この最終提言の内容を真摯に受け止め、二度と薬害を起こさないよう実現可能なものから迅速に、着実に実施をしていきたいと考えております。
 先週、私は薬害肝炎全国原告団・弁護団の方々と大臣室でお会いしまして、最終提言の実現への強い思いを聞かせていただきました。今日も部会で制度の見直しに関して、是非熱心なご議論を委員の皆様方にお願いしたいと思っております。また、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの問題につきましては、がんや難病などで苦しんでいらっしゃる患者さん、そのご家族から、これを一日も早く解消してほしい、そういう切実な声をいただいています。
 これまでも審査人員の増員などによる審査体制の充実・強化を進めておりますが、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消に向けたさまざまな施策を着実に実施することによって、有効で安全な医薬品・医療機器等を速やかに医療現場へ提供していくなど、更なる取組みが必要だと考えております。
 この検討部会は、こうした薬事行政をめぐる諸問題につきまして、薬事法等の見直しを含めて委員の皆様方に制度改正の検討をお願いしております。委員の皆様方には、引き続きそれぞれの専門的なお立場から薬事行政の至らないところ、また見直すべきところを率直にご指摘いただきたいと思います。この部会のご提言につきましては、最大限尊重して、その内容を踏まえて、来年の通常国会に、必要な制度改正案を提出することを目指して努力をしていきたいと考えております。
 最後になりますが、委員の皆様方には、薬事行政の推進に、引き続きご理解とご協力をいただきますようお願いを申し上げまして、私の冒頭の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○永井部会長 小宮山大臣、どうもありがとうございました。大臣におかれましては、このあと所用のため退席なさるということでございます。
               (厚生労働大臣退席)

○永井部会長 事務局から、本日の配付資料の確認をお願いします。

○宮本総務課長 お手元に資料を用意させていただきましたので、それをご覧いただき、ご確認をお願いします。1枚目に議事次第をお配りしています。その次が座席表です。その次に、資料1は、いままでの経緯・議論を踏まえて整備した「薬事法等改正の方向性(たたき台案)について」というタイトルの資料です。資料2-1として「添付文書の取扱いに関する方向性(案)について」、資料2-2として「迅速かつ適切な添付文書改訂を担保するための強化ポイント(案)について」、資料3-1として「第三者組織に関する改正の方向性(案)について」、資料3-2として「厚生科学審議会と薬事・食品衛生審議会について」、資料4として、添付文書及び第三者組織に関する参照条文です。
 以下は参考資料ですが、参考資料1は、厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会委員の名簿です。参考資料2-1が「平成24年度厚生労働省予算概算要求の概要」、2-2が「平成24年度厚生労働省予算概算要求の主要事項」、いずれも医薬食品局関係部分の抜粋の資料です。参考資料3-1から3-8までは、いままでこの制度改正検討部会等あてにご提出いただきました、各関係団体の要望書を参考資料として添付しています。参考資料3-1は「薬害イレッサ訴訟原告団・弁護団提出要望書」、参考資料3-2が「米国医療機器・IVD工業会(AMDD)・欧州ビジネス協会(EBC)医療機器委員会提出要望書」、参考資料3-3が「日本医療機器産業連合会提出要望書」、資料3-4が「(社)日本臨床検査薬協会(JACRI)・米国医療機器・IVD工業会(AMDD)・欧州ビジネス協会(EBC)臨床検査機器・試薬(体外診断)委員会提出要望書」、参考資料3-5は日本製薬団体連合会提出要望書、参考資料3-6は片木委員からご提出いただきました資料、参考資料3-7が澤委員からご提出いただきました資料、参考資料3-8は坂田委員からご提出いただきました資料です。
 用意しました資料は以上ですが、資料に不足あるいは乱丁等がありましたら、事務局までお申し出いただければと思います。なお、前回までに配付しました資料あるいは議事録については、これをまとめてファイルに綴じ込み、机の上に用意しておりますので、適宜ご参照をお願いします。

○永井部会長 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。本日は、最初に事務局から、資料1に基づいて薬事法等改正の方向性(たたき台案)について説明いただき、その後、資料2-1、2-2を使いまして添付文書の取扱いに関する方向性について、説明をいただきます。次に資料3-1、3-2を使い、第三者組織に関して説明をいただくことになっています。その後、委員の皆様からご意見をいただきたいと思います。最後に、骨子全体、特に資料1の4頁、2.(2)「医療上必要な医薬品・医療機器へのアクセスについて」、事務局から説明いただき、皆様からご意見をいただきたいと思います。では、事務局から、資料1の説明をお願いします。

○宮本総務課長 資料1「薬事法等改正の方向性(たたき台案)について」をご覧いただきたいと思います。この資料は、そこのタイトルにもありますように、これまでの審議会、この部会におけるご議論に沿い、その大筋のご意見等を整理させていただけるものを、前回の審議会で方向性についてたたき台を事務局が用意するようにというご指摘もありましたので、そのような形で用意したものです。すでにこれまで論点としてお出ししましたものをもう少し深め、それぞれ項目ごとに整理しております。
 従前、審議会の設置の趣旨で説明しました項目の1つ目、「医薬品等関係者の安全対策への取組みの促進について」に関しては、(1)が理念・責務ですが、そこの1、2、3にありますように、現在の薬事法の目的規定に1のような規定を追加すること、あるいは現在の薬事法上の規定の中では、必ずしも十分とは言えないのではないかと考えられる関係者、2は国、地方公共団体等、3は医薬品等を使用する立場になる国民の皆さんの責務あるいは役割について、こういった内容を記載することはどうかというご議論があったかと思い、そのような形で書いております。
 (2)は審査・承認後に判明したリスクの対応への強化ですが、そこにありますように、現在、承認に際して条件を付することが薬事法上で認められていますが、その条件について事後的にさらにそれを改正する、あるいは条件を追加するといった規定を追加することが必要なのではないかというお話がありました。
 (3)は添付文書等に常に最新の状況が反映されるような措置の導入という整理をしておりますが、添付文書のあり方について、これまでも長い時間議論をしていただきましたが、その中での1つの大きな方向性として整理されると思われるものが、そこにある1、2、3です。後ほど資料2-1において、さらに詳しく説明いたしますので、そこでの説明を参考にしていただければと思います。
 その次は(4)ですが、医薬品等監視・評価組織です。医薬品等行政に関する組織について、先般のこの部会において厚生科学審議会、例えばという形でご議論をお願いいたしましたが、それについてもう少し詳しい資料を資料の3で用意しておりますので、そちらで詳しく説明いたします。
 (5)ですが、副作用報告先の一元化です。現在の副作用、不具合報告等について、医療機関と行政機関からの一義的な報告先が統一されていませんので、その統一についてのご議論、論点。それからPMDAは現在、副作用被害に対する給付制度を持っていますが、その副作用救済給付に関する情報の活用等についての論点です。
 (6)が回収報告の範囲拡大です。現在の制度の中では回収に着手したときの報告義務についてはありますが、その途中経過、あるいは最終段階、完了段階についての報告について規定がありませんし、制度が完結していませんので、この点についての論点ということです。
 (7)は1から次頁の9までにわたり、いくつか記述をしております。以前、必ずしも制度改正に直接結びつかないかもしれないが、今後取り組まなければいけない事項としていろいろとご指摘をいただいているものについて、この方向性の中できちんと整理しておくべきではないかというご指摘がありましたので、先般の審議会において「中ポツ」ということでしたが、従前「中ポツ」で整理しましたものを改めてここに列記しています。
 次に、4頁をご覧いただきたいと思います。4頁は、この部会においてご議論をお願いしたい事項として、部会の設立当初に設置の趣旨等で説明しておりますもう1つの柱、「医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認等について」の論点の整理、あるいはその方向性についての考え方です。
 (1)が医療上必要な医薬品・医療機器の開発に対応した制度についてと。1は、特に医療上必要性が高いけれども、なかなか開発が進まない医薬品・医療機器等について、それを開発した場合に、何らかの優先的な権利を開発メーカーに対して与えることができないだろうかという論点です。
 2は、希少疾病、いわゆるオーファンの医薬品等についての開発支援についての論点。
 3は、今後、革新的な医薬品・医療機器等が出てくると思いますが、それに対する準備に関する論点です。
 (2)は、先ほど部会長からもご指摘いただきましたが、最終提言の中でも言及があります医療上必要な医薬品・医療機器へのアクセスについてです。承認がされてない医薬品等について、それを真に必要とされている患者さんに対して、まだ未承認の医薬品、治験薬が中心になろうかと思いますが、それをどのような形でアクセスする道を開くことが必要なのか、あるいは必要だとして、どのような留意点があるのかについてのご議論を特にお願いしたいということで、このような形でまとめております。
 (3)は、医療機器等の特性を踏まえた制度です。医療機器は医薬品と違い工業生産品ですが、そのような医療機器については、医薬品と違った形式等の整理がまた別途ありますので、どのような形で整理をする必要があるのか、制度を見直す必要があるのかについて、1から5のような形での論点を掲げております。必ずしも制度改正に直接結びつくとは限らないものではありますが、別途取り組むべき事項として、先ほどと同じように、いわゆる「中ポツ」で以前整理しましたものについて、5頁の1から7頁の15までの形で整理をしています。
 8頁が「医薬品等監視の強化について」ですが、指定薬物について、麻薬取締官、必ずしも麻薬ではないわけですが、そういった指定薬物に対する取締りの強化についての論点という形で、麻薬取締官が薬事法に規定されている指定薬物の規制に対して、何らかの形で取締りに携わることができる仕組みが導入できないだろうかという論点と方向性についてです。
 (2)は、先ほどと同様の趣旨からまとめたものです。資料1の説明は以上です。

○永井部会長 次に、資料2-1および2-2を使いまして、「添付文書の取扱いに関する方向性(案)について」、ご説明をお願いします。

○俵木安全対策課長 安全対策課から説明させていただきます。いま説明いたしました資料1の1枚目のところにありますが、添付文書等に常に最新の状況が反映されるような措置の導入ということについて、前回の部会で2つの案に取りまとめをして、その留意点をまとめてご議論をいただきました。
 1つ目の案が承認の対象として位置づける場合、2つ目の案は届出の義務を課して国等がそれを確認する場合ということで、2つの場合について前回の部会で留意点を整理の上ご議論いただきました。承認の対象とする場合については、医療現場での萎縮の問題とか、迅速性の問題等についてのご懸念のご指摘があったり、また、届出義務を課して国が確認するという場合については、国が指導権限をセットにするということであるならば、国の責任について、それほど承認事項と位置づける場合と変わりがないのではないかというご指摘もあったことを踏まえ、今回は2つの案のうち、大きな流れとして事務局としては届出義務を課すという案について、もう少し具体的な内容をご提示する必要があるのかと理解し、そのような形のものを用意したところです。
 したがいまして、2-1、2-2を使い、届出義務を課した場合に、現行の取扱いと比較してどのように国の関与が明確になるのかについて、1つの案として説明をしたいと思います。2-1ですが、左側に「現行」、右側に「検討案」があります。表と裏がありますが、表が承認時、裏側が承認後改訂をするときの図になっています。承認時ですが、現行のところを見ていただきますと、左側ですが、添付文書案を製造販売業者、申請者が作成の上、行政指導により申請のときに提出するべき資料として、いまは提出いただいています。ここはあくまでも行政指導ということです。それに基づき審査の過程の中では、添付文書の内容についても踏まえた上で、審査を行い、審議会でのご議論も、添付文書の内容をご覧いただいた上でご審議いただいて承認になっているという制度です。
 検討案のほうですが、添付文書の案の作成については同様ですが、そこに新たに、常に製造販売業者は最新の知見に基づいて添付文書を作成しなければならないということを明記することはいかがかということで、そこに1つ強化が入るかと思います。添付文書の案の提出ですが、申請時に添付文書に関する資料を提出することを法的に求める形にしたらいかがかと。そうやって法的に出てきた添付文書については、審査の中で見ていきながら承認となり、承認になったあと、製造販売前に最終的な製品に付く実際の添付文書について届出を義務づけることで、国が内容を確認する行為が法的に明確になる形にしたらいかがかと。審査の中で添付文書の案についてもいろいろなやり取りがあると思いますが、その内容がきちんと反映されたものができているかどうかの状況について製造販売前に把握をした上で、適切に添付文書に反映されていないということであれば、下にありますが、企業には危害発生防止義務が法律第77条の4に基づいて課されていますので、これが履行されていないということで、第72条の4をもって運営改善に関する必要な措置を取ることを命ずることができるという規定で改善命令をかけることができるのではないかと。また、場合によって極めて緊急性の高い状況、承認の段階にはあまり想定できませんが、第69条の3というものもあり得るかと考えています。この改善命令に従わない場合には、当然罰則があるという形になっています。
 裏側が改訂時ですが、改訂時について、現行は、製造販売業者は副作用報告等々の情報収集の結果、添付文書の記載内容について常にその見直しを行っており、その結果、添付文書の改訂が必要と考えた場合、または機構から添付文書の改訂をしたほうがいいのではないかという指導がある場合には、改訂の事前協議というものが一定の手続に従い行われ、その結果、添付文書の改訂が行われていくということです。
 右側の検討案ですが、改訂案を策定するのは同様で、これまでと同様に事前にその内容については一定の手続の流れに沿って、当局と機構または厚生労働省との調整をしていただいた上で改訂に進んでいくと思います。そこに1つ「副作用報告先をPMDAに一元化することとする」というのが枠塗りで入っていますが、これはPMDA側の情報収集体制も、今回、先ほど資料1でも報告いたしましたとおり、強化をする予定にしており、そのような形で、ここの改訂の作業自体は、いままで以上に、より迅速に対応ができるようになるのではないかと考えております。
 そのような形で改訂の内容が固まったあと、最終的に新しい改訂添付文書の届出を法律に基づいて義務づけるということで、国がその内容を最終的に法に基づいて確認する行為ができる、ということを明確にしたらいかがかと。そのようなことで指導の反映状況について把握し確認することができますので、添付文書の内容が適切でないという場合には、先ほど説明したとおりですが、第77条の4の危害発生防止義務がきちんと履行されていないということから、第72条の4による運営改善に必要な措置の命令、場合によっては緊急命令、その命令に対して従わない場合には罰則規定があるという形で、添付文書の作成について、承認時の作成内容、承認後の改訂内容について届出をさせることで国等が確認する行為が法的に明確になり、必要な反映が行われない場合には改善命令を掛けることができるということで、国の位置づけ、添付文書の位置づけについては明確になるのではないかという案です。
 資料2-2ですが、添付文書の届出という新しい強化策のほかにも市販後の強化策がありますが、それらも踏まえて全体でどのような形になるのかを図にしたものです。1枚の図にいろいろなことを盛り込んだため非常にビジーな図になってしまっており、大変恐縮です。この図の中に3つのビルがあります。いちばん左の上辺りにあるのが、製造販売業者のビルですが、ここの水色の四角の枠が製造販売業者を表しており、枠の上に記載がありますように、製造販売業者は危害防止義務が、先ほど来説明しておりますとおり薬事法第77条の4で課されています。
 右側の上にありますビルは医療機関の先生方がおられるビルでして、中央下にあります国等(行政機関)となっているビルが厚生労働省またはPMDAですが、製造販売業者または医療機関から緑色の線で副作用報告がまいりますと、青い線で国等から製造販売業者に矢印が伸びていますが、行政指導によって、添付文書の改訂等の指導をするという形になっています。
 これをどのように強化していくかということですが、まず強化ポイント1です。強化ポイントは赤の吹出しで書いていますので、赤字以外が現行の制度です。赤の吹出しを見ていただきますと、1として、先ほど説明いたしましたように承認申請時に添付文書に関する資料を提出し、審査の中で法に基づいて出てきたものについて確認をする。承認後にファイナルなものとして、製品に付いていく添付文書を、承認直後となっていますが、製造販売前に届け出していただき、その内容を国等が確認する。
 また、ポイント2としては、製造販売後の安全対策を取る中で添付文書を変更する場合ですが、その場合にも届出を出していただいて確認する。
 これが先ほど資料2-1で説明した内容ですが、3としてRMP、リスク・マネジメント・プランというもので、医薬品のリスク管理計画を承認時にきちんと立てていただいて、市販後に必要な調査、またはリスクを最小化するための各種の安全対策を講じる、その計画を承認時に立てていただく新たな制度を位置づけて導入する予定にしているものです。これによって製造販売業者の市販後の安全対策の実施が明確になって、より一層強化されるのではないかと考えています。
 4つ目のポイントですが、副作用報告の一元化、これは先ほど説明したとおりですが、PMDAに一本化して副作用情報が集まってくることで、より迅速な対応ができる体制にさらになるのではないかと。
 ポイント5ですが、大規模医療情報データベースの開発を今年度から進めており、これを活用した安全対策の実施をしていくことで、より早い、よりきめ細かい安全対策が取られていくのではないかと考えております。
 1、2の届出、または承認申請時の提出を法的に位置づけることで、国等が添付文書の内容について確認する制度が法的に確立し、かつ、だいだい色の矢印で下のほうから左側に国等から出ているものがありますが、先ほど来説明いたしました第72条の4で製造販売業者が負っている危害防止義務に対して、それが履行されてない場合には改善命令を課すことができるということで、そのような形で、国のそういった確認行為に対して命令権限が明確になるということで整理ができるのではないかと考えているものです。以上、資料2-1、2-2の説明でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。次に、資料3-1、3-2に基づいて、第三者組織に関する改正の方向性について、説明をお願いします。

○宮本総務課長 「第三者組織に関する改正の方向性(案)について」というタイトルの資料3-1から説明させていただきます。前回の審議会において、例示として厚生科学審議会という形で資料を提出させていただき、そのあと議論をする中で、ペーパーでの資料の提出のない中での議論を縷々していただきましたが、それを整理した形で、この資料をたたき台の案として今回提出させていただきます。具体的な第三者組織の姿として、結論的に申しますと、いちばん上の○にありますように、医薬品行政に関する組織を監視・評価する第三者組織としては、以下の1から4にあるような理由から、厚生労働省の基本的政策型審議会である厚生科学審議会に部会を新設することで対応したらどうだろうかというたたき台です。
 その理由ですが、1つ目に、確実に第三者組織を作ることを優先しようとすると、最終提言に記載もありますように、厚生労働省内の八条委員会、いわゆる審議会として設置することが望ましいと。この場合、前回の審議会でも説明させていただきましたように、下の※にある基本的な政策を審議事項に含む審議会である基本的政策型審議会に該当すると。そうなりますと、2にあるように、この閣議決定は、基本的政策型審議会等は新設しないことになっていますので、厚生労働省には基本的政策型審議会が2つありますが、社会保障審議会か厚生科学審議会によって対応せざるを得ないのではないだろうかと。3にありますが、第三者組織において期待されている権能が、厚生科学審議会の所掌事務の範囲内にある公衆衛生に関する事項であることを考えますと、冒頭申し上げましたように、厚生科学審議会に新たな部会を設置し対応することが、確実に第三者組織を作ることを優先するうえでは妥当な案ではないだろうかというものです。
 なお、厚生科学審議会は、厚生労働省設置法の第8条にその設置についての規定と権限がありますので、参考資料でご覧いただければと思います。4番目は、厚生科学審議会でこの第三者組織に対応するとした場合において、今月から設置予定であります法律に基づかない第三者組織、大臣の私的諮問機関という形になりますので、ある意味では非公式な組織、委員会となります。その委員会の事務局を、厚生科学課が行うことになっています。そうした厚生科学課あるいは官房のいずれかの課が、この審議会の部会で立ち上げた新たな第三者組織とするのであるならば、その評価・監視対象である医薬食品局からの独立性が図られるものと考えています。
 その下の○ですが、では、仮に厚生科学審議会に部会を設置するとした場合に、部会に対する親審議会であるところの厚生科学審議会の圧力が懸念されるのではないかというご指摘もありますが、厚生科学審議会においては、その審議会の運営規程の第4条、下に参考として書かせていただいておりますが、「分科会及び部会の議決は、会長の同意を得て、審議会の議決とすることができる」と。改めて、部会の結果を親審議会にかけて、初めて厚生科学審議会の議決になるのではなく、部会での議論の結果、議決がそのまま厚生科学審議会の議決になるということになっています。また、部会も通常は公開されていますので、部会に対する厚生科学審議会の圧力は考えにくいのではないかと考えています。
 以上のようなたたき台を前提としまして、その際の留意点です。1つ目は、厚生科学審議会の所掌事務に新たな業務を追加することについてです。仮に厚生科学審議会に部会を新設するとした場合に、この審議会の所掌事務、先ほど申しました厚生労働省の設置法第8条ですが、この中に第三者組織の事務を追加する必要性があるかどうかを検討する必要があろうかと思っています。これについては、設置法第8条に厚生科学審議会の所掌事務としまして、「公衆衛生に関する重要事項」を調査・審議するという規定が入っていまして、第三者組織の権能も「公衆衛生に関する重要事項」に含まれる可能性が非常に高いと考えています。
 もう1つの留意点は、法施行型審議会、参考としては薬事・食品衛生審議会、略称して薬食審と呼ばれていますが、そのような形のものを新設したらどうだろうかというようなご指摘もありました。これについては、下の○、「しかし、以下」のところの理由により、基本的な政策審議会である厚生科学審議会に部会を新設するほうが、法施行型審議会を新設するより適切ではないだろうかと考えられます。理由は、下に3つほど書かせていただいています。1つは個別法。この場合には薬事行政に関する調査・審議事項を持つ審議会ですので、薬事法になろうかと思いますが、それに法施行型審議会の所掌事務の根拠規定を置かなければならないと。そうしないと、法施行型審議会になりませんので、それが必要になるだろうと思われます。
 他方、法施行型審議会として既に薬食審が規定されていまして、薬事法の規定でさまざまな事務について、薬食審が既に権限を持っていることが書かれています。そうなりますと、2にありますように、薬食審とは別に薬事法の他の事項について調査・審議等するとして、新しい法施行型審議会の事務を考えなければいけないわけですが、薬食審そのものが個別の新薬の承認等に関し意見を述べるといった事務を前提として、「保健衛生の向上」を達成するために必要な措置を調査・審議する審議会の形で、既に薬事法上の役割をこの薬食審に与えていますので、それとは別の角度から法施行型審議会としてこのような監視組織の任務を考えることが難しいのではないかと考えています。
 3点目は、仮に法施行型審議会をこの薬事法に何らかの形で規定を設けたとする場合、法施行型審議会ですから、先ほど申しましたように薬事法関連の事項を審議することになります。そうなりますと、薬事法を所管する医薬食品局がこの審議会の事務局にもなります。そういった意味では、最終提言の独立性の担保の点でいかがなものだろうかということが考えられます。また、第三者的に薬事行政全般についての調査・審議、ご意見を評価いただくような審議会として新たに作ろうとするのに対して、薬事行政そのものの中にこの審議会が入り込んでしまうことになりますと、医薬品行政を外から見て評価していただく機能としてこの審議会が必要ではないだろうかというご提言をいただいたこととの兼ね合いを考えますと、あまり適当ではないのではないかと考えています。
 次の頁は、「法律に基づかない第三者組織の概要」ですが、これは一応この場においては情報提供という形で説明をさせていただきます。法律の根拠がない委員会として、大臣の私的諮問機関というような非公式な委員会で、これまでそういった委員会のことを法律に基づかない委員会として、第三者組織をとりあえず立ち上げることを厚生労働省が表明してきています。これについて、制度の設置の方針等についての状況を説明するためのペーパーです。
 資料3-2については、厚生科学審議会と薬食審について、審議会の種類あるいは調査・審議を行う対象、それから審議会が提言を行う対象について、2つを並べて整理をしたものです。審議の際に、適宜参考にしていただければと思います。資料3-1及び3-2に関する説明は以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について、ご意見、ご発言をお願いします。

○坂田委員 本日、意見書を出させていただきました。参考資料3-8です。薬害肝炎全国原告団・弁護団の薬事法改正に関する意見について、少し説明させてください。
 意見の趣旨。私たちは、添付文書及び第三者組織に関する薬事法改正について、以下のとおり求めます。添付文書について。添付文書の内容を承認事項として、これを承認審査の対象とするとともに、「使用上の注意」欄の改訂の迅速性を確保するため、その変更手続を簡素化するなどの制度を整備すること。厚生労働大臣が添付文書の改訂を命令する権限について、これを明示した規定を新設すること。第三者組織について。医薬品等行政に関する組織を監視・評価する第三者組織は、厚生科学審議会等の既存の審議会の下に設置するのではなく、国家行政組織法第8条に規定する委員会として、既存の審議会とは別に、新たに設置すること。
 意見の理由。添付文書について。厚生労働大臣の権限強化の必要性。添付文書の内容を承認事項とし、これが承認審査の対象となることを法律上明確に位置づけて、厚生労働大臣の権限を強化することが望ましいと考えます。添付文書の内容を承認事項とする点については、その弊害を懸念する立場から消極的意見が示されていますが、誤解に基づくものと考えられます。「医療の萎縮」を招くことはない。添付文書の内容を承認事項とすることは、厚生労働大臣の権限に関するものであり、医師の法的責任には何ら影響を与えるものではありません。また、前回提出の意見書でも説明したとおり、「用法・用量」や「効能・効果」については、現行法上も承認事項となっています。もしも、承認事項と異なる使用方法が許されないならば、現行法の下においても減量や適応外使用は許されないことになりますが、実際には現場の医師の判断で行われています。
 ここからも、添付文書の内容を承認事項とするかどうかと医師の責任は別問題であることは明らかです。医師は、原則として添付文書の記載に従わなければならないが、従わなかったことについて「合理的理由」がある場合は許容されるものとされています。
 この最高裁判例によれば、リスクとベネフィットの考慮が適切なものであれば「合理的理由」があるものとして許容されることになり、それは添付文書の内容が承認事項とされた場合でも何ら異なることはありません。
 (3)「使用上の注意」の記載の柔軟性が損なわれることはない。次に、「使用上の注意」の内容も承認事項とすると、記載内容に厳格なエビデンスが要求されるようになったり、従来のような柔軟な表現ができなくなるのではないかという懸念も示されています。
 しかし、この懸念も誤解に基づくものです。確かに、現在、有効性に関する記載には厳格なエビデンスが要求されるのに対し、安全性についてはそのようにはなっていませんが、それは効能・効果が承認事項であるのに対し、「使用上の注意」は承認事項とされていない、という形式的理由からではありません。患者の利益の観点から考えた場合に、有効性については厳格なエビデンスを要求することが合理的であるのに対して、安全性については、エビデンスの伴わないリスク情報であっても患者に提供する必要があるという実質的な理由からです。
 (4)改訂の迅速性を確保することは可能。さらに、承認事項とすることが迅速な添付文書改訂の妨げとなるのではないかという懸念が示されています。これについては、「使用上の注意」欄の変更については、現行薬事法第14条9項の一部変更承認手続を適用せず、簡略な手続で変更するという制度を創設することで対応すべきと考えます。なお、前回会議の際に提出した意見書において、一部変更承認手続を要しないとされている例として承認事項の軽微変更を挙げましたが、これは「使用上の注意」の変更が軽微な変更にあたるとする趣旨ではありません。現行法上でも、一部変更承認手続を要しないとされている実例が存在することから、「使用上の注意の迅速な改訂を担保する」という目的達成のために、一部変更承認手続によらない制度を構築することは十分可能である、ということをご理解いただきたいと思います。
 (5)改訂命令に関する規定の新設を。医薬品の承認後、厚生労働大臣に、製薬企業に対して添付文書の改訂を命令する権限を付与すべきである点について、事務局は、現行薬事法第72条4の措置命令及び第69条3の緊急命令で、既に権限が与えられているとしています。しかし、添付文書の改訂は、通常の用語法からすれば、法第72条の4にいう「業務の運営の改善に必要な措置」には該当しないと考えられます。また、緊急命令の規定は、緊急の場合の「応急の措置」を命ずる規定ですので、添付文書の改訂にはそぐわない面もあり、またその適用が特に緊急性の高い場合に限定されてしまうおそれがあります。そのため、厚生労働大臣に添付文書の改訂を命令する権限があることを明示した条文を新設することが、是非とも必要です。
 2、第三者組織について。(1)八条委員会を新設すべき。「第三者組織に関する改正の方向性(案)について」は、「厚生科学審議会に部会を新設することで対応する」と記載されています。「最終提言」が提言する「第三者組織」の具体的なあり方と相反しており、「最終提言」が「第三者組織」を提言した趣旨を没却するものです。
 (2)八条委員会新設の必要性。「最終提言」は、「厚生労働省から独立した組織であることが望ましい」、「第三者組織の活動の独立性を担保できるように、既存の審議会等とは異なる新たな仕組みを作る必要がある」と述べています。「最終提言」で指摘されているとおり、「独立性」の担保された「第三者組織」を実現するためには、少なくとも厚生労働省内に新たな八条委員会を設置しなければいけません。
 (3)「方向性(案)」に対する反論。閣議決定が「審議会等の整理合理化」を提案した趣旨は、「隠れ蓑になっている縦割り行政を助長しているなどの弊害を指摘されている」。「こうした問題点を解決し、行政責任を明確にする」ためです。しかし、「第三者組織」は医薬品行政の監視・評価をする機能を有した組織です。組織の機能上、行政の「隠れ蓑」になる懸念はなく、「縦割り行政を助長」することもありません。むしろ、医薬品行政の監視・評価という機能は、医薬品行政における「行政責任を明確」にする役割を果たします。したがって、新たな八条委員会として「第三者組織」を設置することは、閣議決定の趣旨に反することではありません。
 閣議決定には例外があり。審議会等を新設しないのは「原則」にすぎず、「特段の必要性がある場合」に新設することを否定するものではありません。実際に、閣議決定後に新設された八条委員会も存在します。「がん対策推進協議会」「肝炎対策推進協議会」「統計委員会」「消費者委員会」「年金記録確認第三者委員会」「年金業務監視委員会」「有明海・八代海総合調査評価委員会」が新設されました。即ち、閣議決定が存在しても、新設すべき特段の必要性があれば、審議会等を設置することができます。したがって、新設すべき特段の必要がありますので、「第三者機関」を八条委員会として新設することは可能です。
 審議会の部会では「第三者組織」でない。厚生科学審議会の下にある部会では、「第三者組織」としての機能は果たせません。第一に、厚生労働省からの独立性が担保されていない厚生科学審議会の下の部会では、制度的に独立性の担保されない組織と言わざるを得ません。これでは、独立性を持って中立公正に監視・評価機能を果たすことはできません。第二に、「第三者組織」に必要な権能を有することができません。「第三者組織」は、「監視・評価の結果に基づいて、関係行政に対して医薬品の安全確保に関して、一定の措置・施策を講ずるように提言・勧告を行う権限を有する」組織です。厚生労働省設置法には、厚生科学審議会の事務としては、「調査・審議すること」「厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べること」が定められています。しかし、同条項には「監視・評価」「提言・勧告」の権限については規定されていません。厚生科学審議会の下の部会では、「第三者組織」に必要な権能を有することができません。したがって、「方向性案」により「第三者組織」を作ったとしても、「第三者組織」としての機能を果たさない組織になってしまいます。
 私たちは、「最終提言」が提言しているとおり、「第三者組織」を八条委員会として新たに設置することを求めます。いままでの大臣は、本日討議予定の添付文書や第三者組織に関しても、「最終提言」を実行しますと約束をいただいています。先日小宮山大臣も、「いままで2人の大臣の言われたとおりに約束を守ります」と言われました。今回事務局は、全く違った案を出してどうするんですか。前回提出した私の案は全く無視された状態です。きちんとやっていただきたいと思います。以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまのご発言を含めて、ご質問、ご意見をお願いします。

○花井委員 いくつかあるのですが、いまの坂田委員のお話の点とも関わる部分もあります。まず薬事法に関して、添付文書の件ですが、今回添付文書提出を義務と求めることを新たに盛り込んだのはよくわかるのですが、この対応として、承認時に国の対応として、第77条の4、第72条の4、第69条の3の改善命令を読み込むというのは、今回初めて見たような気がするのです。いままでの薬事法の読み方ですと、大体この条文は市販後の対応として読んでいたように思うのですが、承認時に、これはそのまま添付文書に対する指導・勧告等に読み込むという法解釈は、正しいのでしょうか。
 それから、第三者監視機関で、いまの坂田委員のお話にもあったのですが、厚生科学審議会の所掌の中で、公衆衛生に関する重要事項に含まれるというような説明があったと思います。がん対策推進協議会と肝炎対策協議会は、公衆衛生に関する重要事項に含まれないという解釈は、どのような論理でなるのでしょうか。要するに、薬事の監視は含まれるが、がん対策と肝炎は含まないということなのか。もしくはいま坂田委員がおっしゃったように、本当はこれで読み込むことができるのだが、この2つは特別に作ったのでしょうか。この2点を教えてください。

○俵木安全対策課長 1つ目ですが、資料2-1の承認時のところの、届出を承認後にしていただいたあとの改善命令の点です。この届出ですが、承認をしたあとに、製造販売前に最終的な製品に付ける添付文書を届け出ていただく予定ですので、その内容に安全対策上必要な内容が盛り込まれていない場合には、危害発生防止に必要な措置を取っていないと解釈できるので、第77条の4を履行していないと見なして、必要な改善命令をかけることができると解釈しているものです。

○花井委員 ということは、承認時に最初に出す添付文書に対して、いまいろいろな行政指導が行われていると思うのですが、その指導行為自体はこの法によらずに、あくまで行政指導で行うという理解でいいのですか。

○俵木安全対策課長 それを、製造販売前に法的に確認するための届出制度が組まれるという理解です。

○花井委員 届出義務があって、それに対する対応として、まだ承認前であっても、この危害発生防止運営改善緊急命令の条文を根拠に、それに対して強い指導を超えたこともできると読み込むのですか。

○俵木安全対策課長 承認後の製造販売前に届出を求めるものです。製造販売業者に対してしか命令ができないので、承認を取った製品について製造販売する前に届出義務を課して、それを把握して、必要な安全対策が盛り込まれていなければ、改善命令を課すことができると解釈しているものです。

○花井委員 わかりました。意見はありますが、質問なので、この辺にしておきます。

○宮本総務課長 もう1点のご質問ですが、「第三者組織」について、がん対策推進協議会と肝炎対策推進協議会の位置づけですが、申し訳ありませんが、それぞれ健康局で所管している審議会だと思いますが、そちらに確認しないといま俄にお答えすることができませんので、次回報告させていただきます。ただ、八条委員会の中に、1つは、先ほど来閣議決定のところでも申し上げましたが、具体的な事務を持っている審議会と、そうではない審議会で扱いが違うところもあるのかもしれないと思っています。いずれにしましても、これについてはどういう経緯、どういう位置づけで作ったのか、設置されたのかは情報がありませんので、次回報告させていただきます。

○花井委員 いまわからないというのも結構心外なのですが、坂田委員が主張されるように、この2つは特別だから、いわゆる閣議決定の趣旨に反しなければ作れるのだという解釈をしたのか、そもそも厚生科学審議会の中の公衆衛生に関する重要事項の所掌の中には読み込めないから作ったのかというのは、結構理屈としては重要ですので、次回教えていただけたらと思います。

○永井部会長 まず添付文書の問題は前回も議論しましたが、これを承認事項とすることの問題について、いろいろな方々からご意見をいただきました。その点について、もう一度ご発言いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。坂田委員は、医療の萎縮は起こらないであろうというご意見でしたが、いかがでしょうか。

○片木委員 私たちは、薬が欲しいという患者の立場ですが、私たち患者の立場から言わせていただきますと、坂田委員が何らその辺りの萎縮につながらないと言われても、実際本当に萎縮につながらないかという保証はないですよね。というので、納得はできないです。国に権限を持たせれば持たせるほど、やはり現場に対して圧力がくるのではないか、承認することで国の責任が重くなるというのであれば、承認の萎縮が起こるのではないかというのは、ドラッグ・ラグがここまで広がっている日本で考えて当然だと私は思っています。
 そして、坂田委員が書かれていますが、どうしてそういうことが起こるのかわからないということに関しては、前回、長野委員、堀田委員が、海外の制度に対して免責があるとか、コンペンディアで公的保険が認められていることは説明されたと思っています。米国でできているから、海外でできているからといって、それで日本の薬事行政の中でできるかというと、必ずしもそれをやることが国民のためになるとは、私は思っていません。
 何度も申し上げますが、そのような萎縮が起こらないということに関しては、萎縮が起こるのではないかという懸念は持っています。本当にどうしてもわからないとおっしゃるのであれば、いまから築地の国立がん研究センターに行っていただいて、患者さんを見てください。多くの患者さんが、適応外で処方しています。小児の患者さんも適応外で、もう本当に抗がん剤がないということで、適応外で命をつないでいるという状況があります。また、医師の判断によって治療薬の減薬なども行われて、命をつないでいます。そのような人たちに、規制が強くなることで薬のアクセスが保てなくなったら、それこそ多くの患者さんの命が断たれることになって、多くの患者さんが泣くことになるのです。
 私は薬事法というのは、患者さんたち、医薬品・医療機器を使う人たちの保健を守るために道しるべになる存在だと思っています。この会議で本当に検討すべきことなのですが、先日もある治療薬でブルーレターが出ましたが、治験でわからなかった副作用が市販後にわかること、多くの人が使うことでわかることがあります。そういうときに、いかに迅速に現場に届けるか、患者さんに届けるかを検討すること。医療機器に関してもいつも医薬品その他になっていますが、本当にそれでいいのですか。医療機器に対して、迅速にアップデートできることが、患者さんの早くの健康を守ることになります。そういうことを議論する。またコンパッショネート・ユースや再生医療に対してでも、いま議論しておかないとどうしようもないことがたくさんあるのですね。このままだと、毎回毎回第三者機関と添付文書の議論ばかりして、薬事法の本当に大切なことが何も議論されていないと思っています。胸を張って、薬事法に対して議論したと、私は患者として患者さんに説明ができません。
 本日、資料3-6に付けましたが、ウルトラ・オーファンの要望、ミオパチーの患者会の方々から私に託していただきました。実際、日本で発見されたシーズですが、患者さんは大変苦労して何とか治験を進めてほしいということを、とても願っていらっしゃるのです。基盤研が行政刷新でえらい目にあっているのですが、本当にそれでいいのですか。患者さんは、治療薬がないのですよ。治療を受けたいという気持ちはあるのです。そういうことを議論することが、私たちに課せられた使命のように思っているのですが、議論をする時間がこれまで持たれないことに、私は身を切られる思いでいます。ですから、本日お願いがあるのですが、第三者委員会、添付文書だけではなくて、そういったことを議論しようではありませんか。医療機器に関しても議論してほしい、再生医療に関しても議論してほしいと思っています。患者さんの命は、切実なので、日本発の医薬品をどう生み出すか、患者さんをどう守るかを、薬事法、この薬事行政で議論することが大切だと思いますので、それをお願いしたいと思います。

○永井部会長 添付文書のことは、前回も随分議論をしました。やはり、早く副作用の情報を集める体制が重要だということと、添付文書を誰が管理するのかも、まだ議論されていないだろうと思います。事務局に伺いたいのですが、この添付文書はこれから誰がどのような形で管理してクオリティーを担保していくのでしょうか。それは、副作用の問題ももちろんありますが、本当は有効性についてもその内容については市販後にも吟味が必要なのですね。
 それから、もう1つ私がいつも感じるのは、添付文書にはほとんど作用機序、特にいまは分子生物学の時代ですから、分子レベルでどのように作用するのかがある程度理解されていれば、副作用は場合によっては予測することもできるわけです。似たような作用機序の薬は似たような副作用を起こすであろうということまで含めて、この添付文書のクオリティーの担保、また管理体制が非常に重要なのではないかと思います。その点について、事務局から状況を教えていただけますか。

○俵木安全対策課長 添付文書については記載要領なども作って、同じようなレベルになるようにやってきています。その中には薬理作用の項目を書く所もありますが、添付文書の記載要領自体、いま見直ししているところですので、その中で先生のご指摘も踏まえて、また検討できればと思います。添付文書自体、法律に基づいて製品に添付していくことになるので、ある程度紙面が限られることもあり、さらにインタビューフォームとか、医療現場にはいろいろな資材を持って情報を届けているところです。
 そういった所に作用機序についての情報を、どのようにコンパクトに提供していくかということについては、併せて検討する必要があるのではないかと。先生ご指摘のとおり、私たちも、作用機序を理解していただくことで無用な副作用を防ぐことができると考えております。極めて重要なご指摘だと思いますので、そういったことがきちんと承認を受けた段階で、医療現場に伝達できるような体制を考えていきたいと思います。

○永井部会長 いまインタビューフォームとおっしゃった書類ですが、私も最近になるまで知らなかったのです。これは日本薬剤師会が持っている資料のようで、非常に詳細に書いてある。副作用のことから作用機序まで、添付文書よりもはるかに詳しい。やはりそういうものを一元化して、よりクオリティーの高いものを作っていくことを、是非これから進めていただきたいと思います。

○七海委員 薬剤師会がインタビューフォームを持っているわけではなくて、我々はPMDAなどからインタビューフォームをいただいているわけです。したがって、それに基づいて患者さんに対してどういう情報提供をするのか、それが本当に副作用なのか現病のためなのかというのを精査していますが、インタビューフォーム自体はメーカーが作られたものです。我々はPMDAに、「インタビューフォームを見せてください」という要求をさせていただいております。

○俵木安全対策課長 補足です。インタビューフォームについては日本病院薬剤師会でフォーマット等も決めております。それに従って、各製薬企業で添付文書に比べるともっと詳細な情報を盛り込み、基本的にそれを病院のDIの先生の所へ届けられることが多いだろうと思います。ですから、もしかすると先生のお手元には届いていなかったのかもしれません。

○永井部会長 これは、おそらくドクターはほとんど知らないと思います。私がザッと見たら、そんなに難しい内容ではなかったので、この程度のことはこれからの医師は知っておくべきだろうと思います。是非、その辺の情報も開示というか、広く普及していただきたいと思います。

○七海委員 インタビューフォームを要求すると、今まではわりとメーカーから出していただいていました。しかし最近はとみに、メーカーは持っているのですけれども出していただけない。それも遅くて、6カ月経たないと出てこないという現実があります。したがって、もっと早くインタビューフォームを出してもらえないかという要求は、我々も再三やっているところです。インタビューフォームを作る、発表する、公開するというスピード感の面では、非常に遅いのではないかという感じがいたします。

○藤原委員 私はインタビューフォーム検討会に委員として参加しています。正しく言わせていただきますと、インタビューフォームは日本病院薬剤師会で記載要領を策定いただき、メーカー代表とPMDAの担当官と厚生労働省のメンバーが入って記載内容の検討を行っています。実際上は添付文書を補完する資料として、薬剤師向けに作られている資料です。したがって我々が実際に作る場合には、添付文書とともに製品情報概要とインタビューフォームの3点を作っています。薬剤師向けということで作っていますので、残念ながら実際にドクターの所には案内されていないと思います。ただ、いま公開されていないとおっしゃいましたが、インタビューフォームは電子媒体での提供を基本としており、PMDAのホームページに電子媒体として全部公開するようになっています。後発品企業もいま、一生懸命作っています。そういう意味では最初にお話したように、患者さん向けに「くすりのしおり」などの媒体もありますので、添付文書を補完するものとして薬剤師向けにインタビューフォームがあるということです。これも日本病院薬剤師会を中心にいま、一生懸命内容を審査頂いているということは付け加えさせていただきます。

○七海委員 それは分かるのですけれども、いまだに6カ月経たないと、オープンにはされないですよね。私もそれはなぜかと。我々も開局の会員に対して、インタビューフォームがまとまったら、重要事項説明等を作り直して情報提供をしているわけです。インタビューフォームを作っている、作っているとおっしゃるけれども、それがいつどこで作られて、どこでいつまでにオープンにされるのかというのは、やはり透明性が必要だと思います。

○望月(眞)委員 もしかしたら誤解があるかと思うのです。インタビューフォームというのは日本病院薬剤師会で、薬剤師が医薬品を採用するに当たって必要な情報を収集する際に、必要な項目を様式として策定して、そこに製薬企業が持っている情報を印刷物として提供されているという状況です。ですから新しい薬が出た段階では、インタビューフォームがもうできているという状況です。PMDAの添付文書のページにぶら下がるのに、少しタイムラグがあるかもしれませんけれども、新製品として発売する段階で、電子媒体あるいは印刷物として手に入らないということは、私は基本的にはないと思います。ただし、これは日本病院薬剤師会が様式を作って企業に依頼しているという形になっていましたので、薬局のほうにインタビューフォームがなかなか行っていないという過去の歴史はあります。たぶん七海委員がおっしゃったのは、PMDAなどにぶら下がるところでのタイムラグがあるということかと思います。

○永井部会長 医薬品のいろいろなレベルの情報が存在して、詳細なものについては、実は現場の医師たちはほとんど知らなかったという問題が、ここにはあるのです。ですから添付文書のあり方を含めて、もちろん簡単に知りたい方から、より詳細に知りたい方まで要求水準はさまざまだと思うのですが、それはITなりネットなりで見られるようにして対応すべきだろうと思うのです。そうすると、誰がそれを管理してクオリティーを保証するのかという問題が、次に出てくるわけです。

○堀田委員 医薬品の承認情報に関しては、PMDAから出ている審査報告書がいちばん確かであると私は思います。副作用も含めて治験のデータは、全部そこに書かれています。しかも作用機序あるいは海外の状況も出ていますので、それがいちばんの基本だと思います。添付文書はそれに基づいて必要な情報をわかりやすく出しているので、もし詳細に知りたいのであれば、審査報告書に基づくべきです。大変詳細なとても長い文書で、よくぞここまで書き込むなというぐらいしっかりしたものが出ています。承認の仕方や基準などについては、個人的な意見がありますが、情報の基本へ戻るとしたらそこだと思います。

○永井部会長 そうすると、審査報告書は現場で薬を使う人たちがわかりやすい形で、もっと再編集して提示する必要があると思うのです。元の審査報告書を読むのはなかなか大変ですから、それをモディファイする。それをこれからどこでしていったらいいのかということになると思うのです。

○堀田委員 審査報告書はPMDAのメディナビで、承認品目ごとに必ず読めるような形で公表はされているのですが、そこまでアクセスする人は少ないと思います。

○望月(眞)委員 先ほどのインタビューフォームについて、もう1点追加させていただきたいことがあります。添付文書というのは承認事項があるという関係で、本当に知りたい情報がなかなか得られないという背景もあり、インタビューフォームでは添付文書に書けないところまで、かなり踏み込んで情報をいただくという性格の部分があります。そういうことがありますので、そのような背景をきちんと理解した上でインタビューフォームを取り扱っていただくことが、現時点のインタビューフォームでは必要ではないかと思います。

○永井部会長 事務局にお聞きしたいのは、添付文書の担保あるいはあり方というのは、どういう状況にあるのですか。今はどういうように検討しておられるのか。

○俵木安全対策課長 あり方というのは、法的にということですか。

○永井部会長 内容です。

○俵木安全対策課長 添付文書にどういう内容を盛り込むかということについては、記載要領が通知で定められており、それに基づいて必要事項を書き込んでいます。ただ、製品に添付してお届けするものになっておりますので、ある程度のコンパクトさも必要です。保険の約款みたいな形になってしまってもいけないので、スペース的な制限があって、必要な情報を盛り込んでいきます。したがって、それにさらに付随するものとしてインタビューフォームとか、その他いろいろな資材が提供されています。また、審査報告書というのは、臨床データの詳細も含めて、かなり膨大な情報が入っております。
 これらはすべてPMDAのホームページで見られるようになっております。例えば、最近では「マイ医薬品集」というシステムを使いますと、先生方がお使いの医薬品をノミネートしておいていただければ、そのインタビューフォームも審査報告書も、使用上の注意の改訂があったりドクターレターが出たりしたものも、一覧で速やかに見られるようなシステムをPMDAで開発して、今年から使えるようになっております。もっと宣伝して、そういった情報を医療現場の先生方に見ていただけるように努力していきたいと思います。

○永井部会長 この辺の検討はまだまだ必要だと思います。有効性についても本当に有効なのか、あるいはいろいろな新しい臨床研究がされたときに、こういう患者さんのこういう所に効果があるという情報が、何とか集約できるようなシステムづくりが必要ではないかと思うのです。その中で副作用の問題を、いかに迅速にピックアップしていくかという話になると思います。そのときに今回、ITを使ったデータベースの活用ということですが、これはどのぐらいの規模で今後どこまでシステムが普及するのか、その点について状況を教えてください。

○俵木安全対策課長 大規模医療情報データベースについては、今年度から5カ年計画で策定を始めたところです。1,000万人規模を目標としており、全国の大学病院を中心とした10の医療機関に参画していただいております。今年は第1号ということで東京大学にシステムの開発を進める予定で、いま作成に取りかかるところです。平成23年度から始まって、平成25年度までに10の医療機関に大規模医療情報データベースを構築する予定です。その後、さらに周辺の医療機関も含めた地域連携を進めていくことで、1,000万人規模の医療情報のデータベースを策定していきたいと考えております。

○永井部会長 これから出てくる薬について、どんどんレジストリーが行われて、副作用がどの程度の頻度でどういうことが起こっているかが、迅速に把握できるということでしょうか。

○俵木安全対策課長 そうです。医療情報データベースをどうやって使うかということですが、いろいろな使い方があります。例えば、新しく出た薬について定期的にデータベースを回すことで、副作用のシグナルがないかということも見つけることもできるのではないかと期待しています。

○永井部会長 この辺のシステム全体を誰が統括して、円滑に動いているかをチェックしていくのでしょうか。

○俵木安全対策課長 この開発自体、厚生労働省とPMDAが実施主体となって作業を進めているところです。出来上がればPMDAがヘビーユーザーになるとは思いますけれども、そのほかに製薬企業も含めて、研究者も含めて活用できるようなシステムにしていきたいと考えております。

○永井部会長 添付文書、第三者機関についてご質問、ご意見はいかがでしょうか。

○花井委員 先ほどの説明はよくわかりました。そうすると、場合によっては届出義務については法文で条文を起こすという理解ですね。条文を起こすのだったら、それに対する行政の権限も書いたほうが、添付文書に対する権限としては明解になるように思うのです。そういう可能性はあるのですか。

○俵木安全対策課長 どういう条文を書いたほうがいいかは、最終的には法制局等々とも相談にならざるを得ないのかなと思っておりますので、そういうご意見ということでお聞きしたいと思います。

○花井委員 第74条の4とか第72条の4とか第69条の3とかは、全部伝家の宝刀で通常は抜かれずに、大体自主的に話が進んでいると。回収命令など、たぶん今までに1回も出ていないですよね。薬害エイズのときの非加熱ですら出なかった。命令で出た回収というのは、たぶんないのではないかと思います。ありましたか。ですから、かなり差し迫ったときに抜かれる伝家の宝刀だと思うのです。添付文書の法的ステータスを規定して、これを援用するというよりも、届出義務という形で条文を起こすのであれば、それに付髄する行政権限として条文を書き起こす可能性があるのであれば、検討していただきたいということです。

○永井部会長 これはある意味、法律で縛ることになるわけですね。

○寺野委員 議論をいろいろ聞いていて、もともとの話に戻って誠に申し訳ないのですが、この部会はあと2回か3回ぐらいですか。12月いっぱいで終わるのですか。

○宮本総務課長 後ほど、最後のところでご連絡いたします。

○寺野委員 予定はいいのです。方向性としては。

○宮本総務課長 いま委員の皆様に確認している日程は11月までですけれども、状況によっては12月も。すでに事務的に確認させていただいているとは思いますが、回数をもう少し増やすということもお願いしなければいけないかと思っています。

○寺野委員 もちろん座長にうまく持っていってもらっているのですけれども、どうも議論が何かちぐはぐ、バラバラかなという感じがしないでもない。もともと添付文書の話と第三者組織の話が一緒になっているところに無理があるのです。先ほど小宮山大臣が言われたことは非常に重要です。重要なことだというのは、この部会は、前に2年間かけて23回やった検証委員会の内容について、その実現をどのようにしていくかということだと、はっきり言われたわけです。もちろん私もそのつもりで参加しています。しかしその中にはいろいろなことがあって、少なくとも6つ7つの重要な課題があるのです。全部は無理だろうということで、いまは添付文書の問題と第三者組織が、あまりかかわりなく議論されていると思うのです。
 先ほど片木さんが、もともといっぱいあるので、こんなことばかりやっていても困るとおっしゃったけれども、すべてはできない、限度があることは確かだと思います。結局、小宮山大臣が言われたことをそのまま取ると、最終提言の内容をいかに実現するかということです。あの検証委員会は基本的に安全性を中心に置いています。安全性をいかに確保するかというのが、いままでの歴史の中でも問題になっていて、そのシステムとして添付文書も第三者組織も1つの例なのです。
 ところがこの議論を聞いていると、最終提言ではあまり議論しなかったけれども、重要な問題であるドラッグ・ラグあるいはデバイス・ラグの問題が、いきなり全く同じレベルで出てきているのです。ドラッグ・ラグとデバイス・ラグの問題と安全性とが、まさにぶつかる形で出てきている。本来、これらは決して矛盾するものではないはずなのに、なぜか矛盾するような格好で出てきているのが、私は非常に不満というか、奇異な感じを受けています。ドラッグ・ラグなどの迅速性の問題というのは、おそらくほかの所でも議論されていたと思います。もし議論されていないのなら、それを中心にしっかりと議論して、そこから案が出ていく。最終提言のほうは安全性を中心にやってきたわけですから、お互いのところでやっていかないと、いきなりぶつけてしまったら矛盾するに決まっているわけです。私はこれをあと2回か3回の間に片付けるなど、とてもではないけれど無理だろうと思うのです。

○永井部会長 しかし先生、それは結局バランスの問題ということで、同時に議論しても私は悪くないと思います。

○寺野委員 議論するのはいいのです。検証委員会の場合は、基本的にフィブリノゲンの問題などを中心にやってきたわけです。もちろんイレッサなどの抗がん剤の問題もあるのですが、それはあまりやらなかった。ところが片木さんなどががんセンターの問題を出されたのは、抗がん剤の問題ということで、おそらくそれが中心だと思うのです。そういうことで迅速性にラグがあるために患者さんが苦労をしている。両方とも苦労しているのですけれども、次元が違うところで議論しているものを持ってきてぶつけているものだから、それで1つにまとめようというのは、私は非常に抵抗を感じています。
 しかし、そのようなことを言ったら元も子もないということで、私は元へ戻るつもりはないけれども、あと2、3回でこれをどうやって片付けるかというのは、私は非常に疑問に思います。ですからインタビューフォーム等々の議論もいいけれども、今それをやって具体的にどういう形で薬事法の改正に結び付けられるのかと思うのです。この議論を全部駄目にするつもりはさらさらありませんが、その辺は意識していただかないと、このままの議論の中で「薬事法の改正はこうします」と言われたのでは、トップダウンでポンと持ってきたに過ぎないではないかと、みんなが受け止めても仕方がないのではないですか。これは私の感想です。
 もちろん、こんな時期にこんなことを言ったらいけないことはわかっています。しかし、もうちょっと何か。具体的に言ったら、片木さんの議論と坂田さんの議論には相当ずれがあると私は思っています。両方ともおっしゃることは分かる。両方とも正しい。しかし、これをいかに合致させるかというのは、それぞれしっかりした議論をした上で持ってこないと、ここでぶつけていても、双方理解した上での決定にはならないと思うのですが。

○永井部会長 しかし、どこかではぶつからないといけないのです。それがやはりこの場だと思いますよ。

○寺野委員 座長のお考えがそうならばそれでもいいのでしょうが、うまくまとめてほしいものです。

○片木委員 寺野委員がおっしゃっていることもわかるのですけれども、薬害肝炎検討会に患者は入っていないではないですか。患者というか、いわゆる治療薬を求める側のユーザーが入っていないという気がします。もちろん薬害被害の皆様も、いま治療薬を使っていらっしゃるのはわかりますけれども、一部の薬害被害の皆様は、治療薬に関しては迅速審査で行われていて、早く承認されているという現状もあるわけです。実際に私たちは治療薬を待っている。
 薬害肝炎検討会というのは、関係者及び医療者も含めて検討されてはいましたが、私たち治療薬を求める側の患者は入っていない。実際に世の中に出てみたらパワーバランスというか、人口比であれば私たち患者も世の中に生きているわけです。ですから座長が、こういう場で議論をしていいバランスのところに落とすとおっしゃるのは、当然のことだと思うので、ここで議論する必要があるのです。私も薬害が起こっていいとは思っていないし、何でもかんでも承認しろとは思ってはいないです。より有効で安全な薬を求めているという気持は皆さんと一緒ですから、逆にここで議論しないでどこで議論するのかと思ってしまうのです。

○寺野委員 バランスの問題とか、おっしゃることはわかるのです。検証委員会は23回もやりましたけれども、その中でドラッグ・ラグについてはそんなに詳しく議論していない。議論してきたのは、フィブリノゲンなどに起因する薬害肝炎のことについて話してきたわけです。片木さんがおっしゃるのは、特に抗がん剤の問題で言っているわけで、それは安全性の議論の中でもわかるわけです。しかし、そこをぶつけ合って一体どういう薬事法改正になるのか。

○永井部会長 しかし、それ以外にも澤先生から医療現場の問題とかデバイスの問題とか、いろいろあったわけです。これらを全部考慮しないと、なかなか道筋は見えないだろうと思うのです。

○寺野委員 そうだとすれば、やはりそういう問題を両方で議論して、こういう問題点があるということで、それぞれまた持ち帰って、何らかの形でそこをしっかり議論した上で、もう一度持ってくるということにしないと結論は得られませんよ。これをまた1年やるというのなら話は別ですよ。

○片木委員 そうはおっしゃいますけれども、やはり再生医療だって医療機器だって、薬事行政には多くのものがあって、私も抗がん剤だけがよければいいという発言はしていないわけです。今日もミオパチーの患者さんの要望を出しているのです。この要望書を頭から読んでもらいたい。本当に切実な問題なのです。この治療薬がなかったら患者さんは生きられない。日本で治験の死の谷に落ちて行っている治療薬というのはたくさんあって、そういうところをどうしていくかというビジョンで、日薬連の皆様も出されていますが、オーファンの問題をどうするか、ウルトラ・オーファンに関してどうしていくかということを議論したいのですけれども、毎回毎回、第三者機関何々というように。
 寺野先生もご認識されているように、残り時間は本当に回数が少ないのです。その中でその議論にバランスが寄っていて本当にいいのかというと、私はそうではないと思います。もっと大事なこともあるのだから議論をしてください。そうでないと、ここにいる委員の皆さんは、専門家ですけれども、皆さんが本当に胸を張って「議論しました」と言えるかという状態だと思うのです。もうここ3回で私たちは、いわゆる免責の問題なり、日本の医薬品行政は米国や欧州とは違うというところも、散々提示してきたと思うのです。何か同じ議論を毎回しているような気がしてならないのです。

○寺野委員 私がこんな議論を出したからおかしいのかもしれないけれども、やはりそのことを認識した上で、議論を進めていかないといけないのではないかということを述べているわけです。何もこの部会の結論をバラバラにしようと思って言っているわけでは全くないのです。

○永井部会長 まだ条文の案分が出ていないですよね。ですから、それぞれのお立
場に基づいた文を次に出してもらって。

○寺野委員 あと2、3回と言われるので、大丈夫かと言っているわけです。

○永井部会長 まず、とにかく出していただいて、それを見て考えるということしかないと思います。坂田委員や寺野委員がおっしゃるような立場から文を作るとどういうことになるのか、片木委員やほかの委員の立場から作るとどうか、それを出して次回に議論をするということでいかがでしょうか。

○坂田委員 前から「出してくれ、出してくれ」と部会長も言われるし、寺野委員も言われるし、ほかの委員も言われるけれども、全然出てきませんよね。事務局、どうされるのですか。いつ出されるのですか。そこがないから結局こんなことになるのです。答えていただけませんか。

○宮本総務課長 論点という形のものを1回、6月か7月に出して、その後、具体的なというご指摘をいただいて、資料1のような形で現在進行しているということです。条文化は政府の中の関係する所でいろいろ相談することですから、条文そのものをお示しするということは、我々としても非常に苦慮するところです。しかしながら、いまお手元にお配りしているたたき台というのは、条文とそれほど離れたものにはなっていないと思います。逆に、方向性についてはこういう方向性であるべき、こうしたらどうか、これについての論点がどういうところなのかということについては、部会としての方向性を示していただけないと、何をどうするか、我々も書きづらいというところはあるかと思います。

○坂田委員 では前回、私が意見を出したものは全く無視されていますけれども、それはどういうことですか。

○宮本総務課長 今回はたたき台という形で出しましたけれども、私どもも行政の枠内でやっています。いろいろなルールの中で縛られて仕事をしているわけです。その中で可能性のある部分で作ろうとすれば、こういう案だというたたき台ということですので、これについて至らない点は、ご指摘いただければと思っております。その中でも、どうしても出来ることと出来ないことがあるというのはご理解いただきたいと思います。いま出している中でここをどう改善すればいいか、あるいは今回のご意見としては、お話にならないというような、完全に賛成できるところはないというようなご意見をいただいているかと思うのです。しかしながら行政としてできる範囲のことでやろうとすれば、こういう案ではないだろうかということで出させていただきました。これまでも説明したところを出させていただいたところです。無視したつもりは全くありません。

○花井委員 事務局が言うように、この紙からすると、括弧が付いていない部分は条文を起こすという趣旨だと思うのです。先ほど片木さんが言われたオーファン・ドラッグ法の2階建てオーファンと言うのですか、ウルトラ・オーファンと通常のオーファンのような制度化も、条文を起こす所に書いてあります。治験の拡大部分も、どうも条文を起こすほうに書いてある。
 それから優先審査の話です。医療上必要な医薬品・医療機器の開発についての検討会をやっていて、その検討会とは別に法を起こすというところで出ているのです。優先審査権の付与というのは2のオーファンもそうですが、例えばオーファンを開発したメーカーが優先審査権を譲渡して、それによって開発費を負担できるような制度設計まで考えているのかどうかをご質問します。
 それから、いわゆる人道的使用というのが議論になったと思うのです。4頁の(2)で、最終的に究極のドラッグ・ラグの解消は治験薬だと、片木さんは言っています。私なども患者会として、治験薬が横にあっても涙を飲んで指をくわえている患者を何人も抱えていて、それを何とかしたいと思っているので、そんなに立場は違わないと思うのです。治験薬を渡すほうで、ちょうど赤川さんが課長になって戻ってこられています。当時あった拡大治験と治験の外でやるのと、制度的にどういう設計がイメージされているのかが、これだけでは分からないので、その説明をしてほしいというのが2点目です。
 レギュラトリーサイエンスについては、今年の8月19日に出た科学技術基本計画以降、「レギュラトリーサイエンス」という言葉がバブルになっていて、それがちょっと気になるところです。3で、薬事法にレギュラトリーサイエンスのことを書くつもりなのかというのが、もう1つの質問です。
 それから語法についてです。3で「レギュラトリーサイエンスを業務として追加することを検討する」と書いてあるのですけれども、いわゆる科学技術基本計画におけるレギュラトリーサイエンスという概念の語法とここの語法は微妙に違うのです。この文章自体が一人歩きすることはないと思いますが、そこは質問です。つまり3が、レギュラトリーサイエンスをやることが、薬事法改正に直接法を起こす話として考えているのかということをお聞きしたい。以上、4点の質問です。

○赤川審査管理課長 第1点目の優先審査権の付与の関係についてです。ここに、「医療上特に必要性が高いが、企業による開発が進みにくい医薬品・医療機器について、迅速な開発を促すため」と書いてあります。ご指摘のとおり、そういう権利を譲渡するというアメリカでの仕組みの例がありますので、そういったことに倣うとすれば、例えば譲渡によってベンチャーなどが開発して優先審査権を付与されて、それを譲渡して資金的にベンチャーが、さらに有用な薬を開発していけるという好循環が生まれるということはあります。仮にそういったものを導入するとすれば、そういったことも想定されるということです。
 2点目の2.の(2)の医療上必要な医薬品・医療器機へのアクセスについては、特に今日はなお書きで書かせていただいたところです。特にアクセス制度の趣旨を踏まえて、対象疾患の範囲や対象薬物の範囲、あるいは安全性を確保するための仕組みの構築です。具体的には対象医療機関をどうするのか、副作用が出た場合の補償については、いわゆる薬事法の治験であればスポンサーの責務になっているけれども、そういったことをどうするのか、安全性情報の収集方法についても、薬事法の治験に準じてどこまでやるべきかといったところも、関係者の中でもいろいろご意見があろうかと思います。私どもも制度設計をする際にはここである程度ご議論いただいて、そういった意味で制度設計をさせていただきたいと思っているのです。今日はペーパーに※で、「議論を行う必要がある」と書かせていただいているので、どうかよろしくご議論をお願いいたします。

○永井部会長 話がアクセス制度のほうへ飛んだのですが、これはどういうことですか。いままで「コンパッショネート・ユース」と言っていた話でしょうか。説明していただけますか。

○赤川審査管理課長 ここに「アクセスできる制度を検討する」と書いてあります。「承認取得のための開発(治験)を阻害することなく、致死的な疾患や日常生活に著しい支障がある疾患であって、その医薬品等を使用する以外に治療方法がない疾患等、医療上の必要性が高い未承認の医薬品及び医療機器について、一定の条件の下、治験の参加基準に外れる」というのは、いわゆる薬事法に基づく承認申請の添付資料になるような試験成績やデータにならないプロトコールでやられているということです。参加基準に外れるなどの理由で治験に参加できない患者に対してのアクセスということです。
 コンパッショネート・ユースというのは、アメリカで「コンパッショネート・ユース」と言われているジャンルがあります。別に私どもはそれをそのままということで申し上げているのではないのです。これは検証委員会でのご提案も受けて、そこを膨らませてこういう形で書かせていただいているわけです。法律的に考えますと、今ある治験の枠組み、承認申請のために使われる資料を「治験」と言っているわけですけれども、それ以外のものを法律上手当てするということになりますと、それ以外の臨床試験というジャンルを設けるかどうかという点になるわけです。なお書きの制度の趣旨の所で書いてある点、対象疾患を絞る必要があるのではないかとか、対象薬物の範囲をどうするのかといったことを、関係者の間である程度イメージとして、コンセンサスの得られる範囲で制度設計をしたいというように私どもは考えております。それで今日、ご議論をお願いしたいと申し上げている次第です。

○永井部会長 これに関しては。

○花井委員 法律で起こすつもりのものが、括弧書き以外にもあるという理解をした上で、これがここに載っているというのはかなり画期的というか、大胆な。これは夢のような制度なのです。そうするとコンパッショネート・ユースの話は、概念としては医療上必要な医薬品としてエントリーしたけれども落ちた、もしくはエントリーしてどこか開発者を探しているけれども、時間がかかっている。これを何とか届けようというのが、コンパッショネート・ユースの中に入ると思うのです。
 いま(2)で言われているものが、アメリカの制度の概念の部分集合になるのか、別の集合になるのかは概念論なのであれですが、コンパッショネート・ユースに関する条文は、今回は特にないようですけれども、これは今までの議論からは外れているのではないかと。薬事法に対応しなくてもいいのであれば、書いていないのかもしれないというところです。それはどうですか。いわゆる医療上必要と認められて開発は進んでいるけれども、開発は2年後である、2年間待てない患者がいましたと。向こうでは認可されている、これを何とか使えるようにしようという制度は、今回、法文上その中には含まれていないのですか。

○赤川審査管理課長 法文はまだ検討しておりません。ですから、ここでご議論いただきたいとお願い申し上げているわけです。

○七海委員 アクセス制度で必要な医薬品・医療機器を、早く患者さんに届けなければならないというのは、間違いないことだと思います。それに安全性を担保するというのも、間違いないことだと思います。そうしますと今後、3の医薬品等監視の強化についてが、別途取り組むべき事項として、2番に、薬監証明のデータベース化に取り組むべきというのがありますが、別途ではなくて同時に取り組まなければならないのではないかという思いがあります。
 もう1つは添付文書に戻って、思いだけを言わせていただきます。私は、検討案としてはよく練られているという気持でおります。しかし、いわゆる各学会がガイドラインを変えた場合、例えば抗ウイルス剤などでも添付文書上は小児には駄目となっているのに、産婦人科学会などの学会で使ってもいいというガイドラインが出た場合、いまは反映されていないですよね。全く前のままです。そういったものに対しても改善命令が出せる。ここにないので、学会でガイドラインが変わったときにどうするのかが見えてこないというのが1点です。
 2の2についてもう1つ言わせていただきます。強化ポイントの3はもう非常にありがたい。安全性に対しては非常にいいことだと思っております。しかしながら、いろいろな安全管理システムが乱立しています。それが薬価という形で患者さんの大きな負担になっているのではないかと思っております。したがって、これをやっていただくためには、患者さんが使えるように、高くなくて、経済性はどうなるのかということも念頭に置きながら、こういうものを検討していただけたらと思います。安全性は高いけれども、費用は高くならないという方法も考えていただけたらと思います。その3点だけお話したかったのです。

○堀田委員 いまの点はそれで結構だと思います。私もこの会議に参加して何回かになるのですが、何となく居心地が悪いというか、自分は何のためにいるのだろうと、ときどき自問しながらいるところもあるのです。それはなぜかと申しますと、この会の成立ちとして薬事法全体をもう1回見直して現代に合う形に整えましょうという、そういう理解で私は参加させていただいているのです。それが特定の議論だけに集約されて、それ以外の議論はできない雰囲気というのが、私は非常に問題だと思います。確かに最終提言は非常に大事な提言ですし、その中にはいろいろな重要なことが盛り込まれていますので、もう少し幅広い議論ができてもいいのではないかと思っています。今回はあまり時間もありません。いろいろな批判はあるかもしれませんが、私は事務局がまとめたたたき台はとても画期的な踏込みをしていると思っています。そういう意味で項目が1、2、3と個々に大きく分かれますけれども、回を区切ってこの回はこのことについて、その次はこれというように議論を確実にすすめていただき、元へ戻る議論はやめていただきたいと思います。

○原澤委員 医療機器についてですが、参考資料を出させていただいておりますので、資料内容についてお話しをさせて頂ければと思います。いままで片木委員をはじめ、何人かの委員からも発言がありましたが、医療機器の立場でも皆様と同じように薬事法を何とかしなければならないと強く思っているところです。改正薬事法ができて7年、いろいろやってみて、安全面とか、デバイス・ラグの面からも、もっとこうあったほうがいいのではないか、ここは少し問題だとか、と常々思ってきたところです。そういった意味で今回、今までのことをいろいろ精査して、まとめて「提言」としたものです。参考資料は3-2と3-3ですが、結構ページ数のある資料ですので、要点だけ述べさせていただきます。
 まず、全体にかかわることとして、いままでも常にお願いしていることです。「医療機器の特性に合った法であってほしい」ということです。性格の異なる医薬品との分離、別の章立てにして、わかりやすくしていただきたいと思っております。最近は新規参入の企業も非常に増えております。そういった意味では何よりもわかりやすいことが遵法を促して安心・安全につながると思いますので、その点は是非、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、QMS、「品質管理システム」についてです。医療機器の品質を担保するには、このQMSが最も重要だと思っております。ところが日本では、国際標準であるISO13485と、合っているようで根本のところが少し異なっているのではないかと思われます。そのために重複してQMS調査が行われたり、品目承認に当たって時間も費用もかかったり、結果としてデバイス・ラグが起こるようになります。また、「業」についても外国が登録制であるところ、日本は許可制ですので、工場が移転したり合併したりしますと、手続に時間がかかって、そのために製品がショートして安定供給に支障をきたすということも心配されます。ISO13485は極めて包括的なものですので、これに基づけば医療機器の承認や一部変更に対応しても、民間の認証機関をいま以上に活用することも可能だと思います。是非、国際整合が取れた形になるようにお願いしたいと思います。
 資料ではこれらのこと、他の様々な課題解決の個別事項を、条文に分けて詳細に示しております。第12条、第13条、第14条が主なところです。是非ここでの提言を取り入れていただくとともに、今後引き続いて行われるであろう政令・省令の見直し、運用検討においてもこの趣旨に沿った形で検討していただくようにお願いしたいと思います。今までの議論をまとめてすぐに法文にするという話が出ていますが、これだけでは我々が思っているところには足りないという部分も多々ありますので、是非私どもが提言した資料をご覧いただいて、ご検討いただきたいと思います。

○永井部会長 それでは事務局でいまのご提案のところを、次回までに取り入れた形でたたき台を作っていただければと思います。

○澤委員 この2.の医療上必要性の高い迅速審査、承認というのは、私たちも非常に評価させていただきました。まだ内容的に詰まっていないのはよくわかりますので、これを是非詰めていただいて、いい形にしていただきたいのです。前回も申しましたが、再生医療に関しては、まだまだこれからの発展途上ということもあって、なかなか条文にまで盛り込みにくいことは、理解しているつもりではあります。参考資料3-7を見ていただけたらと思います。やはり再生医療製品の位置づけというものを今後、是非考えていただきたいのです。特に再生医療の特性を踏まえたレギュラトリーサイエンスを推進させながら、データを蓄積させて、最終的には薬事法の中に再生医療製品も医療機器に次いで位置づけていただきたいと。
 再生医療製品の審査というのは、まだ1件しか承認されていません。現在、オンゴーイングの審査がいくつかあるとは聞いているのですけれども、やはりPMDA側でも大変な状況になっているということは理解しておりますので、前から申しておりますように、是非審査ガイドラインを策定していただきたい。もし可能であれば、国のほうで国費で委員会を作っていただきたい。また、早期から専門家が審査に関与することが非常に重要かと思っていますので、その点を盛り込んだ形でのガイドラインを作っていただきたいと思います。
 それから早期・探索的臨床試験拠点が整備されて、今後も続くのですけれども、その中で医師主導治験というのが非常に重要な位置づけになっています。臨床研究のレベルを上げつつ、シームレスに治験につなごうとしたら、やはり医師主導治験をより推進する。そうした場合、現状でのトゥーマッチな感じになるGCPレベルではなくて、ICH-GCPで薬事戦略相談が始まっていますので、それをうまく活用した迅速な医師主導治験の審査体制の整備を、是非お願いしたいと思います。
 再生医療の自由診療というのも、いろいろ問題があります。以前、枠組み検討会で永井部会長が委員長をされて、一応通知は出たのですけれども、その通知というのがもっと遵守徹底と同時に、培養施設や培養人員の要件の策定も必要ではないかと議論しています。
 最後は、レギュラトリーサイエンスについてです。いまは開発の段階からレギュラトリーサイエンスを取り込むことにより、迅速な製品化につながるという観点は、いろいろなアカデミアの中でも非常に重要視しております。それを推進する意味でも、また人材育成も含めたPMDAの方々との人事交流は、人員の増員だけでなく、PMDAの方々にインターンシップ的に医療の現場をもっと見てもらう機会が重要ではないかと思っています。逆に我々アカデミアがもっと審査の現場を教えていただくというか、経験することは、非常に重要だと思います。そういう意味で人材交流を進めながら、レギュラトリーサイエンスのベースのところもしっかりやっていくというのが、非常に重要かと思っています。この辺りを是非、ご議論いただきたいと思っております。

○長野委員 製薬産業として、この部会を大変重視しております。その上で参考資料3-5に、要望書を取りまとめております。今日はいちいちこの中身に触れるようなことはしません。しかし、ここには添付文書も含めて、私どものさまざまな積極的な考えを述べておりますので、是非とも今後、参考以上のものにしていただきたいと思います。ただし、ここに含めていないものもありますので、3点だけ申し上げます。
 ご議論のある資料1、医療上必要性の高い云々の2番、迅速な承認等についての(1)の優遇措置です。優遇措置については、本当に実効の上がるものにするために、よほど検討しないとならないと思います。ここは産業界の意見も十分聞いていただいて、これは具体的な話になりますから、たぶん部会以外になるのでしょうか、そういう場を是非つくっていただいて、実効の上がる優遇措置にしていただきたいというのが1点です。
 レギュラトリーサイエンスについては、要望書には入れていません。基本的には同意しますので、是非いろいろな検討を進めていただきたいと思います。
 最後に、いわゆる医療上必要な医薬品のアクセスについてです。米国などのコンパッショネート・ユースを日本の現状にそのまま入れたときに、果たしていい制度になるかというのは、やはり十分検討されなくてはいけない。私どもとしては産業界のサイドに立って、コンパッショネート・ユースを日本に入れたときに、どういうことを検討しなくてはいけないかというのを、意見書や要望書にまとめてありますので、こういうことも参考にしていただきたいと思います。これもひょっとしたら、この部会以外の具体的な議論の場が必要だと思います。是非、そういう場を積極的に作っていただきながら、この部会につなげていくような工夫をしていただきたいと思います。

○片木委員 澤委員と長野委員の発言については私も同意します。お願いしたいことがあります。臨床試験拠点病院、早期・探索の拠点病院というのは、いわゆるCRCの拡充とか治験に対するいろいろな安全対策を講じなさいということを、厚労省がとても熱心にやっていただいた画期的な取組みだと私は感じております。医薬品のアクセス制度に関しても、どういう形で患者さんがそのアクセス制度を受けられるのか、1つの参考になるような気がしますので、その辺の資料も是非、次回に提示していただければと思っています。

○鈴木委員 いま、アクセス制度の話が出ました。たたき台の3の医薬品等監視の強化の(2)の2の個人輸入で、アクセス制度を検討するということですけれども、アクセス制度というのは、先ほどの、2の医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認等についての2での説明では治験があった上でのアクセス制度というように理解しました。このアクセス制度と、医師等による個人輸入、その他の個人輸入とに分けているところです。個人輸入もだいぶ広がっていますし、それぞれ安全性の担保をどう取っていくのか、この辺をもう少し書き込んでいただければと思っております。

○望月部会長代理 この会の運営についてです。私自身は、この資料1の方向性というのは非常によくできていると思いますし、この方向はいいと思うのです。ただ、いつもここの会議で坂田委員の話とぶつかってしまうと、先へ進めないということになりかねないのです。事前レクは必ずあると思います。そのときにどこまでの要望を出し、事務局としてはどこまで受け入れ可能であるかなど、もうちょっと突っ込んだ事前レクをやっていただきたい。大切な問題であるからこそ、会議の場では事前レクのまとめを話していただくような形で進めないと、あと2、3回ではとてもまとまらないような気がするのです。その辺りは是非、事務局にお願いしたいと思います。

○寺野委員 後ろ向きにみえる発言をしてごめんなさい。そういう意味でもないのですが、小宮山大臣のご発言があったので感じたことだったので、それはいいです。いつも澤委員もあまり時間がないのですが、第三者組織もいつも時間がなくなってしまう。ですから次回は、できればこちらから始めていただくとありがたいと思います。

○永井部会長 先ほど事務局が答えていましたように、がんと肝炎はどうだったのかということを、次回にご報告いただいて、それを踏まえて議論すべきだろうと思います。
 時間が過ぎましたので、ここで終わりますが、やはりいつも添付文書の法制化の問題ですね。前回は、これを全部法律で縛るよりも、いかに安全性情報を迅速にピックアップするか、そこに対して国の責任を負うということだったと思います。ですから、その方向でまず1つの柱を立てたいと思います。もちろんそれ以外の考え方もあっていいと思いますけれども、そこをどういうように両立させるか、あるいは別の案にするのか、事務局のほうでまた案文を作りながら考えていただきたいと思います。次回は、今いろいろなご提言がありましたので、積み残しになっている部分を中心に議論したいと思いますので、よろしくお願いします。では、事務局から連絡事項をお願いします。

○宮本総務課長 次回は11月16日の水曜日、18時からです。場所は専用18~20会議室です。部会長からご指摘のあった点について、資料を用意させていただき、ご議論をお願いしたいと思います。また、先ほど部会の中ですでに申し上げましたが、12月の日程調整についても事務的に、いろいろご連絡やご無理をお願いしているところです。申し訳ございませんが、何とぞご協力をよろしくお願いいたします。

○永井部会長 それでは、本日はこれで終了いたします。長時間ありがとうございました。


(了)
<照会先>
医薬食品局総務課: 03(5253)1111(内線2713)

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