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2011年4月21日 第2回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会議事録

医薬食品局総務課

○日時

平成23年4月21日(木)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省16階 専用第17会議室


○出席者

片木委員 坂田委員 澤委員 鈴木委員
寺野委員 永井委員(部会長) 長野委員 七海委員
羽生田委員 原澤委員 藤原委員 堀田委員
望月(正)委員(部会長代理) 望月(眞)委員 山本委員

事務局

間杉医薬食品局長 平山審議官(医薬担当) 中垣総務課長
成田審査管理課長 俵木安全対策課長 國枝監視指導・麻薬対策課長
横幕医薬品副作用被害対策室長 関野医療機器審査管理室長 山本薬事企画官
佐藤安全使用推進室長 宿里監視指導室長

(独)医薬品医療機器総合機構

川原理事(技監)

○議題

1.医薬品等関係者の安全対策への取組みの促進について
2.その他

○議事

○永井部会長 定刻になりましたので「第2回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会」を始めます。本日は、委員の皆様におかれましては、ご多忙の中ご出席を賜りましてありがとうございます。議事に入る前に、事務方から本日の委員の出欠状況についてご報告をお願いします。

○中垣総務課長 本日も前回と引き続き狭い会議室で、先日の震災以来、会議室の多くはいろいろな所で取られておりまして、非常に狭い所で恐縮ですので、お詫びいたします。
 本日の委員の出欠状況は花井委員がご欠席です。そのため、本日は委員15名のご出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令の規定によりまして、定足数に達しており、会議が成立することをご報告いたします。
 続きまして、前回欠席されていた委員の方々をご紹介いたします。獨協学園理事長・獨協医科大学名誉学長の寺野彰委員です。

○寺野委員 寺野でございます。よろしくお願いいたします。前に肝炎の再発防止の薬事行政についてのあり方委員会の座長をしておりましたので、時々発言させていただきます。よろしくお願いします。

○中垣総務課長 なお、寺野委員は、審議の途中退席と聞いております。続きまして、日本医師会副会長の羽生田俊委員です。

○羽生田委員 羽生田でございます。よろしくお願いします。

○永井部会長 事務局から資料の確認をお願いします。

○中垣総務課長 資料の確認をさせていただきます。1枚目は「議事次第」、次は「座席表」です。資料1は、本日事務局から主として説明いたします「医薬品等関係者の安全対策への取組みの促進について」です。資料2-1から資料2-5は、資料1の各検討項目につきましての詳細な参考資料です。資料3は、肝炎委員会の最終提言への対応表です。参考資料1は、当検討部会の委員名簿です。参考資料2は、坂田委員と花井委員の連名で、この部会の進行についての意見書を提出していただいたものです。参考資料3は、片木委員からの意見書です。参考資料4は、本日ご欠席の花井委員からの意見書です。参考資料5は、長野委員及び藤原委員からの意見書です。参考資料6は、坂田委員から意見書を提出していただいておりますので、委員の皆様方に配付しております。本日配付している資料は以上です。資料に乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
 前回の配付資料及び議事録につきましては、机の上に置いておりますので適宜ご参照願いたいと思います。以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。それでは議事に入ります。前回、第1回の部会で、委員の皆様方にご了承をいただいた「今後の検討の進め方」に従いまして、本日は、医薬品等関係者の安全対策への取組みの促進につきまして、自由討論とさせていただきます。事務局から、資料1を使ってご説明をお願いします。

○中垣総務課長 資料1の1頁をご覧ください。「医薬品等の安全対策の現状等(イメージ)」につきましては、厚生労働省及びPMDA、製造販売業者、医療関係者の関係で、どんな安全対策がとられているか。それと併せて、実際の利用者、使用者である患者(国民)と医療関係者を図示したものです。それぞれ1からの数字が、2頁以下の項目に対応しているものです。各項目の下に「最終提言」と書いてあるのは、先ほどの肝炎委員会の最終提言に盛り込まれた事項です。順次、各項目について説明いたします。
 3頁の1「薬害発生・拡大防止の理念」です。「最終提言」では、医薬品行政に携わる国、総合機構、地方自治体や医師、薬剤師、歯科医師等の医療関係者の薬剤再発防止のための責務等を明確にすることは不可欠であり、薬事法に明記する等の見直しを行うべきということです。「薬事法第1条」の「医薬品等の目的」に「品質、有効性及び安全性の確保」を「安全性、有効性及び品質の確保」ということで、「安全性」を前に出したらどうかというものです。
 「現状」は、現行の医療法には、医師、歯科医師等医療の担い手の責務として、医療の担い手は医療を受ける者に対して適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得る等の努力義務が規定されているところです。なお、薬事法におきましては、医師、薬剤師、歯科医師等医療関係者の責務に関する規定はありません。
 「留意点」については、私どもが思いついたものを書いておりますので、これに縛られるものではありませんが、1つには、現行の医療法に規定されている「医療の基本理念」及び「医師、歯科医師等の責務」等の規定との整理について検討が必要ではないかということです。また国、地方自治体の責務及び消費者の役割が明記されている「食品安全基本法」の規定も参考になるのではないか。
 便宜上、関連が深いので、2と3も併せてご説明いたします。2「医薬品等を使用するにあたっての患者(国民)の役割」です。「最終提言」については、例は明記されておりません。「論点」としては、医薬品等がより適切にかつ安全に使用されるためには、医療関係者から患者への説明だけではなく、医薬品等を使用する患者(国民)自身が、副作用の存在など医薬品等に対する理解を深め、自ら納得した上で医薬品等を使用するなど、患者(国民)の果たすべき役割があるのではないかということです。
 「現状」は、1とも重なっていますが、医療法では医療の担い手の責務が努力義務として規定されております。ですから、薬事法にはないのですが、薬剤師法には、調剤時に患者等に必要な情報提供を行う義務が規定されているところです。また患者、消費者からの副作用情報を収集し、安全対策に関しての事業を実施するための研究班におきまして、実証研究を行っています。その成果をもとに、PMDAにおきまして、平成23年度から報告事業を開始する予定です。なお、患者向け医薬品ガイドや重篤副作用マニュアルなど、患者が副作用に役立つための資材を厚生労働省のホームページにおいて提供しております。
 「留意点」につきましては、患者が役割を果たすために役立つ安全確保のための新しい情報に患者がアクセスしやすい情報提供の環境整備をどのように行うべきか。あるいは、1にも共通しておりますが、「食品安全基本法」の規定が参考になるのではないかということです。
 5頁の3「医療関係者から患者に対するリスク情報提供の責務」については、「最終提言」で指摘されています。医薬品・医療機器の安全性確保のため、医療関係者が患者に対して国内外の有効性・安全性の根拠を踏まえた、最新かつ必要な情報提供を行う責務を明確化すべきということです。早期に患者に告知することにより、適切な治療を受けることが望み得るような一定の副作用等については、因果関係が不確かな段階においても、個々の患者、国民自身がその副作用等の発現について知り得る方途の在り方を検討すべきであるということです。
 「現状」は、薬事法の第77条の3の規定に、情報収集等努力義務規定がありますが、医療関係者から患者への情報提供については、直接薬事法上は規定がございません。製造販売業者から医療機関への義務とか医療関係者の情報収集の努力義務、3に書いてあるようなものです。ただし、特定生物由来製品につきましては、薬事法第68条の7におきまして、その使用にあたり、患者への説明と理解等が医療関係者の努力義務とされております。通常、医療関係者から患者への情報提供については、添付文書を基本として、必要な情報を患者に提供することが期待されているが、個々の医薬品の承認時に後述の4の「審査・承認後に判明したリスクへの対応の強化」にあるように、通常の情報提供に加え、患者向けの情報資材等を医療関係者から患者に提供することが条件等とされている医薬品もあります。
 6頁、医療関係者の情報の入手の手段など、製造販売業のMRによるものが主体だが、「PMDAメディナビ」などの情報配信サービス等の利用も期待されています。総合機構が、患者向けに情報提供ホームページを開設しております。詳細につきましては、資料2-1にありますので、併せて参照いただければと思います。
 「留意点」につきましては、患者へのリスク情報については、医療関係者の理解の下で、患者との信頼関係に基づいて、医師・薬剤師が診療時に積極的に提供することが原則ではないか。一方、患者でも理解できる内容の資材については、統合機構等の信頼できる情報源からの提供も促進されるべきではないか。患者へのリスク情報の提供の範囲についての整理が必要。副作用すべてを患者に提供することが現実的に可能かどうかなど、そういった使用後にわかったリスク情報、副作用など内容を患者がどこまで実施可能か。インフォームドコンセントとの関係を整理する必要があるのではないか。
 7頁以降が1~3に関係する条文をまとめたものです。最初は医療法です。先ほど申し上げましたように、第1条の4の規定がありまして、「医師、歯科医師等の責務」ということで、医療提供者の責務が書いてあります。インフォームドコンセント等のものです。
 8頁が食品安全基本法です。平成15年に成立した法律で、いわゆるBSE問題が起き、食品安全委員会を作った際に併せて法律ができております。この法律には、第6条、第7条、第8条と「国の責務」「地方公共団体の責務」「食品関連事業者の責務」ということで、それぞれの責務が書いてある後に、第9条に「消費者の役割」という形で、「消費者は、食品の安全性の確保に関する知識と理解を深めるとともに、食品の安全性の確保に関する施策について意見を表明するように努めることによって、食品の安全性の確保に積極的な役割を果たすものとする」といった役割が明記されております。
 薬剤師法につきましては、薬剤師の「情報の提供」が書いてあります。薬事法につきましては、先ほども申し上げましたように、「医療提供者の責務」と言ってはおりませんが、第68条の7、特定生物由来製品につきましては、その説明の義務、努力義務がかかっております。1~3については以上です。

○俵木安全対策課長 続きまして、10頁、4についてご説明いたします。「審査・承認後に判明したリスクへの対応の強化」についてです。「最終提言」では、リスクにそれぞれ対応して、市販後の安全性確保の措置、必要な調査等の計画を検討する仕組みが必要であり、「リスク最小化計画実施制度」を導入すべきではないか、もう1つは、副作用・感染症報告・文献報告等を起点として、効能効果等の承認内容の変更、または必要な試験、調査等の迅速な実施を指示する手続きを明確化するべきではないかというご指摘をいただいております。
 「現状」について説明いたします。12頁に、左から右に時間が流れる形に図を作っております。いちばん左側が承認時ですが、審査の結果、一定のリスクが判明いたします。また、まだわからない事実、どういうことがわかっていないのか、どのような情報を集める必要があるのかということもわかってまいります。そういったことを明確にしたうえで、市販後に情報収集するべきこととして、上半分に記載しました「情報収集活動」を行う、また、下半分に記載しました「リスク最小化方策」として、あるリスクを最小化するための、いろいろな対策を講じていくこととしています。承認時に「承認条件又は行政指導」として、こういったものを行うようにしているところです。上半分の「情報収集活動」について言えば、基本的には副作用報告というものをずっと医薬品のライフサイクルにおいて行っていくわけですが、場合によっては市販直後調査や特別使用成績調査、又は薬剤疫学的な研究といったものも追加の調査として実施していくことがあります。
 下半分の「リスク最小化方策」については、基本的には添付文書に使用上の注意を記載して注意を喚起し、またその内容についての解説の資料なども作成されるのが通常です。これに加えて、追加の方策として、市販直後調査による情報提供が行われますし、施設の制限、または患者向けの医薬品ガイドのようなものが作成されております。これらが承認条件又は行政指導として行われているわけです。承認後に調査をしていく中で、または副作用報告の中で、新たなリスクが判明してきた場合には、追加の調査を行政指導することもありますし、リスク最小化方策として、追加の何らかの対策をとるということもあります。最終的には、概ね8年経ちますと、再審査の時期がやってきますが、再審査期間中の調査結果を再審査として評価をして対応する、場合によっては効能効果の変更等も含めて対応をとっていくということです。
 これが現状ですが、吹き出しにあるように、例えば、承認当初、情報収集活動やリスク最小化方策といった「リスク管理計画」を立てることが提言でも指摘されておりますが、そういったものに対して、制度的な位置付けが必要ではないかということが1つです。また、市販後に新たなリスクが判明した場合に、追加の調査やリスク最小化方策を行政指導で指示しておりますが、その実施指示の権限を明確化すべきではないか、また、再審査の時点で、再審査期間中の調査について評価をすることになっておりますが、再審査期間の終了を待たずに適時評価を行って機動的に運用するような制度とすべきではないかということが課題となっております。
 13頁、「リスク最小化計画実施制度」を追加したらどうかということを提言でご指摘をいただいております。私どもはご提言をいただいてから、リスク管理のための方策を種々検討してきたところで、昨日付けで「リスク管理計画のガイダンス(案)」を公表したところで、いまパブリックコメントを10月末まで開始したところです。
 「最終提言」のご指摘がいちばん左側にありますが、例えば、審査段階でリスクとなったことの重点事項をきちんと公表するべきではないか。こういうことに対しても、パブリックコメントを開始したリスク管理計画のガイダンス案の中では、「安全性検討事項」ということで、明確に計画の中に明記することを規定しております。
 2のリスク管理の計画をきちんと作るべきだということに対しては、パブリックコメントをしているリスク管理計画ガイダンス案の中で、「安全性検討事項」に基づいて、網羅的かつ系統的に計画を検討するよう規定をしようと考えております。提言の中では、薬剤疫学的な手法も導入して、市販後の安全監視をやるべきではないかとのご指摘もありますが、これについてもリスク管理計画ガイダンス案の中で、薬剤疫学を1つの手法として盛り込んだところです。リスク管理の手法の実施については、リスク管理計画ガイダンス案の中で、系統的に医薬品のリスク、適応、対象集団の特性に応じた適切な手段を選択するよう規定を盛り込んだところです。
 3、4の提言のポイントについては、こういったリスク管理計画を適切に、着実に実施していくための担保、または承認後に追加的に必要になった計画を追加的に指示していく、着実に実施していくということに対する、制度的な対応については、リスク管理計画ガイダンス案だけでは担保ができませんので、制度的な検討がこの部分については必要ではないかと考えております。
 10頁に戻って、「現状」のところにありますが、いまご説明したように、承認時には承認条件又は行政指導として、医薬品ごとに必要により、安全管理のためにいろいろな施策を指示しているところです。
 一方、審査・承認後の市販後に判明したリスクについての安全管理方策については、これまでも行政指導で対応しておりますが、必ずしも系統的に整理ができていないというご指摘をいただいておりまして、ガイダンス案を作ってパブリックコメント中ですが、こういった形で対応していきたいと考えております。
 追加実施する市販後の調査の1つとして、薬剤疫学的な手法についても、提言の中で指摘を受けております。そういった薬剤疫学的なデータの収集については、必ずしも国内では活用がしにくい状況にあって、これについてはデータベースの開発なども開始するところです。
 承認内容の見直しについて、定期的、または適宜見直しを行うべきではないかというご指摘です。再評価制度については、手続きに時間がかかるとのご指摘もあって、最近では活用事例が限られてきております。新薬の再審査制度も一定期間後に評価を行う制度としてありますが、再審査期間終了後に評価を行う制度になっておりまして、もう少し機動的な制度となるべきではないかという指摘があります。
 11頁、承認時、または市販後のリスク管理についてどうあるべきかについてご議論をいただくに当たりまして、パブリックコメントを開始したリスク管理計画の実施については、その実施を確保する方法を、制度的に担保する必要があるのではないか。承認後にリスクが判明した場合の追加的な指示ですが、指示の権限などについても、制度的に担保する必要があるのではないか。定期的な見直しの問題については、承認内容の見直しに関する制度としては再審査制度があるが、必ずしも機動的な制度とはなっていないということで、再審査期間終了時点の評価に限らず、再審査期間中に適時評価を行うなど、制度に有効な活用方策などについても制度的な検討が必要ではないかと考えております。
 14頁、5「添付文書等に常に最新の状況が反映されるような措置の導入」についてです。「最終提言」では、添付文書を承認の対象とするなど承認時の位置づけを見直し、公的な文書として行政の責任を明確化すべきではないか。承認審査時点以降も必要に応じ速やかに、かつ定期的に最新の知見を添付文書に反映することを義務づけるべきではないか、というご指摘をいただいております。
 添付文書の「現状」については、添付文書の記載事項につきましては、薬事法に規定があり、使用上必要な注意について記載するように規定されております。欧米と同様に、添付文書については、承認時に記載内容を提出していただいて、記載内容を確認しているところです。承認後も副作用報告や、海外での情報等を収集している中で、新たな情報に基づきまして、国・総合機構が使用上の注意の改訂等を指示する場合があり、事前に内容を確認して改訂を指示しているところです。法的に不適切な添付文書については、罰則が規定されているということもあります。
 新医薬品等についてですが、承認後一定期間内の安全性定期報告として、承認後2年以内については6カ月ごと、それ以降については、再審査期間中1年ごとに安全性定期報告を提出することが義務づけられております。また最終的な再審査の終了時といった時点で添付文書の内容について集まってきた情報を踏まえて検討しており、必要により改訂の行政指導を行っているところです。ただ、新医薬品等以外につきましては、安全性定期報告の制度はありません。添付文書の記載要領、記載事項の内容につきましては、研究班で研究が進められているところです。
 添付文書の問題のご議論についての留意点については、添付文書というのは、法律的に公的な文書として定義をされておりますが、その位置づけについて検討するにあたっては、こういった添付文書が最新の知見を速やかに反映する必要があるということから、迅速な改訂を妨げないような制度でなければならないのではないか。
 欧米諸外国における添付文書についての制度も参考にしてはどうか。欧米におきましては、有効性・安全性に基づく製品の許認可と、添付文書の内容の確認行為の制度的な位置づけは少し異なっておりまして、すべての事項を事前確認とはしていないなど、実態的には我が国で現在行っている確認行為に近いのではないかと考えております。添付文書の記載内容については、もちろん行政が審査時点、または市販後であっても改訂の必要性について、事前に確認をする形で運用しておりますが、基本的に製造販売業者が第一次的な責任を負うべきものと考えております。
 一方、添付文書を読む立場という意味で、医師には添付文書の記載に従うべき注意義務が課せられており、十分に内容を理解していることが求められているものと理解しております。
 定期的な添付文書の見直しについては、新医薬品以外については、新たに添付文書に反映すべき情報というのは、必ずしも多くありません。新医薬品の再審査期間中、特に市販直後の一定期間に添付文書の改訂は非常に多くありますが、再審査期間を終了したものについては、添付文書の改訂はそんなに多くありません。そういったことも踏まえて、定期的な見直し制度のあり方については、そのような点からも整理が必要ではないか。また、定期的に見直しを行うためには、総合機構における体制の整備も必要だということも、1つご留意いただきたい点かと思います。16、17頁は、それに関連する条文です。

○中垣総務課長 引き続きまして、資料の18頁、「医薬品等監視・評価組織」ということで、「最終提言」にしたものです。具体的には、医薬品安全行政の「全般」及び「個別医薬品」の安全性に関して、厚生労働省と総合機構、その他医薬品行政に関わる行政機関に対して、監視及び評価を行い、薬害防止のために適切な措置をとるよう、関係行政機関に提言、勧告、意見具申を行う権能を有する第三者組織を設置するべきということ。組織の独立性の保障の観点からは、第三者組織は三条委員会が理想的であるが、現下の行政改革によっては、三条委員会を新設できる可能性は低く、八条委員会として考えざるを得ないのではないかということ。中立公立な立場から医薬品行政と医薬品の安全性について監視・評価を行う観点からは、第三者組織は厚生労働省から独立した組織であることが望ましいが、一刻も早く監視評価組織を実現するという観点から、当面、厚生労働省に設置することを強く提言する。厚生労働省に設置する場合は、既存の審議会等とは異なる新たな仕組みを作る必要があるのではないか。なお、役割機能が異なるために、既存の薬事・食品衛生審議会とは別個の組織とするべき、といった内容が指摘されているところです。
 「現状」としては、厚生労働省が実施する医薬品行政につきましては、総務省、財務省、独立行政法人評価委員会、総合機構の運営評議会などによる評価が行われているということで、いろいろな第三者評価が行われているということです。最終提言を踏まえ、法律に基づかない第三者組織につきましては、平成23年10月に大臣直属の私的諮問機関(医薬品等監視・評価委員会議)を大臣官房厚生科学課に設置する予定です。
 「留意点」としては、最終提言を踏まえ、八条委員会として設置する場合においても、「審議会等の整理合理化に関する基本化計画」、閣議決定ですが、それによって強い制約があると。こういった組織の新設というのは、いま抑制することになっております。
 19頁以降が、第三者組織に対する参考資料です。最初に出てきた三条委員会と八条委員会というのは、一体何かということです。20頁に三条委員会と八条委員会の例が書いてありますのでご参照いただければと思いますが、いわゆる三条委員会というのは、国家行政組織法第3条に規定されておりますので、三条委員会と言うわけですが、それ自体として独自に国家意思の決定を行い、外部に表示する機関というものです。八条委員会というのは、国家行政組織法第8条に規定されている委員会です。審議会等のカテゴリーのもとに、調査審議、不服審査、その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどる合議制の機関ということで、こういった諮問機関等ということで、三条と八条があるものです。
 21頁が「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」です。行政改革に関する閣議決定というのは、随時行われていることはご案内のとおりです。審議会等の設置に関する指針ということで可能な限り、意見提出手続きの活用、公聴会や聴聞の活用、関係団体の意見の聴取等によることとし、いたずらに審議会等を設置することを避けることとするということです。基本的な政策の審議を行う審議会は、原則として新設しない。特段の必要性がある場合においても、設置に当たっては審議事項を限定して可能な限り時限を付すこととする。審議会等において、基本的な政策に係る必要的付議の規定は、原則として置かないものとする。以下、3と4ということです。6の議題の詳細は、資料2-4にありますので参照いただければと思います。以上です。

○俵木安全対策課長 続いて、22頁の7の「副作用報告先の一元化」については、副作用報告処理の効率化のために、すべての収集情報を総合機構に一元化するべきではないかと考えております。「現状」については、現行薬事法では、医療機関からの副作用報告の報告先は、法律で厚生労働省となっております。一方、企業からの副作用報告先については、法律において総合機構とされており、それぞれの報告先が違っております。副作用報告先が異なることから、情報収集の効率や、電子化システムの一元化等が、一部円滑でない部分があると考えております。
 「留意点」については、円滑に情報収集を行うために、医療機関から厚生労働省を介さず、直接総合機構に副作用報告する場合、総合機構が報告先である旨の情報を周知徹底する必要があるということ。一方、報告の内容については、総合機構から直接医療機関に照会がしやすくなるのではないかとも考えております。
 副作用報告の一元的な整理という意味で、副作用被害救済で得られた情報につきましても、総合機構が安全対策に活用できるような整理も必要ではないかと考えております。医療機関からの直接の副作用報告の報告先が総合機構に変更になっても、企業からの報告と同様に、すべての情報は厚生労働省と総合機構でこれまでどおり共有され、即時対応が必要なものについては引き続き国が実施する体制であることには変更を要しないものと考えております。関連の条文が23頁にありまして、詳細については省略しますが、ご覧いただければと思います。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 24頁をご覧いただきたいと思います。その他(2)ということで「回収の指導強化」になります。これは肝炎検証委員会の最終提言に入っておりませんが、安全対策の取組みの促進ということで、論点として挙げさせていただいています。製販業者が行う回収においては、回収に着手した旨を都道府県を経由して、厚生労働省に報告させることとしておりますが、回収漏れあるいは回収遅延による保健衛生上の被害の発生、または拡大防止するためには、回収の経過及び終了について、厚生労働省、都道府県に報告させて、回収の状況に応じた指導の強化をするなど、回収の実効性を一層担保していく必要があるのではないかというのが論点です。
 「現状」としては、医薬品・医療機器等の製造販売業者については、薬事法により、製品の使用によって保健衛生上の危害が発生し、また拡大するおそれがあることを知った場合には、これを防止するための回収等の必要な措置を講じなければならないとされておりまして、さらに、製品の回収に着手したときには、都道府県を経由して、厚生労働省に報告しなければならないこととされています。
 この製造販売業者が行う回収については、平成12年に「医薬品・医療機器等の回収について」という局長通知を出しており、要領を定めています。これに基づいて製造販売業者は都道府県を経由して、厚生労働省に回収着手の報告を行うとともに、医療機関の回収に対する情報提供を行っているところです。また、厚生労働省と都道府県では、適切な回収が行われるように必要な指導を行うとともに、ウェブサイトに掲載して情報提供を行っているところです。
 一方、平成20年ですが、ジャクソンリース回路、これは麻酔用の呼吸器回路などに含まれているもので、こういったパイプ状のものですが、これが気管切開のチューブなどの組合せなどによって、小児の死亡を含む重篤な健康被害が起こりまして、平成13年あるいは平成14年に企業が自主回収したところですが、この自主回収の漏れが平成20年に起こりまして、重篤な健康被害の発生がありました。これについて迅速な対応がとられるようにということで、平成23年3月、つい最近ですが要領の改定を行いまして、医療機関に対して回収品の有無の確認を十分に行うこと。クラス1の回収、これは次頁に注で書いていますが、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得るような状況のようなもので、回収用にクラス分類を付けています。このクラス1の回収の場合については、医療機関に設置されている「安全管理責任者」などに情報が周知されていることを確認し、文書により回収品の有無を確認すること。未回収品の存在が確認された場合には、迅速に回収・廃棄を行うなどの設置をすることとしています。
 「留意点」ということですが、回収がより適切に行われるように製造販売業者、医療機関、厚生労働省、都道府県等がそれぞれどのような役割を果たすべきかということで、これについては一義的には製造販売業者に責任があるわけですが、回収の徹底という意味では医療機関が協力しなければできませんし、また、製造販売業者に回収をそのまま任せるということではなくて、当然のことながら厚生労働省、都道府県がその進捗状況を見ながら、適切な指導をするということで、これについては行政指導が現在行われていますが、回収の実効性の一層の担保ということで、もう少し考えていかなければならないということで、問題提起させていただきました。
 次頁からは回収の報告制度の内容についてと、それに関連する法律施行規則、指導の内容です。

○永井部会長 よろしいですか、ありがとうございました。それではこれから自由討論に入りますが、まず検討項目1~7までありますので、最初に理念、責務等に関する項目で、1~3について、まとめてご議論いただきたいと思います。また、意見書を提出いただいている委員におかれましては、関係する項目のところでご説明をお願いします。それでは1~3までのところでご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

○片木委員 2番目の患者(国民)の役割についてなのですが、今回事務局側からご提案いただいた中に、「食品安全基本法」の規定が参考になるのではないかと書かれているのですが、その食品安全基本法のところには、施策についてもかかわるようなところがあるのですが、実際私も患者の立場で参加しているわけですが、患者に実際に求められることというのは、自らの体の状態を知って、病と向き合うことであって、また治療薬については、自分が一体どういう治療を受けているのか、どういう治療薬なのかということを、理解を深めて副作用と思われる状況とか、いつもと体が違うなと思うような状況になったときには、自己判断をしているような患者がいまはすごく多いような気がするのです。ブログを見たりとか、誰々さんと同じ感じだから自分もこうなのだろうと医療者に相談もしないで、自己完結しているところが、すごく問題として大きいような、それで病状をこじらせている患者も見受けられるような気がするのです。なので、できれば患者(国民)の役割というのを設ける際には、患者が自己判断をせずに、医療者に対して速やかに申告することというようなことを盛り込んでいただくほうがいいのではないかと感じています。

○永井部会長 ありがとうございます。坂田委員どうぞ。

○坂田委員 意見書の説明もさせていただいていいですか。

○永井部会長 はい、どうぞ。

○坂田委員 まず意見書からお願いします。私が今日付けで出している意見書をお願いします。参考資料6です。1点目ですが、今回、傍聴席の抽選漏れの方がかなり出ています。この委員の席も本当に資料が広げられないぐらい狭いので、広い会場の確保を事務局に是非お願いしたいと思います。2番目ですが、提言実行のための必要な制度の改正、特に薬事法改正事項を明確にすることを目的とした部会であることを、提言の概要説明を行った上で改めて確認していただきたいという意見書を前回提出したにもかかわらず、最後まで概要説明すらありませんでした。今後、この部会が進行するにあたり、概要説明が必要であるので、次回、代表の元検証委員に概要説明をしていただくよう希望しますということです。
 今日、寺野委員が出席されています。元検証委員会の座長をされています。寺野委員か、それとも無理であれば寺野委員が誰かを指名していただくということをお願いしたいのですが、寺野先生いかがでしょうか。

○寺野委員 私も前回の委員会の座長を2年間23回やりました。3時間ずつやって、最終提言をし、資料もたくさん作り、その上に研究班(堀内班)もありまして、膨大な内容の提言をしたわけです。その概要説明が(私は第1回のときに出なかったものですからよくわからなかったのですが)、なかったということを聞いています。委員であった方以外の方はなかなか最終提言とここで指摘されていても、必ずしも全部読まれているわけではないだろうと思います。したがって、委員の中で適当な方にお願いして、私も協力する形でそういう説明の機会があったほうがいいのかなというのが、私個人の意見です。

○永井部会長 以上でよろしいですか。

○寺野委員 はい。

○永井部会長 あとについてもご説明ください。

○坂田委員 3番目ですが、最終提言を基に研究班がいろいろできています。その研究代表者、ここにいらっしゃる望月眞弓委員が2つの研究をされています。是非、資料を交えて説明していただきたいと思いますが、望月委員よろしいでしょうか。

○望月(眞)委員 はい。

○坂田委員 是非、そういった時間をいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。それと、この同じ部分なのですが、最終提言書を基にいろいろな研究班ができていますので、その進捗状況を是非、事務局で作っていただければと思います。
 最後なのですが、本日配付されている資料3についてですが、1が「対応中、又は速やかに対応が可能なもの」、2、3が「対応に検討が必要なもの」とありますが、全く手がつけられていないものもあります。新しく4として「全く手が付けられていない項目」を作っていただけないでしょうか。最終提言書を見てみたらいろいろ出てきます。これをやはり皆さんにきちんと示すことは必ず必要だと思いますので、次回に配付していただくようによろしくお願いします。

○永井部会長 いかがでしょうか。いまのご意見に対して。

○中垣総務課長 最初の会場については前回第1回の直前に、たしか会場の変更のご案内をしたと思うのですが、第1回は実はもっと広い部屋だったのですが、震災関係の対応でとられてしまいまして、今回もここになってしまいました。次回はもう少し広い部屋をとっておりますので、ご了承いただきたいと思います。2番目以降の関係ですが、前回もありましたがあくまでも会の報告書の齟齬を踏まえてと、もう1つこういった医薬品を速やかにと、そういった不満があるので、それをやっていこうということで、やっております。前回たしか参考資料として、報告書を付けていたと考えていますが、そういった概要説明が、いずれにしても主要な論点だと思いますので、今回の資料についても、そういったものを踏まえて作っているつもりですが、なお、それでは不十分であるということで、この部会の意思としてということがあれば、次回はまた別のことをやろうとしていますので、次々回以降そういったことも場合によっては考えられるかと思っております。

○永井部会長 寺野委員、いかがでしょうか、概要のさらにまとめ、考え方を機会をみてご説明いただくということでお願いできますでしょうか。

○寺野委員 前回どう説明したかなのですが、膨大な内容をまとめるのはなかなか大変なのですが、ポイントポイントがやはりあるのです。それに従った形で、説明はあったほうがいいのかという感じはいたします。何らかの工夫をして、横幕さん辺りにも相談しながらポイントをご説明する必要はあるのでしょうね。

○永井部会長 していただいてもよろしいと思います。そんなにたくさん時間をとって、全部読む必要はないと思います。

○寺野委員 だから要領よく要約する時間をいただければそれは説明をして、その点のご議論をいただければ、それは結構だと思います。

○永井部会長 では、また機会を設けますので、よろしくお願いいたします。

○寺野委員 できるだけ早い機会のほうが議論の上ではいいかと思います。

○永井部会長 さて、1~3についてほかにご意見はいかがでしょうか。私が感じましたのは、2でデータベースというのですか、薬剤のいろいろな副作用を早く検出するシステムづくりということを、行政も医療関係者も国民も一緒になってつくっていかないといけないわけです。そのときにお互いにある程度、もちろん匿名化した上でですが、そうしたことに力を合わせてシステムをつくるというのも、ある意味では国民、行政、医療者全体の役割というか、1つの大きな仕事ではないかと思いますが、何かそういうことを加えていただくことは可能でしょうか。実際既にそういう活動が少しずつ始まっておりますね。俵木さんからお話をいただいたほうがいいかもしれません。

○俵木安全対策課長 医療情報のデータベースを使って、安全対策に役立てていこうということについては、平成23年度の予算もいただきまして、既に医療機関の選定作業に入っているところですので、これについては是非とも国の財産となるようなものを作っていきたいと考えておりますし、そのために、いま先生がご指摘いただきましたように医療関係者等のご協力をいただいて、進めていきたいと思います。

○永井部会長 特に頻度の低いいろいろな副作用が問題になっています。その場合、たくさんのケースを集めないと100万人で何人という話ができません。100人中10人に起こることでしたら、ある程度の数でわかりますが、1万人に1人、10万人に1人というような頻度の低い有害事象については、相当の数を集めないと薬剤のせいなのか、あるいは本来の病気のせいなのかわからない場合があります。それはやはりきちんとした薬剤疫学調査を行えるようなシステムづくりは国をあげて取り組むべき課題ではないかと思います。

○坂田委員 1なのですが最終提言の指摘として、国、総合機構、地方自治体、医師、薬剤師、歯科医師等という形の医療関係者となっていますが、ここで企業が抜けていると思うのです。企業の責任が不明確であれば、行政の監督責任も不明確になると思います。8頁の食品安全基本法のように、国の責務、地方公供団体の責務、そして企業の責務みたいな形で作り上げれば、きちんとなるのではないかと思います。
 それと提言書の42頁にあるように、医薬品行政に携わる者に求められる基本精神として、不確実なリスクに対する予防原則に立脚した迅速な意思決定という、そういった基本精神を、必ず入れていただきたいということです。

○永井部会長 いかがですか。いまの不確実なというのはどこの項目でしょうか。

○坂田委員 それは最終提言書の42頁です。

○永井部会長 ほかにご意見はございませんか。羽生田先生、例えば現場でいろいろ薬を使われるときに、どういうあり方が望まれるか、課題について何かご意見がありましたらお願いします。

○羽生田委員 我々も薬を使う場合には、効能書きから副作用等を見て使うというのは当然のことなのですが、患者に薬を飲んでいただく場合、必要な情報は確実に伝えなければいけない。ただ、効能書きの中の副作用が説明の仕方によっては患者が不必要に飲まなくなってしまうという危険性もありますので、その辺の説明の仕方は非常に難しいし、効能書きの書き方も非常に大切であるかと思います。同じ薬を同じように説明しても、患者によってすべて受取方も違いますので、一概にこうあればいいという簡単なものでもないように思いますし、書き方という点ではいろいろな考慮が必要だと感じています。

○永井部会長 確かに確率論になるわけですね。何パーセントで起こるということ、これをどう伝えるか、集団としてはその薬と関係があっても、一人ひとりのケースの場合は、非常にどっちに当てはまるかわからないということが多いわけで、この辺はどう書くか。説明の仕方もなかなか難しいだろうとは思いますが、もう少しいろいろな工夫があってしかるべきと思いますが、この辺についていかがでしょうか。

○望月(眞)委員 ちょっと違う視点になってしまうかもしれないのですが、1の「薬害発生・拡大防止の理念」ということなのですが、重篤な副作用を薬害とは呼ばないような気がしまして、この薬害の発生・拡大防止の理念を、法令の中にどういう形で入れていくかの責務が、薬害という場合に、単なる情報提供ではないのではないかと思いまして、そこを整理していただかないと、私は意見を言えないなと思うのですが。

○永井部会長 もう少し具体的にお話ください。

○望月(眞)委員 重篤な副作用というのは、先ほどからいろいろなお話に出てきていますように、非常に希に起こる重篤な副作用をキャッチして、それが本当に薬が原因なのかどうかをデータベースなどを使ってはっきりさせていくということをして、それをきちんと添付文書なり何なりのしかるべき情報提供のツールを使って、できるだけ迅速に提供して、それを活用してもらうようにするという仕組みの中をうまく運用できるようにしていけば、ある程度解決していけるのかと思うのですが、薬害というのはもっと違うものがいろいろ絡んでいるような気がしまして、うまく言えないのですが、大きく言うとモノそのものに原因がある場合と、使っていくいき方に原因がある場合と、大きく2つあるような気がするのです。
 使っていくところに原因がある場合は、できるだけ正しい使い方をするためにどうあるべきかという情報を発信すればいい解決方向につながっていくのかもしれませんが、モノそのものに原因があったときは、たぶんいちばん最後に出てきた回収とかのリアクションをできるだけ早急に起こすことなどが、1つの解決策なのかもしれませんが、それが一緒にここでは議論されているような気がしてしまっていて、私の中で混乱してしまっているのですが。

○永井部会長 いずれにしてもモノと使い方の両方の問題があるということですね。

○望月(眞)委員 はい。

○永井部会長 その辺をどう整理していくかですが、モノ自体の問題、それから起こってしまったときにいかに拡大防止するかというシステムの問題ですね。使い方の問題と拡大防止のシステムの問題もあるのだろうと思います。

○堀田委員 名古屋医療センターの堀田です。薬によって起こってくる不都合な状況というのはいろいろあって、使っているときにたまたま起こってくる不利益な状況は、広い意味で有害事象で、薬と因果関係のある場合を副作用といいます。薬害となるとそこに何らかの人的なものが絡んでいるから薬害といえるのであって、ただ単にその薬の持っている特性で起こった不利益な状況は薬害とは言わないと思うのです。その辺はやはり区別すべきだろうと思います。

○永井部会長 そうですね、単なる副作用ということと、薬害というのは少しイメージが違うというご指摘ですね。

○堀田委員 もう少し言わせていただくと、薬害というのはある意味で人的な対応、あるいは仕組みの問題として解決しなければいけない問題で、副作用の場合はある程度避けられないものとして、それでもベネフィットが高ければ、患者さんの利益が高ければ使うわけですから、副作用があってはいけないという話でも決してないと思うのです。しかし、薬害というのは基本的にはあるべきものではないという、そういう整理の仕方がいるのかと思います。

○永井部会長 拡大防止にしても、やはり早くその状況をキャッチすることが非常に大事だと思うのです。早期検出というのでしょうか。何かその辺について基本的な考え方をよく議論しておいたほうがよろしいと思いますが、いかがでしょうか。

○坂田委員 最終提言書の43頁に載っていますので、読ませてください。いちばん上のポチのところですが「1薬害は、最新知見が不足して起きたというより、既に製薬企業や行政が把握していたリスク情報の伝達が十分に行われてこなかった、あるいはリスク情報の不当な軽視により、適切な対応・対策がとられなかったことにより発生する場合があることや、2入手していた情報の評価を誤り、行政が規制するという意思決定を行わなかったことに本質的な問題がある場合があることに留意して、業務を遂行すべきである」という形で、最終提言には載っています。

○永井部会長 これはかなり気を付ければ防げるはずだったというポイントだと思いますが、一方でやはりこんなことも起こるのかみたいなこともあるのですね。その辺は両方対応していかなければいけないと思いますが、いずれにしても人災的なものは極力抑え込んでいかないといけないということだろうと思うのです。

○寺野委員 いまの点も前の委員会で随分議論したところなのです。いま坂田委員が言われたようなことで、いわゆる薬の副作用と薬害とは確かに違うという認識は持った上で委員会を進めてきたつもりです。結局いちばん最初C型肝炎でフィブリノゲン等で起こった肝炎を、いかにそれ以上拡大しない、防止するかということが委員会のいちばん最初の問題だったわけです。そのいちばんのとっかかりは、最初にフィブリノゲンを使って肝炎が出たにもかかわらず、結局それの評価ができなかった、つまり起こったということを評価できなかったというのが第一なのです。それがわかってきたにもかかわらず、いろいろな資料が出ていたのに、それが明らかにされなかった、そういうことによって拡大していったということが、前の委員会のいちばん最初のスタート時点の問題認識なのです。
 だから薬害というのはそのような、堀田先生が言われるような人為的なものもあるし、組織的なものもあるし、いわゆる隠蔽体質的なものもあるのでこれらを防がなければいけないというところを、いかに保証できるか、担保できるかということで、いま議論していただく第三者監視機関というものが出てくるわけです。そういう観点でみると、望月委員が言われたように、完全な副作用の問題と薬害というのははっきり区別した形で、はじめは重篤な副作用でなくても、薬害はあり得るということです。結果としては重篤になるのですが、それが起こったということをどのようにしてその情報を認識するかという問題と、適切に評価することが重要なのです。要するにフィブリノゲンによる肝炎にしても、いま流行りの想定外なのです。それをいかに想定内に置くかということが、そういう意味で薬害の発見とその拡大防止にいちばん重要なところだから、そういう観点で見ていただければいいと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。またこの辺りも含めて今後も議論を続けますが、4と5についてはいかがでしょうか。

○藤原委員 参考資料5を提出させていただきましたが、いまの話題ともつながるところがありまして、今回いろいろと業界サイドでも検討いたしました。臨むにあたって少しまとめてきましたので、2点ほどここで述べさせていただきたいと思います。
 まず1点ですが、企業側が今いちばん考えているところは、リスクマネジメントという概念でして、ここにも書いたようにICH E2E ガイドラインというものがあります。これは3極で合意したものですが、2004年11月に合意して、日本では2005年9月16日から、いわゆる二課長通知ということで実行されています。ここからは日本としては残念なのですが、ヨーロッパサイドがVOL9Aという形で制度化の検討がなされました。アメリカはFDAのガイドラインやREMSである程度体系化がなされていました。日本だけは残念ながら少し遅れてきたということで、最終提言でもあるように、リスクマネジメントを早く体系化しなければいけないのではないかということで、今回、制度改正検討部会に臨むにあたって、我々としても課題として検討していたところです。
 ところが、先ほどご説明がありましたように、昨日パブリックコメントが出されたということだったので、文章を変えて提出しました。私は日薬連の安全性委員会で仕事をしていますが、常々このガイドライン、日本版のリスクマネジメントプランができればいいなと思っていたものですから、少しコメントをさせていただいております。この「リスクマネジメントガイダンス」は、ICH E2Eよりも少し踏み込んだ内容になっております。まだきちんと精査はしておりませんが、ICH E2Eには含まれていないリスク最小化策というところも具体的、網羅的に示されております。さらに、監視計画には使用成績調査、市販直後調査などの目的を再確認し、リスク最小化策には目的に応じた方法で計画できるよう、体系的にまとめられています。
 本ガイダンスに基づいて、我々としては待ち望まれたガイドラインですが、医薬品リスク管理によって、承認審査の早期から行政と製薬企業が市販後の安全性監視並びにその対策について検討すること、市販後の安全性情報に基づき当該計画を継続して見直すことが可能となります。これから詳細に検討しますが、体系化はこの検討部会で今後きちんとご議論させていただきたいと思います。先ほどご紹介のあった副作用と薬害との定義の違い私もどちらかというと安全性評価関連の仕事が長かったものですから、スティーブンス・ジョンソン症候群というと、これは副作用だと、薬害ではないと理解します。それも含めてこのガイドラインを見ると、潜在的なリスクとか、専門的な話ですが、ガイドラインではそういうものがいろいろとまとめられております。したがって、今後系統的にそれを制度化していければと思っております。
 ただ、制度を作ったほうがいいということではありませんので、そこに少し書きましたが「医薬品安全性監視計画が科学的かつ効果的に活用できるよう」、これは安全性部門の考え方で、審査部門の人には耳が痛いことになるのですが、薬を承認するという段階ではまず、有効性ありきなのです。効かない薬は出してもしょうがありませんから、早い段階でまずは有効性を審議すると。いままでは、若干最終的なところで安全性を議論するという傾向がありました。そうではなくて、今回このようなシステムになれば、早い段階から安全性ということも議論の対象になって、承認という段階で有効性と安全性がバランス良く評価されて出てくるということにもなります。承認審査の早い段階から協議できる仕組みの構築が大切です。人員の育成については、先ほど薬剤疫学のことを言われたと思いますが、日本の薬剤疫学会は会員数は約400名程度で、まだ世界では10年ほど遅れていますので、これは企業側にも言えることですが、今後この辺りの人員の育成をきちんとやっていただきたいと思います。
 また、関連する制度で、これも少し専門的になるのですが、GVPとかGPSPとか、薬事法上の制度がありますが、こういうものも改訂する必要があります。今後、話が進む中で具体的に話をさせていただきたいと思います。
 まとめますと、先ほどデータベースのことも出ておりましたが、このようなものが具体的に可能となるような環境整備を必要とするということで、意見を述べさせていただきました。

○永井部会長 これは具体的にリスク管理計画、データベースその他いろいろあるのだと思いますが、何かわかりやすい例を挙げていただけますか。

○藤原委員 サリドマイドが最近ではいちばんわかりやすいと思うのですが、サリドマイドはもともと市場から一度撤退した薬なのですが、ある程度リスクをきちんとわかって、コントロールすることによって、再度サリドマイドという薬が薬として再承認されています。これがある意味でリスク管理計画で、医薬品はもともとリスクを持っておりますので、それをいかに最小化させて有効的に使っていくか管理することになります。
 ただ、製薬会社サイドから見るとサリドマイドのシステムはものすごく厳密すぎて、実際その手法を全部の薬に応用するのは難しいのかなと思います。アメリカの例ですと、REMSというシステムがありますが、最近、見直しを諮っている状況にあります。あまりに厳しくやりすぎたので、実際上、患者さんが使う立場になっても難しいことが出てくると。ある意味では、いまサリドマイドのご説明をしましたが、適切にコントロールをして使っていただくという制度的なものということです。

○永井部会長 ありがとうございました。ほかにご意見はいかがでしょうか。

○坂田委員 4番目ですが、10頁の「審査・承認後に判明したリスクの対応の強化」です。この中の2番の「現状」の3番目の○ですが、事務局にお聞きしたいのですが、私は意味がわからないのです。「海外では、医療関係者や研究者が実施した薬剤疫学的な調査データが活用されているが、国内では活用しにくい」と。なぜ活用されないのだろうと思うし、はっきり言って分母をはっきりさせる、ほかの薬剤と比較ができることがいちばんだし、グレー情報のキャッチもできると思うのです。この点は薬害防止に際してものすごく重要な点だと思うのですが、なぜ国内では活用しにくいのでしょうか。

○俵木安全対策課長 もともとのデータベースの整備自体が我が国では非常に遅れておりまして、例えばアメリカでは、数千万人規模のカルテ情報、検査値情報も含んだ医療情報のデータベースが活用できるような環境がありますが、我が国では百万人単位でもなくて、数十万人単位で活用できるものが一部あるという程度です。先ほど永井先生からもありましたように、10万人に1人起こるような非常に希な副作用について、そのシグナルを発見するという意味では、いま私どもが予算をいただいて計画しているのは、一定の時間はかかりますが、1,000万人規模のものを作っていこうということです。まさに我が国ではデータベース自体がないのです。これはアメリカのデータベースを使えばいいという問題ではなくて、日本人のデータベースを持たなければ、日本人の安全対策もできませんので、そういう意味でデータベース構築が絶対的に必要になってきているということで、これについては先ほどもご報告しましたように、今年度から構築のための予算もいただいて進めていくところです。

○片木委員 5について、添付文書についてですが、これは3にも関わってくることで、添付文書は医療関係者から患者に対するリスクの情報提供にも関わってくると思うので、そこも少し関連してくるのですが、患者にとっていちばん大切なことは、治療薬について知らなければならないことをしっかり伝えてもらうことだと思うのです。薬について詳しく聞きたい人には、その説明の機会が担保されていることだと思います。
 例えば、今日持ってきたのですが、2月23日に卵巣がんに対して承認されたゲムシタビンの添付文書を読むと、ありとあらゆる何十という副作用が記載されているのです。これを全部読み上げるとなったら、何時間もかかると思うのです。間質性肺炎というのは、患者が普通に聞いても、どんな症状かわからないですよね。そういう説明も含めると何時間もかかってしまう。そういう状況ですべてを説明したとしても、患者が理解するのはとても困難だと思うのです。何か起きたときに患者が何をどうしたら良いのかわかっていなければ、重篤な副作用に関しては何も防げないような気がしています。それよりも、いつもと違うようなら、先ほども言ったように連絡をくださいと伝えて、患者がすぐに行動して、医療者が速やかに判断、対処ができるような方向性に持っていってもらいたいと。また、医師の指針や医療者の指針になるのが添付文書なのだとは思うのですが、その添付文書が「承認時の対象」とすると、その後さまざまな知見が積み重なってきて、変更するに際して柔軟に変更できるようにしてもらわなければ、知見が積み重なってすぐに変更されるようにならなければ意味がないというのと、「承認時の条件」にしてしまうと、一般ユーザーから見ると、それが変更されるということは、承認審査が良くなかったのではないかみたいな偏見が出てくるような位置づけにしてはいけないような気がするのです。改訂されるということは、知見が積み重なってより良い状態になっていくことであるという意識づけになるような形で文面を作っていただきたいと、信頼が下がらないようにしていただきたいと思っています。
 添付文書ですが、製薬企業が患者の安全を最優先に考えた添付文書を作成することが何よりも大切だと私は思っていて、それを医療者はちゃんと理解して処方していただきたいと思っています。
 また、参考程度ですが、EUは取組みとして患者に対しても添付文書みたいなものを出しているという情報もあるので、そういった取組みも参考にしてみたらどうかなと思っています。

○永井部会長 藤原委員、この辺りの扱いについてはいかがですか。

○藤原委員 参考資料5に記載させていただきましたが、いまご指摘がありましたように、添付文書は業界からすると憲法みたいなものですので、それを柔らかい平易な言葉で書くのは難しいのです。したがって、承認の段階で明らかになったものを全部そのまま記載する必要があります。そうすると、確かに見づらいものになるので、「患者向け医薬品ガイド」とか、メーカーサイドでも「くすりのしおり」とか、いろいろな形で工夫をして、患者さんにもなるべくわかりやすく読んでいただくという対応をとっております。
 ただ、先ほど当局からご説明があったように、添付文書そのものは企業側も非常にきちんと作成しておりますし、行政側にもきちんと判断していただいて審査頂いています。その中で平易な文章にするのは非常に難しいので、二次的な資料でおっしゃったようなことを工夫していきたいと考えております。

○永井部会長 公的な文書として、行政の責任の下に出すという点についてはいかがですか。

○藤原委員 「公的」という表現は非常に難しいのですが、逆に私どももそこはわかり兼ねるところです。いま、添付文書は改訂に際し、課長通知とか事務連絡という形で、当然行政と協議をして、最終的にこのような添付文書にしなさいという形で指導いただいていますので、それを我々は「公的」と取っているわけですが、ここは私は専門ではないので、わかり兼ねる表現です。

○坂田委員 同じ添付文書についてですが、最終提言書の21頁です。フィブリノゲン第9因子製剤についてですが、「厚労省は、添付文書の内容の適正化について積極的に関与しておらず、結果的に安全性情報を医療現場で浸透させることができなかった」と載っています。
 イレッサの問題に入るのですが、ソリブジン事件を受けて、平成9年4月25日に局長通知がなされました。それには、重要項目を添付文書の前段に配置する、致死的な副作用に関しては警告欄に記載、という内容です。課長通知とは全くレベルが違います。それにも関わらず、ああいったイレッサの添付文書の問題が起こってしまいました。局長通知を出しても、行政として指導がなされなかったというのが現実です。今回、添付文書について上田志朗研究代表から平成22年度で報告書が上がる形になっていますが、この報告書はもう上がったのでしょうか。

○俵木安全対策課長 研究報告書については5月末までと規定されておりまして、まだいただいておりません。

○坂田委員 この分も、出来上がった段階で委員の皆さんに配っていただくことは可能でしょうか。

○俵木安全対策課長 はい。

○坂田委員 公的な文書というか、私は承認にちゃんと規定すべきだと思うのです。何もかもではなくて、いま薬事法にある軽微な変更に関しては、いわゆる変更の承認を受ける必要がない。これはそのままでいいと思うのです。でも、ほかの部分に関しては、きちんとそれを入れ込むことが必要だと思っています。

○永井部会長 寺野委員、いまの点についてはいかがでしょうか。どういう議論だったのか、もう少しお話いただけますか。

○寺野委員 私は添付文書についてあまり発言する立場にはないのですが、いろいろな情報が多いほうが良いに決まっているのです。しかし、患者だけでなく、医師あるいは薬剤師自体が添付文書を読むのが大変だということで、先ほど誰かが言われたように何十と副作用情報があると、どれに注意しなければいけないかがわかりにくいですね。逆に言うと、非常に膨大な内容が添付分書に盛られると、場合によっては責任回避なのではないかということすら問題になってくるのです。だけど、出さなければいけないのも確かなので、先ほど坂田さんがおっしゃったように、分類して出すことが非常に重要です。いまもある程度分類はしていますが、それをわかりやすくすることが重要だと思います。
 私がやってきて承認に時間のかかったものの1つに、カプセル内視鏡というのがあります。カプセル内視鏡の承認のために、数例、小腸の狭窄にカプセルが滞留ということが問題にされて、それは本当に1、2%もないぐらいなのですが、そのために4年ぐらい承認されなかったのです。その結果として出てきた添付文書を見たら、真っ赤なのです。これは患者が読んだら、とてもではないけれど、やってもらいたくないと、そういう検査は受けたくないと言うような添付文書ができて、私たちもこれを見たら医者もやる気にならなくなるのではないかという添付文書ができてしまったようなこともあるのです。
 重要なことは、非常に適正で、しかも責任逃れ的なものではないということ、患者にわかりやすい、それ以前に医者にわかりやすいという工夫なのです。工夫の問題だと思うのです。情報は全部出さなければいけないけれど、それはある程度分類して、わかりやすく出す。そして、先ほど藤原委員がおっしゃったように二次的な情報提供、MRの人からの情報提供が非常に重要で、公的な文書になる可能性があるとすれば、ある程度お役所文書にしなければしょうがないのです。その辺りをいかに易しく説明できるかという、二次的・三次的な情報提供、工夫の問題なのではないかと思うのです。

○永井部会長 とにかく実が上がらなければしょうがないわけです。そこはよく踏まえて、これからもう少し議論したいと思いますし、外国の状況などもよく調べてみたいですね。

○七海委員 薬剤師会の七海と申します。議論が交錯しているように思います。整理を兼ねて、私自身も頭の整理をしたいのですが、薬害と重篤副作用とがごちゃごちゃになって議論されるべきではないのではないかと思っております。薬害というのは、それが社会的な現象となって不安を起こすという観点ではないかと。私の解釈が間違っていたら、そうおっしゃっていただいて結構なのですが、ここではそうではなくて、薬害に至らない前に、重篤な副作用を早期に防ぐ最小化リスクというのがテーマであると認識していました。添付文書は、製薬協さんでは、「添付文書のガイドライン」を定められております。そして発売後、副作用調査、副作用情報等が始まって、何か問題があったらフィードバックして、監督行政のご意見指導を受けられて、また添付文書の改訂が起こると理解しております。
 そこで提案ですが、先ほどからいろいろ問題になっていますが、「薬害」と「重篤な副作用」を防ぐためにこの委員会をやっているのかどうかをお伺いしたいのと、先ほどあったように、副作用報告がPMDAと厚労省と2つあるので、それを一元化したいと。確かに我々が副作用報告をするときに、どちらにいくのかがわからない場合があります。処方医の合意があって初めて受け付けてもらえるものと、こういう処方で、こういう症状があったということのみで処方箋上で薬剤師が副作用ではないかと思われる情報も受け付けてくれるものと、種類があるのです。薬局薬剤師の副作用情報も同等に受け付けてもらいたい。何かあったときの情報のフィードバックのシステムを、すぐ厚労省なりPMDAに返して、それでメーカーに情報が監督行政にスッと行くようなシステムを構築していただきたい。これは添付文書1つの問題ではなくて、リスク管理、安全管理システムを作成認可する側、安全管理システムを使用する側とでのコストの問題ですが、リスク管理システムの運用のためのコスト、先ほどサリドマイドの安全管理のことをおっしゃいました。安全管理のためのコストが製薬会社の負担になり、コスト高くなるがゆえに、高すぎて使えないという弊害が起こらないように、そのようなご配慮もしていただきながら、安全対策をとっていただきたいという希望です。

○永井部会長 ありがとうございました。いま、この会の目的の話が出ましたが、これは医薬品等制度改正検討部会ですので、もちろん薬害の問題を重点的に行いますが、当然副作用の問題も、もっと他のことも議論して、少し幅広に見ておかないと、薬害の問題もしっかり捉えられないのではないかと思います。今日は自由討論ですので、いろいろな意見が出ておりますが、事務局にその辺りを整理していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中垣総務課長 いまありましたように、基本的に薬そのもののリスクの問題と、いわゆるシステムエラーとか、いろいろな問題があると思っております。それはご議論いただければと思います。
 また、6頁に書いてあるのですが、従来のパターナリスティックな医療であれば、医師に十分な情報が伝わればそこでということでしたが、ご案内のとおり、いまは患者もその気になればあらゆる情報にアクセスできる状況ですので、そういった中で、6頁の下に書いてありますように、本当に患者が信頼できる資材をどう出していくのか。私もPMDAはそういう役割を果たすべきだと思っていますが、当然いろいろな情報が流れているわけですので、これは非常に信頼できる情報ですよと、それをいかに広めていくかということが大事なのではないかなと。いずれにしても、先ほど部会長もおっしゃったように、本部会においては例外なくご議論いただければと考えております。

○永井部会長 6、7の問題もありますが、いかがでしょうか。

○原澤委員 医療機器の立場から発言させていただきます。前回も言いましたように、医薬品と医療機器は全く違うのですが、薬事法の中に医療機器も入っております。ご承知のように、医療機器は、開発が完了してから製品寿命が終わるまで長く形として存在しているわけですが、その間は主にQMS省令、品質管理をしっかりしなければいけないということですし、薬と大きく違うところは、寿命の定義がされていないというところです。また、最初から完成品ではなくて、改善・改良を繰り返しながらやっていくものであるというところで、これも薬と違うのだと思います。リスクの情報提供というところで考えますと、医療機器の場合は、医療者の技量・知識と相まって使われるものですので、当然ながらリスク情報も医療機器だけでは片手落ちで、先生方のお考えなり知識なりと相まっての情報提供がされるのだと思います。
 また、添付文書の件ですが、薬の場合、添付文書の内容が非常に重要なのだと言うことはわかりますが、医療機器は千差万別で、非常に難しい機械もありますし、医療材料などの非常に簡単なものもあるという中では、取扱説明書が全体を表していると言うのが実際のところです。欧米では、医療機器においての添付文書は存在していないわけで、日本だけが添付文書という形を取っているのではないかと思っています。そういった意味では、これからのリスクの問題を、薬は添付文書で改善しようという、いろいろなご議論があるかと思いますが、そういったところは医療機器にはそのままには当てはまらないのではないかと思います。
 医療機器の場合は、新医療機器ができた後も改善・改良を繰り返すわけで、それがリスクを克服していく方法とも言えるわけです。そういった意味では、添付文書や取扱説明書等の書類の中で、あれをやってはいけない、これをやってはいけないとたくさん書くよりも、むしろ機械そのものを改善していく、直していくほうに重きが置かれるということが本来あるべきことではないか。改善・改良をしやすくする制度を作っていくことのほうが医療機器には向いていると思います。是非その辺りをご理解いただければと思います。

○永井部会長 医療機器のときは、早期の情報提供というか、早期検出についてはどういうシステムを作っておられるのですか。

○原澤委員 医療機器も、当然ながら安全管理情報を出しております。ただ、薬害のようなことが医療機器にあるかというと、あまり聞いたことはありません。医療機器の場合はリスクがたくさん潜在的にあるか、1つ2つのたまたまの事例なのか実際リコール等を行う場合は、当然根拠などを精査するわけですが、予防的措置が重視されて、取扱いに係わる情報提供や具体的な改善が対応としてとられるという考えです。

○永井部会長 それは、1つの企業についてはそうかもしれませんが、もっと情報を共有化すれば、どこかで1回起こったことは、実は他で10回起こっていたということがあるわけです。その辺りのデータベースや情報の共有ということではいかがでしょうか。

○原澤委員 製造販売後の安全管理として広く世界から副作用情報なり安全に係わる論文等の情報を収集して、PMDAに報告しその情報を広く共有することだと思います。不具合じゃない情報も安全上重要であれば、PMDAへ研究報告として上げると言うこともあります。

○山本委員 先ほどの話に戻りますが、14頁の添付文書に関して、私は専門が法律ですので、医薬のことに関して何も申し上げられる立場にはないのですが、先ほど公的な文書として行政の責任を明確化するというフレーズに関して、その意味は何なのかという話題が出ました。確かに、承認の対象になったから、事業者が責任を持って作る文書でなくなって、行政が作る文書になるという意味ではないだろうと。一般的に許認可の対象になる文書だからと言って、そういう意味での公的な文書になるということはありませんので、それはないのだろうと。ただ、先ほどご発言がありましたように、それは2つあって、1つは行政がそれをきちんとチェックする、それをしなくてはいけないという意味合い。もう1つは、公的に、まさに説明をする、情報を提供するための文書なのだと、そういう2つの意味合いがあるのだろうと思います。
 承認の対象にするかという点に関して、15頁の2つ目の○の括弧で、一読しただけではよくわからない、非常に複雑な書き方がされております。私もEUの規則と、手元にドイツのものがありますので、ドイツの法律を少し見てみたのですが、確かに添付文書の案が許認可のときの必要書類の中に入っているのです。その意味で、おそらく許認可の対象になっているかのように見えるということだろうと思います。ここから先はよくわからないところがあるのですが、おそらく添付文書が許認可の対象になっている医薬品そのものというよりは、むしろ情報提供のあり方等に非常に関わっているということで、もちろん関連はしているのだけれど、やや性質が異なるということがあって、ここの括弧書きのような分析をされているのかなと思いました。
 そうだとすると、制度化をする場合にも、1つは承認の対象にするとはっきりさせるのも1つの選択肢だろうと思いますが、もう1つは届出をする義務を課して、その上で行政側が必要に応じて改善の指示等を行う権限を定めると。そうすると、現在はこれが行政指導の形で行われているのですが、行政指導をする場合にあっても、制度的な裏づけができることになるので、そのようなやり方があるのではないかと思います。
 それとの関連で、10頁のリスク対応の強化に関しても、承認の条件という形で現在は行われているということですが、条件と言う場合、普通は個別の事案に応じて柔軟に対処しなければいけない事態が想定されています。例えば、案件によって許認可の期間を長くしたり短くしたりする必要がある場合に、条件を付けることができるという制度の下で、そういう柔軟な対応をするということなのですが、話を伺っていると、医薬品のリスク対応に関しては、必ずしもそれだけではなくて、一般的に注意をすべきリスクへの対応を強化すべきだという話だとすると、承認云々という制度から独立させて、リスク対応の強化の部分について一般的に制度化をすることも考えられるのではないかと。もちろん、細かいところまで法律に書き込むことはできないと思いますが、一種の根拠規定のようなものを置くことは考えられるのではないかと思います。

○寺野委員 6の「医薬品等監視・評価組織」ですが、これは前回の委員会で非常に重視している点なのです。これが2年間やった具体的なプロダクトの大きな1つなのです。ですから、これは是非この委員会でも最重要項目の1つとして、(いろいろな法整備等々を今年一杯でやりたいようなお話ですが、)具体化していただきたいということです。

○永井部会長 特に八条委員会として作ってほしいというご提言ですね。

○寺野委員 そういうことです。三条委員会は無理なので、八条委員会で。また、どこへ置くかということも、もちろん議論して頂きたい。最初は厚労省ということになっておりますが、いろいろ議論がありましたので、そこも含めてです。内容についての詳しいことは、内容説明が必要ならば説明いたします。

○永井部会長 もし6についてご意見があれば、いただきたいと思います。

○山本委員 これは非常にいろいろな条件があって、私自身も結論めいたものがあるわけではありませんが、いくつか考えなければいけない条件があるだろうと思います。1つは、法的にどの程度のことが可能かということですが、完全に純粋に法的に言うと、何でもできるだろうと思います。ただ、1つは現在の行政組織の中に作るわけですので、ほかの行政組織の部分も全部変えて作るという話ではないものですから、現在の行政組織の中にうまく整合するような形のものを作らなくてはいけないだろうということがあります。
 もう1つは、今日の資料の中で非常に強調されていたことですが、行政改革の動きがあるために、一般的に行政組織を新設するのは、政治的に非常に難しい状況にあるということがあります。
 また、3つ目は、私よりもむしろ専門の方のほうが良いかと思いますが、そこにスタッフをどのように配置するか、これが実質的に非常に難しい問題なのだろうと。実際上は、これがいちばん重要な問題なのだろうと思います。具体的には、まさに提言の中にも指摘されていますように、内閣府に置くというやり方と厚労省に置くというやり方があるだろうと。内閣府には、安全関係で言うと、現在は食品安全委員会、原子力安全委員会、消費者委員会、これは組織の名前に「安全」とは入っていないのですが、消費者安全法を執行する機関ですから、消費者委員会及び消費者庁というものが内閣府にはあります。考え方から言うと、ここで考えている監視をする機関という意味で言うと、イメージ的には消費者庁なり消費者委員会に近いのではないかという感じがします。現に、医薬品はすでに消費者庁、消費者委員会の監視する対象に現行法の下でも入っているものですから、そこに引っかけて、あるいはそこと並べるような形で、第三者委員会を作るということがあるかと思います。
 もう1つは、厚労省に作ると。ただ、厚労省に作るとなると、新しく組織を新設することに対する政治的なプレッシャーが強いので、そこをどうするかということだろうと思います。一方で、内閣府に作ると、独立性・中立性という点では、トップの大臣が全く変わりますので、その点では優れているかと思います。ただ、逆に連携がとりづらくなるという点があって、現在、すでに原子力の問題などで見られるところではありますが、組織が離れれば中立性・第三者性という点ではいいのだけれど、連携をとりづらくなるという面があるだろうと、一般的に言えます。

○寺野委員 是非この委員会の中で重要な項目として、どちらかといえば最優先ぐらいのつもりでやってもらいたいと申し上げただけです。山本委員のおっしゃることはよくわかりますが、そこも含めて議論いただきたいということです。

○望月(正)部会長代理 先ほど来出ている添付文書等の話で、5の1「最終提言での指摘」です。薬事・食品衛生審議会の中の各部会、あるいは薬事分科会においても、薬の安全性・有効性はもちろん非常に厳しく審査しますが、同じぐらい添付文書の書き方に対しても委員が非常に丁寧に見てくださっております。問題点があるときはとにかくPMDAを通じて申請者が書き直すということ、それを前提として承認を出しているので、現段階で全く承認とは関係ないということではないということをご理解いただきたいと思います。

○永井部会長 いずれにしても、もっと実質のある形にしていただきたいということですね。これからどうやるか、特に早期の副作用あるいは有害事象の検出とそれのフィードバックに、もう少し公的な関与をしてほしいというご意見と理解してよろしいでしょうか。その辺りをどうするか、具体的なことを今後さらに議論したいと思います。

○堀田委員 私ども臨床医にとって、添付文書というのは大変重い内容で、これを基本的に前提として診療をします。先ほどあったように、何十もの副作用や注意事項が強弱がはっきりしないような書き方では駄目だから、最近は「警告」、あるいは「重大な副作用」という形で書き分けられて、だいぶ整理されてきたと思うのです。添付文書に書かれていないものは、未知の有害事象あるいは副作用ということになるので、重篤なものは報告の対象になると、我々は受け止めているわけです。それぐらい添付文書は重要な指針で、これ以外に薬に関して何か情報が得られるかというと、なかなかないのです。
 あとは文献的なもので拾うしかないのですが、それだって限られた情報になります。先ほどから出ているように、1,000万規模のデータベースがきちんと出て、早目にシグナルを引っかけて、有害事象が本来の疾患に関わるものか薬剤に関わるものかを早く分析して、それを迅速に添付文書に反映できるような対応にしないといけないと考えます。法律で縛るだけでは迅速性という点で難しい面もあるだろうと思います。だから、重大なものとそうでないものを分けて、迅速に対応できるようにすべきだと思います。

○永井部会長 先ほどの6の問題はいかがでしょうか。これはかなり大きな話になりますが、提言ではここを相当重点的にまとめられているようですので、自由にご意見をいただきたいと思います。

○七海委員 第三者委員会について、いろいろな副作用防止のためには設置して機能したらいいなと思うのですが、いま現在、薬事審議会があります。それと第三者委員会の位置づけがどのように違うのか。薬事審議会は新薬を通すためで、そのあとのフォローを第三者委員会がするのか、第三者委員会の位置づけと薬事審議会の位置づけの違いを教えていただければと思います。

○中垣総務課長 私が答えるのが良いのかどうかわかりませんが、基本的にいまの薬事・食品衛生審議会は、いわゆる施行型の審議会ですので、そこで定まった厚生労働大臣からの諮問に応じて審議を行い、答申するものです。それは、基本的には個別の医薬品がどうであるか、あるいは医療機器がどうであるかといったものです。第三者委員会というのは、ここに書いてあることを考えれば、もう少し自発的にいろいろなことを提言したり、そういった諮問相談を待たずに、行ったり調べたりできるという違いがあるのではないかと思います。

○七海委員 ありがとうございます。よくわかりました。

○望月(眞)委員 いまのところですが、いろいろな組織を新たに作っていくのはとても難しいようですが、薬事・食品衛生審議会自体の第三者性というか、構成委員も含めてのいろいろな意味でのConflict Of Interestがいつも申請されて、議事に加える加えない、あるいは席を外すとか、いろいろな方策が講じられていて、第三者性を担保するようになっていると思うのです。そういう形だと、まだ不十分というニュアンスなのでしょうか。そこを教えていただきたいと思います。

○中垣総務課長 いま、こういった八条タイプの審議会には、政策提言型のものと法施行型のものがありまして、薬事・食品衛生審議会は法施行型ということになっています。政策提言型のものは、いま厚生労働省の厚生行政分野の中には2つしかなくて、いわゆる衛生行政に関わる部門をやっている厚生科学審議会と社会保障審議会の2つだけです。これは資料に載っておりましたように、もともと審議会を整理合理化していく流れの中で、従来非常に多くの審議会があったものを集約して、特に政策提言型のものは非常にわずかなものに集約しているのがいまの実態です。したがって、薬事・食品衛生審議会というのは、審議会の位置づけ上はそういった形になっておりますので、ここで書いてあることをそのままやるというのは、現行では難しいだろうと思います。

○永井部会長 いまのシステムの中でも、やるべきことはたくさんあるのだと思うのです。花井委員が参考資料4に書かれていますが、例えば4番目の再評価制度、これは医薬品の有効性の再評価ということだろうと思いますが、それ以外にもこうした有害事象まで含めたトータルな再評価が重要なわけで、いま医療イノベーションなどと言いますが、開発ばかりに気がいっているように思います。新しいものはもちろん評価しますし、これからも評価されるのでしょうが、既存のものについても常に再評価するサイクル、開発があって、評価があって、また開発があるというサイクルを円滑に作ることが、これから非常に重要なのではないかと思います。

○坂田委員 この第三者組織については、大臣とはきちんと約束をもらっている件です。この件は、最終提言書の74~79頁に書いてあります。私たち検証委員会が2年間にわたって、情熱と労力をかけて23回にわたって仕上げた提言書です。この部会の目的の1つとして、第三者組織の法制化をするということであり、ゴールまでの行程表、いわゆるたたき台を示していただきたいです。スタートは74~79頁に書いてありますので、そこからスタートしていただきたい。

○永井部会長 これについても、今度寺野委員に全体的な考え方をご説明いただこうと思います。

○山本委員 先ほど少し申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、おそらく現在の行政組織の中では、消費者庁、消費者委員会辺りがいちばん似ているのかなと。つまり、先ほど薬害の原因はいろいろなところの情報の収集、あるいは伝達のどこかのサイクルに問題があって、大体そこに原因があるというお話がありましたが、消費者庁、消費者委員会を作ったときもそういう議論が出ました。これは行政内部の情報伝達の問題であったり、消費者から行政、そこから事業者、あるいは事業者・行政間の情報伝達のまずさであったり、いろいろなところに問題があるということで消費者庁、消費者委員会を作ったということがあります。なおかつ、これは省庁を跨って、安全の角度から問題があるものはチェックするという組織ですから、そういう意味では理念としてはいちばん似ているのかなと思います。
 厚労省の中に作る場合には、薬・食審との権限配分というか、事務の振分けをうまく作っていく必要があるのかなと思います。

○永井部会長 時間がなくなりましたので、7も含めてご議論いただきたいと思います。副作用報告先の一元化の問題です。いまの監視機構とも関係してくると思いますが、論点としては、すべての収集情報を総合機構に一元化すべきであるということです。

○鈴木委員 25頁の回収の指導強化ですが、回収については厚労省、PMDA、私ども都道府県で製造販売業者に対して指導を行っております。特に私の所属している東京都では、例えば25頁にあります医療機器のクラス1、これはヒトの生命に直接影響のあるような事象ですが、平成21年度は11件ありまして、東京都では9件担当しております。このように、東京都では657件中374件の回収を取り扱っておりますが、やはり多いということで、私どもはこの制度ができてから内規を作り、この中に示されているだけではなく、回収について製販業者の方々から報告が上がった段階で、指示書という文書できちんと指示を行い、回収が長引く場合については中間の報告書をいただくとか、そういう形で厚労省と連携しながら適切に指導しております。
 ただ、ここでもジャクソンリースの問題が出てきておりますが、医療機器については、多いのはAEDとかですが、どこに売られているかがはっきりしているわけですが、器具については、ジャクソンリースも器具でしたが、こういったものはたくさん販売されていますし、それがどこにあるかがわからない。病院に行っても、手術室にあるのか病棟にあるのかという中で、そういうものをきちんと回収する手段が非常に難しくて、ジャクソンリースもそういう点で病院の窓口には行っているけれど、病棟で十分回収をされなかったということで、回収の残りがあるということです。
 また、現在も回収命令が残っておりまして、2カ月に一遍報告を受けておりますが、例えば棚卸しをしたとか、病院で片付けをしたら出てきたとか、そういうこともありますので、私どももこういった問題については迅速に、きちんと確実に不良品を回収していただくということで対応しておりますが、医療機関についても是非ご協力をいただければと思っております。

○永井部会長 システム全体についてはいかがですか。回収情報を機構に一元化しようという提案についてはいかがでしょうか。

○俵木安全対策課長 7は2つありまして、1つ目が副作用報告の一元化で、いま副作用報告を厚労省とPMDAでもらっているのを一元化したらどうかということです。もう1つは、いま回収の開始については法律的に明確に報告をいただくことになっていますが、終了については法律的にきちんとした規定がないので、鈴木部長からご説明がありましたように都道府県でご努力いただいているのですが、そういった制度の整理が必要ではないかということです。

○永井部会長 副作用報告先と回収の問題と、2つあるのだということですね。

○鈴木委員 回収の終了報告書については、各都道府県で独自の判断で徴収していると思っております。法制度化されることも必要かと思っておりますので、是非よろしくお願いします。

○藤原委員 22頁の下から2つ目の○ですが、副作用被害救済制度で得られた情報が現在どうなっているかというと、1年や2年経ってから企業に報告、詳細な調査をする形になっています。最近、PMDAメディナビができていますので、いろいろな面で一元化していただいて、こういう症例も速やかに安全対策に使えるように検討していただきたいと、今後議論いただきたいと思います。

○七海委員 この副作用報告のことは、PMDAのホームページも非常に充実されてきておりますし、割と報告しやすいシステムになっていますので、一元化していただきたいという気持ちはあります。現場では、いつもどちらに報告しようということがありますので、一元化していただくということは、それを次に活かすためにも必要なのではないかと思います。

○望月(眞)委員 一元化に関しては、いま七海委員がおっしゃったようなことだと思うのですが、医療機関側から上がってくる副作用の報告と企業から上がってくるものの中にダブりがあったりすることは以前から問題になっていました。そういったものを整理するためにも、1カ所で一元化していただいて、しかもそこでデータマイニング等を使って、Signal Detectionをする仕組み等も動き始めているようですので、そういう形で運用していただくとより一層いいのかなと思います。
 もう1つ、いろいろな法律を作って、人に責務を課すとかいろいろやっていっても、最終的には情報の流れが双方向にきちんとしていないと駄目なのかなと、今日お話を聞いていて感じました。いちばん感じたのは、患者の役割の中で、患者から情報を発信することも重要であるというところです。それを発信していただきやすい環境というか、相談体制、あるいはいままでのようなパターナリズムでないリスク・コミュニケーションがきちんとできていく形を、どこかで作っていくことが大切なのかなと思いました。それが制度としてどうなるか、法制化することなのかはわかりませんが。
 また、12頁にリスク管理計画とその後の市販後のリスク監視が図式化されていますが、リスク管理計画を添付文書などの内容にどう書き表すかはまだいろいろ議論しなければいけないと思いますが、市販前のリスクをどう評価して、そのためにこの薬についてはどういうリスクのツールを使わなければいけないことになったということが、使う側にきちんと伝わる形が必要だと思います。その上で、市販前に予想できないリスクもあって、それを市販後の仕組みの中でどう評価して、どう迅速にフィードバックしていくかというところに、いままでのやり方では情報提供の迅速性や確実性が確保できないとしたら、そこに何かの制度化が必要なのかなと思いました。

○永井部会長 ありがとうございました。まだいろいろご意見があるかと思いますが、時間になりました。これらは全部継続で重点的に議論しますので、次回以降にしたいと思います。

○片木委員 参考資料についてまだ説明できていないので、時間が過ぎていますが、ご説明します。
 参考資料3です。私が出した資料なのですが、2011年2月21日、IAPO(国際患者団体連合)が声明を出しています。いわゆるカウンターフィット薬、偽造医薬品なのですが、偽造医薬品が個人輸入することによって、患者に対して不利益を起こしているのではないかということで、IAPOがWHO加盟国に対して、薬事法の規定を強化することで医薬品の安全と有効性を保証するような声明を出しています。当然、日本もWHOの協議、インパクトという偽造医薬品の取組みにも参加しているので、今回は薬の安全性ということもあったのですが、そういう面もあって、今後安全性の議論には個人輸入に関する安全性も関わってくるのかなと思って、参考的な資料として出させていただきました。
 また、患者の個人輸入というのは、1つはインターネットが広がることによって安直に薬が手に入りやすくなったという背景もあるのですが、もう1つ、次回協議する話だと思いますが、ドラッグ・ラグでどうしても治療薬にアクセスできないから、やむを得ずという背景もあるということで、2回、3回の議論に関わることなので最後に紹介したのですが、国際的にもそういう話が出て、WHOも関わって、日本もそこに参加しているということで、協議の中に入れていただければと思っております。

○永井部会長 ありがとうございました。次回以降しっかり議論したいと思います。

○坂田委員 事務局に2点だけお願いします。1点は資料1の15頁の2つ目の○、添付文書の件なのですが、「日本での実態的な確認に近いのではないか」と書いてあるのですが、ここの部分が私はとてもわかりづらいので、ここまで近いのではないかと言える資料を、是非、次回提出していただきたいと思います。
 もう1点は、今回、私たち部会委員には、イレッサ弁護団から薬事法改正の提案が届いています。薬害肝炎の検証委員会は2年間ずっとパブコメを取り続けて、委員以外の方々の意見も随時拾い上げていただいたということがあるのですが、是非この部会でも、そういった意見があった場合は配付していただくということをお願いできませんか。

○中垣総務課長 もともと委員の方に送られているものは、私どもの所にはつい先ほど届いたかぐらいです。ただ、本件についてどういった資料を配るか、もちろん委員からの提出資料は配付しますが、それについては部会長ともご相談して、来るものを全部出すのが良いかどうかということもありますので、それはご相談してやっていきたいと思います。

○永井部会長 それでは、これで一段落ということで、事務局から連絡事項をお願いします。

○中垣総務課長 次回は、5月27日(金)の18時から、専用第23会議室において開催を予定しております。議題としましては、第1回でご了承いただいた「今後の検討の進め方」に従って、「医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認について」と「医薬品等監視の強化について」です。詳細はのちほどご連絡申し上げますので、よろしくお願いします。

○永井部会長 どうもありがとうございました。これで終了させていただきます。


(了)

医薬食品局総務課

03(5253)1111(内線2713)

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