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2014年5月13日 第8回日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 議事録

健康局がん対策・健康増進課栄養指導室

○日時

平成26年5月13日(火)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第18-20会議室(17階)


○出席者

構成員<五十音順・敬称略>

宇野 薫 (株式会社タニタヘルスケア/ネットサービス推進部 管理栄養士)
江頭 文江 (地域栄養ケアPEACH厚木 代表)
大竹 美登利 (東京学芸大学 教育学部 教授)
岡村 智教 (慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学 教授)
佐々木 敏 (東京大学大学院 医学系研究科 教授)
幣 憲一郎 (京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部 副疾患栄養治療部長)
鈴木 一十三 (株式会社ローソン マーケティングステーション 部長)
高田 和子 (独立行政法人 国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部 栄養ケア・マネジメント研究室長)
高戸 良之 (シダックス株式会社 総合研究所 課長)
武見 ゆかり (女子栄養大学 食生態学研究室 教授)
田中 延子 (公益財団法人 学校給食研究改善協会 理事)
田村 隆 (つきぢ田村 代表取締役社長)
中村 丁次 (神奈川県立保健福祉大学 学長)
原田 信男 (国士舘大学 21世紀アジア学部 教授)
伏木 享 (京都大学大学院 農学研究科 教授)
藤島 廣二 (東京聖栄大学 健康栄養学部 客員教授)
藤谷 順子 (独立行政法人 国立国際医療研究センター病院 リハビリテーション科 医長)
八幡 則子 (パルシステム生活協同組合連合 事業広報部 商品企画課 主任)
渡邊 智子 (千葉県立保健医療大学 健康科学部 栄養学科 教授)

事務局

椎葉 茂樹 (がん対策・健康増進課長)
河野 美穂 (栄養指導室長)
芳賀 めぐみ (栄養指導室長補佐)

○議題

1.開会
2.議題
 (1)日本人の長寿を支える「健康な食事」の基準について
 (2)その他
3.閉会

○議事

○河野栄養指導室長 それでは、ただいまより第8回「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方には御多忙のところ、また、本日朝、地震がありまして、交通事情が不安な中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、生源寺構成員と田中啓二構成員が御都合により御欠席です。
また、座長から交通事情で30分ほどおくれるとのご連絡がありましたので、本日進行のほうは、座長が到着するまでの間、副座長の武見構成員にお願いしたいと考えております。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
 検討会の議事次第をおめくりいただきまして、資料1は「日本人の長寿を支える『健康な食事』のとらえ方(案)」等になってございます。
 資料2としまして、「日本人の長寿を支える『健康な食事』の認証について」
資料3としまして、「『健康な食事』の基準策定の考え方及び策定方針について(案)」
資料4としまして、「『健康な食事』の基準の策定と認証に向けた流れ(案)」
参考資料としまして、「国内外の関連する取組の状況」
以上が資料ですが、よろしいでしょうか。
 お手元には毎回どおりフラットファイルということで、これまでの検討会の資料を置かせていただいております。
 これ以降の進行につきましては、武見副座長にお願いいたします。
○武見副座長 それでは、中村座長が到着されるまで進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
本日の主な議題は、「日本人の長寿を支える『健康な食事』の基準について」ですが、まずはこれまで御議論いただいてきた「健康な食事」の定義等について、本日固めたいと思います。
構成員の先生方には前回検討会後に修正したものをお送りし、御意見をいただいておりますので、本日お示しするものが最終案となります。
それでは、まず資料1について、主な変更点を中心に事務局より御説明をお願いいたします。
○芳賀栄養指導室長補佐 それでは、主な変更ポイントを中心に資料1をもとに御説明いたします。
 まず、タイトルの変更についてです。本日の資料では「日本人の長寿を支える『健康な食事』のとらえ方(案)」となっていますが、これは前回まで「定義(案)」というタイトルでした。
こちらは、定義という概念の内容を限定するという意味合いよりは、「健康な食事」をどう捉えるかという視点を表現することを意図して、「定義」ではなく、「とらえ方」としています。
次に、右側の図のタイトルに関してです。こちらは前回までは「日本人の長寿を支える『健康な食事』に関わる様々な要素(案)」となっておりましたが、この要素に関しては、見る側が主体性を持って全体を俯瞰できることを意図し、タイトルを「要素」という文言ではなく、「『健康な食事』を構成している要因(例)」ということに改めております。
次に、こちらの「要因(例)(案)」の全体の構造の整理のポイントについて御説明いたします。
前回の御議論を踏まえ、「自然」「社会・経済」「文化」というのは、前回の図ですと右側のほうの外側にありましたが、これを円の上部に移動しています。
また、円の下部にあった「『健康な食事』の実現」を削除して、「健康」という形で整理しています。
円の下方にある、「健康・QOLの維持・向上」と対比するものとして、円の上方に「地域力の維持・向上」を追記しております。これにより、個人と環境、地域の両者の向上を目指すことと、円の中のそれぞれの要因とのかかわりがわかるように整理しています。
次に、円の左側にある要因ですが、こちらはものの流れにかかわるもの、右側には情報の流れにかかわるものを配置ということで整理しています。
円の上側のほうには環境にかかわる要素、下側には個人にかかわる要素を配置ということで、本日の資料1の左下に、要因の見出しを抜き出して、図の構造の配置がわかるように参考としてお示ししている図がございます。こちらをごらんいただきますと、ものの流れを左側の上方から下方に、情報の流れを右側の上方から下方にということで整理しています。
その他、要因の整理と文言の修正に関しては、前回資料では四角で囲んでいたそれぞれの見出し、例えば「食料生産・流通」「食文化」などを下線に変更しております。また、見出しに対して記述が不足しているところを追加しています。
円の上半分の右、左をご覧ください。「食物へのアクセス」と「情報へのアクセス」を対比させるような形にし、特に情報提供については、情報の発信もありますので、「情報づくり」ということに変更して、副題として残しています。
また、円の真ん中にある「食べ方・食の場面」に関しては、選び方や整え方と連動している部分もあり、切り離して位置づけることは困難ということから、「食の場面」と「選び方・整え方・食べ方」と整理しています。
その要素として、「選び方・整え方・食べ方」の下の2ポツ目にある「適切な情報に基づいた食品や食事の選び方・整え方・食べ方」等を加えています。
また、右下の位置になりますが、「食嗜好」とともに「食に関する知識・スキル」や「食事観」も適切な食事の選択等に関連する重要な要素であることから追記しています。
以上のような形で検討会後、構成員の皆様からの御意見を踏まえ、タイトル、構造を整理しております。
これらも留意しながら「日本人の長寿を支える『健康な食事』のとらえ方(案)」を資料1の左側にある1から4のように整理しております。
こちらの整理は、資料1右側の「『健康な食事』を構成している要因(例)」の構造や内容に合致するように配慮しています。
文章の1から4の図での位置づけを示すものが下の<参考>の図ということになります。
まず、1のところです。「『健康な食事』とは、健康な心身の維持・増進に必要とされる栄養バランスを基本とする食生活が、無理なく持続している状態を意味する」。こちらは前回同様、一番幹になる部分で、これが下の図ですと1のところに対比する形です。
次に、2の部分です。「『健康な食事』の実現のためには、日本の食文化のよさを引き継ぐとともに、おいしさや楽しみを伴っていることが大切である。おいしさや楽しみは、食材や調理の工夫、食事観や食嗜好の形成、食の場面の選択など、幅広い要素から構成される」としました。
「健康な食事」の実現に大切なものとして2のところは整理してございます。こちらについては、日本の食文化のよさを引き継ぐこととともに、おいしさだけではなく、楽しみというものも加えて整理しています。
また、これらを構成する要因については、多岐にわたるため、そのことも後段の文章でわかるように表現しています。
こちらが下の構造の参考図でいいますと、真ん中の2、太目の点線で囲んだところになります。
次に、3についてです。こちらは1、2を踏まえ、こういった「健康な食事」が広く社会に定着するためにはどういう条件が整っていなければならないのかということを表現した部分になります。
「健康な食事」を広く社会に定着するための条件は、前回は基本情報の共有とメニューへのアクセスという、並列の関係だったのですが、「信頼できる情報のもとでの適切な食物にアクセス」と改めております。
この両者が融合して成立することがわかるように表現を変更しています。
さらに、そのためには、社会的・経済的な条件のみならず、文化的条件も必要となることから、「文化的な条件」という部分を追記しています。
その結果、3の文章については、「『健康な食事』が広く社会に定着するためには、信頼できる情報のもとで、国民が適切な食物に日常的にアクセスすることが可能な社会的・経済的・文化的な条件が整っていなければならない」と整理しています。
最後に、4についてです。こちらは下の要因の構造図で見ていただきますと、これは便宜的に構造の全体像を示すために矢印を用いていますが、「地域力の維持・向上」に向かう矢印のところ、それから下の緑の太い矢印がございまして、「健康・QOLの維持・向上」に向かう矢印ということで、1から3を踏まえて、「健康な食事」の実現によって期待されることを4段落目として4に記載しております。
文章としましては、「社会全体での『健康な食事』の実現は、地域の特性を生かした食料の安定供給の確保や食生活に関する教育・体験活動などの取組と、国民一人一人の日々の実践とが相乗的に作用し、食をめぐる地域力の維持・向上とともに、国民の健康とQOLの維持・向上に着実に貢献する」ということで、「健康な食事」の実現によって期待されることを捉え方の結びとして4段落目に整理しています。
検討会構成員の方々の御意見を踏まえ整理させていただいた案は以上となります。御議論よろしくお願いいたします。
○武見副座長 ありがとうございます。
 以上御説明いただいたことについては、これまでの議論を踏まえ、本日で一旦取りまとめとさせていただきたいということでの御説明になりますが、特段御意見があれば、具体的にどのように修正したらよいか、理由とともに御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○藤島構成員 私は、これは大変よくできているというふうに感心しているところではあるのですけれども、きょうのお話をお聞きしていてちょっと気になったのが「地域」という言葉です。地域をどの程度で捉えたらいいのかなと。
 と申しますのは、ここで「地域の特性」あるいは「地域力」という形でもって地域を非常に強調されますと、よく言われている「地産地消」、あるいは「身土不二」という言葉がございますけれども、それが決して悪いというわけではなくて、それはそれで非常に重要だと思っているのですが、地域内で食料を供給するような形での自給自足的なことが頭に浮かんでしまうのかなと。そうなったときに、果たして健康との関連でそれは妥当と言えるのだろうか。
というのは、私が小学校ぐらいのころまで、それこそ50年以上前の話になるのですが、ちょっと尾籠な話で申しわけないのですが、そのころ冬になると、小学生などは青っ洟、青い鼻水を出すのがすごく多かったのですね。それが徐々に少なくなってきて、今はそういう子供を見ることはまずないのです。
それはどうしてなのかというと、1つは、かつては野菜などは地域で自給自足的な状態にあった。完全にそうだったというわけではないのですけれども、そういうことで、冬場になると、新鮮な野菜を入手することが非常に難しい。だから、漬物などを主に食べていたということになるのですが、そうなりますと、栄養素のバランスが十分とれないので青っ洟を出していたと。その後、徐々に流通が広域化して全国流通になってくる中で、冬場でも新鮮なものを食べられるようになってくると、それでビタミン等の栄養素も十分行き渡るようになって、青っ洟を出さなくなったのではないかと言われています。
私はその辺の医学的根拠を知っているわけではないのですが、そういうことを考えると、地域はもちろん重要なのですが、余り地域を強調し過ぎて、あくまでも地域の中でというような意味合いになると、ちょっとどうかなと。
ここで「地域」と言われる場合、「地域」の定義といいますか、その地理的範囲や考え方を検討しておく必要があるかとも思います。
○武見副座長 これについては、事務局のほうでまずお答えを。
○河野栄養指導室長 今回整理するに当たり、「地域」とするのか、「環境」とするのかというところについて、委員の方々の御意見も踏まえまして精査をさせていただいた上で、「地域」をどこまで捉えるかという問題につきましては、「日本人の長寿を支える」ということにありますとおり、特に限定した国内のある特定の地域ということではなくて、日本という理解もできますし、かつ食文化であるとか、ここに書かれているのは、多様な側面の中でそれぞれに地域の特性を生かした、あるいは地域の気候風土に根差したということですので、特定の地域を想定した地域という使い方ではないということになります。
ただ、この表現ではわかりにくい、あるいはそういった懸念が出てくるということであれば、今後報告書を取りまとめる際にそういった捉え方について記述してはどうかと思いますので、その方向で整理をさせていただけたらと思います。
○武見副座長 恐らく生活のレベルとか食物の生産とか流通とか、いろんなレベルで捉えるということについては、きちんと御説明をつけていく形で「地域」という表現を使うという方向の御説明かと思いますが、よろしいでしょうか。
○藤島構成員 はい。
○武見副座長 そのほか。原田先生。
○原田構成員 今の問題なのですけれども、これはかなり重要な問題ではあるのですが、逆にこれは学術論文とか何かと違って、概念規定が重要であるというわけではなくて、かといって、「地域」という言葉を「環境」に置きかえたら、全く意味が違ってきてしまう。
ですから、そこのところは留意しながら、例えば一番最初の「食料生産・流通」のところにある「地域特性」の前に、「多様な地域特性を生かした」とか、地域というのは多様なのだというニュアンスで、なおかつそれにプラスして、それを生かしたというところのうまい形容なり修飾の仕方で「地域」と言った場合の説明も入っているということをやっていただければよろしいと思いますし、余り概念規定はしないほうがいいかと思います。
それで言いますと、全体のあれを見まして、非常にまとまってわかりやすく、バランスよく、なおかつ関連性が見事に出ていて、いいあれだと思うのですけれども、今の多様な地域特性みたいな部分での細かな文言になりますと、もうちょっと幾つか考えていただきたいという感じがいたします。
今、お気づきの先生方、あれば出していただきたいですし、事務局のほうもその辺のところは少し慎重に言葉選びをやっていただきたい。
例えばこれは我田引水になるのですが、「情報へのアクセス」のところで、一番下に「出版文化の発達(料理書の普及)」とありますが、これは料理書だけでは下のほうの食事観とか伝統的な食文化ということがわからないので、「料理・食文化関係書の普及」とか、今、料理の技術だけであれば、むしろクックパッドみたいなネットとか何かのほうのあれもあるので、その辺のことをちょっと踏まえた上で、もうちょっと広がりを持った表現をここのところなどは使っていただきたいということ。
それはたまたま今、私のところで気がつきましたけれども、恐らくこれをまとめることにかなり苦労されたと思うのですが、今度細かい文言のほうで少し細かな吟味をしていただければと思います。
○武見副座長 それはそのように進めていただくということで、よろしいですね。。
そういう意味で、もう少し丁寧に見ていただいた上で、特に小さいポツのあたりの言葉遣いなどについては、最後事務局で十分整理していただきたいと思いますが、全体的なこととか大きなことで今、ここで御発言いただいたほうがいいことがあれば、お願いいたします。
 ご発言を止めたわけではないので、どうぞ。よろしいですか。お願いいたします。
○鈴木構成員 先生のお話とちょっと絡むかもしれないのですけれども、食材のところで「地場産物」と書いてあるので、多分国産をイメージしているのかなと思うのですが、今、輸入のものにも頼らざるを得ないという言い方がいいのか、好んで買っているという言い方がいいのか、とてもいい海外の商品もあると思うので、その辺の捉え方を記載しておいたほうがいいのかどうなのか。「国産を中心とする」にしたほうがいいのかというところは、みんなで話し合っておいてほうがいいのかなと思ってちょっと発言させていただきました。
○武見副座長 どうですか。そこは議論の結果、この表現になっているという理解でよろしいですか。
○河野栄養指導室長 これまでの御意見の中には今のような御発言はありませんでした。
ただ、地場産物は特段国内産を意識しているということよりは、先ほど原田構成員からお話があったように、多様な食材で、特に上に「旬の食材」がありますし、食材もここだけで見るのではなくて、「食料生産・流通」とか「食文化」とか、生活の暮らしの中で食材をとしての構成要因の例が「地場産物」ということになります。この「地場産物」をもって国内なのか、輸入食材なのかという話ではなく、全体の中で見ていくときに、あくまでも「健康な食事」を構成する要因(例)として、これまでの御発言は「地域産物」であったというふうに理解していますが、それ以外に今のような御懸念がある中で、先ほどのような「多様な食材の使用」ということを追記するか、そういったことが必要かどうかについての御意見をいただければと思います。
○武見副座長 今のようなことを加えていけばということでよろしいでしょうか。
○鈴木構成員 はい。
○武見副座長 どうぞ。
○原田構成員 趣旨はそのとおりだし、恐らくおっしゃったような世界的な流通というのは、安全・安心な食材の部分で入ってきていると思うので、これは「地場産物の使用」ということで、使用を強制するようなニュアンスになりますから、「地場産物の利用」ぐらいのところで。「利用」と「使用」は大分違いますから、「利用」のほうが言葉としてはいいと思います。
○武見副座長 ありがとうございます。
 そのほかにいかがでしょうか。
 そうしましたら、今いただいたような御意見、特に用語の使い方等については、この後、さらにお気づきになる点もあるかと思いますが、最終的には事務局と座長に御一任いただくということで、基本はこの方向で取りまとめということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○武見副座長 ありがとうございます。
 では、中村座長がいらっしゃいましたので、次の認証のところから座長をお渡ししたいと思います。
○中村座長 済みません、電車が混乱しましておくれてしまいました。申しわけありません。
 それでは、続いて、「健康な食事」の認証について議論を進めていきたいと思います。
まず、資料2及び参考資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
○芳賀栄養指導室長補佐 それでは、資料2をごらんください。あわせて参考資料も御用意願います。
資料2は、「日本人の長寿を支える『健康な食事』の認証について」の案です。1点目が「『健康な食事』の認証の基本的考え方」についてです。
2点目が実際の認証の方法(案)についてです。
まず、1点目から御説明いたします。
「健康な食事」の認証の基本的考え方については、「健康な食事」を社会に広く周知を図る一つの手段として、「健康な食事」の捉え方をもとに、一定の基準を満たす食事を「健康な食事」として認証し、販売する際に認証マークを表示できるものとしてはいかがかということです。
これにより、「国民は、どのような食事が『健康な食事』かを、日々の暮らしの中で知ることができ、一定の質が担保された『健康な食事』を容易に選択できる」。
次に、「事業者は、『健康な食事』の認証を得ることで、自社商品を訴求できる」。
こういった2点を捉え、認証の基本的な考え方に関しては、認証マークを表示できるものとするという方針でいかがかという案でございます。
次に、実際の認証の方法(案)についてです。
対象とする食品は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、宅配等で販売される総菜等の調理済み食品を対象とする。
なお、外食については、平成2年に「外食料理の栄養成分表示ガイドライン」を取りまとめ、その普及を図ってきたところです。
こちらについての詳細は、参考資料をごらんいただきたいと思います。
参考資料の1ページ目に「外食料理の栄養成分表示の普及について」整理しています。
この普及の実態ですが、平成2年に、厚生省において通知を発出され、自治体を中心に広まっています。
当時の目的、ニーズといたしましては、「適正な栄養情報の提供は極めて重要なことであり、国民の外食機会の増大に伴い、外食料理に含まれる栄養成分についての情報に対するニーズが高まってきている。こうした状況を踏まえまして、平成2年に厚生省において、国民みずからの栄養面からの健康管理を行うためには、国民に対して適正な栄養情報を提供する必要があるといった考えから、飲食店等が提供する料理について栄養成分表示を行っていただき、その普及を図るために「外食料理の栄養成分表示ガイドライン」を作成した」という状況です。
これにあわせて、厚生省のほうから各自治体宛てにこのガイドラインの普及についての依頼を行っているところです。
平成2年以降、各自治体によって外食料理の栄養成分表示の実態が広まってきているということです。
下には、当時のガイドラインでお示ししている外食の栄養成分表示の方法例を挙げております。
おめくりいただきまして、実際に自治体での飲食店に関する取り組み例として、栄養成分表示や喫煙対策等も含みますが、「健康づくり全体の取扱店舗数の多い自治体(例)」ということで、大阪府、北海道、愛知県、岐阜県、岡山県の例をマークとともにお示ししています。
これらの店舗の中には、その自治体さんが取り組んでいる枠組みの中で、栄養成分表示以外に、ほかの健康づくり全体の取り組み店舗数も入っていますが、こういった状況となっています。
なお、下に参考として、健康日本21(第二次)においての目標設定にもこれら外食の栄養成分表示等に関連するものがございますので、あわせてお示ししています。健康日本21(第二次)の目標項目として、「食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業及び飲食店の登録数の増加」というのを掲げておりまして、計画策定当時の現状は表にお示しするとおりで、平成34年度までに達成する目標値を設定しています。
これらのデータソースとしては、食品企業については、食品中の食塩や脂肪の低減に取り組み、「Smart Life Project」に登録のあった企業数、飲食店については自治体からの報告ということで、エネルギーや塩分控え目、野菜たっぷり、食物繊維たっぷりといったヘルシーメニューの提供に取り組む店舗数となっています。
平成2年の「外食料理の栄養成分表示ガイドライン」を受けて、各自治体において、こちらにお示しした以外の自治体でも類似の取り組みが広がっています。
さらに、その中で具体例ということで、2ページの一番上にあります大阪府は現在1万店舗を超えてございますが、こちらの自治体の普及の様子というものをお示ししております。
「健康づくり応援団の店」として認定する条件には、当然メニューの栄養成分表示も含まれますが、それ以外のものも含まれており、いずれかを実施している店ということで、ヘルシーメニューの基準も決めている状況があります。
資料2に戻り、「2.認証の方法(案)」の3ポツ目に移ります。
「『健康な食事』の認証の基準については、日本の食文化の良さを引き継ぎ、栄養学的に望ましい量や内容とする」ということで、「健康な食事」の基準に関しましては、この後、御議論いただく資料3のところで御説明いたします。
また、認証については、一定の基準を満たしていることが一目でわかることが重要となるため、「マーク」で示すこととし、そのマークについては公募を行い、その中から本検討会で決定していただくこととしたいと考えております。
このマークについては、基準に合致していれば任意で表示できる仕組みを想定しています。
これに関連しまして、参考資料の4ページをごらんください。
「食品に関する認証や表示の制度(例)」ということで、参考資料の4ページに幾つか例をお示ししています。特定保健用食品、いわゆる「トクホ」と呼ばれているものに関しては、食品の持つ特定の保健の用途を表示して販売される食品ということで、特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、表示について国の許可を受ける必要があります。
2つ目が特別用途食品です。こちらについては、乳児、幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示が対象になります。販売に供する食品のうち「特別の用途に適する旨の表示」です。これを販売する際には、その表示について国の許可を受ける必要があるということで、許可基準等が定められており、健康増進法に基づき特定保健用食品とともに、消費者庁において表示許可事務がなされております。
また、食品に関しては、JASマークのようなものもございまして、対象としては、成分や食味、香り、色などの品質について定められた企画を満たす食品ということで、食品にJASマークをつけることができる事業者の取り扱い等が示されています。
また、最後の段になりますが、栄養機能食品は、栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものということで、自己認証に近いような形で、マークはございませんが、定められた条件に合致すれば、定められたとおりの栄養成分の機能についての表示をして販売される食品ということで、国内にはこういった食品に関する認証や表示の制度の例がございます。御参考までにお示ししています。
さらに、「他国における健康的な食品を認証する取組(例)」ということで、参考資料の5ページに例を2つお示ししています。
1つはKeyhole symbolということで、実施国はスウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド等において実施されています。
こちらはスウェーデンで設立されまして、その後、他国にも広がり、健康的な食品を選ぶためのラベルになっているものです。
対象食品は、表に挙げているとおり、現在は26食品群で、これらの食品群の中で基準を満たすために脂質を減らしているとか、健康的な脂質への置きかえ、糖類や塩分を減らしたもの、食物繊維をふやしたものなど、それぞれ基準があり、認証の仕組みがあるようです。
この認証の仕組みについては、シンボルの表示は自主的なもので無料、シンボルの使用に公的な通知は不要ということで、詳しくは下記のホームページに掲載されています。
また、もう一つがシンガポールにおいて実施されているもので、これはパッケージ化された商品に関しての食品の認証で、それらが健康的な選択肢であるということを示しているようです。
食料品を買う際に、消費者が食品を選択するための手助けとなるものということで、実施されているようです。
対象食品は表中に示したとおりで、こちらも食品群の中でそれぞれ必要な条件というのがあり、例えば脂質に関しての含有量などが基準としてあります。
こちらの認証の仕組みについては、HCSのオンラインシステムを通して申請書と承認を受けたい製品の栄養分析レポートを提出し、製品がシンボルを使用する場合は、ライセンス契約のようなものをHealth Promotion Boardと結び、パッケージや広告等へのシンボルの使用が許可ということで、詳細についてはシンガポールのHealth Promotion Boardにあります。
他国においての一例として御参考までにお示ししました。
「健康な食事」の認証について基本的考え方、認証の方法(案)については以上のとおりです。御議論よろしくお願いいたします。
○中村座長 では、今、御説明いただいた部分について、質問があればお願いしたいと思います。具体的には基準の策定方法とあわせて検討していただくことになると思いますが、この時点で御質問があれば、よろしくお願いします。どうぞ。
○伏木構成員 認証するということが出てきたわけですけれども、認証するにしても、「健康な食事」という根拠になる部分というのは、結局、これまでほぼ1年間かけてこの検討委員会が「健康な食事」というのは一体どのような要素があってということで、資料1のベージュ色のところにまとまったわけでしょう。そしてそこで健康な食を認証するという段階になって、突然資料3のようなプアな図が出てくるのには違和感があります。
しかも、「健康な食事」の基準の考え方としたら、ここには議論したベージュ色の図の内容が入ってこないと、要するに、何のために我々は話し合ったのかわからないと思うのです。
資料3もそのうちの要素の一つであることは間違いないと思うのですが、しかし、この中で、例えばここで議論が出た食の文化とか、地域の食材であるとか、心地よい食卓とか、望ましい食習慣とか、食事観とか、あるいはよくかんで味わえるとか、ここで初めて議論されたたくさんの要素が全く抜けた表をもとにして認証しようとしているように感じます。何か違和感を覚えるのです。少しギャップが大き過ぎるのではないかというのが一番の印象です。
○中村座長 いかがでしょうか。ほかに御意見ありますか。どうぞ。
○藤島構成員 私もただいまの御意見はそのとおりかと思うのですが、もう一つちょっと気になるのは資料2の「2.認証の方法(案)」のところですけれども、「コンビニエンスストア、スーパー、宅配等で販売される総菜」というときに、特定のパックか何かに入ったものに限られるのか、あるいはばら、はかり売りみたいなものも全部含んでいるのか、その辺のところがちょっとわかりにくいのですが、かなり限定される予定なのですか。そうではなくて、もっと広げられる予定なのですか。その辺を確認したいのですが。
○中村座長 どうぞ。
○河野栄養指導室長 今のお二方の先生の御意見は、むしろ資料3の中身を見ていただきながら御意見をいただけたらと思います。
また、伏木構成員のほうからお話があった点については、もともとこの検討会ではコンビニ、スーパー等で販売するものについての基準を取り入れてはどうかというところを一つの出口としてこの検討会を立ち上げさせていただいたので、若干欲張った感もあります。
といいますのは、「健康な食事」というものを整理しないままに基準だけをつくってしまうと、これまでどおりの栄養素の基準になってしまうということを危惧したことがございまして、幅広い観点を踏まえ、日本人の長寿を支えることに寄与する基準をつくりたいということがあって、長い時間をかけてこれまで資料1のところについて御議論いただいたという経緯があります。
これを踏まえて、資料3についてこれから事務局のほうから説明させていただきますが、例えば資料3の1ページの下半分に「考え方」というのがございますが、左上「日本の食文化」という観点であるとか、例えば下にお示しする「科学的根拠」という部分、そういったものの両者を見据えてこの基準をつくるということは、これまでの取り組みではなかったものです。これまでは科学的根拠、食事摂取基準で決まった量に基づき策定をするというのみであったのが、今回、日本の食文化というもののよさを引き継ぎということが資料1で整理されましたので、そういった観点から、先ほどから出ています国民にわかりやすい認証の仕方というのを捉えていくことになります。
また、これから御議論いただくことになると思うのですが、基準も1から5のパッケージという形での発想についても、エネルギー、栄養素の基準にとどまらず、こういった料理レベルの食材を加味し、かつそこに栄養素といった栄養学的な配慮もできるようなパッケージをつくることができるかというところも新しい視点ということになります。
さらに、右側に丸で「おいしさなど、無理なく持続する観点から望ましい要件」ということで、今回の資料1の中では、単に栄養バランスが整っているということではなくて、それが無理なく持続している状態を意味するということになれば、これまでどおりのエネルギー・栄養素の量をもって基準が合致ということではなくて、無理なく持続するという観点からおいしさだとか、あるいはそのほかの要素として「多様な食材」といったことも要件として加えてはどうかという整理案になっておりますが、資料1が生かされていないわけではなくて、資料1があったからこそ、資料3がこれまでの食事摂取基準に基づくエネルギー・栄養素の基準にとどまらない形になっていることを踏まえた上で、資料3の事務局の提示の案についてご議論いただければと思います。
ただ、これについても、きょう初めて先生方にごらんいただくものですから、この点について、今、伏木構成員並びに先生方から出てくる御意見を賜ることができればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○中村座長 ほかに。どうぞ。
○原田構成員 私は、認証自体はそれなりに必要かとは思いますけれども、問題は、結局、この検討会が「健康な食事」のあり方を今後考えるための検討会であって、そのためにこれが策定されたわけですね。これは非常に重要な問題だと思うのですが、これはあくまでも一つの予想案というか、プランであって、では、国民全体の中で日本人の長寿をどういうふうに実現させていくのかというときに、確かにわかりやすい形では食品の認証という形で出てくるけれども、しかし、実際にコンビニとかスーパーマーケットで売られている個々の食品であったら、伝統的な日本の食文化だとか、いろんな場面でのおいしさの問題だとか、個別の食品の問題としてしか認証の問題というのはできないわけでしょう。これをどうチョイスするか、どういう食生活を理想的なものとするかというところには関係してこなくなってしまうわけですよ。
そうはいえ、やはりお役所の仕事ですし、何らかの形で目に見えるメリットが必要だということもわかります。それは必要だと思っています。
問題は、これがいきなりこの表の後ろに出てきたら、そういうことになるわけであって、では、全体に日本人の長寿を考えるためにどういうプランなり今後の進め方を検討していくかという大きな位置づけがあって、その1つの中で、例えば個々の食品については、こういう認証制度をもってより健康的な調理済み食品をみんなが食べられるようにしましょうというなら話はわかるのです。
ですから、今、伏木委員がおっしゃりたかったことも、そういう全体的な頂上を目指すためのプランがある程度検討されて、これはその1つとしてあるけれども、逆にこの1つで終わってしまうのだったら何のための検討会か、そういう御懸念だったというふうに私は理解します。
○中村座長 どうぞ。
○河野栄養指導室長 貴重な御意見ありがとうございます。
 まさに今、お話しいただいたようなところが狙いとして今回進んできておりますので、この1つの基準で全てが解決するわけではないけれども、1つの基準をつくるに当たって、こういった「健康な食事」の捉え方を責任をもってきちんと整理していかないと、進んでいかない。各人が個々にこういったものがいいよねというところだけではなくて、今、これだけの多領域の先生方がそれぞれの御見識とお知恵を持って、先ほどの資料1の右側に書かれているような取り組みをされているとしたらば、そうした共通の認識の下、「健康な食事」の捉え方を整理しつつ、基準をつくっていくことになります。
私どもとしてもこれはチャレンジングな取り組みで、決して当初から答えがあったわけではなくて、1回目か2回目のときに資料をお出ししたときにも、こんなわくわくしない資料を出してというようなご意見も頂きましたが、先生方からお知恵をいただきながらようやくここまで資料1をまとめてきたという経緯があります。こうしたプロセスを大切に、私どもは検討会の1回目から展開例として、今回は基本形として、コンビニ、スーパー、宅配等で提供される食事というふうにアウトプットを図にお示ししたのは、今回の資料1で示されてる物の流れというものと情報の流れを組み合わせることで新たな仕組みを提供できないかということで、今回この検討会を立ち上げて、今、ようやくその前提のところの「健康な食事」のあり方が「とらえ方(案)」ということで整理をされたという段階になります。
これ以降については、もともとのこの検討会の狙いどおり、「健康な食事」と言っても、ターゲットとする方法について議論させていただいた上で、今後「健康な食事」のとらえ方(案)が、他省庁も含めて評価していただけるものになるか、発展の可能性についてもご議論いただけたらと思います。
資料3のところで、これはあくまでも「健康な食事」を実践するための1つのツールにすぎないということであったとしても、資料1に基づいたものとして今回整理をいただいた上で、このほかにも具体的な施策とか取り組みがあるということであれば、それを検討会の報告書の中に記載することは可能ですので、そういったこともあわせて盛り込んでいくという方向で議論を進めていただけたらと思います。
○中村座長 どうぞ。
○伏木構成員 おっしゃることはわかりますが、少しびっくりしたのは、ベージュ色の大きな、一種の食の「健康」という世界観ができたわけですね。できたのをもう一回栄養のバランスという小さな世界観に戻って話をしていることに違和感があると申し上げたわけです。
 例えば取り組み例として、スウェーデンの例、Keyhole symbolなどは、考え方がすごくよく理解できる。例えば「基準を満たすために要求される成分とその方向性」というのは、大きな流れを保証するために、例えば油を減らしましょう、糖質を減らしましょう、塩分を減らしております、この食品は食物繊維がふえています、こういうことが書いてあるわけでしょう。それが全部そろわぬとだめというわけではないですね。
つまり、ここの基準を満たすために要求される事柄というのが、先ほどのこれまで議論された事柄と一致とは言わないけれども、それを反映していないと意味がないと思うわけです。例えばあるものは望ましい食習慣の形成に資するものですという評価もあるでしょうし、あるものは食文化を大切にしたものですという評価もあるだろうし、あるものは脂質が少ないです、あるものは塩分が少ないです、こういう多くの事柄、これの議論どおりの事柄がここに反映されて、そしてそれを満たすものに対して、それぞれの理由をつけて認証があれば、それはすごく納得できます。
しかし、ここで多くの要素をきゅっと小さな世界にまとめてしまって、それでどういうふうに判断するのか、非常に難しいと思うのですが、個別のほうが議論が反映されやすい。議論は議論として、これを実行しやすいような形でまとめましたというまとめ方のところに少し違和感があるなと思ったのですが。
○河野栄養指導室長 資料3のところはまだ御説明申し上げていないので、資料3の内容を踏まえ今のようなお話をいただけるとよいかと思います。
資料3についても深い内容となるので、きのう構成員の方々にも事前に情報提供させていただきましたが、初めての説明となりますので、まずは資料3の説明をこちらからさせていただいた上で、改めて、ただ今の意見も踏まえまして御意見をいただけたらと思います。
○中村座長 原田委員、それでいいですか。
○原田構成員 はい。
○中村座長 では、資料3の説明をお願いいたします。
○芳賀栄養指導室長補佐 それでは、資料3について御説明いたします。
 資料の構成ですが、「『健康な食事』の基準策定の考え方及び策定方針」ということで、1点目が1ページにございます「基準策定の考え方」。今、途中まで御議論いただいた話題が含まれております。おめくりいただきまして、2ページ目に「基準の策定手順(案)」、3ページ目に「基準策定の方針(案)」ということで、大きく3つのパートに分かれております。
 1ページから追って御説明いたします。
まず、「基準策定の考え方」ですが、「健康な食事」の基準となりますので、特定の食品の基準というのは、検討会の当初から想定されていたものではなかったと認識しておりますが、成人を対象とした1食の基本型を策定。
次に、資料1にありましたような御議論を踏まえて、日本の食文化のよさを引き継ぎ、栄養学的にも望ましい量や内容とすること。
次に、主食・主菜・副菜のそろう「食事」が整えられるよう、主食・主菜・副菜の「料理」ごとに、「食材(食品)」及び「栄養素」の特性を踏まえた基準を定め、その際、適正なエネルギー量で、食塩含有量をより少なくすることに配慮する。
さらに、主食、主菜、副菜については、単品でも組み合わせでも認証できることとし、健康の維持・増進のために必要な栄養素をバランスよくとることができ、特に生活習慣病の予防に資するよう、食事摂取基準における目標量と摂取量の差が大きい栄養素については、その改善に寄与できるようにする。
最後に、基準とともに、無理なく持続する観点から、おいしさなど、留意すべき点を整理する。
「基準策定の考え方」のポイントをこちらにお示ししてございますが、具体的には下の図でポイントを整理しています。
これまで御議論いただいた日本の食文化も踏まえたということで、資料1の世界を何らかの1つの食事のパタンとして落とし込む際の軸を2軸捉えてみました。
まず、主食・主菜・副菜がそろう「食事」であるということで、これは食事の基本構造の部分になります。
次に図の下のほうの囲みの部分「健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保」の背景にあるのが科学的根拠(食事摂取基準等)ということです。
こちらの考え方の上側にある「日本の食文化」や、食事の基本構造や食材に関する話というのは、資料1の円の図でいくと上側に関係することをイメージしていただければと思います。
かつ、こういった中で、特に食事の基本構造においては、日本の食文化を踏まえ、主食、主菜、副菜を組み合わせて食べるというところに着目しまして、それぞれの料理区分に基準の構成要素の1、2、3を置いてございます。
これら全体に関して、「健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保」の観点から、特に食事の全体量を規定、体重管理に最も重要なものである「適切なエネルギー」をどのように規定するか。さらには「生活習慣病予防の観点から食塩摂取量の減少に寄与するもの」ということで「食塩は少なめ」と。基準の構成要素を1から5まで位置づけております。
基準については、何か確認できたり、客観的に評価できたり、はかれたりということが必要になってくると考えられますが、これと資料1の世界観との間で、全部を体現することは難しいと思いますが、プラス客観的に評価できるものにして、無理なく「健康な食事」を持続するという観点から、おいしさなど留意すべき点を整理し、そういったものを望ましい要件としてお示ししてはどうかというのが基準の策定の考え方(案)になります。
おめくりいただきまして、<参考>の表は、先ほどの「基準策定の考え方」の中の1つにあげた食事摂取基準で目標量を設定している栄養素の値と実際の日本人における摂取実態との関係について、御参考までに表にまとめたものになっています。
現在、食事摂取基準で目標量を設定している栄養素は、たんぱく質、脂質、炭水化物、さらにエネルギー産生栄養素バランス、さらにはナトリウム、カリウムということで、これらの値と現状値を比較しています。
次に、こういった策定の方法の考え方に基づいて、実際に基準をどうつくっていくのかという案ですが、2ページの(1)から(4)、大きく分けて4つのステップを考えています。
まず、(1)は、日本人の食事摂取基準における基準値を基本に、「健康な食事」としての1食当たりのエネルギー及び栄養素摂取量(主要なものを抜粋)の目安を試算する。
(2)として、現在の日本人の食事パタンの中で最適と考えられる、食品ごとの摂取量についての解析を行う。こちらは、栄養素の世界から食品、食事パタンの世界に移行する作業が必要になりますので、相互の関連性を確認しながらの作業を想定してございます。
(3)として、解析においては、「主食」「主菜」「副菜」という食事の構成要素、料理ごとの基準となる栄養素やエネルギー量、さらにはこの三者間でのエネルギー量の適切な比率を算出し、(1)から(3)までの試算、これらの値の算定に当たっては、実際に現在の健康な日本人の集団での食事の実態と乖離していないかというのを確認する手段として、国民健康・栄養調査の、今、公表している集計結果ではこういった実態の確認や検証が難しい部分がございますので、特別集計等を活用して検証してみてはいかがかと考えております。
当然(1)から(4)の作業プロセスの中には、資料1でおまとめいただいたような、いろいろな食事にかかわる要因、実態というのも考慮しながら、必要に応じて関連する論文なども活用して、総合的に判断、整理していくという作業になろうかと思います。
基準策定手順の中でポイントになるのは、食事に至るまでのプロセスが何段階かおそらくあり、例えば栄養素レベルであったり、食品であったり、それを組み合わせた料理、さらに食事、それが1日の食事のあり方、それが平均的な食生活に至るという、かなり多くのステージを行ったり来たりしながら基準を策定する必要があるという点です。そしてさらに今回「健康な食事」の概念整理をしていただいた内容を踏まえて、1食当たりの基準をまず1つの基準として基本型のものをお示しできないかという案になります。
次に、実際の基準策定の方針ですが、3ページ以降になります。
基準策定の枠組みは、1ページでお示しした食事の基本構造ごとに、主食、主菜、副菜が基準の構成要素の1、2、3になり、それらに適切なエネルギーと食塩との関係を盛り込むという形で、まず数値でお示しできる世界で基本的なところは整理できないかということで、策定の方針案をまとめています。
まず、3ページの主食についてです。
「精製度の低い穀類を積極的に利用したもの」ということで、主食に関しては、その特徴として、「炭水化物を多く含み、エネルギーの供給源となるだけでなく、食物繊維、ビタミン、ミネラルの摂取に寄与できるものである」という整理をしております。
これらについては、実際の食品成分表のデータを用いて、表1、図1ということで、同じページの下にお示ししています。
表1については、主要な栄養素を抜粋しておりますが、食品100グラム当たりの主な主食に関する食品名の栄養成分値になります。特に主食に関しては炭水化物と食物繊維に着目してデータを整理しています。
3ページの文章の部分に戻りますが、「(留意点)」のところで基準策定の方針で、主食に関しては、「食物繊維摂取量を食事摂取基準の目標量に近づけるために、主食における食材の選択として精製度の低い穀類を一定割合以上利用したもの」。なおかつ「エネルギーや脂質、食塩の過剰な摂取を避けるために適切な調理、加工方法とする」という留意点でいかがかという案です。
また、基準の示し方の例(イメージ)として、炭水化物の量、さらに100キロカロリー当たりの食物繊維を一定量以上満たす精製度の低い米や麦等を用いた主食という基準の示し方のイメージになります。
また、単品の場合は、エネルギーの幅及び食塩含有量については、後段に食塩が出てきますが、1グラムを超えないあたりの値でいかがかということで、基準の示し方のイメージです。
なお、下に図1として「穀類100kcal当たりの食物繊維含有量」のデータを示しました。
精白米100%の場合に対し、玄米を半分まぜた場合、白米を玄米のみにした場合、麦を加えた場合、さらに小麦粉での全粒粉の場合、そば粉の場合ということで、これはカロリーベースでの食物繊維含有量の特徴を食材の1つの特徴と捉え、図示しております。
以上のように、主食については精製度の低い穀類の積極的利用を想定した案でございます。
次に、おめくりいただきまして、4ページが2点目の食事の構成要素、主菜についてです。
主菜は、身体の構成要素として、不足を防ぐために一定量の摂取が必要である、たんぱく質の主な供給源ということで、特に主菜に用いられる食材の特徴ですが、種類によってはたんぱく質及び脂質の含有量が異なります。表2、図2にそちらの特徴をお示ししています。
代表的な主菜を構成する食品を例として抜粋しており、これは食品100グラム当たりの値になりますが、これらのたんぱく質含有量と脂質含有量を中心に見ていただければと思います。
図2にお示ししますとおり、脂質含有量とたんぱく質含有量の関係から、それぞれの食品の特性を図でプロットしています。
こういったことも踏まえまして、基準の示し方のイメージの例ですが、たんぱく質量を何グラムというので、値は幅で示ししつつ、それを満たす魚介類、肉類、卵類、大豆、大豆製品を主材料とした主菜ということです。
単品の場合は、一定のカロリー及び食塩含有量1グラムを超えないことという基準の示し方としてはいかがかという案です。
次に、5ページに入りまして、副菜についてです。
十分な野菜量の摂取に関する役割ということで、ビタミンやカリウムなどのミネラル、食物繊維の主要な摂取源であり、地域の特性を生かし、食事に多様性や変化を与えるものであることから、その留意点に関しては、特にエネルギーや脂質、食塩の過剰な摂取を避けるために適切な調理、加工方法に留意する必要があろうということです。
副菜を構成する食品の代表的なものの特徴を表3、図3にお示ししています。
ここでは、基準の示し方の例(イメージ)としては、緑黄色野菜を含む数種類以上の野菜(キノコ類・海藻類も含む)とし、一定の値の幅を基準として示し、それを使用した副菜としています。
また、単品の場合は、一定のカロリー、食塩含有量1グラムを超えないということで、基準をお示ししてはどうかという案になっています。
図3については、特にカリウムと食物繊維含有量に関して、代表的な野菜の100グラム当たりの量をお示ししています。
こういった食材を用いた副菜のあり方というのもイメージしながらの基準(案)になろうかと考えられます。
次に、おめくりいただきまして、6ページが主食、主菜、副菜といった食事の基本的な構成以外の部分で適切なエネルギー量、食塩含有量に関してです。これは主食、主菜、副菜それぞれ、または全体の食事のパッケージに係る部分になります。
まず、適切なエネルギー量についての考え方です。全体の食事量の目安となり、体重管理に最も必要なものという位置付けです。
また、個人の食事の量は、体格をモニタリングしながら調整していくことになりますので、実際に利用する際には、単品を組み合わせる場合においても、必要なエネルギー量に応じて選択可能なエネルギー量とすることに配慮する必要があると整理してございます。
基準の示し方の例です。
単品の場合は、主食、主菜、副菜ごとにエネルギー量の幅もしくは上限をお示しする形で、主食、主菜、副菜の食事の組み合わせとして基準を示す際は、エネルギー量の幅、例えば何百カロリーから何百カロリーというような幅で基準を示し、示す際の単位は100キロカロリー当たりの提示とし、実際に提供される食事のパッケージが何キロカロリーなのかをわかるように示すというのはいかがかと考えております。
食塩含有量については、生活習慣病予防の観点から、食塩摂取量の減少に寄与するとの観点で、この基準に関しては、食事摂取基準の目標量の値も考慮しながら、現在の日本人の摂取量から、まずはその減少に主眼を置いた形で、実現可能な基準としてはいかがかと考えています。こちらについては実現状況に応じて数値の変更を考慮してはいかがかと思います。
基準の示し方のイメージですが、単品の場合は、主食、主菜、副菜ごとに食塩含有量、実際は食塩相当量になります。済みません、プリントミスで「限」となっていますが、「上限」です。上限を示すということ。
1食につき3グラム未満を基準の目安量として置いてはいかがかと考えております。
上記のほか、留意する事項として、先ほど来御議論にも挙がっている「健康な食事」の要因、捉え方において整理された考え方、世界観を数値で示すもの以外にどのようにあらわすかというのが特に御議論が必要なところかと思いますが、「無理なく持続する観点から望ましい要件」ということで、おいしさであるとか、地域産物を利用した多様な食材の利用とか、数値で客観的にうまく示せない部分を「健康な食事」の要素としてどう盛り込むかというのが1つ課題になろうかと思います。
ただ、これはあくまで1食の基準でございまして、これをもってして全てを俯瞰する基準というところは、理論的にも技術的にも前提として難しいと思いますので、そういったリミテーションも御留意いただきながら、ある考えのもとに基準の策定の方針というものを立て、そこからそれを実際の食事に置きかえていくという位置づけでお考えいただければと思います。
なお、7ページ以降については、栄養素等の食品群別摂取構成比として、実際に日本人が今、それぞれ代表的な栄養素に関して、これは国民健康・栄養調査の1日調査のデータですので、1歳以上の集団平均値になりますが、実際にどういった食品群からエネルギー及び主要な栄養素を摂取しているのかというものの構成比を図でお示ししたものになっています。
こういった日本人の食事の実態も踏まえた形で基準の具体というのを検討していただくことになろうかと思いますので、こちらにその特徴を食品群ごとに色分けしています。
例えばエネルギーですと、エネルギー全体の平均摂取量を100%とした場合の穀類由来が、41.7%、肉類から10%、魚介類から5.7%という形で、例えば主菜の構成要素の主体であるたんぱく質。脂質については、日本人はこういった食品からとっているということで、それぞれ摂取源の構成比率をお示ししております。
集団平均ではございますが、こういったものも日本人の食事の特徴を数値としてお示しする一助になろうかと思って今回整理しています。
説明は以上です。御議論よろしくお願いいたします。
○中村座長 ありがとうございました。
 では、原田委員。
○原田構成員 今の話で少しはわかったわけです。
というよりも、なぜ2を先に出したのかがわからない。これが先に出てきたために、マーケットの総菜といったら、それが主食なのか、主菜なのか、副菜なのかの議論の前に、でき上がった調理のあれを認定するということで、初めに認定ありきかという印象を持ってしまったわけです。むしろこの議論が必要であって、その上でこれが出てくるというならわかります。
ただ、私としては、これが出てくる前に、せっかくつくった図1をどのように活用していくか、そこのところの大問題がまずあるのではないかと。もちろん、厚労省さん、本家本元としては、こういう食事のあり方というのは私も非常に勉強になりますし、そのとおりだと思うのですけれども、せっかくこういう形で「健康な食事」のあり方を考えるのであるならば、ここで何の問題が出てくるかというと、食育の問題なのです。結局、食育みたいなものをどういう形で普及させていくのか。今、言われた食育は、農水もやっているし、文科省もやっているし、厚労省もやっていて、僕にはばらばらにしか見えないのですが、そういう中で、結局、おいしい食事、「健康な食事」とは何なのか。せっかくつくり上げたこの図みたいなものをどういう形で例えば文科省あたりと連携しながらその普及を図って、食育の一環に取り組んでいくのか。食は認識の問題ですから、この認識の部分がしっかりしていなければ、1食当たりの問題を云々かんぬんしても、結局、その場その場のあれに流されてしまう。
どういうものをどう食べるか。食文化を生かしながらどういう形で食生活を楽しむかというところの基本認識を、これは厚労省としてというよりも、国としてどう取り組むかという姿勢が私としては欲しかった。その上でこういう議論が出てきて、その上で認証という話が出てくるなら、この検討会をやった意味があると思うのですが、いきなりこの図から認証の問題になると、何だ、認証だけかというイメージが非常に強くなってしまうので、その辺の問題を少し考えていただきたいということです。
○中村座長 ほかに御意見。どうぞ。
○岡村構成員 先ほどから聞いていて、認証の話が出たときに医学の世界に戻ってきた感じがしました。戻ってみたら、やはりおもしろくないのです。生きている世界から老病死の世界に戻ってきたみたいなところが若干あります。
 最初の資料1のところですが、認証は進めていくということになっていると思うので、これを生かそうと思うと、認証要件にどこかを1つ入れるとか工夫が必要です。
今、思ったことですが、例えば食材がどういうものであるかをちゃんと示すとか、どういう調理法のもとにつくったかということを書くとか、例えばこのメニューを使ってこういう普及事業をしていますとか、こういう調理教室をやっていますとか、レシピをアップしていますとか、いろんなことが要件にできると思うのです。例えば最低限どこか1つを満たした上で認証するとかです。すでにこれらをやっている企業とかもありますから、そういうことだとあまり抵抗が少ないでしょうし、食材がどうだとか、調理法がどうだとかもそうですし、おいしさについても後で調査をちゃんとしていますとかいうことを要件にするなど、幾つかやりようがあるでしょう。
調理についても、こういう食文化に基づいてつくりましたということを書くとか、すなわちどこかの部分を最低一つは認証要件として入れるくらいのことをすると、多分つながるのかなと。
だから、余り欲張らなくてもいいのですけれども、資料1のライブの世界が生きていないと、その下になると医療関係者がふだんやっている世界になって突然おもしろくなくなります。せっかくこれだけの時間をかけて意見を出し合っていますので、ぜひそこは生かさないといけない。そういうことを今、思ったところです。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○幣構成員 私も今までの先生方の御意見に同感なのですが、例えば医療の世界でも、こういうエネルギーの基準とかエビデンスに基づくものは随分と浸透していると思うのですが、せっかく「健康な食事」というのを一般の民間の方たちにお話をするのであれば、単純に1、2、3、4、5だけの基準を満たすという規定で最後終わらずに、例えば健康のところでも口腔機能の云々というような条件があって、「健康」という文言と、基準の例えば食物繊維とかが合致したこの食品は、そういう目的を持った「健康な食事」の提案をしている食品ですよという認証にしていただく。必ず基準の1、2、3、4、5とともに、こちらの要因と今まで呼んでまとめてきた図1がセットになって評価されるような運用を考えていただく。非常にハードルは高くなるかもしれませんが、全ての情報へのアクセスとかは難しくなりますが、そういった言葉が入りながら、要因が何とか生きるような形を考えていただくのが1つの方向性ではないかなと思いますので、御議論ください。
○中村座長 ありがとうございました。
 では、先生、どうぞ。
○大竹構成員 私も資料1でまとめられたものから急に栄養バランスに戻ってしまったなという感がしています。
 せっかく「「健康な食事」のとらえ方(案)」を議論して1、2、3、4とまとめられておりますので、この4つのところが必ずその食事に含まれていくという確認をとるとか、そのようにしていくと、単に主食とか副菜とか、そういうのがそろうという栄養バランス的なものだけに終わらないものになると考えます。
1の「栄養バランスを基本とする食生活が、無理なく持続」というところでは、今、提案された基準というのは非常に合致しているかと思いますけれども、例えば2、日本の食文化がこの中にどういうふうに入っていくかとか、3の「日常的にアクセスすることが可能な社会的・経済的・文化的な条件」がどういうことがこの食事に整っているかというあたりをきちっと反映されたものであってほしいなと思います。
1というのは、数量的にきちっと押さえられるかなと思いますけれども、2、3、4あたりですと、もっと定性的になると思いますが、例えばこういう要素が含まれていればいいとかというような、ある意味では少し曖昧な形になりますが、せっかくここまで議論してきた非常に豊かな「健康な食事」の捉え方をぜひ潰さないで基準に入れ込んでほしいなと思いました。
以上です。
○中村座長 武見先生、どうぞ。
○武見副座長 今のことにつながってちょっと発言したいと思いますが、まず先ほど原田委員がおっしゃった「健康な食事」の捉え方というものをより広く社会にどういうふうに伝えていくのかということの全体像みたいなものは1つ整理していただいて、その中の一つとして今回の認証制度がある。これは非常に良い御意見だったし、ぜひそうしていただきたいと思います。
 その上で、認証ということになれば、何かをもって認証に合致するということを明確にしなければいけない。そうなれば、どうしても今回出てきたような数値というか、客観的に合っている、合っていないというのがはっきりするものを使わざるを得ないと思うのです。そういう意味でいうと、今、大竹構成員がおっしゃったように、1のところがそれに主に合致していると思います。
私は、「とらえ方(案)」の1から4を全部網羅するのは無理だと考えます。
1が認証の基準であって、プラス2の要素は、恐らく事務局案だと留意点のようなところにも若干含まれているような気がしたのですけれども、先ほど岡村構成員がおっしゃったような形でプラスの要素としてそれをもう一つ考慮している。ただ、それが本当に認証の基準、やっている、やっていないというのを判断できるかというと、すごく難しい部分もあると思いますが、2まではある程度認証という具体的なイメージの中に盛り込むことが可能ではないかなと。
例えば「調理」のところの「食材や素材の味の生きる調理方法」もこの検討会で随分出たことですけれども、そういうことを具体的にどうやっているかみたいなことは現実的に説明ができると思いますので、そういうことが入ってくるというのが1つだと思います。
もう一つだけ言わせていただきますと、認証したものが1食の食事だということですね。そのものがこれからの食事観とか食嗜好の形成をつくるそのものの教材だということが大事だと思っています。
私も今までいろんなことをしました。例えば「食事バランスガイド」をつくったときにも、主食、主菜、副菜などという考え方そのものがもはや現代的には伝わらないのだという議論もいただきました。でも、だからこそそれを出していきたいということで、あのときつくったこともあります。でも、あれは1日単位だったからうまく伝わらなかった。
そういう意味では、1食ということでそれを伝えていく。情報で伝えるのはもちろん大事なのですけれども、情報はその人が関心を持たなければ受けとめられない。
その点、食べ物はみんなが食べていくのです。ですので、私は、食事そのものの認証を伴った形で今回の捉え方を伝えるという発想そのものを大事にしていきたいと思っています。
○中村座長 ほかにございますか。ないですか。どうぞ。
○田中(延)構成員 しかし、これは1食ではなく、単品でもという考え方も持たれているのですか。
○芳賀栄養指導室長補佐 1食を想定して、単品で個人の状況に合わせて組み合わせも可能という想定です。
○田中(延)構成員 1食の場合は意外とやりやすいと思うのですけれども、単品になりますと非常に難しくなってくるのかなと思いますので、その辺のところはきちっと詰めていかなければいけないのかなと思います。
○中村座長 どうぞ。
○河野栄養指導室長 今の御発言に関連して、1食を基本型にして、だけど、単品でという部分については、例えば御飯は家で炊くけれども、おかずは買ってくるとか、そういったバリエーションにも対応できる形ふうにを考え、今回、単品でも認証ができることをも視野に入れています。そうすると、今、御指摘のように非常に難しくて、例えば単品の場合、エネルギーとか食塩含有量を規定する形の基準の示し方の例になっているのは、複合的な要素を加味していかないと、単品ごとの認証ができないということになるので、そのあたりについても御意見をいただけたらと考えています。
○中村座長 どうぞ。
○渡邊構成員 私もこの図の普及はすごく大事だと思います。こちらの食事の基準策定の考え方なのですけれども、1食分だと、例えば、お弁当の名前として、各料理の名前にネーミングがつくと思うのです。そこには当然食文化とか行事食とか季節のいろんなもの、旬の食材を使っているとかが入ります。だから、お弁当の名前とそれぞれの料理ネーミングがあることによって、この食品、今度のパッケージになるものが基準としてもう一つ、「健康な食事」のとらえ方の2とか3とか、そういったところにつながっていくのではないかなと思うのです。そういった意味では、基準が1、2、3、4、5になっていますけれども、ネーミングということを考えると、ここが「健康な食事」のとらえ方の2や3食文化などへの広がりを持って伝わっていくのではないかなと思いました。
○中村座長 ありがとうございました。
 御議論は大体同じような方向性に今、向きつつあると思うのですが、認証制度というのがとても重要なポイントになりますので、事務局から提案された認証制度に関して、もう少し具体的な御意見を求めていきたいと思います。
 まず最初に、資料3の「基準策定の考え方」から1つずつ御意見をいただきたいと思うのですが、まず考え方に関してはいかがでしょうか。日本人の食事の基準となる主食、主菜、副菜というこのお皿で表現するというのを軸にした新しい基準づくりを今、提案しているわけですが、特に御意見ございますか。どうぞ。
○鈴木構成員 1食ということを基本にする場合、例えば食パンとか。そういうのは料理ではないのか。料理はどういうものを指すのかというのも1つあるのですけれども、例えば詰め合わせ、とてもいいパン、御飯がありますと。それを例えば5個セットで売っているようなものには入らないのか、入るのか。第1行目、1食を基本型としてということなので、詰め合わせもいいようにするというところとかも確認したいなと思います。
○中村座長 サンドイッチみたいな話ですか。
○鈴木構成員 サンドイッチは多分1食でいけると思うのですけれども、例えば個包装みたいになっているものがばっとなっていれば、多分1食を基本にしていると言えるのですが、それが1つの詰め合わせみたいな感じで、例えばパンが5~6個入っているものが売ってあったとして、それはどうなるのでしょうかということです。それは基本としていないのか、しているのか。
○中村座長 ちょっとよくわからない。
○藤谷構成員 おっしゃっているのは、精製していない全粒粉のパンとかが1袋に6個入っていて、1個が大体1食分ぐらいのときはどうかというようなことですね。
○鈴木構成員 はい。
○芳賀栄養指導室長補佐 まず、基準の中身というのがあって、次に売り方の話だと思われます。基準としてどういう量なり条件なりでいくかというのをある程度御議論いただいてから、では、それをどう売っていくかというところのような気もします。
○中村座長 どうぞ。
○伏木構成員 単品の場合と料理の場合とですけれども、単品を幾つか買って、そして自分の家で炊いた御飯と一緒に料理をつくるところもありますね。その場合、単品の料理というのは、自分が選ぶわけですから、選ぶこと自身も最初の認識の中にあるわけで、この2つを両立させないと難しいのではないかと思うのです。
全体としてパッケージしたら、それは捉えやすい。本心は捉えてもらいたくないけれども、しかし、捉えやすい。でも、単品だと、結局、どういうふうに組み合わせるかは御本人次第。そうすると、いいですよというマークがついているやつを山ほど集めて食べるということもあるわけで、そこがうまく捉えられないなという危惧が少しあるのです。
○中村座長 どうぞ。
○河野栄養指導室長 その点についても議論いただけたらと思います。というのは、選ぶ方にとっては単純なほうがいい。だけれども、基準はしっかりと。その点が難しいのはよくわかっているのですが、難しいと言って答えを出さないと、物と情報の流れの融合にはならない。それをこの基準に反映させたいというのがあるので、どうすればそれに近づいていけるのかというところも、ご議論いただきたい。
また、先ほどの鈴木構成員の話は、主食は御指摘のとおり非常に難しいです。というのは、3ページのところの基準の示し方の例に書いてあるとおり、炭水化物と100キロカロリー当たりの食物繊維ということで精製度の低い米や麦という食材を使った主食ということを定義した場合に、単品の場合はエネルギーあるいは塩分で枠をかけるという形になるのですけれども、そのときに、エネルギーをある程度多目にとっていい方は1つでなくて2つ買ったほうがいいということになり、ですが認証を、2つをワンセットにしてしまうと、1つでよい人には対応できない。そういうふうに考えると、では、1つのところを認証するか、伏木構成員のご意見にあった非常に難しいものを両立させていくということとともに、組み合わせるパーツ、パズルの一つ一つの形をどのように落とし込んでいくと、今のようなところが解決していくかということも検討していかなければいけません。資料3は現段階では概要をお示ししただけであって、これを精緻化していくとなると、作業もしなければいけませんし、議論もしなければいけないので、十分にそれぞれの先生方のお知恵をいただければと思っています。
○中村座長 どうぞ。
○伏木構成員 1日の1食を把握してしまうという発想が難しいと思ったのです。むしろ個別のものに対して、これはこういう部分で塩分が少ないとか、あるいは脂質分が少ないとか、一つ一つのポジティブなところだけが書いてあって、選択は個人に任せるというぐらいが現実的ではないかと思ったのです。
 パッケージというのも、料理としては窮屈な話で。
○河野栄養指導室長 「パッケージ」と言ったのがちょっと誤解を生んでいるようで、基本的に先ほどのスウェーデンの形例のように、3ページの上に書いている「精製度の低い穀類を積極的に利用したもの」ということが選ぶ側の着眼点になります。
○伏木構成員 そうですね。1つのものに1行書いてあるわけですね。
○河野栄養指導室長 そうですね。
○伏木構成員 それは選びやすい。
○河野栄養指導室長 具体的にはそれが書いているわけでなくて、その基準をクリアしていたらマークとなるシールが張ってあるということになります。
ですので、日本の場合には、主食だけではなくて、主食、主菜、副菜というものがあるとしたらば、それぞれに何らかのマークが必要となります。例えば主菜だったら適切なたんぱく質量を示すマークであり、副菜だったら十分な野菜量を示すマークで、選ぶ側はそのマークを見て選んでいただくことになりますので、根拠がしっかりしていないと、結果として選べない、うまく組み合わせられないということになってきます。
今の段階ではそのあたりが資料3では解決できていないので、さまざまな懸念、あるいはここはクリアしたほうがいいですねというあたりを課題として挙げていただいて、それが解決できるのか、できないのかというところも検証しながら、最終的に資料3を固めていくという形になるのではないかなと思っています。
○中村座長 どうぞ。
○藤谷構成員 部分からの組合せを利用者ができるかどうかは難しいことだと思います。自分もまだ完全に意見が固まっているわけではないのですが、武見構成員がおっしゃるように、ぱっと見て、ああ、このぐらいの主菜と、野菜が多い副菜というバランスがいいんだなと思っていただくのがいいのではないかと思います。否定すべきは、油っこい主菜ばかりたくさんあって、野菜を食べない生活であり、良質な、比較的さっぱりとした主菜と多目の野菜、という組み合わせがぱっとわかるのがいいことなのだと思います。それで、一食か部分かという話に戻りますが、先ほど事務局がおっしゃったように、御飯を家で炊くという人がいるので一食ばかりではよろしくないという考えであったら主菜、副菜を分けずに両者組み合わせておかずのみ弁当のようにするという案もあるかと思います。
現在でも、ホウレンソウのおひたしのような副菜みたいな小さなおかずはあちこちでいろいろ出ていますが、それが割高だったりして買わないのが問題であるわけです。どうしてもついつい、肉のメインのおかずなどに目が行ってしまうという食習慣が不健康なのだと思います。自分でも迷っているところではあるのですが、今お話したように、主食、主菜、副菜にして全部選ばせるよりは、主食とおかずパッケージ、という分け方も選択肢としてあると思います。おかずは主菜、副菜をまとめたセットにする。それでも業者さんは何種類もつくるだろうから、その中の好きなものを選べるのではないかなと思いました。そういう落としどころもあるかなと思って発言しています。
○中村座長 ほかにございますか。では、佐々木先生。
○佐々木構成員 事務局から出していただいた資料3というのは、事務局の方がおっしゃるとおり、これがたたき台であろうと理解をした上で意見を述べます。
恐らく先に食事が出てしまったために議論が難しくなったのだろう。
そうではなくて、もしも資料3の1ページ「主食・主菜・副菜のそろう『食事』」という文言を挙げるのであれば、主食と主菜と副菜というものがそれぞれ個別のパーツとしてあり、そこにお勧めするものはこれであるというものの認証。
そして、お弁当などのように1食が1つのまとまりとなって販売されるようなものは、この3つのお勧めがそろっていることを認証というように、書き方のベクトルを逆にするほうが理解しやすいのではないかなと考えました。
その上で、健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保ができるか否か、どれぐらいできるのかということを検証するという作業を経て、それが実現可能で、かつ「健康な食事」という我々にとって一番大切な定義を満たし得るかどうかを確かめていくという作業工程なのではないかなと考えました。
簡単に言いますと、書き方の順序の問題かなというふうな理解です。
○中村座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○高田構成員 恐らく認証のマークとしては、アメリカのMy Plateが近い感じなのかなというふうに思って、まずはこの認証の考え方の方向性としたら、きちんと組み合わせてほしいというメッセージが強く伝わるようなマークなり、パズルのパーツみたいなものでもいいのですけれども、一般の方がちらっと見たときに、この1つで成り立っているのではないのだよというのがはっきり伝わるマークなり何かがあるといい。
主食を買う方は大勢いらっしゃいますので、例えば精製度の低い主食を勧めたいというのであれば、麦入り御飯だと主食としてお勧めというマークがあって、でも、これは主食だよという位置づけがはっきりしていて、そのほかに油とか塩分の少ない主菜があって、この1品は主菜として割とお勧めできる主菜であって、でも、これは主菜で、一部なのだよというのが見るからにはっきりするような形をとっていくというのが、今の方向だと一番近いのかなと。
ただし、武見委員はつくった側ですし、専門家なのでよくわかると思うのですけれども、「食事バランスガイド」が1日当たりであって、こちらは1食当たりだというのが非常に混乱します。どちらも「主食」「主菜」という言葉を使っていて、向こうには向こうの「ワンサービング」という単位があって、こちらは100キロカロリー当たり何とかという単位が出てきてしまうと、そこのすみ分けが非常に混乱して、今でも売っているお総菜の中に「バランスガイド」の絵が描いてあって、どれだけ満たしているという図が入っているものがあるので、そこにまた認証のマークが別に張られると非常に混乱するなと。整理はちょっと必要かなというふうに感じています。
○中村座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
この策定基準は、食事摂取基準の1食当たりの栄養基準量を基準値にしましょうというのが基本になっているのです。先ほど議論になっている北欧のデータ、低脂肪とか低何とかというのは、通常の食材よりもこの食品は含有レベルが低いですよというのを基準値にしたのです。そうすると、「通常」と我々が一般的に言っているという基準値をまずつくらなければいけないのです。それよりも何%低かったら低何とかというのがつくれるかという基準値もまたつくらなければいけなくなります。
今回事務局が示したのは、そういう食材の含有量を基準値にするのでなくて、1日の食事摂取基準というものを基準値にして、それを満たすものを認証していきましょうという基本的な考え方なのですが、それはそれでいいですか。どうぞ。
○藤谷構成員 栄養のほうの専門家の方に伺いたいのですけれども、栄養摂取基準とか、あるいはバランスガイドというのは、3食の割合について、例えば1日1,800だとしたら、600、600、600とれと推奨しているのですか。それとも食事によってお勧め熱量が違うのですか。
○河野栄養指導室長 今の御指摘のとおり、「食事摂取基準」とここに書いてはおりますが、1食当たりにどのラインを持ってくるかというところもこれからの検証材料で、先ほど基準の策定手順に実態をというふうに申し上げたのも、日本人では朝食、昼食、夕食でどれぐらいの比率でとっているかとか、そういった基礎データも今の段階で十分に精査されているわけではないので、そういったものも見ながら、そのラインも決めていきましょうというのが今回の狙いです。
○中村座長 どうぞ。
○藤島構成員 ちょっとピント外れになるかもしれませんけれども、どうして1食にしなければいけないのかよくわからないのです。1日でもよろしいのではないかなと。
例えばお弁当のように、ある意味ではセット、決まっているようなものであれば、1食という形での判断はしやすいと思いますが、先ほどの御意見にもございましたように、単品ということになると、単品それぞれが健康的ですよと言っても、それを幾つ使うかわからないということがある。
逆に言うと、野菜などの場合、1日350グラムということが妥当だとするならば、この単品は野菜が50グラムですよ、あるいは100グラムですよというのを出すほうが、消費者にとってはわかりやすいのかなと。そういう感じがするのですね。
そうすると、1食にしなければいけないのか、1日でもいいのではないかなという感じがちょっとしているのですが、それは1食に限られるということになりますか。
○中村座長 毎食栄養のバランスをとる必要があるのか、1日でとればいいのかというのは、栄養学のとても大きな問題で、今、ここで結論を出そうと思ったら、それは大それた話になってしまう。それはそれこそ生理学的な研究もしなければいけないし、疫学研究もやらなければいけないし、いろんなところをあわせて結論を出さなければいけないので、今、答えは出ないと思うのです。座長がそんなことを言っていいのかどうか知らないですが。
 田中先生、どうぞ。
○田中(延)構成員 しかしながら、この認証制度というのは、国民の方が日々どの程度食べることが自分の健康にいい食事なのかということを普及啓発していくという意味が非常にあると思うのですね。ですので、1日の3分の1である1食分をこの程度食べるのだということを知らせていくということは意味があると思います。
私は学校給食をやっていますけれども、学校給食の基準を定めるに当たっても、子供たちにあなたにとって1食この程度の量が必要なのですとか、バランスはこの程度の野菜を食べることが必要なのですということを教育しているわけです。個人によって多少の量の増減はあると思いますが、大人が対象であるならば、やはり1食を知らせていく必要があると思います。
単品の話なのですけれども、先ほど座長がおっしゃったように、諸外国は主食、主菜、副菜という概念がないので、低脂肪だとかそういうことでヘルシーさをうたうとか、そういうふうになっているのだと思いますが、日本の場合は、明確に主食、主菜、副菜という概念がありますので、それをしっかりと今後もつないでいくということが重要だと思います。
○中村座長 ありがとうございました。
 武見先生、どうぞ。
○武見副座長 今の1食か、1日かということについて、私が第1回目のときにアメリカのフードガイドの話をしました。アメリカはピラミッド型を使ってきた。あれはどちらかというと1日だったと思うのですけれども、それをMy Plateという1食のイメージがしやすいものに変えたときの説明としては、人々が食事を選ぶときは、そのとき何を食べるかということで、1食単位を考える。そのときに思い出してほしいリマインドのためのアイコンだと。アメリカはいろんな研究が進んでいるわけで、その中で行動変容を促すという視点からいってもそちらの形が望ましいのではないかという結論で、そちらになったというふうに理解しています。
それを考えると、1食の基準をどうするかというのは今後としても、示し方として、今、1回御飯を食べるときにどうするかがわかりやすいものにしていくというのが1つの考え方かなと思います。
○中村座長 ありがとうございました。
 佐々木先生、どうぞ。
○佐々木構成員 追加というか、類似の意見です。
 まず、食事摂取基準は、各食事ごとの栄養素、エネルギーの値を全く定めておりません。そのための研究、使い得るものがほとんど存在しないという理由であります。まだ学術的に十分でないものを事実と誤解するような形で使うというのはよろしいことではないだろうということで、控えてあるのだろうと推察いたします。したがって、1日の値で示すほうが現在でのエビデンスに近いというのは事実だろうと思います。
 しかしながら、人が食べ物を選ぶときに頭の中に入れ得る、そして保持し得る情報は1日全体ではなく、各食事であろうというところであります。しかし、ここもまだ推論にとどまっておりまして、十分なエビデンスを私は知りません。限られた情報の中で、私たちがどこまで事実に即して、かつもう一つはどうすれば使っていただけるかというところ、100%を望むのではなく、70~80%ぐらい。しかし、ここは課題として残されるよねとか、ここは注意しましょうというところを追記することで現実のところに落とし込めるのではないかなと考えます。
まとめますと、数字は1日当たりから出す。しかしながら、こういうものは1食当たりで出していくほうが現実性、そして実行可能性が高いだろうと考えます。
○中村座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。どうぞ。
○八幡構成員 「基準策定の考え方」、方針のところでぜひとも盛り込まなければいけないのかなと思うのが、「『健康な食事』のとらえ方」のところの3、4についてです。認証を得たいと思っている企業なり団体なりが3、4についてきちんと企業内に落とし込んでいること、団体内に落とし込まれていることが重要です。例えば4の教育・体験活動の取り組みや情報提供などをきちんとやっている、またはベージュのこの要素を企業、団体がしっかり捉えて、内部でも学習会を行うなど。きちんとした方針がある団体が認証を得たいと言ったときに初めて認証できるという仕組みがないと、例えば1食の栄養素を満たしたお弁当であるから、これだけ認証してくださいというふうになると、かなり切り離されたものになってしまうと思うのです。
 まずは企業、団体のところが1から4のところ、要因(案)をしっかり落とし込んで、きちんと理解した上でやっているのだということを示して、それから単品とか1食分の栄養素が満たされたということで初めて認証されるということがないと難しいのかなと思いました。
○中村座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○宇野構成員 タニタ食堂にも小さなお子様連れから、20代、70代のお客様、多くの年代、性別の方がお見えになるのですけれども、「健康な食事」を私たちが伝えていくときに、それを自分でとりに行ける人たちというよりは、この情報を伝えなければいけない人たちに伝えるべきだと思うのです。
コンビニエンスストアであれば、若い勤労男性や、今後は独居の高齢者の方々が1食分のお食事を買い求めるときに参考になる指標になったらいいなと思いますので、利用シーンを具体的にイメージできるような形で情報提供していくことが必要なのだと考えています。
以上です。
○中村座長 ありがとうございました。
では、次に移りたいのですが、「基準策定の方針」ということで、3ページから主食、主菜、副菜と載っているのですが、これに対しての御意見はございますか。特にないでしょうか。
その前に2ページに戻って、「基準の策定手順(案)」も出されていますが、この手順に関してはいかがでしょうか。手順と具体的な方針に関して御意見があれば。今、かなり多くの意見が出たと思うのですが、ほかにございますでしzょうか。どうぞ。
○武見副座長 今、この手順とか、あるいはその先に続く方針の具体的なそれぞれのことを考える前に、全体的な意見がたくさん出て、そこが1回整理されないと、なかなか入っていけないと多くの方が感じているのではないでしょうか。それぞれあるのですけれども、そこに行けない感じのところですごく議論が沸騰しているので、1回そこを整理していただいて、もう一回このことの議論があるのであれば、そういうふうに進めていただくほうがいいのかなと思います。正直自分も頭がいっぱいになってきている感じがあるので、ぜひそうお願いしたいなと思います。
○中村座長 ほかに。まだ御発言願っていない先生もいらっしゃいますが。田村先生、まだ御発言されていないと思いますが、いかがですか。
○田村構成員 やはりばれましたか。
 要は、何を基準にしたらいいかというのは、先ほどからずっと聞いていたのですけれども、料理人からすると、幕の内弁当というものを想像していただくと、全てが入っている。それを幕の内で食べるから「幕の内弁当」というのですが、一般的には野菜があって、魚があって、肉があって、御飯があって1つのパッケージになっている。
ところが、牛飯弁当となると、御飯と牛、あとちょろちょろっと野菜が入っている。申しわけない程度にシシトウが1本彩りで入っているとか、そういうことになるので、こちらのお弁当箱は認証するけれども、こちらの牛肉何とかはだめだよということになってしまうような気もするので、1食を基準にするというのはとても必要だと思います。
きょう何を食べようかというときに、「きょう」というのは、まず夕飯なのか、昼食なのか、朝食なのか。その一つ一つが別々になって「きょう何を食べようか」という言葉になると思うので、その辺のことも考えると、佐々木先生もおっしゃったように、1食を中心にしてお考えになるという考え方は非常にいいと思います。
○中村座長 ありがとうございます。
 御発言されていない方はほかにございますか。どうぞ。
○江頭構成員 私も発言をしていない一人なのですけれども、方向性としては1日ではなく、1食の意味はすごくあるなと思っています。病院の栄養指導とか、私は在宅のほうですけれども、1日このぐらい食べましょうという食品構成みたいなものを出しても、全くぱっとしないというか、イメージとして湧かないので、今、何を食べたらいいのか、何を選んだらいいのかという視点の中で、それは食材ということだけではなくて、1食という単位というのはすごく大事だなと思っています。
ただ、多様化する食生活という中では、パッケージという形、お弁当のような形なのか、個々の主菜、副菜というところなのかというのは、選択するというところで両方必要なのだなと思っていて、それを今後どういう形でというのはまた議論していくのだと思うのですけれども、いろんな先生から御意見があった中で、どう運用していくか。運用するというのは、どう選択するか。買った人たちが、買うことによって選択する力を得ることができるか。どういう形になるかはあれですが、認証する商品に対しては、例えば商品のパッケージをあけたら、そこに何か情報が入っている。
例えばスナック菓子をあけたら、その中にシールとかカードが入っていて、そこにはカードとかシールという情報が1つ入っているのですけれども、その商品の中にこういう使い方をするといいよという情報が入っているとか、先ほど「パズル」という言葉もあったと思うのですが、パーツであれば、主菜のパズルの形、副菜のパズルの形というものがあったときに、それが組み合わさると1つの形になるような認証の形にするとか、選ぶ人たちが一知恵必要な選び方ができるような認証の形であったり、商品になってくると、そこにただの商品だけでなくて情報が盛り込まれてくるのかな。そこまでを考えると運用というところにつながり、かつ資料1の栄養素とかということだけではない、いろいろな食文化とかそういったものも含まれてくるのではないかなと思いました。
○中村座長 ありがとうございました。
 では、お一人。もう時間がないので、短くお願いいたします。
○高戸構成員 今、皆さんがいろんな議論をされていて、最初、マークというのは1つなのかなと思っていたのですけれども、選ぶということがすごく重要だと思っておりますので、そういう意味では、マークというのはかなり多様なものができ上がるのではないのかな。それの組み合わせの仕方をどのように導くのかということで、そこで情報と物というのが構成されていくのだろうなと思っております。
 一番重要だなと思ったのは、各委員の先生方からお話があって、渡邊委員のほうから出たように、物を売っていくときネーミングというのがすごく重要で、おいしさとか、そのあたりをどう表現するのかというところは出てくるのではないかなと思っております。
 以上です。
○中村座長 ありがとうございました。
 きょうもとてもいい議論をすることができて、大変ありがとうございます。
 そもそもこの検討会は、「健康な食事」について認証制度をつくるので検討してくれというふうな、ある意味ではそういう具体的な話から入ってきたのですが、そのためには、まず「健康な食事」を定義しなければいけないといういきなり根源的な課題にかかわってきて、それを先生方が真剣に議論していただいたために、とてもすばらしい定義ができたのだろうと思っております。
 今まで私どもは「食事」というのを漠然として捉えていたのですが、そうではなくて、「食事」というのは、食にかかわるいろんな要素が健全に機能する包括的な状態であるという定義をしたわけであります。
 すばらしい定義なのですが、ただ、この定義を第1段階のまま報告書として出したら、消費者は、状態をどう食べるのですかという話になって、では、具体的にどんな食事をすれば健全な状態が維持できるのかという課題になるので、抽象的というか、包括的、総合的な概念を具現化するシンボリックな、象徴的な、あるいはこの定義が具現化できるような教育媒体、1つのツールになるようなものとして、我々は今、こういうものですよということを認証しようとしているのだろうと理解しました。
ただ、ああ、そうですか、では、この健康マークがついたものをこれだけ食べていれば「健康な食事」になりますかと聞かれたら、いや、そうでもないのではないかと皆さん方は思っていらっしゃるのではないかと思うのです。
だから、この「健康な食事」を報告書にまとめて、これから我々が多くの人々に伝達するときには、具現的な認証した食事はありますと。でも、それの位置づけとか、本来の根源的な食事というのはこういうものであるという教育とか適正な普及活動をやっていかないと、変な形として取り扱われる危険性があるので、この辺は深く理解して普及活動にまとめていければいいなと思っております。
これからの予定に関して事務局のほうから。
○河野栄養指導室長 それでは、資料4のほうに「『健康な食事』の基準の策定と認証に向けた流れ(案)」ということで、今後のスケジュールをお示ししておりますが、きょうの話を踏まえまして、基準案の検討、次回のところでどのぐらい内容が整理できるかということで、場合によっては検討会の予備日を活用することも踏まえて、スケジュールのほうは改めて整理をさせていただきたいと思います。
また、次回は6月24日火曜日の午後2時から4時を予定しておりますので、場所等の詳細につきましては、決まりましたら御連絡をさせていただきます。
また、資料1につきましては、きょうおおむね御了解はいただけましたが、先ほど来御指摘がありましたとおり、特に「要因(例)(案)」の図の丸の中の文言については、まだ十分に精査し切れていない点がございますので、その点についての御意見があれば、今月中にお寄せいただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○中村座長 どうもありがとうございました。


(了)

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