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受動喫煙防止対策強化検討チームワーキンググループ公開ヒアリング(第1回)(議事録)


○日時  平成28年10月31日(月) 10:30~12:17

○場所  TKP新橋カンファレンスセンター ホール3A

○議事
     関係団体へのヒアリング
       (1)日本内航海運組合総連合会
          一般社団法人日本船主協会
          一般社団法人日本外航客船協会
       (2)日本私立大学団体連合会
       (3)全国麻雀業組合総連合会
       (4)特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会
       (5)四病院団体協議会
       (6)一般社団法人全日本シティホテル連盟
       (7)一般社団法人日本フードサービス協会
       (8)一般社団法人全国消費者団体連絡会

議事録


○厚生労働省健康局健康課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「受動喫煙防止対策強化検討チームワーキンググループ第1回公開ヒアリング」を開催させていただきます。
 ヒアリングにお越しいただいた団体の方々、ワーキンググループの構成員の方々、本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 なお、本日のヒアリングは公開とさせていただきますが、冒頭のカメラ撮りについては、団体へのヒアリングに入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いします。
 政府では、受動喫煙防止対策強化検討チームを設置しまして、強化策の検討を行っております。今般、検討チームの下に設置したこのワーキンググループにおきまして、厚生労働省が提示した「受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)」について、御意見を伺うヒアリングの場を設けることといたしました。本日は、その第1回目のヒアリングとなります。
 資料としましては、今、申し上げました「受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)」のほか、ヒアリング団体からいただいた提出資料を配付させていただいております。
 ヒアリングの時間は、意見交換の時間を含めて1団体当たり10分を目安に進めさせていただきたいと思います。時間に制約がございますので、何卒御協力をお願いいたします。
 本日のヒアリングは入れ替え制で実施いたしますが、順番につきましては、今から申し上げる順番でさせていただきたいと思います。
 日本内航海運組合総連合会様、日本船主協会様、日本外航客船協会様。この3団体は、まとめてヒアリングをさせていただきます。
 続きまして、日本私立大学団体連合会様。
 全国麻雀業組合総連合会様。
 日本ホスピス緩和ケア協会様。
 四病院団体協議会様。
 全日本シティホテル連盟様。
 日本フードサービス協会様。
 全国消費者団体連絡会様。
 以上の順番で、ヒアリングを実施させていただきたいと思います。
 それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、プレスの皆様は御協力をお願いいたします。
(報道関係者退出)
(説明者着席)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 本日は、お忙しいところありがとうございます。
 まず、日本内航海運組合総連合会様、日本船主協会様、日本外航客船協会様へのヒアリングを実施させていただきます。
 まずは、団体の皆様方から、1団体5分程度を目安に、たたき台に対する御意見をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○日本内航海運組合総連合会 日本内航海運組合総連合会の藤岡でございます。
 まず、私どもの業界の状況を、ちょっとお話しさせていただこうと思います。
 私どもの業界は、石油製品とか石灰石、鉄鋼、セメント、化学薬品、肥料、石炭、自動車等々の国内輸送をやっております。輸送活動量におきまして、国内全体の44%程度を占めております。
 船員といいますけれども、そこで働きます貨物船員には、小さい船ですと2、3名から、大きい船ですと12~13名ほど乗組員が乗っております。一般的には、船員は3カ月乗船して、1カ月家に帰って休養するパターンを3回繰り返して1年過ごすというようなやり方で、乗組員が生活しております。
 皆さん御存じのように、船舶は、波や風や潮流があったりということで、非常に気象海象の影響を受けるような職場でございます。そういうことで、乗組員は常日ごろからかなりストレスがたまるということでございます。
 それと同時に、船員はそこで寝起きしておりますので、家庭と同じ寝起きをする場所、家庭と職場が同居するような職場だということで御理解いただければいいと思います。
 そういうことで、我々船主のほうでは、船を持っている持ち主さんですけれども、できるだけ乗組員にはストレスがたまらないようにリラックスしてもらおう、それが次の日への労働力の活力となるようにということで、できるだけそのような格好でやっております。
 我々の貨物船は5,100隻ほどございます。私どもの業界で499総トン数というものが、事実、業界での船の大きさを表すものなのですけれども、499トンという船よりも小さいものが4,000隻ほどございます。8割程度です。
 そういう船主さんですので、当然、大きい会社さんは大きい船をお持ちというのは大体一般的で、どちらかというと私ども中小事業者は、小さい事業者さんが多いという格好でございます。
 そういう小さい船でございますので、できるだけリラックスしてもらおうという設備にはしようということでやっています。何せ狭いものですから、船員室はできるだけ最大限にとってあげようということで考えておりますが、なかなかそのようにはできません。
 その中で、実際に我々の現状は、先ほど言いました石油製品を運ぶ危険物船というものが、これはガソリンとか灯油とかをイメージしてもらえればいいのですけれども、要するに、爆発とか燃え上がるとかという危険物なものですから、そういう船におきましては、やはり荷主さんの安全ルールがございまして、そこで指定した場所でしか喫煙してはいけないいうルールになっておりまして、積み地におきましてはほとんど整備所ですので、陸上の喫煙室でたばこを吸うということが一般的になっています。
 揚げ地、要するに、荷物を揚げる場所のほうですけれども、そちらの港のほうでは、そういう設備が大体ないようでございますので、そのときに、船内の食堂が一般的に多いでしょうけれども、食堂でたばこを吸うという格好になっています。そして、各部屋では吸うなと。やはり、運ぶ荷物がそういうものですので、非常に荷主さんは神経を使っております。
 この危険物船とは別の貨物船、要するに、例えば自動車を運ぶとか石炭を運ぶとか、いろいろな危険物ではない油以外のものを運ぶものにつきましては、一般的には、船員のそれぞれの部屋と、みんなが共用して使う食堂、事務室というようなところで吸えるようになっております。一部には、外で、風の当たらないところの陰で吸う船もあるようでございます。そういう状況で、今現在やっております。
 先ほど言いましたように、そういう状況ですが、職場が職場ということでストレスがかなりたまる職場でございますけれども、今、厚労省さんからいただいている案は、喫煙室を設けるようにということで、喫煙するのならそういうことでということなのです。先ほども言いましたように、仮に喫煙室を設けなさいということになると、先ほど言いました業界の大体8割を占める船舶では、現存の船では、喫煙室を設けるだけのスペースが全くございません。といいますのも、私たちの業界も船員不足でして、できるだけ若年者に来てもらおうということで、今までは育成しなくてもよかったのですけれども、今後していかなくてはいけないということで、できるだけ部屋数を多くとろうではないか。新人さんを育てるための部屋をとろうではないかということで、造船場、国交省さん、我々業界と相談して設計図をつくって、ここ何年か前からそれをやり始めたところですので、部屋は最低限の広さにはなっているのですけれども、部屋数を多くとってできるだけ育成する人間を育てていこうという趣旨でやってきましたので、はっきり言って無駄な部屋がない、余分な部屋がないという状況です。
 ですので、そこで喫煙室を設けろということになりますと、外づけということになってしまいますので、外につけるということになれば、こういう平らなところではなくて、やはり突起物もいろいろありますし、ましてや潮とか風とか波とかが当たるところですので、外にはなかなかできない。どうしてもそれでつくるとすれば、先ほど499トンと言いましたけれども、これが505トンなり506トンなりというようにトン数が多くなっております。そうしますと、船員として乗り込むには海技資格というものがございまして、乗組員が今まで5級、6級で船長とか1等航海士とかできたのですけれども、それが500トンを超すことによって、もう1等ずつ上がる。4級で船長、5級で1等航海士というように、海技免状がワンランクずつ上がります。
 それから、例えば749トンという船がございますが、これも我々の業界では結構多くなってきております。これが、750を超すことによって、乗組員を一遍に3名ふやさなくてはいけないというルールになっております。こうなってきますと、我々の業界では大変大きな問題になっていきます。そういうことで、何とかできないのかということで考えております。
 現状、我々は船員不足ということを先ほど申し上げましたが、できるだけ若い人を確保していきたいということをやっている中で、今、そのようにして禁煙というわけにもいかないだろうと思います。
 事実、ほんのわずかですが、全然たばこを吸わないという乗組員も、ごくまれですけれどもございます。ですから、ほとんどの船が吸えるような状態にしておりまして、危険物船につきましては各部屋では吸わないで食堂だけと言って、1カ所だけで吸えるような格好にしておりますので、何とか現状を維持できないかということで、陸上の工場で喫煙室を増設するのとはちょっと違うという認識を持っていただきたいと思います。
 仮に、本当に改造してつけるとすれば、水揚げを減らすために運行を途中で止めるということはできません。もちろん荷主さんのオーケーもとらないといけないですから、そういうことになれば、やはり定期検査、中間検査です。定期検査というのは車で言う車検です。車の車検は2年に1回でしょうけれども、船が5年に1回です。あとその真ん中で中間検査というものがあるのですけれども、そのときしかできないという状況でございます。そういうことがあって、非常に、はい、じゃあつけます、という状況にはございませんので、何とか現状のままでお願いできないものかということで、今回、ここに来させていただいたということであります。
 以上で終わります。
○日本船主協会 続きまして、日本船主協会のほうから説明させていただきます。
 まず、今、内航総連さんが説明されたのが、船舶に関する実情ということで、ここに来ております3団体とも、基本的には同じような状況だと御理解いただければと思います。
 その上で、船舶は大きく分けますと旅客船と貨物船及び内航です。内航というのは、先ほど説明されたとおり国内間だけを航行する船です。それから外航。これは日本と外国、あるいは外国だけ航行するような船で、大きく4つにカテゴリーが分かれます。
 我々日本船主協会は、そのうち貨物船の外航海運ということで、一つの協会をなしているということで説明させていただきます。
 内航と外航の大きな違いは、船の大きさ、乗組員、就航航路、それから就業期間です。(就業期間に関して)先ほど1カ月ぐらいと申しましたけれども、外航船の場合ですと数カ月から長いと8カ月ということになるかと思います。
 同じく、船の上というのは、職場と居住区が一体となっている構造で、一般的な職場と同列に考えてしまうと、少々事情が違うということが言えるかと思います。
 その上で、現状と問題点について述べさせていただきます。
 まず、我々の会員会社におきましては、既に喫煙に関する規則は設けています。ただし、分煙あるいは受動喫煙の防止といった点では、まだ若干遅れているところがございまして、現状の船舶で専用の喫煙室を設けている船舶はございません。ですから、今後、そういうものを設けるとなると、新たに設置をしていかなくてはいけないということになります。
 現状で、どのような箇所で喫煙が許されているかというと、船橋と呼んでおりますけれども操舵室です。それから、機関室のコントロールルーム及び乗組員のレクリエーションルームと申しましょうかラウンジがあります。この3カ所が大体共通して吸えるようになっています。ただし、ここにおいては不特定多数の人間が出入りして、非喫煙者、喫煙者が混在するという状況です。
 乗組員の個室、居室につきましては、基本的には各自に与えられている部屋なのですけれども、先ほど内航さんの方でも説明したとおり、全てとは言いませんけれども一部の船舶においては禁煙ということになっています。
 それから、会社によっては、船種を問わず禁煙という措置がとられております。
 なぜ、そういうことになっているかというと、船火事の防止ということで、やはり船というのは一旦、港を出てしまいますと長い間、次の港に寄港しないので、太平洋の真ん中で火事などが起こったら大変なことになるわけです。そういったことを防止するという意味で、目の届かない居室を禁煙としている会社もあるということも、お含みいただければと思います。
 あとは、仮に喫煙室等それなりのスペースを設けるとなると、どこかの部屋をあけて当てればいいという話ではなく、そこに換気装置、火災警報装置等を設置する必要がございます。そういったときに、船舶では、船舶安全法並びに船舶防火構造規則というものがございまして、簡単に穴をあけてパイプを通せばいいという話ではないわけなのです。それをきちんと法に則って改造工事を行うとなると、停泊中で済むような話ではなく、先ほども言いましたように、入渠いわゆる定期検査に大体2年半~3年に1回入ることになりますので、そのタイミングでやらざるを得ないということで、今日施行しました、明日やってくださいというと、実際には厳しいものがあるということを御承知おきいただければと考えております。
 外航海運のほうからは、以上になります。
○日本外航客船協会 続きまして、日本外航客船協会と申します。
 日本外航客船協会というのは、内外の不定期航路に従事しているクルーズ船、皆さんよく御存じかもしれませんが、例えば「飛鳥II」だとか「にっぽん丸」だとか「ぱしふぃっくびいなす」というクルーズ客船のほか、日韓の国際定期航路に従事しております国際定期フェリー等を運航している会社によって構成している、要は旅客船の業界団体と御理解をしていただければと思います。
 旅客船でございますので、多数の乗組員、また多数の乗客を乗せるのが、私どもの業界の船の特徴ということが言えると思います。
 それでは、船については、中村さんのほうから話をさせていただきます。
○日本外航客船協会 外航客船協会の中村でございます。
 先ほど2団体から説明がありましたけれども、乗組員関係につきましては、状況的には似たような感じでございます。大体、居室では喫煙可能として、乗組員のパブリックのところについては分煙をかけているという格好です。
 客船ですのでお客様関係を申し上げますと、大体の船が、お部屋では禁煙にして、パブリックのほうで喫煙室を設けたりあるいは分煙ということにさせていただいております。ただし、喫煙室が大体どの船も1カ所程度なので、多数のお客様を、分煙がだめということになると、さらに少し喫煙室を増設しなくてはいけない。そうすると、今までも分煙の流れによって、各社改装したりしてきたのですけれども、先ほど言いましたように、改装するにはちょっと時間がかかる。それから技術基準が余りなかったので、私どもの独自の判断でいろいろやってきていたというところでございます。これが、技術基準が非常に厳しくなると、どうやって改造したらいいかということに、ちょっと悩むかと思います。
 それから、船舶のほうで、たたき台では対象が敷地内禁煙になっていない、原則建物内禁煙になっていると思います。この解釈で見ますと、私どもの理解としては、オープンスペース、例えばデッキ上、甲板上では喫煙は可能かと理解しておりますが、それでよろしいかという確認をしたいところでございます。私どもはデッキ上と言っておりますけれども、オープンスペースです。火災の問題がありますからどこでもいいわけではなくて、分煙という形で設けても、部屋でなくても構わないのかの確認をしたいというところでございます。
 それから、もう一つ、法の趣旨が、受動喫煙防止ということです。したがいまして、喫煙者それから非喫煙者双方を対象にしたサービスを提供する場所はだめですよということなのでしょうが、専ら喫煙者を対象とした設備で喫煙することは可能なのか。すなわち、例えばシガーバーという呼称がある部屋は、もう喫煙者専用です。そこの中でバーサービスをすることは、引き続き可能なのかどうかです。
 船名を申し上げるとちょっとあれですけれども、イギリス系の海運会社で何とかシガーバーと設けている船もございます。ただ、イギリス船籍ではなくてバミューダかどこかだったと思います。あと、ほかにいろいろありますが、こういったことは可能なのか。要は、専ら喫煙する人に対してのサービス提供の場所を設けてもいいのかどうかというところが確認したかった点でございます。
 その他、改装工事につきましては、先ほど、もう既にありますけれども、運航中は火気を伴う作業をできないものですから、鉄板を切ったり張ったりができないものですから、ドック中しかやれないので、法の施行に関しては、あらかじめリードタイムをたくさんとっていただきたいというところが希望でございます。
 以上でございます。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 ありがとうございました。
 まず、このワーキングの座長であります厚生労働省健康局健康課長からお話をさせていただきます。
○厚生労働省健康局健康課長 健康課長の正林です。幾つか質問をさせてください。
 まず藤岡さんですけれども、完全に禁煙している船もあるとおっしゃっていましたが、今回は、原則禁煙で仕方がない場合に喫煙室は設置可能という形なのですが、なぜ禁煙にすることはできないのかというのが1点。
 外では難しいとおっしゃっていましたが、なぜ外では難しいのか、そこを教えていただきたいと思います。
 それから、船主協会さんは、今は、要するに船内あちこちで非喫煙者と喫煙者が混在しているということですが、それですと、非喫煙者の方は常にたばこの暴露を受けてしまって、場合によっては健康被害が発生したりということがあると思うのですけれども、そこについてどうお考えなのかをちょっと教えてください。
 まず、質問はそれです。
○日本内航海運組合総連合会 私が言いました禁煙になっているというのは、たまたま乗組員が4人いて、4人とも誰も吸わない人なので結果として禁煙になっているだけで、制度として禁煙にしているというのは、ほとんど見受けられない状況です。
 今回ここに出るのにたまたまアンケート調査をしたのですけれども、その中で3隻がそういう答え方があったので、実際に乗組員が全員、5人の船はたまたま5人吸わない人だったということだったので禁煙になっているという答え方があったものですから、それでちょっとまれな例としてお伝えしたということでございます。
 もう一つは何でしたか。
○厚生労働省健康局健康課長 外は難しいのはなぜですか。
○日本内航海運組合総連合会 タンカーですと、先ほど言いました、例えばガソリンは皆さんイメージがつきますでしょうか。温まると揮発していって、タンクの中の圧力が高くなると煙突の上のほうからぱっとガスが出るのです。そういうところでたばこを吸ったら、ガスが来たら爆発になる。これが一つあります。
 それから、タンカーなどは特に、荷物を満船に積んだときに、結構デッキのほうに波が上がってくるのです。見回りをするときにも。それから、もちろん船員さんが住む場所はもう1階高くはなっていますけれども、やはり揺れる。波を被る。要するに、そういうところでも、少ししけてきますと波を被ったりしますので、それで外では、本当の陰になるところだけ、先ほど言った危険物船ではない一般貨物船の、危険なものを運んでいない船でも一部の船だけが船の陰で、要するに船の一番後ろのほうですけれども、ごく一部の船ではそこで吸うことができるようになっているというのが現状です。
 ですから、船はこういう平らなところがほとんどありませんので、いろいろなものが出ていますから、余分なときに余り外を出歩くなというのが基本的な考えですので、ましてや明るいときばかりでもありません。暗いときもあります。それから揺れます。波が来ます。要するに、外は結構危険がありますから、できるだけ吸わないようにという格好になっているわけです。
○日本船主協会 続きまして、日本船主協会のほうから御質問にお答えいたします。
 まず、受動喫煙につきまして、御懸念の通り、現状100%できているかというと、答えはノーでございます。なぜかというと、外航船の場合、大体乗組員の数が22、3名というところなのです。もちろん、日本人だけではなくて、フィリピン人との混乗とかがあるわけですけれども、そういった限られた人数しか乗っていないため。さらに言いますと、ある会社が調査したところ、大体喫煙人口は2割から行っても3割ぐらいと言われているわけです。そうすると、仮に20掛ける3としても5、6名というところで、それほど数的には多くないというのがあります。あとは、コントロールルームあるいは操舵室、ブリッジ等は、比較的スペースが大きいので、必ずしも狭いところで一緒に吸うという話でもないので、ある程度は受動喫煙の防止は図られているのは事実です。
 ただし、このような動きが出てきている中、今後は何らかの形で考慮はしていく必要が出てくるだろう。ただ、現状、今すぐ何かやってくださいというと、先ほど説明したとおり少々難しいものがあるので、ちょっと時間的猶予をいただきたいというところです。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 それでは、そのほかの構成員の方々から、何か御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、3団体様へのヒアリングはこれにて終了させていただきます。ありがとうございました。
(説明者入れかえ)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 続きまして、日本私立大学団体連合会様へのヒアリングを実施させていただきます。
 まず、たたき台の意見のほうをよろしくお願いいたします。
○日本私立大学団体連合会 私ども日本私立大学団体連合会は、日本私立大学協会、日本私立大学連盟の2団体にブリッジをかけ、私立大学全般にかかわる課題を検討いたし、御意見を申し上げるなど、いろいろ対処してきている団体でございます。
 御存知のとおり、大学には国が設置する国立大学と地方自治体が設置する公立大学と学校法人が設置する私立大学があり、私どもは学校法人が設置する私立大学の連合体でございます。
 本日、私がここに参上させていただきました理由は、今回のたたき台は、建物の建設あるいはその人件費、光熱水費等、私立大学の経営に関連するものでありますから、この点に関しまして話をさせていただこうと思います。
 基本的に、受動喫煙防止対策といいますのは、一般的には当然進められるべきものであろうと思います。しかし、個別の事情に則した形で、それは柔軟なる運用、猶予措置等々が基本的に講じられていくべきものだろうと考えます。
 ここに資料を出しておりませんが、協会・連盟それぞれで各大学の実情、実態がどのような形になっているかをサンプリング調査いたしまして、この席に臨ませていただきました。
 大学内は、敷地内禁煙の方向と原則建物内禁煙の2通りあり、両方、拡大・改善の方向に向かってございます。サンプリング調査の結果、私立大学の65%が建物内禁煙になっています。
 しかし、その建物内禁煙と申しましても、喫煙室を設置する形での建物内禁煙として、学生指導が行われているというのが実態です。そこからまいりますと、今度は、今、このカテゴリーの中で、キャンパス内に喫煙スペースを新たに設けて、建物内禁煙を励行していくということになり、現状ある喫煙室を外に移してまいらなくてはならない。このためには費用もかかってまいります。先行的に、喫煙室を設けるなどして教育的見地から若者に対して受動喫煙や喫煙の害について指導を行っている状況からしますと、新たに経費をかけ、さらにスペースを確保しなければならないことが、一律的に法律案で定められますと、これはある意味、私学の経営を圧迫してくる話になりますので、この施策の執行は、時間的な猶予あるいはその方向に向けての支援を私学としてはお願いせざるを得ないと思います。
 それから、この受動喫煙防止の話をするときに、学生への教育指導の観点からの努力と、役員、教職員の方々に向けての指導、周知がございますが、大学というところには、入学式、卒業式、最近はオープンキャンパスなどさまざまな催し事がございます。これには父母、父兄の参加もあるわけで、この方々への受動喫煙防止対策なるものが一貫した話でよろしいのかどうかというところには、疑義を持たざるを得ないところでございます。このあたりは、穏当なところでおさめていただけるとありがたいと思ってございます。
 教育機関の大学の立場から考えますと、啓蒙活動やマナーの啓発というものは、やはり公序良俗の方向を目指し時間をかけてつくり上げていただくことが穏当であり妥当であると思います。
 最近は、たばこでも電子たばこというものがあるそうですが、この煙はどういう扱いになっていくのだろうと疑問に思います。
 それから、サンプリング調査の中での指摘でありますが、たばこの販売についての指導、規制といったようなことが、一切、この案の中にはありませんが、総合的な受動喫煙防止のための対策というものについても、御検討をいただく必要があるのではないかと思っております。
 例えば、私は先だってベトナムに教育交流の関係で出向いていたのですが、その折に、批判されているシガレット、ベトナムのたばこの表紙のデザインは、「たばこの害は大変なものである」といった大変どぎついデザインのものがありました。組織、機関、団体にかかわる話だけではなく、国全体としての総合的な検討が必要ではないかと思うところがございます。
 したがって、今回の受動喫煙防止対策は、一般的には大いに進めていかなければならない話ですが、さまざまなレアケースもあることや総合的な御検討のお願いをしておくべきではないかと考えているところでございます。
  どうぞ、よろしくお願いいたします。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 ありがとうございました。
 それでは、まず健康課長から発言させていただきます。
○厚生労働省健康局健康課長 今は、幾つかの大学には建物の中に喫煙室があるわけですね。それを外に出さなければいけない。外に出す場合、多くの場所が特段設備もなくただ灰皿が置いてあるだけというところが結構多いと思うのですけれども、それに、そんなに費用がかかるのかどうか。それから、費用援助というのは、今ですと、例えばたばこ産業の方々がいろいろなところに喫煙室をつくっていますけれども、そんな形でもいいということでしょうか。
○日本私立大学団体連合会 御質問ありがとうございます。
 今、外に置けばよろしいという話でございましたが、雨の日もあれば風の日もあるわけでありまして、キャンパスの中に新たに施設をつくって、そして受動喫煙防止を積極的に進めている学校もあるのです。全国に私立大学は603ありますから、その603のうちの65%、7割近くの400校余りは、いろいろな形で努力をしてございます。そういうところから見ると、外にただ灰皿を置いて分煙対策をしているというのは、教育的な見地からしましてもよろしくない。しかも、この受動喫煙防止の趣旨にも反するのではないかとすら思います。
 2つ目の費用の関係は、そうかかるものではないのではとおっしゃいますが、光熱水費も含めまして、人件費、外注委託費などの費用がかかってまいります。
 よろしく御検討願いたいと思います。
○厚生労働省健康局健康課長 私が知っている外の喫煙所というのは、灰皿が置いてあるだけで別に屋根など設けていないし、屋根を設ける設けないが教育的見地というのは、意味がちょっとよくわからないのですけれども、どういう意味でしょうか。
○日本私立大学団体連合会 先行して、学生に対し禁煙教育など教育的な見地で取り組んでいる私立大学の中には、屋根のある施設をしっかりとつくり、先ほども紹介いたしたとおり、入学式や卒業式、オープンキャンパス、学園祭など、大学はさまざまな催事がございまして、保護者をはじめ関係者が来られる場合への配慮をしているという話も聞いております。
 大学現場における実態、実情に関しましては、より詳細なデータを調べ、皆さんの意見を伺うなどして、御提出を申し上げなくてはならないかと思っております。
○厚生労働省健康局健康課長 あと、先ほども、質問を、船の関係者もあったのですけれども、この場はできるだけ各団体の御意見を拝聴して、これから我々ワーキンググループのメンバーがその意見を踏まえて検討していくということなので、御質問いただいても、これから検討しますとしかお答えしようがないので、今後の方々もよろしくお願いします。
○日本私立大学団体連合会 ご斟酌を賜れればありがたいと思っております。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 そのほかの構成員の方々、御質問等ございますでしょうか。
 それでは、日本私立大学団体連合会様へのヒアリングをこれにて終了させていただきます。
 ありがとうございました。
(説明者入れかえ)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 続きまして、全国麻雀業組合総連合会様へのヒアリングを実施したいと思います。
 まず、5分程度を目安に、たたき台への御意見をよろしくお願いいたします。
○全国麻雀業組合総連合会 全国麻雀業組合総連合会の高橋と申します。よろしくお願いします。
 まず、私どもの団体について、簡単に説明させていただきます。私どもの団体は、皆様御存じのとおりマージャンという娯楽、レジャーを営業している店舗の団体になっておりまして、おおよそ全国で8,000店舗近いマージャン店がございまして、その多くに支援していただいている団体になっております。
 マージャンと言えば、多分ほとんどの方が御存じのとおり、かなり嗜好性の強いゲームでございまして、ストレス解消とか気分転換という形で、戦前から、戦後何度も麻雀ブームを迎えまして、今でも多くの皆様に愛されているゲームでおります。
 近年では、厚生労働省の皆様にも応援していただいていますけれども、健康マージャンというカテゴリーも出てきまして、例えばお店の営業の昼間の時間帯を、飲まないあるいはたばこを吸わないといった形で区切りまして、今、健康マージャンという形を用いてやっているところもございます。ただ、健康マージャンのお店の中にも、17時以降は一般のサラリーマンを対象としたような営業形態に切りかえて、そこは普通にお酒も出したりたばこも吸うような形で営業しているお店もあります。
 今回の受動喫煙防止という観点からいいますと、マージャン店はほとんどがストレス解消、気分転換といった娯楽目的で来られるお客様が多いですので、そもそもそういう場ということを認識して御理解していただいて来ているお客様も多いですし、そもそも法律上未成年の方は入れないですので、未成年の方が受動喫煙になるというようなことはないと思っております。
 大体、今、禁煙店舗も少なからずは出てきていますけれども、たばこが厳しいというお客様は、そういったところを選んで、そちらに行かれるような形になっておりますので、わざわざ私はたばこが嫌いですというお客様がたばこの吸われるお店に行って、これは困ったという状況は、余り発生していないようなことだと思います。
 大体、マージャン店の7割ぐらいが、20坪~30坪の、6,7卓を置いた小、中規模の営業形態をとっておりますので、大体フロアの中に卓を敷き詰めて営業しておりますので、わざわざ部屋を設けるということは非常に厳しいのかなと。お店によっては1卓減らすとか、営業を割いて対応しなければならないことになり得るかもしれないですので、中にはそのせいで営業が非常に衰退していってしまう店舗も発生してしまう。
 まして、ほとんどが原則禁煙ということで、一部だけ喫煙室でやってくださいということになれば、マージャン営業の産業そのものが存続しかねる可能性まで出てきますので、業界としてはこの問題はかなり懸念しております。
 ただ、もちろん国際的な流れ、あるいはオリンピックの大成功という中に向かって、この業界としてもいろいろな取り組みはさせていただきたいとは思っておりますので、例えば、空気清浄機を多数設置して、こちらはノースモーキングエリアになっておりますとか、そういう形でお客様に御案内させていただくとかの対応をしているお店もふえてきております。
 あるいは、極端な話、お店に、当店は全面禁煙ですというような形をさせてもらうとか、そういった形で、建物内でなかなかエリアを二分してというのは、今のマージャン営業の面積とか規模からいってもなかなか厳しい。
 大規模なお店に関しては、もしかしたらそういう対応もできるかもしれないですけれども、それは、また業界内部で御指導、御意見いただきながら、対応していきたいと思っております。
 以上でございます。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 ありがとうございました。
 それでは、健康課長から発言させていただきます。
○厚生労働省健康局健康課長 マージャンを楽しまれる方の中には、恐らく非喫煙者の方もいらっしゃると思うのですけれども、そういう方々は、例えば4人でやる時に、お1人だけ喫煙者がいる。その方が目の前でたばこを吸われると、ほかの3人の方は物すごく煙たくて、本当は嫌なわけです。ただ、一般的には、非喫煙者の方は、たばこをやめてくれと言いづらいから何も言わないというのが一般社会ではないかと思うのですけれども、そうであれば、この際、喫煙室をどこかに設けて、そちらで吸っていただいて、快適な環境の中でマージャンをしていただくということが一つではないかと思うのですけれども、それについての御意見。
 それから、従業員の方は、もしマージャンをやっているところでたばこを皆さんが吸われていたら、常に受動喫煙の暴露を受けてしまうのですけれども、それについてはどうお考えなのか。
 2点です。
○全国麻雀業組合総連合会 お答えさせていただきます。
 多分、ほかのレジャー産業、娯楽に比べまして、マージャンされるお客様の喫煙率は、データがあるわけではないですけれども、極めて高いと思われます。たばこが嫌いというお客様に関しては、渋々そのお店で打つというよりも、みずから禁煙の店舗あるいは禁煙の時間帯を探して行かれることがほとんどですので、やむを得ず我慢しながらマージャンを打つといっても多分勝てないですし、つまらなくなるので、結果的に来なくなるとは思いますので、お客様自身で選んで対応しているとは思います。
 あと、おっしゃられました従業員に関しましては、確かにおっしゃるとおりでありますけれども、そのことに関しましても、今、従業員の方も結構吸うような従業員もかなり多いですし、逆に言えば、店舗によって、従業員の方も吸わないお店で働きたければ、私は健康マージャンの10時から17時までの勤務時間帯でやらせてくださいとか、朝から晩までたばこの煙が出るような勤務だというわけではないですので、そういったところを従業員の方は選んでやっていっているかと思います。
 ですので、やむを得ずどうしようもない煙の中での環境で用意をされたり、仕方なく働くような状況というのは、マージャン業界ではないと思います。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 それでは、そのほかの構成員の方々、御意見等ございますでしょうか。
 お願いします。
○経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課長 経済産業省のヘルスケア産業課長です。お忙しいところありがとうございます。
 禁煙をした環境のほうが楽しめる人というのは、実際、どれぐらいふえているのでしょうか。そこは重要なポイントで、ニュートラルなスタンスでお伺いします。たばこを吸いたいという人がいる中で、吸いたくないという人との間でどう妥協を図っていくかというのがこの作業の一番大事なところだと思うのです。
 要するに、たばこがない環境のオプションがある中で、みんながそちらに行くのか、我慢しているのか、喫煙率が下がっている中で、禁煙をうたっているところが伸びているのであれば、それも一つの解決策で、こちらはたばこだけですとなるのかと思うのですが、そのあたりの状況がわかればありがたいと思います。
○全国麻雀業組合総連合会 業界側も、確かな数値があるわけではないのですけれども、例えば4人のお客様を受け入れるお店で、夜の時間帯も含めて全面禁煙とうたっているお店で、非常に伸びてきているなというところは、残念ながら今のところなかなかないです。むしろ、禁煙にした結果、お店がはやらなくて、喫煙に戻したというお店もあります。
 個人的な話ですけれども、そもそも私のお店も、今、全面禁煙のお店でやっておりますけれども、4人のお客様が来られて、たばこが吸えないのかと言って帰られるケースはかなりありますので、今、禁煙のお店がすごく伸びているというところではないかもしれません。
 ただ、昼間の高齢者を対象とした健康マージャンという部分で、高齢者の方が、たばこのない環境を好んで来るというところは伸びているところはあります。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 その他の構成員の方々、何か御意見等ございますでしょうか。
 それでは、全国麻雀業組合総連合会様へのヒアリングをこれにて終了させていただきます。
 ありがとうございました。
(説明者入れかえ)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 続きまして、日本ホスピス緩和ケア協会様へのヒアリングを実施させていただきます。
 資料を御提出いただいておりまして、お手元に資料2として配付させていただいております。
 それでは、御意見のほうよろしくお願いいたします。
○日本ホスピス緩和ケア協会 日本ホスピス緩和ケア協会の志真と申します。
 本日は、要望書を提出させていただきました。
 私どもの協会は、主に全国のホスピス緩和ケア病棟が加盟している協会でありまして、現時点で、そこにございますように315病棟が加盟しております。
 ホスピス緩和ケア病棟は、主にがんの患者さんが入院されておりますが、今、大体がんの患者さんの10%がホスピス緩和ケア病棟で亡くなっております。病棟の個別で見ますと、大体各病棟80~85%の死亡退院率となっております。
 また、在院日数ですが、大ざっぱに平均して30日程度の在院日数になりますので、がんの患者さんの亡くなる前1カ月程度の入院の方が多いということになります。
 今回は、6月に、この当時の加盟施設311にアンケート調査をいたしました。その結果を、そこに記載してございます。回答率は64%、199施設であります。
 まず、その病棟を設置しております病院自体は、敷地内禁煙が84%、建物内禁煙が6%ということですから、約90%はほとんど敷地内もしくは建物内禁煙となっております。
 これが、ホスピス・緩和ケア病棟になりますと、病棟内禁煙は71%、そのほか病棟内に喫煙室等を設置した分煙が16%、そのほかさまざまな対応が記載されておりまして、それらを含めますと29%、約3割が、何らかの形で患者さんの喫煙を許しているという状況でありました。
 一方、問題になりますのは、病棟スタッフが、その際に受動喫煙になっているかどうかということです。状況によって付き添うというところが42%、全く付き添わないようにしているというところが34%、必ず付き添うというところが24%ということでございますので、喫煙を許している施設の64%はスタッフを何らかの形で付き添わせている。亡くなる前1カ月という方たちが多いわけですので、全く1人で喫煙させているというところは3割程度ということでございます。
 病棟内を全面的に禁煙した7割の施設に、いつの時点で禁煙にしたかということを聞きますと、開設時からが56%で最も多く、途中からしたというところが44%であります。これは主にISO取得とか病院機能評価の取得といったこと、それから診療報酬で禁煙外来開設の条件となっておりますので、そういったことで病棟内全面禁煙にしたということでございます。
 このような状況で、199施設のうち実は124施設からさまざまな個別の意見が寄せられております。それを、ここにカテゴリーとして1から分けておりますが、原則として何とか工夫して喫煙を許可しているという自由記載が43件、原則として禁煙ですというところが36件でございます。原則として禁煙というところには、外出許可を出して敷地外、近所の広場に出ていってもらっているといったような記載もございました。
 それから、非常に対応に苦慮している。これはやはり、亡くなる前1カ月で喫煙できずにずっと来ていた患者さんに、その希望を叶えさせないというのはいかがかと。しかし、スタッフがついていくのも、これも非常に悩む。
 そして、病棟スタッフの受動喫煙を心配しているという記載もたくさんございました。
 そのほか、緩和ケア病棟で考えられる具体的な分煙についての提案もございました。
 これらを総合的に勘案いたしまして、3点の要望をまとめております。
 第1点は、生命予後の短いがん患者さんが多数入院する病棟の現状から、病院全体の敷地内禁煙とは別に、原則建物内禁煙(喫煙室設置可)としていただきたい。
 2番目が、患者が喫煙する場合、受動喫煙の可能性のある看護師等の病棟スタッフは付き添わないでよいということを、やはりある程度、公的に推奨していただきたい。
 3番目は、先ほども申し上げましたように、ISOとかさまざまな病院の質を問うような基準ですと、どうしても禁煙ということが必要になるのでありますが、特に診療報酬に病院の禁煙を全て条件にされますと、緩和ケア病棟のある施設はさまざまな診療報酬がとれなくなってしまいます。現在、総合入院体制加算1の施設基準には、その下にありますように分煙で差し支えないといった特例が設けられております。診療報酬については、こういった方向で対応をお願いしたいということであります。
 以上です。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 ありがとうございました。
 それでは、健康課長から発言させていただきます。
○厚生労働省健康局健康課長 ちょっと数字の見方がわからないのですが、この敷地内禁煙が84%と書いてあって、別のところで病棟内全面禁煙が71%となっているのですけれども、これは普通、敷地内が全面禁煙だったら病棟も当然禁煙のはずなので、84を超えているはずなのですけれども、どのように捉えるのでしょうか。例外的な扱いがなされているということでしょうか。
○日本ホスピス緩和ケア協会 病院全体の喫煙については、実は敷地内と建物内と両方全面禁煙だとお答えになった施設がありまして、ちょっと母数が多いのです。169施設ということになっております。一方、病棟については、病棟の中の全面禁煙は142施設ということで、これは重複はございません。
 ですから、病棟内を禁煙にしているけれども、分煙にしている施設が少しあるという御理解でいいかと思うのです。
○厚生労働省健康局健康課長 敷地内が全部禁煙だとお答えになった施設と、病棟内が全面禁煙だという施設は別のものということですか。
○日本ホスピス緩和ケア協会 同じものです。
 ただ、病院としては、敷地内を全面禁煙にしているのだけれども、緩和ケア病棟については特例的に。
○厚生労働省健康局健康課長 例外的扱いにしているということですか。
○日本ホスピス緩和ケア協会 しているところが多いというか、3割ぐらいあるということ。
○厚生労働省健康局健康課長 この御要望の、生命予後が短いがん患者が多数入院する病棟の現状から、原則建物内禁煙(喫煙室設置可)としていただきたいというのは、緩和ケアの病棟は例外的にという意味ですか。
○日本ホスピス緩和ケア協会 そういう意味です。
○厚生労働省健康局健康課長 医療施設全体の敷地内禁煙に、そうしろと言っている意味ではない。
○日本ホスピス緩和ケア協会 はい。
○厚生労働省健康局健康課長 それから、看護師の付き添いは、今も当然それが原則だと思っているのです。なぜなら、法律上、受動喫煙防止のため、健康増進法も労働安全衛生法も、努力義務は管理者にかけていますので、患者さんが吸うことをわかっていて、それに看護師さんを付き添われる。それがもし病院の院長の命令だったら、ちょっと管理者としては失格ではないかと思うのです。
○日本ホスピス緩和ケア協会 そのとおりだと思いますが、現場の主に師長のレベルからの声が多くて、付き添ってあげなさいと言うのに非常に抵抗感がある、あるいはしかしもうたばこを吸うのも大変な人に、全く誰も付き添わないで行くのはまずいのではないかという、そこら辺の悩みが幾つか記載されておりました。
 ですから、これもケース・バイ・ケースで、ある程度、喫煙を許可しているというか、認めている病棟では付き添っているケースが6割ぐらいあると、理解をしております。
 ただ、全体に幾つかの自由記載では、以前のように、喫煙をどうしてもという患者さんは減ってきておりますという記載もございました。ですから、社会的に禁煙の状況というか喫煙の状況がだんだん少なくなっていけば、おのずから緩和ケア病棟でも減っていくだろうとは思っております。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 それでは、構成員の方々から御意見等ございますでしょうか。
 お願いします。
○経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課長 お忙しいところありがとうございました。
 多分、皆さんの分野が究極のケースかなと思っています。緩和ケアの場合は、禁止薬物を使っている人たちなので、そういう意味では禁止されていないたばこを吸うのは当たり前だろうという感じはするのです。私どもヘルスケア産業課で最期の瞬間をどのように幸せに送っていただくかということを考えているのですけれども、その中で、最後にたばこを吸いたいという望みを禁止するのか。ただ問題は受動喫煙ですから、喫煙する患者についていかなければいけない人たちをどう守るかということと、本当に最後の望みをどうかなえるかというまたさきになっているのだろうと思うのです。
 実際に患者につきそう看護師さんからやめてほしいという声だとか、最後どうしても1本だけ吸いたいという方の希望は、大体どんな感じか、そこだけ教えていただければと思います。
○日本ホスピス緩和ケア協会 具体的な数字を挙げることは難しいのですが、許可をしている施設の自由記載を見ますと、年間3名とか4名とか、その程度のレベルではある。しかし、実際どうしても吸いたいのだと言われたときに、それはできませんとお答えするのはなかなか難しいという苦渋の声はございます。
 私も、自分の施設から見ましても、年間2桁まではないのではないかと思います。しかし、全く吸えないと決めてしまえば、これは非常に対応が難しくなる。しかし、診療報酬上、病院では敷地内禁煙ということが条件にされてしまうと、緩和ケア病棟でも吸えないということになりますので、これらの3割、一応現在喫煙を許可している施設のことを考えれば、緩和ケア病棟については分煙可としていただければありがたいということであります。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 そのほか、御意見ございますでしょうか。
 それでは、日本ホスピス緩和ケア協会様へのヒアリングを終了させていただきます。
 ありがとうございました。
(説明者入れかえ)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 続いて、四病院団体協議会様へのヒアリングを実施させていただきます。
○四病院団体協議会 日本医療法人協会副会長の馬場でございます。本日は、四病院団体協議会の代表として参りました。
 私たち四病院団体協議会は、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会の4団体よりなります。私たち病院団体といたしましては、健康増進を牽引する立場からも、あるいはたばこが引き起こす肺がん、脳血管障害、心疾患、呼吸器疾患等の発症率を引き下げるという観点からも、受動喫煙の防止には積極的に取り組む覚悟でございます。
 次に、病院の現状を報告させていただきます。
 日本病院機能評価機構による認定病院は敷地内禁煙が認定条件ですので、敷地内禁煙が結果的に義務づけられております。認定病院は、病院数にいたしまして2,195病院、これは全病院の26%、病床数にいたしますと55万5,014病床、これは全病床の35.4%ということですので、少なくともこれらの病院は敷地内禁煙であるということが言えます。
 また、禁煙外来を行うに当たりましては、診療報酬上、敷地内禁煙ということが要件になっております。
 しかしながら、喫煙に関するトラブルというのは、現実的には結構多くございまして、建物内禁煙あるいは分煙といった病院も、現実的にはまだ存在いたしております。
 外来患者さんはともかく、入院患者さんの中には、例えば外傷で救急搬送された整形外科疾患患者様のように、禁煙への取り組み意識の弱い方も存在いたしております。このような入院患者さんが隠れてたばこを吸って、ぼやなどのトラブルになるということも現実的に多く経験します。
 また、敷地内禁煙の病院の近くの公道等で患者様が喫煙して、近隣住民とトラブルになるといったケースも、実際には存在しております。
 今回のたたき台を拝見いたしまして、小学校、中学校、高校と並んで医療機関のみが敷地内禁煙となっていることに関しましては、正直、若干の違和感を感じます。私たち病院は、おおむね建物内禁煙は必要だと考えていますが、医療機関のみが突出して一律に敷地内禁煙というのは、現実的でない部分もあるのではないかと思っております。
 病院によりましては、敷地内別建物に喫煙所を設けたりしているところもございます。
 アメリカなどでは、病院は敷地内禁煙のところは確かに多いのですけれども、平均在日数がアメリカでは3~5日、ヨーロッパ諸国では1週間程度の国が多いという中、我が国では急性期の一般病床で16.8日、療養病床で160日超えということで、生活の場により近いということが言えます。
 また、精神病床とか緩和ケア病床など、特殊な事情を抱える病床もあります。
 私たち病院団体としては、医療機関だから全面的に敷地内禁煙ということではなく、建物内禁煙は義務ですけれども、敷地内禁煙は望ましい、また、例外もあり得るといったように、現実的かつ弾力的に考えていただきたいと思っております。
 また、経過措置につきましても、あわせて考えていただければと思っております。
 以上でございます。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 ありがとうございました。
 それでは、健康課長から発言させていただきます。
○厚生労働省健康局健康課長 御要望の内容をもう一回確認したいのですが、敷地内禁煙だけれども例外的なところを認めてほしいという御主張なのか、そもそも敷地内禁煙はやめてくれなのか、どちらでしょうか。
○四病院団体協議会 建物内禁煙は、少なくともBというランクは全病院、緩和ケアとか精神病床とか一部お願いしたい例外はありますけれども、それ以外は義務ということ。Bは義務でいいと思うのですけれども、できましたら、Aの敷地内禁煙ということに対しましては、望ましいという要件でお願いできないでしょうかというお願いです。
○厚生労働省健康局健康課長 法律なので、一応義務をかけようとしていますので、余り望ましいとかは考えていないのですけれども、もう一回です。一応、敷地内禁煙とするけれども、例外的なものを除いてほしいという趣旨なのか、先ほど整形とか緩和ケアとか精神とか出ましたけれどもそういう意味なのか、そもそも病院全体敷地内禁煙は勘弁してほしいと言っているのか、どちらでしょうか。
○四病院団体協議会 その間なのですけれども、どちらかと言われれば、例えば外来とか急性期病床とか、こういったところが敷地内禁煙であることはやむを得ないだろうと思うのですけれども、例えば療養病床であるとか、そういう少し患者様が生活の場に近いようなところは、建物内禁煙。そして、その建物外に喫煙所を設けるということは許していただきたいというお願いです。
○厚生労働省健康局健康課長 今の聞こえ方としては、例外は認めてほしいというようにも聞こえるのです。
○四病院団体協議会 例外が本当にごく限られた例外ではなく、そういうのは例外というのでしょうか、医療機関ということでひとくくりにしていただきたくなくて、敷地内禁煙を義務づけられる病院群があってもいいと思うのですけれども、できましたらそうではない、建物内禁煙というくくりの医療機関のグループがあってもいいというお願いをしております。
○厚生労働省健康局健康課長 多くの病院は、例えば呼吸器系の疾患を抱えた方とかいろいろな患者さんがいらっしゃっていて、仮に敷地の中で自由に吸えるとなったら、そこをたまたま通りかかったそういう患者さんはいきなり発作が始まるとか、そういうことがあるので敷地の中はみんな禁煙にしましょうという案なのです。ですから、原則というかとにかく病院は敷地内禁煙です。
 おっしゃっているのは、何か例外を認めてほしいと聞こえはするのですけれども、敷地内禁煙そのものをやめてくれというようにも聞こえるので、それで繰り返し聞いているのです。
○四病院団体協議会 前者だと思っています。
○厚生労働省健康局健康課長 その場合に、先ほど整形の話も出ましたが、それは整形の病院には若い元気な人からお年寄りからいろいろいらっしゃると思うのです。お年寄りは大体、いろいろな病気をもともと抱えていますので、そういう方々のことはどうお考えでしょうか。
○四病院団体協議会 ですから、完全に分煙化されるような、それこそ建物外での喫煙所の設置とか、そういったことは絶対必要だと、少なくとも医療機関である限りは思うのですけれども、そうであれば、ほかの弱者である患者様への御迷惑は、受動喫煙は現実的にはかからないと思うのです。
○厚生労働省健康局健康課長 例えば、整形の病棟があるから敷地内禁煙ができない。整形の患者さんの中には、それこそお年寄り、呼吸器を患っている方とかいらっしゃっていて、たまたま建物のどこかに喫煙コーナーがあって、あるいは建物の外でもいいですけれども敷地の中にあって、その煙を吸わされて具合が悪くなるということも大いにあり得ると思うのです。
○四病院団体協議会 建物内につくるときには、空気清浄機であるとか、それから病院との距離はもちろん確保しないといけないと思っていますし、少なくとも、それ以外の喫煙されない方たちに御迷惑がかかるような措置が起こることは言語道断だと思っております。
 ただ現実的には、そういう方たちが病院の敷地外の道でたばこを吸って、たばこの吸い殻が散乱するといったこと、もちろん病院としてはそれを取り締まるようにしていますけれども、なかなか患者様自身が救急で運ばれてきたりすると、本来禁煙しなくてはいけないという気持ちで来られているわけではないので、難しいケースの患者様がいるというのは事実です。
○厚生労働省健康局健康課長 近隣の方々とのトラブルと、実際に病院で受動喫煙に遭って健康被害が発生することと、どちらが重たいと思われますか。
○四病院団体協議会 先ほどから申し上げているように、建物外でかつ空気清浄機をつける、病院との距離は当然保つといった条件があれば、公道でこそっと吸うのと、多分受動喫煙の確率はむしろ減ると思うのです。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 構成員の方々、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、四病院団体協議会様へのヒアリングをこれにて終了させていただきます。
 ありがとうございました。
(説明者入れかえ)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 続きまして、全日本シティホテル連盟様へのヒアリングを実施いたします。
 それでは、御意見等についてよろしくお願いいたします。
○全日本シティホテル連盟 全日本シティホテル連盟の粉川と申します。よろしくお願いいたします。
 私どもの会員等につきましては、正会員、準会員合わせまして630ほどのホテルがあります。大きな部屋数があるホテルで600とか700あるホテルから、20ルーム程度の小さなホテルも加盟しております。平均で、約150~160の部屋数だと思っております。
 私どもの現状では、禁煙室については、お客様の需要が十何年前から大分ふえてきて、逆にお客様からやってくれないかということでやっていた経緯もあります。そして、パブリックスペースなのですが、当然、廊下は禁煙になっておりますし、レストランについては、最近は朝食とランチタイムについては禁煙になって、夜に関して分煙にしているホテルもございます。
 国の政策で、訪日外国人がきょうの発表でも2,000万人を超えたということですので、当然、中国系、東南アジア系の方が非常に多くなっております。その方たちが、結構たばこを吸われるということで、缶ビールの空き缶にたばこの吸い殻があったということはよく聞いております。ですので、入国するときか、バスガイドさんに教育するのかどうかはともかく、お風呂のマナーなどもそうなのですが、たばこについてもそういうチラシを配っていただければ、かなり有効かと思っております。
 日本の方は、我々のホテルはそれほど大きなホテルではないので、フロントでチェックインする前に、結構ホテルの入り口でたばこを吸っている方が多いのです。たばこを吸ってからチェックインするという方が大勢見られます。そういう方でも、多分、我慢していると思うのですが、1日は当然禁煙で大丈夫なのです。そういう形で、今、運営していると思っております。ですので、できればパブリックスペースにプレハブみたいな形で5、6人が入るような喫煙スペースを設けられれば、それに対して補助金が出ればいいかなと思っております。
 私もたばこは吸わないのですが、先日、新幹線で帰ってきまして、最近、喫煙ルームがあるのです。あれを出てきた人がたまたま私の隣に座って、非常に参った覚えがありますので、そういうことも含めてお考えいただければと思います。
 以上です。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 ありがとうございました。
 それでは、健康課長から発言をさせていただきます。
○厚生労働省健康局健康課長 今回の厚労省案については、どのようにお考えでしょうか。
○全日本シティホテル連盟 我々の業界としては、保健所さん含めて、消防法だとか建築法を含めて網がかかってる状況がかなり強く出ていると思っております。ですので、厚労省さんの受動喫煙については、それなりの網がかかれば我々もそれに対応はしていくと思っております。
○厚生労働省健康局健康課長 一応、今回の案には基本的に賛成ということですね。
○全日本シティホテル連盟 はい。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 そのほかの構成員の方々から、御意見等ございますでしょうか。
 それでは、全日本シティホテル連盟様へのヒアリングを終了させていただきます。
 ありがとうございました。
(説明者入れかえ)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 続きまして、日本フードサービス協会様へのヒアリングを実施させていただきます。
 5分程度で、たたき台への御意見をよろしくお願いいたします。
○日本フードサービス協会 日本フードサービス協会の石井と申します。よろしくお願いいたします。
 時間が限られておりますので、ポイントを絞ってお話し申し上げたいと思います。
 私ども業界には、チェーン展開を行うファミリーレストラン、ファーストフード、居酒屋、喫茶店など、多様な企業が加盟しております。業界全体の昨年の市場規模は約25兆円、店舗数は約67万店、そこで働く従業員の方々は480万人となっております。
 外食産業の提供する飲食環境について申し上げます。
 外食産業は、多様なメニューの提供を通じて、国民の豊かな食生活に貢献するだけではなく、お客様に対するサービスの一環として、快適な空間とくつろげる時間を提供するという機能を果たしているところです。そのため、外食店舗においては、事業者が多様な飲食環境を提供し、お客様が好みに応じて自由に選択するといった関係を通じて、サービスの充実、ひいては国民生活の質的な充実が図られているところです。したがいまして、喫煙との関係についても、事業者の判断によりそれぞれ喫煙、分煙、禁煙と、お客様に選んでいただける空間を提供して、お客様がこうした多様な飲食空間から自由に選択していただくことが、本来望ましいと考えております。
 2020年東京オリンピックを迎え、原則禁煙を強化するに当たっての法案でございます。現在、外食産業を取り巻く環境ですけれども、人件費の高騰、食材コストの高騰、エネルギーコストの高騰等、そして業種の垣根を越えた企業間競争の激化など、厳しい経営を強いられているところです。
 こうした経営環境のもとで、外食店舗における全面禁煙、今回のような飲食店は原則禁煙というような措置がなされた場合には、客離れ、来店者減少による経営の悪化が懸念され、結果として売り上げ不振による従業員給与の引き下げあるいは店舗の撤退、閉店など、雇用の減少などを招くおそれもございます。特に中小零細の飲食店では、閉店を余儀なくされるということも考えられます。また、お客様が求める喫煙環境は業態や立地によってもさまざまです。例えばある店舗では、喫煙率の低い女性が顧客の中心となっていることもあれば、逆に喫煙率の高い男性が顧客の中心となっている店舗もあり、顧客層に応じて求められる喫煙環境はさまざまです。
 こうした実態から、喫煙者のマナーの向上にも取り組み、喫煙者も非喫煙者も共存できるような飲食環境の場を提供していくことが必要だと考えております。
 なお、現実的な問題として、店舗におきましては、物理的に喫煙室の設置が困難であり、さらに賃貸契約の制約上など、つまり勝手に排気ダストの設置工事ができないなど、喫煙室を設置するにもさまざまな理由や制約が存在いたします。
 最後に、訪日外国人の増加、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催は、外食産業にとっても大きなビジネスチャンスとなることから、外食各社は禁煙、分煙を含め、受動喫煙問題にどう対応すべきかについても検討しているところです。急増する訪日外国人に対する外食産業のインバウンド対応として、多言語メニューの導入やハラル対応、SNSを活用した外食店舗の情報提供などに取り組んでおりますが、受動喫煙問題対策への対応についても、これらの取り組みと同様に重要なテーマとして検討を進めているところです。
 外食産業といたしましては、おもてなし精神を最大限発揮し、海外からのたばこを吸うお客様、吸わないお客様にも気持ちよく共存できるよう、環境整備を整えていきたいと思います。
 以上のことから、法律によって一律に飲食店等への禁煙を強化するのではなく、業界の自主的な取り組みを継続してサポートしていただくようお願い申し上げます。
 以上です。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 ありがとうございました。
 それでは、健康課長から発言させていただきます。
○厚生労働省健康局健康課長 外国で、同様の禁煙の規制をする前と後で経営の状態が飲食店はどう変わったか、居酒屋も含めて、調べた論文が60~70あって、その大多数は、経営上は変化なしという結果であります。
 今回のこういう措置を講ずると、経営に影響があるのではないかとご心配のようですけれども、そういう外国の論文があるということについて、どうお考えかということが1点。
 仮に一律に規制すれば、お店としてはどこも条件が同じになるので、要するに、自分のところは禁煙で向こうは吸えるとなるとお客があっちに行ったりこっちに行ったりと逃げてしまうことが心配になると思うのですけれども、全部吸えないとしてしまえば、条件は同じになるのではないか。その点についても御意見いただきたい。
 今までは、やはり法律上は努力義務でやってきて、そうすると、例えば調査して1カ月以内に受動喫煙にあったことがありますか、場所別にお答えくださいと調査してみると、3割とか4割ぐらいの方が飲食店で受動喫煙にあったことがあるという結果について、これは一般市民に聞いていますので、やはり我々は今までどおりではちょっとまずいのではないかと思っていて、今回規制を強化しようとしますが、その辺についてはどうお考えか。
 インバウンドがふえるという、まさにそれを心配して、多くの諸外国はたばこは吸われない外国人もたくさん来日されますので、今までは、私たちが聞いているのは、例えばそういう方が日本の飲食店に入ると、全然規制されていないことに驚かれるという声をよく聞きますので、そういうことについてどうお考えか。
 以上、4点いただけますでしょうか。
○日本フードサービス協会 外食の店舗においても、先ほど申し上げましたように、多様な業種、業態がございますので、恐らく一律に禁煙ということになれば、そのままお客様が戻らないというような業種、業態も出てくると思います。例えば、ファミリーレストランにおいても、神奈川県の条例等で分煙を余儀なくされているところもあるわけですけれども、確かに一次的に売り上げが下がって、その後お客様がまた戻ってきたという業態も確かにあると思います。ただ、居酒屋に関しては、そのままたばこが吸えないということで、20%以上の売り上げ減ということから、また元に戻してしまったという例もありますし、中には、中小零細の飲食店においては、そのままお客様がつかなくなってしまって廃業を余儀なくされたというような例も聞いております。海外と日本の事情というのは、ちょっと異なる部分があるのかと感じております。
 2点目ですけれども、そもそも一律に飲食店を禁煙にするということですけれども、例えば飲食店においては先ほども申し上げたと思うのですけれども、飲食以外にも、やはりくつろげるあるいは快適な空間を提供しているところでございまして、当然、特に居酒屋あるいは喫茶業においては、やはりたばこを吸いながらお茶を飲みたいあるいはお酒を飲みたいというようなお客様も存在するわけでして、海外のお客様を含めてこれらのお客様を無視するのはどうなのか。逆に、先ほどおっしゃられたように、海外においてもたばこの強弱はあると思いますので、特に中国、広くアジアの方々のお客様を日本にお迎えするときにも、愛煙家の方々にもたばこを吸える環境、そして吸わない方にもやはり気持ちよく過ごしていただけるような、共存できるような関係、これはやはり考えていくことが必要ではないかと思っております。
 それから、インバウンドのお話については、今、申し上げたことでよろしいでしょうか。
○厚生労働省健康局健康課長 今のままですと、外国のお客様は多分日本に対して文句を言って帰っていかれると思うのですけれども、このままでいいとお考えでしょうか。
○日本フードサービス協会 やはり、文句を言われるというのは、たばこを吸う人がまだ多いということに対してでしょうか。
○厚生労働省健康局健康課長 そうです。
○日本フードサービス協会 そういう方も当然いらっしゃると思いますし、また、逆に、たばこを吸えない、どこで吸ったらいいのだというようなお客様も当然いらっしゃると思います。
 一つの例として、私が見たシーンですけれども、居酒屋です。当然、たばこを吸える居酒屋でした。そこに、若い海外の方々がカップルでいらっしゃって、小さなお子様を抱えていました。わざわざこういう煙がもうもうとしている中で、大変かわいそうだとちょっと遠くから見ていたのですけれども、そのお客様はたばこを吸うためにそこの居酒屋に来ていたという例もございます。ですから、そういう方々を一律に締め出すのはどうなのかということで、何度か申し上げているわけです。
 例えば、海外のお客様に対しても、料理のメニューと一緒で、例えば吸えるお店、吸えないお店、あるいは分煙というような表示のステッカー等でお知らせするということも一案なのかと考えております。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 それでは、構成員の方々、御意見、御質問等ありますでしょうか。
○農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課長 きょうは御苦労さまです。農林水産省でございます。
 今のお話、それから先ほどのマージャン業界のお話を聞きましたけれども、お客さんのニーズに合わせて対応するということが、それぞれの業界の一つの考え方なのかというお話をなされたのかと思いました。
 最後、部長さんから、今、お話もありましたように、外から見て、うちは禁煙です、うちは喫煙ブースがあります、うちは分煙ですということがわかるようになっているお店は、今現在どのぐらいありますでしょうか。
○日本フードサービス協会 協会として独自にデータをとったわけではございませんけれども、東京都さんのほうでアンケートを実施された、これは私ども協会の加盟社、そして全国飲食業生活衛生同業組合連合会さん、全飲連さんですけれども、何らかの形で禁煙、分煙を行っているというところは約6割になっております。これは2年前の調査に比べても増加しております。
 逆に、分煙や禁煙の対策はしていない。これは、平成25年が約45%だったのに対して、27年度の調査では4割を切っております。そういったことから、徐々にですけれども、各お店の取り組みは進んでいるかと思います。
○農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課長 そういうのは、外からみてわかるように表示をしているお店はどのぐらいあるのでしょうか。
○日本フードサービス協会 それは、ちょっとデータ上ではとってはいないのですけれども、今、申し上げたような対応をしているお店は、何らかの形でステッカーを掲出しているのではないかと考えております。
○農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課長 ありがとうございました。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 そのほか御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、日本フードサービス協会様へのヒアリングを終了させていただきます。
 ありがとうございました。
(説明者入れかえ)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 続きまして、全国消費者団体連絡会様へのヒアリングを実施させていただきます。
 資料をいただいておりまして、資料3という形でお手元にお配りをさせていただいております。
 それでは、5分程度で御意見をよろしくお願いいたします。
○全国消費者団体連絡会 皆様こんにちは。全国消費者団体連絡会の河野と申します。
 本日は、一般の市民、国民の立場から、こういった場で意見を述べさせていただく機会を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。
 今回、お示しいただきましたたたき台ということを原則にしまして、少し意見を述べさせていただきたいと思っております。
 お手元の資料は、まず2ページをごらんください。私どもの団体の紹介が簡単に書いてございます。私の所属する全国消費者団体連絡会というものでございますけれども、1956年に創設され、本年12月で60周年を迎える消費者団体の連絡組織でございます。2013年に法人化いたしまして、現在全国に組織展開している消費者団体、例えば日本生活協同組合連合会さんですとか、主婦連合会さんですとか、NACSさんですとか、全国展開している消費者団体が16、都道府県単位の消費者団体連絡組織が26、食の安全や子供の権利保護など専門家集団が5つほどございまして、会員さんは全部で47団体でございます。消費者にかかわる法整備や社会課題解決について、連携、共同して、今現在活動を進めているところです。
 それでは、今回のたたき台について意見を申し述べたいと思います。3ページをごらんください。まず、基本的な方向性についてでございます。今回、厚労省さんを中心に、関係各省庁さんから提案されました受動喫煙防止対策強化の方向性に対しまして、消費者団体としましても、一般市民としましても、全面的に賛同するものでございます。たばこを吸わない人の健康保護のために、不特定多数の老若男女が利用する公共性の高い建造物や乗り物等において、喫煙の禁止を法律で義務化していただきたいというのが要望でございます。全国消団連の会員組織でございます東京消費者団体連絡センターでは、以前からこの問題に関しまして、東京都へ強制力のある対策の実施を訴え続けておりまして、やっとここまでたどり着いたという思いがございます。
 食の安全ですとか交通の安全など、消費者にとってわかりやすい安全対策はたくさんございますが、たばこを吸わない人にとっての安全対策は、長く医療関係者等から指摘があったにもかかわらず、国として明確な対策がとられてきませんでした。喫煙による健康影響は、WHOを初め世界的に認識されているところです。日本国内でも、自治体によって、またそうした配慮のある事業者団体さん等によって、個別の対応は行われているということは了解しておりますが、あくまでも努力の範疇です。抜本的な実効性のある対策が行われていないと思っております。
 先日、新聞を見ておりましたら、日本の受動喫煙防止対策は世界最低レベルであるという報道を目にしました。これが事実だとしたら、大変恥ずかしい、残念な状況だと思います。先ほどから、インバウンドの方へのおもてなしのお話が出ておりますけれども、実は、そのあたりに対しても、これを機にしっかりとした対応をしていただきたい。東京オリ・パラで多くの海外旅行者や選手を迎えるに当たっては、この規制を先んじて導入することが、東京大会のレガシーとして世界にもちゃんと態度表明をすることになりますし、これをきっかけに、社会に根づいていっていただければと思っております。
 4ページをごらんください。今回お示しいただきました新たに導入する制度の考え方について、意見を申し上げます。たたき台に示していただきました内容に関しまして、特段、異論はございません。ロンドンと韓国の折衷案ということですけれども、特に受動喫煙の影響を受けやすいとされている子供や妊婦、それから病気で治療を受けている方などへの配慮を優先させていただければと思っております。
 喫煙そのものは、個人の嗜好の範疇だと思います。ただ、吸わない人の健康への配慮が伴ってこその自由ではないかと感じるところです。今回のたたき台の参考資料にございました一般対象アンケートの結果からも伺えるように、まだまだ吸わない、吸いたくない他者への配慮という社会常識の備わった人だけではないという事実が厳然としてあるということを受けとめて、ぜひ、このたたき台をもとに、受動喫煙防止法のような法制度を整える方向に進んでいただきたいと思っております。
 私が、きょうのヒアリングの最後です。先ほどから、事業者の皆さんのお話を伺っておりました。私は、皆さんのそれぞれの御事情、お話を伺っていまして、できない理由を皆さん述べていらっしゃいますが、大きく健康リスクの問題というよりは、現状の状況ですとかコスト等の問題をことさら取り上げてできない理由にしていらっしゃったと思っております。この問題を取り上げる本質的な理解には至っていないという感想を持ちました。
 特に、教育機関、医療機関であるならば、率先して受動喫煙防止に取り組むべきだと思っております。コストや経営、喫煙者の権利のみに立った御発言を伺うと、大変残念だと感じております。ここでは、お客様ですとか従業員ですとか大学生、教職員、保護者、患者、そういった個々の立場の話をするのではなく、全ての人、国民にとっての健康リスクの軽減の問題だと考えていただきたいと思っております。
 5ページをごらんください。最後に、制度の実効性担保についてのお願いがございます。私たち一般市民は、これまでは努力義務だったこともあり、公共の場所で喫煙者を見つけたり出会ったりしても、禁煙を言い出すことはできませんでした。では、法律で規制されれば禁煙を強制することができるかというと、現実的には、これはなかなか難しいのではないかと感じているところです。普通に暮らしていれば無用なトラブルに巻き込まれたくないという意識は誰にでもあることで、この制度においては施設利用者と施設管理者双方が受動喫煙防止へ積極的な対応がなされなければ、目に見える改善にはつながらないのではないかと危惧しております。
 マナーの問題だとしてとめ置けば、現状と何ら変わりはないと思っております。できれば目に見える形、つまり罰則導入によるわかりやすい対処が必要ではないかと感じております。
 また、飲食店等、市民の選択ができる場所において喫煙室の設置が認められているところでございますが、飲食店等で店舗を仕切って行われている分煙方式は、一見、面積的に仕切られてはいますが、煙という流動的な物体への対処として適切かどうかは疑問に思っているところです。このあたりは技術の改善等もあると思いますので、改めて喫煙室設置の基準を明確に定めていただいて、受動喫煙防止を適切に実行に移していただきたいと思っております。
 喫煙というのは、健康影響が大きく、生活習慣病などの罹患率が高くなることは周知の事実でございます。日本国内ではたばこの外箱に注意喚起の文言が書いてありますが、諸外国では肺がんの写真などをたばこの容器、包装に印刷して、よりたばこの健康影響を直接的に伝える方法等がとられているということも伺ったことがございます。
 受動喫煙防止強化というのは、これが本当に今回のような形で制度化されていただければ、大きな前進だと思いますが、そもそもたばこのもたらす問題の一部に対する対処でしかないと受けとめております。学校教育、消費者教育などを活用し、喫煙のリスクについて、よりしっかりと社会へ警告を発していくこともあわせて行っていただくことが、今回の対策をより強固にすることだと感じております。
 以上でございます。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 それでは、健康課長から発言させていただきます。
○厚生労働省健康局健康課長 非常に厳しい御意見ですけれども、今回の厚労省案については、お話されている印象は、まだまだ不十分的な感じに受け取りましたけれども、正直にその辺はいかがですか。これで十分なのか不十分なのか。
○全国消費者団体連絡会 今現在、本当に自治体でのガイドライン等で強制力が全くない状況ですから、これがまずは法律に書かれるということであれば、このことに、まず本当に着実に取り組んでいただきたいと思っております。
 夢や希望ばかり申し上げているわけではございませんで、今回のこれを一つの機会として、ここに書かれていることを着実に行っていくことをお約束していただければ、私たち一般市民もしっかり理解して、みんなでこの問題に対応していくということと思っております。
 私たちだけが望んでいても、先ほどから事業者団体の方等からさまざまな御要望が出ております。そういったこともしっかりと受けとめつつ、でも、全体の方向は間違いなくこちらに行くのだ、目指すべきところはここなのだということを、ぜひ国で確認していただければと思っております。
○厚生労働省健康局健康課長補佐 それでは、構成員の方々から御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、全国消費者団体連絡会様へのヒアリングを終了させていただきます。
 ありがとうございました。
(説明者退席)
○厚生労働省健康局健康課長補佐 これにて、本日のヒアリングは終了させていただきます。
 構成員の方々に御連絡ですけれども、次回以降の開催につきましては、また追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 本日は、長い時間ありがとうございました。


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