(1) |
脳の損傷による後遺障害の障害等級の認定 認定基準の明確性の向上を図る観点から、脳の器質的損傷に基づく精神障害については高次脳機能障害と位置づけた上、高次脳機能障害と身体性機能障害のそれぞれについて以下のような基準を設定するとともに、両者が併存した場合の取扱いを示した。
ア |
高次脳機能障害 高次脳機能障害の評価の基準として意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力及び社会行動能力(以下「4能力」という。)に着目し、4能力の喪失の程度により障害等級を認定することとしたこと。 |
イ |
身体性機能障害 脳損傷による身体性機能障害については、麻痺に着目することとし、麻痺の範囲及びその程度により障害等級を認定することとしたこと。 |
|
(2) |
非器質性精神障害の後遺障害の障害等級の認定 脳の損傷によらない精神障害(非器質性精神障害)の認定基準については、外傷性神経症に係る認定基準のみ設けられていたところであるが、うつ病やPTSD等の精神障害の労災認定の増加傾向に鑑み、業務上の非器質性精神障害の後遺障害一般に関して適用する基準を設定した。
ア |
非器質性精神障害の特質と障害認定 非器質性精神障害は、その特質上業務による心理的負荷を取り除き、適切な治療を行えば、多くの場合完治するのが一般的であり、完治しない場合でも症状がかなり軽快するのが一般的である。 また、重い症状を有している場合でも、非器質性精神障害の特質上、大幅に症状が改善する可能性が十分にあることから、通勤・勤務時間の遵守、対人関係・協調性等の能力に関する判断項目のうち複数の能力が失われている等重い症状を残している場合は原則として療養を継続することとしたこと。 |
イ |
障害認定の基準 「抑うつ状態」等の精神症状が認められるものについて、能力に関する判断項目の障害の程度に応じて原則として9級・12級・14級の3段階で障害等級を認定することとしたこと。 |
|
(3) |
せき髄損傷による後遺障害の障害等級の認定 せき髄損傷による後遺障害の認定基準についても、認定基準の明確性の向上を図る観点から、麻痺の範囲及びその程度を基本としつつ、せき髄損傷に通常伴って生じる神経因性膀胱障害等の障害も含めた基準を設定したこと。 |
(4) |
外傷性てんかんの後遺障害の障害等級の認定 外傷性てんかんについては、従来てんかん発作の型にかかわらず障害等級を示していたが、発作の型により労働能力に及ぼす影響が異なることから、発作の型と頻度により障害等級を認定することとしたこと。 |
(5) |
反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の評価 RSDの取扱いは、従来認定基準上明確ではなかったが、一定の要件を満たすものについて、カウザルギーと同様の基準により障害等級を認定することとしたこと。 |