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様式1 脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書

様式1 脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書



(裏面)

 運動障害の程度を評価する際の要点は次のとおりです。
(1) 麻痺が高度とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないものをいいます。
 具体的には、以下のものをいいます。
(1) 完全強直又はこれに近い状態にあるもの
(2) 上肢においては、三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
(3) 下肢においては、三大関節のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
(4) 上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
(5) 下肢においては、随意運動の顕著な障害により、一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの
(2) 麻痺が中等度とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるものをいいます。
 たとえば、次のようなものがあります。
(1) 上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの
(2) 下肢においては、障害を残した一下肢を有するため杖又は硬性装具なしには階段を上ることができないもの
(3) 下肢においては、障害を残した両下肢を有するため杖又は硬性装具なしには歩行することが困難なもの
(3) 麻痺が軽度とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているものをいいます。
 たとえば、次のようなものがあります。
(1) 上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの
(2) 下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの
(3) 下肢においては、障害を残した両下肢を有するため杖又は硬性装具なしには階段を上ることができないもの

 各能力評価を行う際の要点は以下のとおりです。
(1) 意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
 職場において他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうか等について判定して下さい。主に記銘・記憶力、認知力又は言語力の側面から判断を行います。
(2) 問題解決能力(理解力、判断力等)
 作業課題に対する指示や要求水準を正確に理解し適切な判断を行い、円滑に業務が遂行できるどうかについて判定して下さい。主に理解力、判断力又は集中力(注意の選択等)について判断を行います。
(3) 作業負荷に対する持続力・持久力
 一般的な就労時間に対処できるだけの能力が備わっているかどうかについて判定して下さい。精神面における意欲、気分又は注意の集中の持続力・持久力について判断して下さい。その際、意欲又は気分の低下等による疲労感や倦怠感を含めて判断して下さい。
(4) 社会行動能力(協調性等)
 職場において他人と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判定して下さい。主に協調性の有無や不適切な行動(突然大した理由もないのに怒る等の感情や欲求のコントロールの低下による場違いな行動等)の頻度について判断して下さい。


3 障害の程度別の例(高次脳機能障害整理表)

能力
程度
意思疎通能力 問題解決能力 持続力・持久力 社会行動能力
A
多少の困難はあるが概ね自力でできる

(わずかに喪失)
(1) 特に配慮してもらわなくても、職場で他の人と意思疎通をほぼ図ることができる。
(2) 必要に応じ、こちらから電話をかけることができ、かかってきた電話の内容をほぼ正確に伝えることができる。
(1) 複雑でない手順であれば、理解して実行できる。
(2) 抽象的でない作業であれば、1人で判断することができ、実行できる。
概ね8時間支障なく働ける。 障害に起因する不適切な行動はほとんど認められない。
B
困難はあるが概ね自力でできる

(多少喪失)
(1) 職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、ゆっくり話してもらう必要が時々ある。
(2) 普段の会話はできるが、文法的な間違いをしたり、適切な言葉を使えないことがある。
AとCの中間 AとCの中間 AとCの中間
C
困難はあるが多少の援助があればできる。

(相当程度喪失)
(1) 職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、意味を理解するためにはたまには繰り返してもらう必要がある。
(2) かかってきた電話の内容を伝えることはできるが、時々困難を生じる。
(1) 手順を理解することに困難を生じることがあり、たまには助言を要する。
(2) 1人で判断することに困難を生じることがあり、たまには助言を必要とする。
 障害のために予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督がたまには必要であり、それなしには概ね8時間働けない。  障害に起因する不適切な行動がたまには認められる。
D
困難はあるがかなりの援助があればできる。

(半分程度喪失)
(1) 職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、意味を理解するためには時々繰り返してもらう必要がある。
(2) かかってきた電話の内容を伝えることに困難を生じることが多い。
(3) 単語を羅列することによって、自分の考え方を伝えることができる。
CとEの中間 CとEの中間 CとEの中間
E
困難が著しく大きい

(大部分喪失)
(1) 実物を見せる、やってみせる、ジェスチャーで示す、などのいろいろな手段と共に話しかければ、短い文や単語くらいは理解できる。
(2) ごく限られた単語を使ったり、誤りの多い話し方をしながらも、何とか自分の欲求や望みだけは伝えられるが、聞き手が繰り返して尋ねたり、いろいろと推測する必要がある。
(1) 手順を理解することは著しく困難であり、頻繁な助言がなければ対処できない。
(2) 1人で判断することは著しく困難であり、頻繁な指示がなければ対処できない。
 障害により予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督を頻繁に行っても半日程度しか働けない。 障害に起因する非常に不適切な行動が頻繁に認められる。
F
できない

(全部喪失)
 職場で他の人と意思疎通を図ることができない。 課題を与えられてもできない。  持続力に欠け働くことができない。 社会性に欠け働くことができない。



様式2 日常生活状況報告表

様式2 日常生活状況報告表



様式3 非器質性精神障害の後遺障害の状態に関する意見書

様式3 非器質性精神障害の後遺障害の状態に関する意見書



(裏面)

 非器質性精神障害については、8つの能力について、能力の有無及び必要となる助言・援助の程度に着目し、評価を行います。評価を行う際の要点は以下のとおりです。
(1) 身辺日常生活
 入浴をすることや更衣をすることなど清潔保持を適切にすることができるか、規則的に十分な食事をすることができるかについて判定して下さい。
 なお、食事・入浴・更衣以外の動作については、特筆すべき事項がある場合には加味して判定を行って下さい。
(2) 仕事・生活に積極性・関心を持つこと
 仕事の内容、職場での生活や働くことそのもの、世の中の出来事、テレビ、娯楽等の日常生活等に対する意欲や関心があるか否かについて判定して下さい。
(3) 通勤・勤務時間の遵守
 規則的な通勤や出勤時間等約束時間の遵守が可能かどうかについて判定して下さい。
(4) 普通に作業を持続すること
 就業規則に則った就労が可能かどうか、普通の集中力・持続力をもって業務を遂行できるかどうかについて判定して下さい。
(5) 他人との意思伝達
 職場において上司・同僚等に対して発言を自主的にできるか等他人とのコミュニケーションが適切にできるかを判定して下さい。
(6) 対人関係・協調性
 職場において上司・同僚と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判定して下さい。
(7) 身辺の安全保持、危機の回避
 職場における危険等から適切に身を守れるかどうかを判定して下さい。
(8) 困難・失敗への対応
 職場において新たな業務上のストレスを受けたとき、ひどく緊張したり、混乱することなく対処できるか等どの程度適切に対応できるかということを判断して下さい。

照会先 厚生労働省労働基準局労災補償部補償課障害認定係
 TEL 03−5253−1111(内線5468)
 FAX 03−3502−6488



神経系統の機能及び精神の障害に関する障害等級認定基準について
(表紙(PDF:128KB)、2-3ページ(PDF:171KB)、4-5ページ(PDF:173KB)
(6-7ページ(PDF:159KB)、8-9ページ(PDF:176KB)、10-11ページ(PDF:192KB)
(12-13ページ(PDF:155KB)、14ページ(PDF:172KB))


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