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ジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用促進について

I ジェネリック医薬品について

1.ジェネリック医薬品とは

 医薬品には、一般の薬局・薬店で販売されている「一般用医薬品」と、医療機関で診察を受けたときにお医者さんから処方される「医療用医薬品」があります。さらに、「医療用医薬品」は、先発医薬品と後発医薬品とに分かれていて、後発医薬品はジェネリック医薬品とも呼ばれています。(図表1)

 先発医薬品(新薬)は、医薬品メーカーによって独占的に製造・販売できる特許期間等があります。しかし、その特許期間等が終わると、有効成分や製法等は国民共有の財産となり、厚生労働大臣の承認を得れば、他の医薬品メーカーでも製造・販売することができるようになります。先発医薬品の特許等の期間満了後に販売される医薬品がジェネリック医薬品です。(図表2)

 欧米では、医師が薬を処方する際に、銘柄名を記載するのでなく、generic name(一般名、成分名)を処方せんに記載することが多いために「generics」(ジェネリック医薬品)と呼ばれており、世界共通の呼称となっています。

 先発医薬品(新薬)の開発には、9〜17年程度の長い期間と数百億円もの投資が必要といわれておりますが、ジェネリック医薬品の開発には、期間が新薬ほどかからず、費用も少なくすむため、薬の価格も安くなっています。

図表1

図表1

図表2

図表2

2.ジェネリック医薬品の承認審査

(1)後発医薬品の承認基準

 ジェネリック医薬品を製造販売するためには、先発医薬品と同様に薬事法に基づく厚生労働大臣の承認が必要となります。その承認を得るためには、品質、有効性、安全性が先発医薬品と同等であることを証明しなければなりません。承認申請者は、通常、(1)規格及び試験方法(図表3)、(2)安定性試験、(3)生物学的同等性試験(図表4)に関する試験結果の提出が求められます。

 審査機関である独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)において、提出された試験結果をもとに、先発医薬品とジェネリック医薬品とが同レベルの品質、有効性、安全性を有するかどうかについて厳格な審査を行い、それらについて先発医薬品と同等であると確認されたジェネリック医薬品だけが製造販売承認を得ることができます。

 また、提出された試験結果は、薬事法で定めた「申請資料の信頼性の基準」に基づき、適合性調査として、生データを含めてチェックがなされ、データの信頼性が厳格に確認されています。

 このような日本のジェネリック医薬品の審査基準は、米国FDA(連邦食品医薬品局)など欧米の審査・規制当局の基準と同レベルであるということができます(図表5)。

図表3

図表3

図表4

図表4

図表5

図表5

(2)添加剤が先発医薬品と異なる場合

 ジェネリック医薬品に使用される添加剤は、必ずしも先発医薬品と同じとは限りません。

 先発医薬品と異なる添加剤を使用する場合であっても、薬理作用を発揮したり、有効成分の治療効果を妨げたりするものを使うことは認められません(「日本薬局方製剤総則」)。医薬品として使用前例のある、安全性が確認されている添加剤のみが使用されています。

 安定性試験、溶出試験、生物学的同等性試験等は、市販される製剤と同じように製造された最終剤型を用いて試験が行われます。したがって、異なる添加剤によって安定性や生物学的同等性に影響が生じた場合には、先発医薬品と同等であると認めることはできません。

 なお、先発医薬品であっても、既に市販されている製剤の添加物を、後から変更することがあります。その場合には、先発医薬品といえども、ジェネリック医薬品と同じ基準に基づいて承認審査が行われます。

3.ジェネリック医薬品の品質管理等

(1)品質管理

 ジェネリック医薬品を取扱う製造所に対しては、先発医薬品と同様に、製造所ごとにGMP(「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理に関する基準」)を遵守することが義務づけられています。

 さらに、都道府県等の協力のもと実施している医薬品等一斉監視指導において、市場流通しているジェネリック医薬品を入手し、溶出試験等の品質検査を実施し、その結果の公表を行っています。

[平成22年度「後発医薬品品質確保対策事業」検査結果報告書] http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001kbkd.html

(2)品質再評価

 1995(平成7)年3月以前に承認申請された医薬品は、後発、先発を問わず溶出試験は義務づけられていなかったため、かつては、先発医薬品とジェネリック医薬品とで溶け具合が異なるケースも存在しました。

 そこで、先発医薬品及びジェネリック医薬品の品質をより高めるために、内用固形製剤を対象に、1998(平成10)年度より溶出試験をベースにした「品質再評価」を実施し、溶出性が先発医薬品と同等か否かの検証を行いました。

 製剤の溶出挙動などの詳細な情報については、「医療用医薬品品質情報集」(日本版オレンジブック)において公表しています。

[医療用医薬品品質情報集] http://www.info.pmda.go.jp/orangebook/ob_index.html

(3)品質情報検討会

 かつてと比べて、ジェネリック医薬品の品質に関する信頼性は格段に高まりました。しかしながら、件数は少ないとはいえ、学術論文や学会発表等において、あるいは、PMDAに開設されたジェネリック医薬品相談窓口(図表6)にて受け付けた情報の中に、ジェネリック医薬品の品質に関する懸念が寄せられることがあります。

 そこで、国立医薬品食品衛生研究所において「ジェネリック医薬品品質情報検討会」を設け、こうした懸念に関して、科学的な評価を行い、必要に応じて当該品目に関する試験検査を実施してその品質の確認を行って結果を公表することにより、後発医薬品の品質に関する信頼の基盤づくりを図ることとしました(図表7)。

 同検討会は、2008(平成20)年7月以降、現在まで計7回開催されており、学会等での発表・論文、PMDAへの相談内容等のうち学術的な課題となるものを選定し、審議を行っています。

[ジェネリック医薬品品質情報検討会] http://www.nihs.go.jp/drug/ecqaged.html

図表6 ジェネリック医薬品相談窓口

図表6

図表7

図表7

II ジェネリック医薬品の安心使用促進のための取り組み

1.使用促進の意義

 我が国は、1961(昭和36)年に国民皆保険を達成して以来、一定の自己負担で必要な医療サービスが受けられる体制を整備し、世界最長の平均寿命や高い保険医療水準を達成してきました。しかしながら、それから半世紀が経過した今日においては、急速な高齢化の進展等、医療を取り巻く環境は大きく変化しており、医療保険財政の厳しさが続く中で、今後とも必要な医療を確保しつつ、人口構造の変化に対応できる持続可能なシステムを作り上げていく必要があります。

 近年の国民医療費の動向を見ると、その支出は国民所得の伸びを上回る勢いで増えています。2009(平成21)年度の国民医療費は、36兆円を超え、10年前と比較して2割近い増加となっています。医療技術の進歩、高齢化等により、今後も医療費の上昇が見込まれる中、国民皆保険を堅持していくためには、必要な医療を確保した上で、効率化できる部分は効率化を図ることが重要です。

 一方、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認された医薬品であり、先発医薬品に比べて薬価が安いにもかかわらず、品質、安全性及び有効性は先発医薬品と変わりませんので、高価な先発医薬品と代替可能な医薬品と位置づけることができます。

 したがって、ジェネリック医薬品の使用を促進することによって、

(1) 患者さんの薬剤費の自己負担の軽減

(2) 医療の質を落とすことなく、医療の効率化(医療費の削減)を図ること

 が可能となります。

 政府としても、ジェネリック医薬品の使用促進に積極的に努めることとし、 「平成24年度までに、後発医薬品の数量シェアを30%以上とする」との目標を掲げています。

2.現在の使用状況

 現在のところ、我が国におけるすべての医療用医薬品の取引数量に占めるジェネリック医薬品の数量シェアは、2011(平成23)年9月現在で22.8%となっております(図表8)。欧米では、「後発医薬品」の定義が異なるので日本との単純な比較はできないものの、主要国では50%以上の数量シェアとなっていることを考えると、日本におけるジェネリック医薬品の普及は、まだまだ不十分です(図表9)。

 その理由の1つとして、医師や薬剤師など医療関係者の間で、ジェネリック医薬品に関する品質、安定供給、情報提供体制等について、十分な信頼が得られていないことが挙げられます。

 こうした状況を踏まえ、厚生労働省では、2007(平成19)年に策定した「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」(後述)に基づき、安定供給、品質確保、情報提供体制等の課題について、国やジェネリックメーカー等が行うべき取組を明らかにし、目標を設定して各課題への対策を強化すること等、各種の施策によって患者さんや医療関係者が安心してジェネリック医薬品を使用できるような環境整備を図っているところです。

図表8

図表8

図表9

図表9

3.安心使用促進アクションプログラム

 平成19年10月に策定した「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」は、患者さんや医療関係者が安心して後発医薬品を使用することができるよう、医療関係者等からの指摘に対応する形で、(1)安定供給、(2)品質確保、(3)後発医薬品メーカーによる情報提供、(4)使用促進に係る環境整備、(5)医療保険制度上の事項に関し、国及び関係者が行うべき取組を明らかにしたものです(図表10)。

 アクションプログラムで掲げられた施策の目標については、その進捗状況を業界団体に対する聞き取り等を通して確認し、年度ごとにとりまとめて年に1回公表を行っています。

 平成22年度の実施状況については、安定供給の一環として掲げた「品切れ品目ゼロ」の目標については未達成であるものの、その他の目標については概ね達成されており、安定供給、品質確保及び情報提供体制の点において、ジェネリック医薬品の信頼性の向上は、着実に進んでいると考えます。

図表10

図表10-1

図表10-2

4.普及啓発のための取組

 こうした、アクションプログラムに基づくジェネリック医薬品の信頼性向上のための取組などを広く医療関係者等にお伝えするとともに、一般の国民の方々に対してもジェネリック医薬品について知っていただくことは、極めて重要です。

 厚生労働省においては、一般国民向けのポスターやリーフレット(図表11)を作成し、都道府県を通して地域の薬局等に配布しております。

 また、内閣府を通じて、政府広報オンライン「安心してご利用いただくために。ジェネリック医薬品Q&A」や政府インターネットテレビ「お薬代が安くなる?!ジェネリック医薬品」といった一般国民向けの案内を展開しています。

[ジェネリック医薬品Q&A] http://www.gov-online.go.jp/featured/201106_01/index.html

[インターネットテレビ] http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg4155.html

図表11 一般国民向けリーフレット(両面三つ折り)

図表11

図表11-1

 医師や薬剤師等の医療関係者向けとしては、ハンドブック(ジェネリック医薬品Q&A)の作成のほか、日本ジェネリック医薬品学会との共催により、「ジェネリック医薬品安心使用促進セミナー」を開催しています(図表12)。

 これは、ジェネリック医薬品の使用に積極的な医師、薬剤師による実際の導入法や問題点の解決法などのプログラムを通じ、ジェネリック医薬品にまつわる様々な不安や不信を解消することにより使用促進につなげていくことを目的とするもので、直近では、平成24年2月19日に、第7回のセミナーを高知県の高知城ホールで開催いたしました。

 一方、各都道府県においては、厚生労働省の委託により「後発医薬品の安心使用促進のための協議会」を設置し、患者や医療関係者がジェネリック医薬品を安心して使用できる環境づくりのための検討を行っており、地域によって、普及啓発用のガイドブックの作成や講演会の実施、ジェネリック医薬品に関するアンケート調査の実施、薬局等における取扱品目リストの作成等を実施しています。平成23年3月末現在、42の都道府県で協議会等を設置済みであり、各都道府県の実情に応じた検討、取組を行っています。

 また、協会けんぽや市町村の国民健康保険など各保険者においても、患者の皆さんに対する普及啓発として、「ジェネリック医薬品希望カード」(図表13)の配布を行っているほか、長期服用者に対してジェネリック医薬品に切り替えた場合に自己負担がどのくらい軽減するかをお知らせするといった取組(ジェネリック医薬品軽減額通知)も、一部の保険者で実施されています。

[協会けんぽの「ジェネリック医薬品軽減額通知」] http://www.kyoukaikenpo.or.jp/10,11866,125.html#2

図表12

図表12

図表13

図表13

III さらなる使用促進に向けて

1.平成24年度診療報酬改定における環境整備

 ジェネリック医薬品の使用促進のための医療保険制度上の環境整備としては、これまで、処方せん様式の変更、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則等の改正、薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直し、医療機関における後発医薬品を積極的に使用する体制の評価等の取組を行ってきました。

 その効果については、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬改定結果検証部会(検証部会)が実施する「後発医薬品使用状況調査」により、保険医療機関におけるジェネリック医薬品の使用状況や医師の処方、保険薬局におけるジェネリック医薬品の調剤状況などの変化の動向、さらには、医師、薬剤師及び患者のジェネリック医薬品に対する意識の調査等を行うことにより、検証がなされています。

 こうした検証の結果に基づき、中医協において、平成24年度診療報酬改定に向けた議論が行われてきました。ジェネリック医薬品の使用割合は着実に増加してはいるものの、政府目標の達成のためには一層の使用促進が必要な状況です。ジェネリック医薬品の品質面での信頼性確保とその周知に一層努めるとともに、保険医療機関及び保険薬局において、ジェネリック医薬品の処方、調剤を積極的に進めるための施策が求められます。

 そこで、平成24年4月に行われる診療報酬改定において、

(1) 保険薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直し

(2) 薬剤情報提供文書を活用した後発医薬品に関する情報提供

(3) 医療機関における後発医薬品を積極的に使用する体制の評価

(4) 一般名処方の推進

(5) 処方せん様式の変更

 等の措置が講じられることが決まりました。

(1) 保険薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直し

 これまで、保険薬局においては、後発医薬品調剤体制加算として、ジェネリック医薬品の使用割合(数量ベース)が 20%以上、 25%以上及び 30%以上の場合に、段階的な加算を適用していましたが、検証部会の調査結果では、保険薬局における後発医薬品調剤率(数量ベース)は増加している一方で、当該加算を算定している保険薬局は約半数にとどまり、対応が二極化している傾向がみられました。そこで、当該加算の要件を 22%以上、 30%以上及び 35%以上に改め、その点数についても軽重をつけることとしました(図表14)。

図表14

図表14

(2) 薬剤情報提供文書を活用した後発医薬品に関する情報提供

 保険者が行うジェネリック医薬品軽減額通知には一定の効果がみられているものの、検証部会の調査結果によると、実際にこの通知を受取ったことのある患者さんは、まだ少ないのが実情です。 

 また、患者さんが保険薬局でジェネリック医薬品への変更を希望しても、「ジェネリック医薬品がない薬」であったり、「既にジェネリック医薬品が処方されている」というケースであったりと、変更の可否が分かりにくい場合もあります。

このため、ジェネリック医薬品に関する情報提供を充実させる手段として、保険薬局での調剤に際し患者さんにお渡しする「薬剤情報提供文書」を活用し、ジェネリック医薬品に関する情報(後発医薬品の有無、価格など)の提供を推進することとなりました(図表15)。

図表15

図表15

(3) 医療機関における後発医薬品を積極的に使用する体制の評価

 これまで、医療機関の薬剤部門がジェネリック医薬品の使用を促進するための体制を整えるとともに、ジェネリック医薬品の採用品目数の割合が 20%以上の場合は、診療報酬上の評価(後発医薬品使用体制加算)を行っておりましたが、医療機関における使用を更に促進するため、新たに採用品目数割合「30%以上」の評価を加えることとしました。(図表16)

図表16

図表16

(4) 一般名処方の推進

 検証部会の調査結果では、保険薬局が後発医薬品への変更を進めるための要件として最も多かった回答が、「一般名処方が普及すること」でした。保険薬局における後発医薬品の在庫管理の負担を軽減するため、一般名による処方を推進することとし、一般名処方が行われた場合の処方せん料への加算を新設することとなりました(図表17)。

図表17

図表17

(5) 処方せん様式の変更

 平成20年度診療報酬改定で定められた現行の処方せん様式には、「後発医薬品への変更がすべて不可の場合の署名」欄があり、処方医の署名があれば、その処方せんに記載された処方薬のすべてが変更不可となる形式となっていました。

 今回の改定において、個々の医薬品について変更の可否を明示する様式に変更することになり(図表18)、これによりジェネリック医薬品へ変更可能な処方せんが増えると期待されます。

図表18

図表18

2.社会保障・税一体改革素案

 平成24年1月に政府・与党社会保障改革会議において決定された「社会保障・税一体改革素案」においても、ジェネリック医薬品の使用促進について言及しています。

 後発医薬品推進のロードマップを作成し、診療報酬上の評価、患者への情報提供、処方せん様式の変更、医療関係者の信頼性向上のための品質確保等、総合的な使用促進を図る。また、イノベーションの観点にも配慮しつつ、後発医薬品のある先発医薬品の薬価を引き下げる。

 将来にわたって持続可能な医療保険制度を構築するためには、国民が受けるべきサービスの質の維持・向上を図りながら、可能な部分について重点化・効率化を図ることが重要です。

 これは、単に医療費を抑制することに目的があるわけではありません。医療全体から見れば、限られた医療財源の有効活用を図り、国民誰もが安価で良質な医療を受けられるようにすることが、ジェネリック医薬品の使用促進の目指すところです。

3.最後に

 ジェネリック医薬品の更なる普及のためには、患者さんや医療関係者の信頼を獲得できるよう、安心使用促進アクションプログラム等を通じ、その品質、安定供給、情報提供等における信頼性の確保とその周知に一層努めるとともに、診療報酬上の評価や保険者から被保険者への普及・啓発などの取組を通じて、医療関係者及び国民の双方が後発医薬品を信頼し、その使用に積極的になる気持ちを醸成することが重要であると考えます。

(参考)厚生労働省ホームページ

「後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進について」

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/kouhatu-iyaku/index.html

(医政局経済課)

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