厚生労働省


2)−(2) 医療安全調査委員会が調査の対象とする医療事故による死亡とは?

医療機関からの届出によるもの
遺族からの調査の求めによるもの

以下のような場合に、医療事故による死亡であるとして、医療機関は届出を行わなければならない、ということを想定しています。その他、遺族からの調査の求めにも応じることを想定しています。

(1) 行った医療の内容に誤りがあるものに起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産

(2) 行った医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、その死亡又は死産を予期しなかったもの。

実際にどのような事例が医療機関から届け出られることになるのかについては、医療事故死等に該当するかどうかの基準を医学医術に関する学術団体及び医療安全中央委員会の意見を聴いて主管大臣が定め、公表することを想定しています。(大綱案 第32(4)の2参照)

参考までに、以下第13回有識者検討会(「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する検討会」)の資料(PDF:478KB)を抜粋します。これらは、試みに整理したものであり、決定した内容ではありません。また、これらの「具体的な事例」については、記述のない場合は特段の問題がないものと仮定し、その場合にどう考えるかを示したものです。

<具体的な事例>
  事 例 の 概 要
届出範囲(1)と医療機関において 判断される可能性が高いと考えられる事例
がん患者に化学療法(抗がん剤による治療)を開始した際、2日間かけて持続的に抗がん剤を投与すべきところ、2日間分の量を数時間で急速に投与した。投与判明後、副作用に対する治療を行ったが死亡。
高カロリー輸液を中心静脈ラインから投与する際、看護師が混注用コネクタ部の接続方法がわからずに苦労し、強い力をかけてねじり接続した。それ以上の確認はせずに直ちに退出し、他の業務を行った。数時間後に訪室したところ、患者は呼吸停止状態であり、ベッド下に大量の血液を確認。中心静脈ラインを確認したところ、混注用コネクタ部が破損しており、そこから血液が逆流してベッド下に溜まっていた。直ちに救命処置を行ったが死亡。
朝、突然頭痛を訴え受診した患者に対し、CTを撮影し、主治医は放射線科の医師の読影結果を読まずに、くも膜下出血ではないと判断し、帰宅させた。翌日、意識消失発作で救急搬送され死亡。CT画像に関する放射線科の医師の読影結果を見直してみると、「くも膜下出血」と記載されていた
気管内挿管し人工呼吸器による管理を行っていたが、呼吸状態が安定してきたため、気管内チューブを抜去し、簡便な鼻マスクによる在宅人工呼吸療法に移行する方針とし、人工呼吸器の離脱を開始していた。深夜、病室で人工呼吸器の異常アラームが鳴っていたことに長時間気付かず、看護師が巡回した際に人工呼吸器の管が外れているのを発見し、心肺蘇生を開始したが死亡。
自力での痰の排出ができない患者であり、喀痰量が多いため、30分毎に呼吸状態の観察の指示があったにもかかわらず、看護師は他の患者の対応をするうちに、2時間観察を忘れていた。訪室した際には、呼吸停止の状態であった。直ちに心肺蘇生を開始したが死亡。
届出範囲(2)と医療機関において 判断される可能性が高いと考えられる事例
腎不全などにより入院加療中に、徐脈性失神発作を起こした。重症不整脈(完全房室ブロック)と診断し、同日一時的ペースメーカーを挿入し、症状は軽快した。翌日に体内埋め込み型ペースメーカーを挿入したが、病棟帰室直後に突然心筋がペースメーカーに反応しなくなり、心肺蘇生術を行ったが数時間後に死亡。
心筋梗塞、心不全等にて入院中の高齢患者で、加療により状態は安定していたが、痰が絡まっていたため、吸引を施行したところ、直後から呼びかけに反応がなくなり、次第にチアノーゼが出現し心肺停止状態となる。蘇生処置を実施するが死亡。
慢性血液透析患者において、透析用のシャント(透析に必要な十分な血液量を得るために作成した動脈と静脈の吻合)が閉塞したため、やむを得ず鎖骨下静脈に血管カテーテルを挿入して透析が行われていた。そのカテーテルの交換後、カテーテルを血液透析キットに接続し、血液透析を開始したところ、患者が気分不良を訴え、次第に意識レベル、心拍数が低下した。蘇生処置を実施し、心エコーにて心嚢液貯留が認められ、心タンポナーデが疑われたため、すぐに心嚢穿刺を行ったが、患者の状態は回復せず死亡。
脳腫瘍に対し化学療法と放射線療法を行っていた患者が、頭痛を訴えていたので、腰椎穿刺を行った。翌日病室で心肺停止となり、蘇生処置を実施するが死亡。

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