厚生労働省

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厚生労働省

厚生労働省発表

平成20年10月24日


厚生労働省労働基準局監督課

労働条件確保改善対策室

室  長  平 塚 志 郎

室長補佐  辻   知 之

電話 03-5253-1111(内線5543)

03-3502-5308(夜間直通)

「労働時間適正化キャンペーン」の実施について
〜 労使がともに協力しあい、長時間労働を抑制しよう! 〜

厚生労働省では、依然としてみられる長時間労働や、これに伴う問題の解消を図るため、11月を「労働時間適正化キャンペーン」期間として、文書要請、周知啓発等の取組を集中的に実施します。(別添1参照

1 労働時間等の現状をみると、以下のような状況にあります。(別添2参照

○ 週60時間以上働く労働者の割合が10.3%であるなど、長時間労働の実態がみられる。

○ 「過労死」等事案で労災認定された件数が392件となるなど、過重労働による健康障害が多数発生している。

○ 労働基準監督署による賃金不払残業の是正指導事案が多くみられる。

2 働くことにより労働者が健康を損なうようなこと及び労働基準法に違反する賃金不払残業はあってはならないものです。これらの問題の解消に向けては、使用者のみならず、労働者や労働組合、産業保健スタッフのすべての関係者の理解を得て、労使が一体となった取組が行われることが重要です。

3 このため、厚生労働省においては、本年は長時間労働の抑制を重点として、11月に「労働時間適正化キャンペーン」を実施し、長時間労働の抑制、賃金不払残業の解消等に向けて、使用者団体等に対する協力要請、リーフレット(別添3)の配布等による周知・啓発の実施などにより、労使等の主体的な取組を促すこととしています。


別添1

労働時間適正化キャンペーン(概要)

1 実施期間

平成20年11月1日(土)から同年11月30日(日)までの1か月間

2 重点事項

(1)時間外労働協定の適正化等による時間外・休日労働の削減

・ 時間外労働協定は、限度基準(※)に適合したものとすること。

・ 限度基準告示に適合し、月45時間を超える時間外労働を行わせることが可能である時間外労働協定であっても、実際の時間外労働については45時間以下とするよう努めること。等

※「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」

(2)労働者の健康管理に係る措置の徹底

・ 健康管理に関する体制を整備し、また、健康診断等を確実に実施すること。

・ 長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対する面接指導等を実施すること。等

(3)労働時間の適正な把握の徹底

・ 賃金不払残業を起こすことのないようにするため、労働時間適正把握基準を遵守すること。等

3 主な実施事項

(1)使用者団体等に対する協力要請

使用者団体等に対し、長時間労働の抑制等に関する積極的な周知・啓発等の実施についての協力要請を行う。

(2)全国一斉「労働時間相談ダイヤル」(無料)の実施(11月22日)

フリーダイヤルを設置し、都道府県労働局の担当官が、長時間労働の抑制等のための電話相談に応じる。

実施日時: 平成20年11月22日(土)勤労感謝の日の前日

フリーダイヤル番号: 0120−897(はやくなくそう)713(長い残業)

(3)周知・啓発の実施

都道府県労働局、労働基準監督署及び関係機関等へのポスターの掲示、事業主等へのリーフレットの配布を行うとともに、広報誌、ホームページの活用等により、キャンペーンの趣旨等について広く国民に周知を図る。

詳細は参考(「平成20年度労働時間適正化キャンペーン実施要領」)を参照


(参考)

別添2

1 労働時間等の現状等

(1)労働時間について

「労働力調査」(総務省統計局)によると、平成19年における週労働時間が60時間以上の労働者の割合は10.3%となっており、特に子育て世代に当たる30歳代男性では20%程度と高止まりしているなど、依然として長時間労働の実態がみられます。

図1 週労働時間が60時間以上の労働者の割合の推移

図1 週労働時間が60時間以上の労働者の割合の推移

(2)過重労働による健康障害について

平成19年度において、脳血管疾患及び虚血性心疾患等(「過労死」等事案)で労災認定された件数は392件であり、過去最高となっています。

(平成20年5月23日厚生労働省発表「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(平成19年度)について」参照)

図2 「過労死」等事案で労災認定された件数の推移

図2 「過労死」等事案で労災認定された件数の推移

なお、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、事業者は医師による面接指導を実施することが義務づけられており、常時50人未満の労働者を使用する事業場も平成20年4月から適用されています。(別紙「長時間労働者への医師による面接指導制度について」参照

(3)賃金不払残業(注)について

平成19年度において、全国の労働基準監督署の指導により不払となっていた割増賃金の支払が行われた企業のうち、1企業当たり合計100万円以上の支払がなされた企業数は1,728企業、対象労働者数は179,543人、支払われた割増賃金の合計は272億4,261万円となっています。

(注)賃金不払残業とは、所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせることをいいます

2 昨年度の電話相談実績について

平成19年度過重労働・賃金不払残業解消キャンペーン月間中の11月23日(金)(勤労感謝の日)に、都道府県労働局に設置した「全国一斉無料相談ダイヤル」に寄せられた相談件数は818件で、このうち長時間労働に関するものは266件、賃金不払残業に関するものは465件ありました。


別紙

【 長時間労働者への医師による面接指導制度について 】

・ 脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、事業者は医師による面接指導を実施することが義務づけられています。

・ 常時50人未満の労働者を使用する事業場も平成20年4月から適用されています。(*地域産業保健センターを利用して面接指導を実施することもできます。)

○ 医師による面接指導の対象となる労働者は、「時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者(申出による)」

※ 「時間外・休日労働時間」とは、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間のことです。

時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超えたら

(事業者)申出をした労働者に対し、医師による面接指導を実施しなければなりません。面接指導を実施した医師から必要な措置について意見聴取を行い、必要と認める場合は、適切な事後措置を実施しなければなりません。

(労働者)面接指導の申出をし、医師による面接指導を受けましょう。

(産業医)労働者に対し面接指導の申出をするよう勧奨しましょう。

○ 面接指導又は面接指導に準ずる措置(以下、「面接指導等」という)の対象となる労働者は、

(1) 長時間の労働(時間外労働・休日労働時間が1月当たり80時間超)により、疲労の蓄積が認められ、又は、健康上の不安を有している労働者(申出による)

(2) 事業場において定められた基準に該当する労働者

(1) 時間外・休日労働時間が月80時間を超えたら 

(事業者)申出をした労働者に対し、面接指導等を実施するよう努めましょう。

必要と認める場合は、適切な事後措置を実施するよう努めましょう。

(労働者)面接指導等の申出をし、面接指導等を受けましょう

(2) 事業場において基準を設定するに当たっては

時間外・休日労働時間が月100時間又は2〜6月平均で月80時間を超えたら

(事業者)該当する全労働者が面接指導の対象となるよう基準を設定し、面接指導を実施するよう努めましょう。

面接指導を実施した医師から必要な措置について意見聴取を行い、必要と認める場合は、適切な事後措置を実施するよう努めましょう。

(労働者)面接指導等を受けましょう。

時間外・休日労働時間が月45時間を超えたら

(事業者)健康への配慮が必要な者が面接指導等の措置の対象となるよう基準を設定し、面接指導等を実施することが望まれます。

必要と認める場合は、適切な事後措置を実施することが望まれます。

※ なお、制度の詳細については、厚生労働省のホームページを参照して下さい。

・厚生労働省:職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策(過重労働による健康障害防止対策)

(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html)


11月は「労働時間適正化キャンペーン」期間です。11月は「労働時間適正化キャンペーン」期間です。


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