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2 市町村事務に関すること

(1)援護の実施者について

(問1)身体障害者更生施設、身体障害者授産施設、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設及び知的障害者通勤寮の入所者が、継続して別のこれらの施設に移った場合の援護の実施者の取扱い如何。

 標記の施設については、訓練終了等利用目的が達せられた場合には、入所者は施設を退所することが予定されていることから、当該施設入所者は、施設所在地の市町村に居住地を有するのではなく、施設入所前に住んでいた市町村に居住地を有する。したがって、援護の実施者は、入所前に住んでいた市町村となる。
 ただし、出身世帯が他の市町村に転居するなどの事情により、利用者が退所後入所前の市町村と異なる市町村に戻ることが想定される場合は、出身世帯の転出先の市町村が援護の実施者となる。
 仮に、継続して別のこれらの施設に移った場合(例えば、身体障害者更生施設Aから身体障害者更生施設B又は身体障害者授産施設Cに移る場合等)であっても同様の扱いである。


(問2)出身世帯の変更に関する身体障害者療護施設の援護の実施者の取扱いは、現在と変更されるということか。
 また、身体障害者更生施設、身体障害者授産施設、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設及び知的障害者通勤寮と身体障害者療護施設の援護の実施者の実務上の取扱いの差異は、出身世帯の居住地が変更になった場合に限定されると理解してよいか。

 身体障害者療護施設支援の場合の援護の実施者の取扱いについては、新身体障害者福祉法第9条第2項により現行の取扱いが変更され、入所前の居住地の市町村が援護の実施者となり、本人の現在地や出身世帯の居住地に変更があっても援護の実施者に変更はないこととなった。
 この点が、問に挙げられた身体障害者療護施設以外の施設との取扱いの異なるところである。


(問3)平成15年4月より前に身体障害者療護施設に入所した者について、入所後出身世帯の転出により援護の実施者が変更されている場合、平成15年4月以後は、施設入所前の居住地市町村を確認し、援護の実施者をその市町村に変更するのか。

 新法施行前の既措置入所者については、新法施行時の被措置者本人への処遇の継続性及び市町村事務の負担を考慮し、施行直前の援護の実施者である市町村が引き続き援護の実施者としての業務を行うこととする。


(問4)事務大要P8の(2)の「所在地」と(3)の「現在地」に違いはあるか。

 両者は同様の意味である。


(2)申請から受給者証の交付までの事務

(問5)援護の実施者は、県外の施設にも措置を行っているが、施設の既入所者に対し、支援費制度について説明を行うのは、援護の実施者か施設のどちらか。

 支援費制度について説明し、申請の勧奨、支援費支給決定の手続きを行うのは、援護の実施者である市町村である。
 なお、当該市町村は、現に入所している施設に対して、制度説明のパンフレットを利用者に配布すること等の協力を求めることは考えられる。


(問6)生活保護の対象となっている障害者が支援費支給の申請を行う場合の手続きはどうなるか。

 生活保護の対象でない者と同様の手続きをとることとなる。


(問7)サービスの種類ごとに申請するとされているが、複数のサービスをまとめて申請することは可能か。

 複数のサービスを同時に申請することは可能である。
 なお、申請書の様式について、ひとつの申請書で複数のサービスの申請が行えるよう検討することとしている。


(問8)支給決定の効力は、申請時に遡るか。緊急にサービスを利用する必要がある場合、サービス利用後に支援費支給申請、支給決定を行い、その効力をサービス利用前に遡らせることは可能か。

 支給決定の日から効力が発生することから、支給決定の効力を支給決定前のサービス利用について遡らせることはできない。


(問9)全国で統一された受給者番号を設定する予定はないか。

 受給者番号について、全国で統一した設定は予定していない。受給者番号については、受給者証発行者である市町村が任意に設定することとなる。


(問10)市町村内での転居により住所が変更となる場合、受給者証の再交付は必要か。

 再交付は必ずしも必要ではないと考える。


(問11)受給者証の譲渡等の禁止及び不正使用した場合の罰則等は規定されるのか。

 新身体障害者福祉法等の法律において受給者証の譲渡等の禁止及び不正使用した場合の罰則規定はないが、新身障法第43条の4、新知障法第27条の4、新児福法第57条の2において、市町村は、偽りその他不正の手段により支援費の支給を受けたものがあるときは、その者から、その支給を受けた金額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる旨の規定がある。


(問12)支給管理台帳を作成することとされているが、現行の更生指導台帳との関係如何。支給管理台帳を作成すれば、現在行っている個人ごとのケース管理は市町村の判断で行わないこととして差し支えないか。
 他方、更生指導台帳の様式を変更して、その中に支給管理台帳を組み込むことは可能か。

 支給管理台帳は、市町村の支給決定障害者に対する支援費の支給に関することについて記録、管理する台帳として必要なものである。記載内容としては、受給者証(支給決定内容)に関すること、利用者負担額に関すること、支援費の請求、支払に関すること等を支給決定障害者ごとに記録、管理するものとすることを予定している。
 一方、更生指導台帳は、援護の実施者である市町村が、障害者の相談に応じるとともに、指導等を実施するためのケース管理に用いるものであり、当該障害者についての状況、更生指導の方針や内容、その経過等を記録し、当該障害者を総合的に把握する性格のものである。このため、支給管理台帳とはその役割を異にするものであり、更生指導台帳に基づく個人ごとのケース管理等による相談・指導等は支援費制度施行後も必要であると考える。
 なお、支給管理台帳の機能を更生指導台帳に併せ持たせることは差し支えない。


(問13)支給決定等の市町村の事務処理について、広域連合等により広域的に実施することは可能か。

 市町村等の事務処理の共同化や広域化を図るため、地方自治法に基づく一部事務組合、広域連合等を活用することは可能である。


(3)サービスの利用から支援費の支払いまでの事務

(問14)支援費の支払いを代理受領方式とするかどうかについて、市町村や事業者は利用者の同意を得る必要があるか。

 支給決定障害者が指定事業者・施設から受給者証を提示してサービスを受けた場合は、市町村は支給決定障害者に代わって指定事業者・施設に支援費を支払うことができ、この支払いがあったときは、支給決定障害者に対し支援費の支払いがあったものとみなされる(新身障法第17条の5第8項及び第9項等)ことから、代理受領について市町村や指定事業者・施設が利用者の同意を得る必要はない。
 なお、市町村は、受給者証交付時等に、支給決定障害者に対して代理受領方式による支援費の支払の趣旨について十分な説明を行うことが望ましい。
 また、都道府県(指定都市、中核市を含む。以下「都道府県等」という。)は、指定事業者・施設に対して、代理受領方式の趣旨について十分な説明を行うことが望ましい。


(問15)支給決定障害者は同種のサービスについて複数の事業者と契約を結ぶことは可能か。可能である場合、支給量管理の具体的方法如何。利用者宅に備えた記録表への記入により支給量を管理することとされているが、同種のサービスについて新たに契約を締結する事業者には既にサービスの提供を受けた実績を確認する手段がないため、複数の事業者との間で、支給量の範囲を超える契約が締結されるおそれがないか。
 また、市町村が、請求内容とサービス提供の実績との照合はどのようにして行うのか。

 同種のサービスについて複数の指定事業者と契約しサービスの提供を受けることは可能である。支給量の範囲を超える契約が締結されることのないよう受給者証に指定事業者が支援費の対象となる契約支給量を記載する欄を設け、次に同種のサービスで契約する指定事業者は、支給量から先に記入した指定事業者の契約支給量を引いた残りの支給量の範囲でしか契約支給量を記入しないよう促す仕組みも検討している。
 請求内容とサービス提供の実績の照合については、事業者から請求書とともに実績の記録を提出してもらうことにより照合を行う方向で検討している。


(問16)支給量を超えて居宅支援サービスが利用され、指定事業者から請求があった場合の支給量超過額の取扱い如何。

 指定事業者が、支給量を超えたサービスの提供を行うことができるのは、支給決定に係るサービスの提供に支障がない場合に限られる。
 このような場合に、利用者が支給量を超えて居宅支援サービスを利用したとき、支給量超過額については、契約に基づき、全額利用者の負担となる。
 なお、指定事業者が行うサービス提供について支給量の範囲内かどうかを利用者、事業者が把握しやすい支給量管理の仕組みについて検討中である。


(問17)援護の実施者である市町村外にある施設に入所している者に係る支援費基準、利用者負担基準は、援護の実施者である市町村のものが適用されるか、それとも、施設所在地市町村の支援費基準、利用者負担基準が適用されるのか。

 援護の実施者である市町村が定めた支援費基準、利用者負担基準が適用されることとなる。


(4)基準該当居宅支援事業者について

(問18)「市町村は、基準該当居宅支援事業者として認められる事業者を明確にしておくことが必要である」(事務大要P16)とのことであるが、市町村は事前に登録等により明確にする必要があるのか。

 基準該当居宅支援を利用した場合、市町村が必要であると認めるときに支払うことができる特例居宅生活支援費については、支給決定障害者の支給申請に基づき、市町村がその受けたサービス内容を審査し、当該障害者に償還払いすることが原則である。
 しかし、利用者が当該サービスを利用し、市町村への特例居宅生活支援費の請求をした後に支援費が支給されるかどうかが判明するのでは、利用者にとって不都合であるため、特例居宅生活支援費の支給を行うこととする市町村は、当該市町村が支給決定した障害者に対し繰り返しサービスを提供することが想定される基準該当居宅支援事業者については事前に明確にしておくことが望ましいということが、事務大要P16の該当部分の趣旨である。
 基準該当居宅支援事業者として、そのサービスについて特例居宅生活支援費を支払うことを事前に明確にする方法としては、登録又は契約という方法があり、これは、市町村の事務の効率化の観点からも有効と考えられる。


(問19)基準該当居宅支援事業者の登録等を都道府県が行うことはないのか。

 特例居宅生活支援費は、基準該当居宅支援事業者としての基準を満たす事業者が提供するサービスで、市町村が必要であると認めるものについて、支給することができるものであり、登録等の手続きは、事前に支給することを明確にしておくために市町村が行うものであって、都道府県が登録等を行うものではない。


(問20)「市町村の規則等において、代理受領の枠組みを定めた上で基準該当居宅支援事業者に代理受領の申し込みをさせる登録方式」(事務大要P17)とは具体的にどのような方法か。

 例えば、規則等において、基準該当事業者の登録に関する申請手続きや、申請事項の変更の届出、登録取消し等の事業者の監督手続き等を定め、支給決定障害者の当該サービスの利用や特例居宅生活支援費の請求の前に、あらかじめ基準該当事業者を明らかにしておくことにより、支給決定障害者が当該事業者から受けたサービスを償還払いではなく、代理受領化することを可能とする仕組みを採ることである。


(5)支給量及び障害程度区分変更、支給決定取消時の事務

(問21)具体的にどのような場合に、市町村が、職権により、支給量変更、障害程度区分変更、支給決定取消を行うのか。特に、手帳の等級が変更された場合については、職権により支給量変更等を行うということでよいのか。

 支給決定の際に勘案した状況が変化したことが明らかである場合において、市町村は職権による支給量の変更や支給決定の取消しなどを行うことができる。
 手帳の等級は、主に機能障害の状況に着目したものであって、支援費支給決定とは判断の基準が異なるものであることから、手帳の等級が変更された場合に、必ずしも支給量等の変更を行う必要はないものと考えられる。


(問22)入所者の障害程度区分について、施設の側から、変更申請や異議申し立てを行うことは可能か。

 支給決定は障害者本人に対して行われるものであるため、施設の側からは入所者の障害程度区分の変更申請や異議申し立てを行うことはできない。


(6)措置を行う場合に関する考え方

(問23)措置の対象となる場合の具体的基準の策定予定はないか。

 措置の対象となるのは、事務大要P29に例示している場合など、「やむを得ない事由により支援費の支給を受けることが著しく困難であると市町村が認める場合」であり、やむを得ない事由等については、基本的に市町村の判断となるので、国として具体的基準を定める予定はない。


(問24)やむを得ない事由により措置された場合であっても、速やかな申請を勧奨する必要があるとされているが、具体的な方法如何。成年後見制度の利用を考えるべきなのか。また、措置は一定期間以上は継続しないという趣旨なのか。

 本人に対し、市町村や相談機関が申請に係る相談・援助を行うこと等が考えられる。身寄りのない知的障害者など、成年後見制度が必要と考えられるケースについては、市町村長が申し立てを行うことも考えられる(知障法第27条の3)。
 また、措置については、措置による以外に本人の援助等を行うことができない場合に限られるものであり、このような事情がなくなった場合は、速やかに支援費の支給申請を勧奨し、支給決定を行い、措置解除するのが望ましい。


(7)苦情等への対応について

(問25)サービス利用に係る苦情処理に関し、都道府県、市町村の位置づけ、連携についてどう考えているのか。

 利用者はサービス利用に係る苦情の相談を、身近な相談の窓口である市町村に求めることが想定される。市町村は援護の実施者として利用者の相談に応じ、苦情解決の仕組みについて利用者に説明し、解決の方法について助言することが期待される。
 事業者と利用者の当事者間では解決が困難な場合には、利用者に対し都道府県社会福祉協議会に設置された運営適正化委員会における苦情解決について情報提供し、必要に応じその利用について援助することが望ましい。
 また、市町村は、指定事業者・施設が指定基準を満たしていないことや支援費の請求に関し不正があったと認めるときは、都道府県等に通知することができることとなっており(新身障法17条の22第2項、17条の30第2項等)、苦情についての相談の過程等でこれらの事実が発見された場合は、都道府県等に通知し、指定事業者・施設の指導監督を行う都道府県等と連携を図ることが期待される。


(問26)支給決定に関する不服申立てについては、審査会のような合議体で審査しなければならないのか。また、第三者機関の設置は必要か。

 支給決定に関する不服申立てに対しては、公平で透明な処理を行うことが必要であるのは勿論であるが、そのための枠組みとして、必ずしも合議体による審査や第三者機関の設置を要件とするものではない。


(問27)市町村は苦情対応の窓口として、不適切なサービス提供に関して指定事業者・施設を指導できないのか。

 市町村は、住民に最も身近な行政機関であり、援護の実施者として、サービス利用に関する苦情・相談に応じることが求められるが、指定事業者・施設に対する直接の指導監督は都道府県等が行うこととされているので、都道府県等との連携を図ることが重要である。


(8)施行前準備について

(問28)事務大要P32の(2)において、「市町村等が行う事項について規則等で定める」こととされているが、この準則を示す予定はあるか。また、支給決定手続き、事業者・施設指定手続きの準則についてはどうか。

 事務大要P32(2)(3)「基準該当居宅支援事業者に関する取扱い」については「○○市(町村)基準該当居宅支援事業者の登録に関する規則」(参考例)、基準該当居宅支援事業者が少ない市町村のための個別契約例として「基準該当居宅支援事業者との契約書」(参考例)をお示しする方向で検討をしている。
 その他については、政省令案の提示、政省令公布のスケジュールを踏まえ、現行の準則の改正等も含め検討中である。


(問29)行政手続法に基づく標準処理期間について、国として例を示すのか。

 現在のところ、行政手続法に基づく標準処理期間について、国として例を示す 予定はない。個々の市町村、都道府県の実情により、現行の措置制度の処理に係る平均的な期間等を踏まえ、判断されたい。


(問30)支給決定申請書、支給管理台帳、支援費請求書等の各種様式は示されるのか。

 支給申請書、支給管理台帳、支援費請求書等の各種様式については、今後検討の上、お示ししたいと考えている。


(問31)各市町村ごとに支援費基準を定めた場合、指定事業者・施設が支援費基準の高い市町村の支給決定障害者との契約を優先することも考えられるが、どう考えているのか。

 指定事業者・施設には、指定基準において応諾義務を規定することとしており、これにより支援費の額の多寡で、利用者を選択するようなことは許されない。



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