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第2編 災害応急対策


第2編 災害応急対策
第1章 総則
第1節
災害に関する情報の収集及び伝達
 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、連絡調整会議の構成員は、必携に定める連絡網に従い、内閣府、国土交通省等から得た情報を速やかに厚生労働省関係部局に伝達する。
 また、技術総括審議官は「緊急事態に対する政府の初動対処体制について」(平成15年11月21日閣議決定)において決定された緊急参集チームの招集が行われる場合にはチームの一員として官邸に参集し、官邸において関係情報の収集・伝達の任務にあたるものとする。

 厚生労働省関係部局は、災害の発生後直ちに、他からの指示等の有無にかかわらず、その所掌事務に係る情報の収集及び必要な措置・対策を開始するとともに、緊急参集が行われている場合には、緊急参集チームの緊密な情報提供に努め、その官邸における活動を支援・補佐するものとする。

 厚生労働省関係部局は、被災都道府県・市町村からの情報に限らず、ヘリコプターによるテレビ情報、マスコミ情報、被災地又はその周辺の関係施設への直接電話照会、全国ネットワークをもつ企業への照会等可能なあらゆる手段により情報を収集し、当該情報を連絡調整会議事務局に報告する。

 前項により連絡調整会議事務局に報告する情報を例示すれば、以下のとおりである。
(1) 厚生労働省の所掌に係る施設及び業務の被害状況
(2) 日本赤十字社の行う救護活動の状況及び同社から収集した現地の状況
(3) 被災地の地方公共団体、その他の関係機関との連絡状況
(4) その他前項の情報収集により得た重要な情報

 連絡調整会議事務局は、必要に応じて連絡調整会議を開催し、関係部局相互の連携強化を図る。

 前各項に定めるもののほか、厚生労働省関係部局は、必要に応じ、災害の発災後直ちに被災地に携帯電話を有する職員を派遣する等により、可能な限りの情報収集に努めるものとする。

 連絡調整会議事務局は、厚生労働省関係部局から収集した情報を取りまとめ、関係省庁等に報告するものとする。

 厚生労働省社会・援護局総務課長は、4により内部部局の長が収集した災害情報を取りまとめるとともに、災害対策基本法第53条第4項の規定による内閣総理大臣への報告を行うものとする。

 厚生労働省各部局においては、本省の一般加入電話の被災により、一般加入電話による連絡が不能となったときは、中央防災無線電話等を利用することにより、本省と他省庁、地方支分部局等との間の連絡を確保するものとする。

第2節 厚生労働省災害対策本部の設置等
第1
厚生労働省災害情報連絡室の設置
 災害が発生するおそれがある場合、又は災害発生の初動期等において、迅速かつ適切な情報収集・連絡活動を行うため、必要により、厚生労働省災害情報連絡室(以下「災害情報連絡室」という。)を設置する。

 災害情報連絡室の組織は、厚生労働省災害情報連絡室組織規程準則(別紙2)に定めるところによる。

第2
厚生労働省災害対策本部の設置
 非常災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、厚生労働大臣の決裁を得て、厚生労働省災害対策本部を設置する。

(注) 厚生労働省災害対策本部の設置について厚生労働大臣の決裁を得ることが困難な場合には、厚生労働事務次官の決裁により厚生労働省災害対策本部を設置することができるものとし、それも困難な場合には、以下、社会・援護局長、大事官房審議官(災害対策担当)、社会・援護局総務課長を決裁権者として厚生労働省災害対策本部の設置を行うものとする。

 厚生労働省災害対策本部の組織は、厚生労働省災害対策本部組織規程準則(別紙3)を参考とし、非常災害の種類、発生した地域の特性、季節等を勘案し、求められる災害対策に応じて、適宜定められるものとする。

第3
自発的参集
 災害対策本部構成員等は、非常災害が発生した場合又は発生するおそれがあることを知った場合には、召集権者の召集を待たず、直ちに参集する。

第4
厚生労働省災害対策本部の設置場所等
 厚生労働省災害対策本部は、厚生労働本省省議室(中央合同庁舎第5号館9階)又は適宜の厚生労働本省内の会議室等に設置する。

 厚生労働本省を含む地域において非常災害が発生し、又は発生するおそれがあることから、厚生労働省災害対策本部を厚生労働本省に設置することにより災害対策を推進することが困難であると認められる場合には、厚生労働大臣は第1項の規定にかかわらず、立川広域防災基地(東京都立川市)内の独立行政法人国立病院機構災害医療センター研修室(同センター4階)又は同センター内の会議室等に設置要請を行う。

 厚生労働省災害対策本部を独立行政法人国立病院機構災害医療センター内に設置するかの決裁は、以下に掲げる事項を勘案し、第2に規定する厚生労働省災害対策本部の設置の決裁に併せて、これを行うものとする。
(1) 厚生労働本省及び厚生労働本省を含む地域の被災状況(非常災害が発生するおそれがある場合にあっては、被災状況に係る予測)
(2) 政府の非常本部等の立川広域防災基地内にある災害対策本部予備施設内への設置の如何

 休日や夜間等の勤務時間外に前項の決裁を行う必要がある場合には、連絡調整会議の構成員は、第1節第3項及び第6項等に掲げるあらゆる手段により可能な限りの情報を収集し、適切な判断に資するようにするものとする。


第5
厚生労働省災害対策本部の業務
 厚生労働省災害対策本部は、次の業務を行う。
(1) 厚生労働省関係部局からの被災状況等に関する情報の取りまとめ
(2) 災害応急対策の総括及び総合調整
(3) 政府の非常災害対策本部又は緊急災害対策本部(以下「非常本部等」という。)及び関係省庁等との情報交換及び連絡調整(4) 政府の非常本部等及び関係省庁等から収集した情報の厚生労働省関係部局への提供
(5) 被災状況及び災害応急対策に関する広報資料の定期的作成等広報活動の総括
(6) 厚生労働省幹部との連絡
(7) 厚生労働省現地対策本部を設置した場合にあっては、同本部との連絡調整
(8) その他災害応急対策に関し必要な業務


第3節 被災地への職員の派遣及び厚生労働省現地対策本部の設置
第1
職員の派遣
 非常災害が発生した場合には、発災直後、特に次に例示する職員が被災地に赴き、情報収集、被災都道府県・市町村との連絡調整等を行う。
(1) 保健医療関係情報収集のための職員
(2) 災害救助行政の担当職員
(3) 水道の専門職員
(4) その他非常対策に必要な職員

 前項に規定するもののほか、厚生労働省災害対策本部は、必要に応じ、第4節の表「阪神・淡路大震災の経験を踏まえた厚生労働行政に係る災害応急対策の重点事項」を参考としつつ、時間の経過とともに変化する状況に応じた適切な災害応急対策を行うために必要な職員を被災地に派遣する。

第2
厚生労働省現地対策本部の設置
 被災都道府県・市町村の機能が低下し、被害状況等の情報収集及び災害対策等の的確な遂行に支障が生ずる恐れのある場合その他災害応急対策について万全の措置を講ずるため必要と認められる場合には、厚生労働大臣の決裁を得て、厚生労働省現地対策本部を設置する。
(注)  厚生労働省現地対策本部の設置について厚生労働大臣の決裁を得ることが困難な場合には、厚生労働事務次官の決裁により厚生労働省現地対策本部を設置することができるものとし、それも困難な場合には、以下、社会・援護局長、大臣官房審議官(災害対策担当)、社会・援護局総務課長を決裁権者として厚生労働省現地対策本部の設置を行うものとする。

 厚生労働省現地対策本部の組織は、厚生労働省現地対策本部組織規程準則(別紙5)を参考とし、非常災害の種類、発生した地域の特性、季節等を勘案し、求められる災害応急対策に応じて定めるものとする。

 厚生労働省現地対策本部は、被災状況の把握、被災都道府県・市町村における事務執行状況の把握、住民ニーズの把握、被災都道府県・市町村の活動に対する助言、厚生労働省災害対策本部等への情報伝達等を行う。

第3
災害発生時における都道府県労働局の対応について
情報収集及び情報把握
 都道府県労働局総務部総務課の職員に、本省及び管下労働基準監督署及び公共職業安定所との連絡調整を行う「連絡担当者」を置く。

報道機関への対応
 報道機関への対応にあたっては、厚生労働省各関係部局と十分連携をとり、情報の正誤を招くことのないよう努めるものとする。

都道府県労働局災害対策本部
 都道府県労働局長は、その管轄区域内に災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、防災推進を図るため必要があると認めるときは、都道府県労働局災害対策本部を設置する。
 都道府県労働局災害対策本部の組織その他の必要な事項は、厚生労働省大臣官房地方課長及び関係部局の長が定める。

都道府県労働局への指示
(1) 厚生労働省大臣官房長は、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合には、被災地域を管轄する都道府県労働局長に対し、情報を速やかに伝達し、情報収集、職員の派遣、安全衛生、労働力の確保その他災害応急工事等に対する対策のために必要な指示を総合的に行うとともに、職員や庁舎等の管理に係る個別具体的な指示を行う。
(2) 厚生労働省労働基準局長は、災害が発生した場合には、上記(1)の指示を踏まえ、被災地域を管轄する都道府県労働局長に対し、労働安全衛生の確保その他災害応急工事に対する対策のために必要な個別具体的な指示を行うものとする。ただし、緊急に対処する必要がある場合には、厚生労働省大臣官房長が上記(1)の指示を行う前に必要な指示を行うものとする。
(3) 厚生労働省職業安定局長は、災害が発生した場合には、上記(1)の指示を踏まえ、被災地域を管轄する都道府県労働局長に対し、労働力の確保その他災害応急工事に対する対策のために必要な個別具体的な指示を行うものとする。ただし、緊急に対処する必要がある場合には、厚生労働省大臣官房長が上記(1)の指示を行う前に必要な指示を行うものとする。

都道府県労働局長の指示等
(1) 都道府県労働局長は、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合は、管内の労働基準監督署長及び公共職業安定所長に対して、当該情報を迅速かつ的確に伝達するとともに、防災上必要な指示を行うものとする。
(2) 労働基準監督署長及び公共職業安定所長は、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合は、来訪者に対し、当該情報の内容を迅速かつ的確に伝達するとともに、来訪者を施設外に避難させる等所要の対策を講じるものとする。

情報等の報告(図11参照(PDF:249KB))
 都道府県労働局長は、適切な災害時応急対策を推進するため、避難の状況、災害応急対策の実施状況等を、状況等が変化した場合に直ちに、厚生労働省各関係部局に報告するものとする。

都道府県労働局における連絡体制の整備
 都道府県労働局総務部総務課は、災害発生時における指示の伝達、情報収集等を迅速に行うための体制を整備しておくものとする。
 なお、体制の整備に際しては、夜間、休日等の勤務時間外における連絡体制の整備、複数の連絡手段や連絡先の確保、電話その他の通常の通信手段の利用ができない場合の通信手段の確保、防災担当者その他の防災事務に従事する職員の集合場所の指定、本省関係部局並びに労働基準監督署及び公共職業安定所等の連絡責任者の指定等の措置を講ずること。

 厚生労働本省における連絡体制の整備
(1) 都道府県労働局との連絡調整窓口は、本省社会・援護局総務課の指示を受け、大臣官房地方課が行うが、都道府県労働局に対する指示等については、本省関係各部局が直接行うものとする。
(2) 大臣官房地方課は、社会・援護局総務課より、非常災害発生等の報告を受けた場合には、非常災害発生地を管轄する都道府県労働局に連絡する。
(3) 大臣官房地方課は、都道府県労働局から現地状況の報告を受けた場合及び都道府県労働局に対する指示等を行った場合には、これを本省関係各部局へ伝達する。
(4) 本省関係各部局は、都道府県労働局から現地情報の報告等を受けた場合及び都道府県労働局に対する指示等を行った場合には、これを大臣官房地方課に伝達する。

第4
 地方厚生局における災害発生時の対応について
情報収集及び状況把握
(1) 地方厚生局総務課が中心となり、本省関係各部局からの指示を受け、地方公共団体、関係機関等を通じて情報収集する。
(2) 地方厚生局総務課は、本省関係各部局より職員派遣依頼の連絡があった場合には、都道府県防災担当課へ職員を派遣し、当該職員を「現地連絡担当者」として情報収集の窓口とする。
(3) 現地連絡担当者は、地方厚生局及び本省と都道府県防災担当課との連絡調整に当たる。
(4) 現地連絡担当者は、被災都道府県・市町村からの情報に限らず、地元マスコミ等により得た情報を収集し、当該情報を地方厚生局及び本省に報告する。
(5) 非常災害が発生した場合には、発災直後、本省より担当職員が被災地に赴くことになっているが、地方厚生局より派遣された現地連絡担当者は、本省担当職員が到着した場合、それまでに収集した情報を引き継ぐとともに、以後、互いに協力し、情報収集に努める。
(6) 現地連絡担当者が行う主な情報収集項目
a被災市町村の被害状況
b厚生労働省の所掌に係る医療施設、社会福祉施設、水道施設等及びこれらの業務の被害状況
c救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等が行う災害医療活動の状況及び同チームから収集した現地の状況
d日本赤十字社の行う救護活動の状況及び同社から収集した現地の状況eその他、情報収集により得た重要な情報
(7) 地方厚生局が情報収集及び状況把握を行うにあたっては、独立行政法人国立病院機構との情報の共有及び密接な連携を図るものとする。

報道機関への対応
 報道機関への対応にあたっては、本省関係各部局と十分連携をとり、情報の正誤を招くことのないよう努めるものとする。

地方厚生局における連絡体制の整備
(1) 地方厚生局総務課は、災害時における現地連絡担当者を平常時において地方厚生局の職員の中からあらかじめ指定しておくとともに、現地連絡担当者から本省連絡担当者及び地方厚生局責任者への情報連絡ルートを確保しておくこと。
(2) 地方厚生局より本省への情報連絡ルートについても、本省連絡担当者を平常時において地方厚生局の職員の中からあらかじめ指定しておくとともに、本省各課への情報連絡ルートを確保しておくこと。
(3) 現地連絡担当者及び本省連絡担当者は、本省にあらかじめ登録しておき、変更等があった場合には変更登録等を行うこと。
(4) 現地連絡担当者及び本省連絡担当者は、本省等が実施する災害関係の各種会議に積極的に出席し、平常時においても情報収集等に努めること。

厚生労働本省における連絡体制の整備
(1) 地方厚生局との連絡調整窓口は、本省社会・援護局総務課の指示を受け、大臣官房地方課地方厚生局管理室が行うが、緊急時における地方厚生局に対する必要な指示等については、本省関係各部局が直接行うことができる。
また、本省内に厚生労働省災害対策本部が設置された場合にあっては、地方厚生局との連絡調整は、同本部が行う。
(2) 大臣官房地方課地方厚生局管理室は、地方厚生局及び本省各課等より、非常災害発生等の報告を受けた場合には、社会・援護局総務課及び非常災害発生地を管轄する地方厚生局の本省連絡担当者に連絡する。
(3) 大臣官房地方課地方厚生局管理室は、地方厚生局から現地状況の報告等を受けた場合及び地方厚生局に対する指示等を行った場合には、これを社会・援護局総務課及び本省関係各課に伝達する。
(4) 本省関係各課は、地方厚生局から現地状況の報告等を受けた場合及び地方厚生局に対する指示等を行った場合には、これを社会・援護局総務課及び大臣官房地方課地方厚生局管理室に伝達する。

第4節 非常災害の特性や時間の経過に応じた適切な災害応急対策の実施
 非常災害が発生した場合の災害応急対策は、被災状況等を踏まえた迅速かつ適切な対策が、時間の経過とともに変化する状況に対応し、継続的に講じられるべきであることを踏まえ、厚生労働省災害対策本部及び厚生労働省関係部局は、下表を参考としつつ、発生した非常災害の特性に応じた適切な災害応急対策を講ずるものとする。

(表)阪神・淡路大震災の経験を踏まえた厚生労働行政に係る災害応急対策の重点事項
時   点
重  点  事  項
主な担当部局
発災後24時間以内
(全般)
厚生労働省災害対策本部の設置
災害救助法の適用決定及び応急救助の実施

(医療)
独立行政法人国立病院機構災害医療センター及び大阪医療センター初期災害医療班の派遣
日本赤十字社及び国立病院機構等による救護班の派遣
搬送先の確保の支援、医薬品等の確保の支援及び医薬品等の管理等のためのマンパワーの確保の支援
医療施設及び保健所の被災状況や活動状況等の把握

(避難所等)
避難所及び救護所等の設置

避難所等の被災者に対する食品、飲料水その他生活必需品の供給
医療施設、社会福祉施設等への水、食料その他生活必需品の供給
避難所への仮設トイレの設置

(水)
給水車による生活用水の供給や、水道施設の応急復旧のための広域的な支援の準備

(要援護者)
人工透析患者等緊急の対応を要する要援護者の安否確認、支援

(遺体)
柩及びドライアイス等の確保

連絡調整会議事務局
社会・援護局


医政局

社会・援護局
医政局
医政局
医薬食品局

医政局
健康局


社会・援護局
医政局
社会・援護局
健康局
健康局
施設所管各局
社会・援護局


健康局



健康局等



健康局
発災後72時間以内
(全般)
厚生労働省現地対策本部の設置

他の都道府県等からの応援人員の確保、派遣調整

(医療・保健)
避難所救護センターの設置
救護所等への医薬品等の供給の支援

保健師等の巡回による被災者の健康管理

(避難所)
避難所への医薬品等の供給の支援及び日常生活援助物資の供給
保健師等の巡回等による避難所の衛生管理、食中毒対策

(水)
避難所、稼働医療施設等の防災拠点施設や福祉施設等に重点を置いた給水車等による飲料水供給
水道施設の応急復旧に着手

(要援護者)
在宅寝たきり老人、障害者、遺児・孤児、難病患者等の要援護者の発見、安否確認、支援

(遺体)
遺体搬送、火葬場の確保
(ボランティア)
ボランティアへの情報提供

厚生労働省災害対策本部事務局
関係部局



医政局
医薬食品局
医政局
健康局
医政局

医薬食品局
医政局
医薬食品局
健康局
食品安全部

健康局


健康局


関係部局



健康局

社会・援護局
発災後1週間以内
(全般)
医療施設、社会福祉施設等の施設設備の被災状況の把握
・現地で初期対応に従事した者の交代要員の派遣

(医療)
被災者、被災児童の精神保健対策


必要に応じ予防接種等の実施

(生活援助)
災害弔慰金等の支給、災害援護資金等の貸付に係る準備

(避難所等)
仮設風呂の設置

(水)
応急復旧した水道施設により遂次生活用水の供給を開始

(要援護者)
要援護者に対する組織的な応急保健福祉サービス供給体制の準備

関係部局

関係部局



障害保健福祉部
雇用均等・児童家庭局

健康局


社会・援護局



健康局


健康局



関係部局



第5節 非常災害時における広報活動
 厚生労働省災害対策本部及び厚生労働省現地対策本部が設置された場合には、厚生労働省災害対策本部事務局は、速やかに記者発表を行う。

 厚生労働省関係部局は所掌に係る事業及び施設等の被災状況及びそれに対して講じている施策等について、正確かつきめ細やかな情報提供を積極的に行う。

 厚生労働省大臣官房総務課広報室は、災害に関し、逐次記者発表が行われるよう、厚生労働省関係部局との連絡調整等に留意する。

 厚生労働省大臣官房統計情報部は、ホームページ等により、記者発表内容を提供する。

第2章 災害救助法の適用(図1参照(PDF:249KB))
第1節 災害救助法の迅速な適用
第1
被害状況の把握及び情報提供
 被災都道府県は、消防部局、警察当局、管下市町村等と緊密な連携を図り速やかに管内の被害状況の把握を行うとともに、把握した被害状況を厚生労働省社会・援護局に情報提供する。この場合において、被害が甚大あるいは夜間等のために被害が正確に把握できない場合には、概数により緊急に情報提供を行う。

 また、被災都道府県の機能等に甚大な被害が発生し、被害状況の情報提供が一時的に不可能な場合には、被災市町村は、直接、厚生労働省に対して緊急に情報提供を行う。

第2
災害救助法適用の決定等
 被災都道府県は、災害救助法を適用して応急救助を実施する必要があると認める災害については、速やかに被災状況等について厚生労働省社会・援護局に情報提供を行い、災害救助法の適用を決定する。この場合において、災害救助法の適用の要件となる被害の認定は、世帯単位で行われるものであることに十分留意するとともに、同法適用後も、厚生労働省社会・援護局に対し、刻々と変わる被害状況について情報提供する。

 厚生労働省社会・援護局は、被災都道府県から災害の発生状況及び被害状況の情報提供を受けた場合には、必要に応じ、関係省庁に対し、被災状況及び災害救助法の適用について情報提供を行う。

 厚生労働省社会・援護局は、災害救助法の迅速な適用が行われるよう、被災都道府県に対し、必要な助言その他の支援を行う。

 厚生労働省社会・援護局及び都道府県は、医療その他の関係者を災害救助に関する業務に従事させ、又は協力させる場合は、災害救助法による命令を発出することができ、医療その他の救助に関する業務に従事する者が、これがため負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合において、扶助金の支給等適切な措置を講ずる。

第2節 災害救助法による救助の実施
第1
避難所の設置
 被災都道府県(被災市町村が、救助の実施に関する事務を処理する場合における当該被災市町村を含む。以下この節において同じ。)は、避難所を設置した場合は、避難者数の確認、避難者名簿の作成等により、その実態を把握し、テレビ、ラジオ、仮設トイレ等必要な設備・備品を確保するとともに、避難の長期化に際しては、必要に応じ、プライバシーの確保等に配慮する。

 被災都道府県は、避難者等の協力を得つつ、負傷者、災害による遺児、衰弱した老人、障害者等の災害時要援護者の所在の把握に努め、必要な保健福祉サービスが受けられるための連絡調整等を行う。

 被災都道府県は、避難所における障害者や高齢者等の災害時要援護者に対するニーズ調査を行い、必要に応じて、公的宿泊施設、旅館及びホテル等を避難所として借り上げて活用を図るほか、ホームヘルパーの派遣や施設への緊急入所など必要な措置を講ずること。

第2
炊出しその他による食品及び飲料水の供与
 被災都道府県は、事業者等の協力を得て、食品及び飲料水の提供に努めるとともに、直ちに用意できない場合は、差し当たり、当該都道府県が備蓄している乾パン、缶詰等の食品の供与を速やかに行う。

 被災都道府県は、食品の必要供給量を避難所責任者からの情報等により把握し、公共施設の調理施設を利用すること等による炊出し、食品流通業者による搬入等の手配を適切に行う。

 被災都道府県は、学校、社会福祉施設及び公共施設の調理設備の利用、避難所への仮設炊事場の設置等により、適温食の確保に努める。

 被災都道府県は、被害の規模等に応じ必要と認めるときは、被災住民等地域住民の協力を得る等により、食品の供与のための体制を緊急整備する。

第3
応急仮設住宅の設置
 被災都道府県は、応急仮設住宅の建設用地として被災市町村内の公有地の確保に努めるとともに、災害の規模、態様に応じ、他の市町村有地、国有地、企業等の民有地の提供を受けること等により、必要な用地の確保を行う。

 被災都道府県は、被災者の実態把握に基づき、速やかに応急仮設住宅の設置計画を策定する。この場合において、水、ガス、電気等の供給に配慮するとともに、被災者に係る世帯人員数や高齢者・障害者等に配慮した仕様及び設計に努める。

 被災都道府県は、災害時における被災者用の住居として利用可能な公営住宅等の把握に努め、災害時に迅速にあっせんできるよう、あらかじめ体制を整備するものとする。

 被災都道府県は、応急仮設住宅を大量に設置した場合の入居事務については、その事務処理体制の整備、必要な職員の配置等を図り、被災者の入居が遅滞なく、かつ、公平に行われるよう努める。この場合において、入居決定に当たっては、被災者の特性や実態に応じた配慮を行う。

第4
助言及びその他の支援
 厚生労働省社会・援護局は、第1から第3までに掲げる措置が適切に行われるよう、必要な助言その他の支援を行うとともに、災害救助法に基づく被災都道府県が実施する被災者の救出や医療の提供並びに死体の捜索、処理及び埋葬、被災者への生活必需品や学用品の給付、住宅の応急修理及び障害物の除去、その他の応急措置が適切に行われるよう必要な支援を行う。

第3節 実施体制の整備
 被災都道府県は、災害対策本部を設置して救助の実施に必要な職員の確保を行うなどの体制を整備する。

 被災都道府県の職員のみで必要な職員を確保できない場合には、必要に応じ、近隣都道府県に応援を要請し、又は厚生労働大臣の応援指示の発出を求める。

 厚生労働省社会・援護局は、被災都道府県の要請等を踏まえ、必要な職員の派遣等適切な応援体制の整備を図る。

 厚生労働省社会・援護局は、特に必要と認める場合には、災害救助法第31条の規定に基づく厚生労働大臣による被災都道府県以外の都道府県知事に対する応援指示につき必要な手続を行う。

第4節 関係省庁等との協力
 厚生労働省社会・援護局は、災害救助法による救助の円滑な実施に資するため、食品の確保、応急仮設住宅の建設に要する資機材及び建設用地の確保等につき、関係省庁、関係機関と密接な連絡を図る。

第5節 応急救助の実施に必要な物資の収用等
 厚生労働省社会・援護局は、応急救助の実施に当たって、特に必要とされる物資の円滑な供給を確保することができない場合において、特に必要があると認めるときは、災害救助法第23条の2の規定に基づく厚生労働大臣による関係事業者に対する物資の保管命令又は物資の収用を行う。
 ただし、この措置は、真にやむを得ない場合に限り、かつ応急救助の実施のために必要な最小限度においてのみ行うものとし、できるかぎり関係者の協力を得て必要物資の確保を図るよう努める。

 厚生労働省社会・援護局、都道府県・市町村等は、同法第28条の規定に基づき、応急救助の実施に関し、緊急を要する通信のため、電気通信設備の優先利用等を行う。

第3章 医療・保健に係る対策
第1節 被災地の状況把握
 非常災害時に迅速かつ的確な医療・保健サービスを提供するためには、情報を迅速かつ正確に把握することが重要であることから、厚生労働省医政局その他の関係部局は、被災都道府県・市町村、独立行政法人国立病院機構、日本赤十字社、関係省庁、民間医療施設、医薬品等関係団体等からの以下の事項についての情報収集を行う。
(1) 被災地の衛生行政機能の被害状況
(2) 施設・設備の被害状況
(3) 診療(施設)機能の稼働状況
(4) 職員の被災状況、稼働状況
(5) 医薬品等及び医療用資器材の需給状況
(6) 施設への交通状況 等

第2節 保健医療活動従事者の確保
第1
救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等の派遣
 被災都道府県は、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師等の保健医療活動従事者の数及び不足数について迅速な把握に努める。

 都道府県及び厚生労働省医政局は、自然災害又は人為災害で、被災地外からの医療の支援が必要な可能性がある場合、救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等の待機を要請する。

 被災都道府県は、当該都道府県外からの医療の支援が必要な規模の災害が発生した場合には、非被災都道府県に対し、救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等の派遣を要請する。また、都道府県間での調整が整わないときは、厚生労働省医政局等に対して要請を行う。

 厚生労働省医政局又は厚生労働省現地対策本部等は、当該都道府県外からの医療の支援が必要な規模の災害により被災都道府県自らが当該調整を行い得ない場合、必要な支援を行う。

 厚生労働省医政局等は、被災した地域の被災者の医療対策のために必要があると認めるとき及び被災都道府県より要請があったときは、災害拠点病院等に対し、救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等の派遣を要請するものとする。

 厚生労働省労働基準局は、被災者の医療対策のために必要があると認めるときは、独立行政法人労働者健康福祉機構に対し、労災病院等の医師その他の職員の派遣、医薬品の提供等必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
 また、初期災害医療においては、医療活動に従事する者による自律的な活動が必要であることから、労災病院等は状況等を勘案し、自らの判断に基づき、医師その他の職員の派遣等必要な措置を講ずるものとする。

 厚生労働省医政局は、被災者の医療対策のために必要があると認めるときは、独立行政法人国立病院機構に対し、所管病院の医師その他の職員の派遣等必要な措置を講じるよう要請するものとする。

第2
救急患者及び医療活動従事者の搬送体制の確保
 厚生労働省医政局、厚生労働省現地対策本部、厚生労働省地方厚生局、日本赤十字社、独立行政法人国立病院機構又は被災都道府県・市町村は、防災基本計画第2編第2章第3節2(3)等に規定するところにより災害時拠点医療施設等への救急患者の搬送について、必要に応じ、緊急輸送関係省庁に要請する。

 厚生労働省医政局、厚生労働省現地対策本部、厚生労働省地方厚生局、日本赤十字社、独立行政法人国立病院機構又は被災都道府県・市町村は、防災基本計画第2編第2章第3節2(3)等に規定するところにより救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等の緊急輸送について、必要に応じ、緊急輸送関係省庁に要請する。

第3節 被災地における保健医療の確保
第1
医療施設への電気、ガス、水道の確保
 被災都道府県は、医療施設の電気、ガス、水道等のライフラインの復旧について、優先的な対応が行われるように事業者へ要請する。

 被災都道府県は、ライフラインの復旧までの間、医療施設への水の供給及び自家発電用の燃料の確保を図るための必要な措置を講ずる。

 厚生労働省医政局は、前2項の措置に関し、必要に応じ、関係省庁との調整等必要な支援を行う。

 厚生労働省健康局は、医療施設への給水の確保のために必要な調整を行う。

第2
救護所及び避難所救護センターの設置
 被災都道府県・市町村は、被災状況等を勘案し、適時適切な場所に救護所を設置し、運営する。

 被災都道府県・市町村は、避難所の設置が長期間と見込まれる場合には、以下の点に留意し、避難所に併設して被災者に医療を提供する施設(以下「避難所救護センター」という。)の設置運営を行う。

(1) 設置に当たっては、被災地における医療施設の稼働状況や復旧状況を勘案すること。
(2) 避難所救護センターに配置する医師については、当初は内科系を中心とした編成に努め、その後精神科医を含めた編成に切り替える等、避難所及び周辺地域の状況に合わせ、適時適切な対応を行うこと。
(3) 必要に応じ、歯科巡回診療車、携帯用歯科診療機器の確保等を行うこと。

 厚生労働省医政局又は厚生労働省現地対策本部は、被災都道府県・市町村による救護所及び避難所救護センターの設置運営について、必要に応じ、助言及びその他の支援を行う。

第3
医療機器の修理及び交換
 被災都道府県は、必要に応じ、被災地内の病院等に設置されている医療機器の修理・交換を医療機器関係団体等に要請する等の支援を行う。

 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、医療機器の修理・交換について、必要に応じ、被災都道府県に対し、助言及びその他の支援を行う。

 厚生労働省医政局は、緊急輸送関係省庁と調整を行い、輸送ルートを確保し、医療機器の修理及び交換が可能となるよう支援する。

第4節 公衆衛生医師及び保健師等による健康管理
 被災都道府県・市町村は、以下により、被災者等の健康管理を行う。
(1) 公衆衛生医師及び保健師等により、被災者のニーズ等に的確に対応した健康管理(保健指導及び栄養指導等をいう。以下同じ。)を行うこと。
(2) 被害が長期化する場合、避難所が多数設置されている場合等、被災者等の健康管理を組織的に行うことが必要と見込まれる場合には、被災者等の健康管理のための実施計画を策定すること等により、計画的な対応を行うこと。
(3) 被災者等及び救護活動並びに健康管理に従事している者の精神不安定に対応するため、精神保健福祉センター等においてメンタルヘルスケアを実施すること。

 被災都道府県は、被災者等の健康管理に際し、管下の保健師等のみによる対応が困難であると認めるときは、必要に応じ、厚生労働省健康局に公衆衛生医師及び保健師等の派遣を要請する。

 厚生労働省健康局及び社会・援護局障害保健福祉部は、被災都道府県からの公衆衛生医師及び保健師等の派遣要請数を確認し、被災都道府県以外の都道府県との調整を行うほか、被災都道府県・市町村の行う被災者等の健康管理に関し、必要な支援を行う。

第5節 医薬品等の供給
第1
被災地の状況把握(図3参照(PDF:249KB))
 被災都道府県は、被災地内の医薬品等卸協同組合、日本赤十字社等を通じ、医薬品等の在庫及び需給状況を把握する。

 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、必要な医薬品等の供給に支障を来さないよう、被災都道府県、医薬品等関係団体、日本赤十字社等から医薬品等の需給状況についての情報収集を行う。

第2
医薬品等の確保及び供給(図4及び図5参照(PDF:249KB))
 被災都道府県は、災害用の備蓄医薬品等の活用や医薬品等卸協同組合、日本赤十字社等への協力要請等により、必要な医薬品等の供給を確保するとともに、被災地内で医薬品等の不足を生じることが予想される場合には、速やかに厚生労働省医政局及び医薬食品局に報告する。
 また、被災地内の交通が混乱しているような場合には、自転車、自動二輪車を含めた搬送手段を確保する。

 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、被災地で医薬品等(輸血用血液製剤及びガスえそウマ抗毒素を除く。)の不足を生じることが予想され、広域的な対応が必要と判断した場合には、医薬品等関係団体等に医薬品等の供給について協力を要請する。
 また、被災地内の医薬品等の供給に当たっては、医薬品等集積所等に対する仕分け・管理を容易にするため、種類別の梱包の実施等の工夫を行うよう要請する。

 厚生労働省医薬食品局は、被災地で輸血用血液製剤の不足を生じることが予想され、広域的な対応が必要と判断した場合には、日本赤十字社に輸血用血液製剤の供給について協力を要請する。

 厚生労働省医薬食品局は、被災地内でガスえそウマ抗毒素の不足を生じることが予想され、広域的な対応が必要と判断した場合には、国家買上げ分を供出する。

 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、緊急輸送関係省庁と調整を行い、輸送ルートを確保し、医薬品等関係団体、日本赤十字社等による被災地への医薬品等の供給を支援する。

第3
医薬品等の仕分け及び管理
 被災都道府県は、医薬品等集積所、避難所等における医薬品等の仕分け・管理及び服薬指導等の実施について、都道府県薬剤師会に要請し、医薬品等の迅速な供給及び適正使用を図る。

 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、被災地内での医薬品等の仕分け・管理及び服薬指導等の実施について、広域的な対応が必要と判断した場合には、社団法人日本薬剤師会等に要請する。

第6節 医療に関する外国からの支援
 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、医療に関する外国からの支援に関し、発災後可能な限り早期に次の考え方に基づく援助の要否に関する方針を明確にする。
厚生労働省災害対策本部等は、防災基本計画第2編第2章第12節第3項に規定するところにより、政府の非常本部等を通じ、その受入れの可否を関係国に連絡する。

 医療スタッフについては、被災者との日本語による意思疎通が困難である等の問題があるため、国内の他の地域からの派遣により対応することを基本とするが、災害の規模が著しく大規模である場合、治療について外国にしかない特殊な知見を必要とする場合等には、必要に応じ、自己完結的に活動できる外国からの医療スタッフを受け入れるものとする。

 医薬品等については、日本語による表示等の問題があるため国内で確保できるものは国内で確保することを基本とするが、外国にしかない医薬品等を使用する必要がある場合等には、国内に受け入れるものとする。

第7節 防疫対策
 被災都道府県・市町村は、災害防疫実施要綱(昭和40年5月10日衛発第302号各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省公衆衛生局長通知)により策定された防疫計画に基づき、以下の点に留意しつつ、災害防疫活動を実施する。
(1) 被災都道府県は、災害発生時の生活環境の悪化、被災者の病原体に対する抵抗力の低下等の悪条件下に備え、管内市町村に対する迅速かつ強力な指導を徹底し、感染症流行の未然防止に万全を努めること。
(2) 夏場に災害が発生した場合や大雨や台風による河川の増水により洪水の発生が想定される場合には、衛生状態の悪化や汚染地域の拡大により、防疫に必要な器具機材等が不足することも想定されるため、被災都道府県は、近隣都道府県に対する応援要請を検討し、必要に応じ、速やかな応援要請を行うこと。
(3) 冬場に災害が発生した場合には、インフルエンザが避難所において流行することが考えられるため、被災都道府県は、手洗いやうがいの励行、マスクの活用とともに、十分な睡眠の確保、清潔維持などを心がけることについて、被災者に対して注意喚起を行う。
(4) 避難所は、臨時に多数の避難者を収容するため、衛生状態が悪化し、感染症発生の原因となる可能性があることから、簡易トイレ等の消毒を重点的に強化すること。
 また、施設の管理者を通じて衛生に関する自主的組織を編成するなど、その協力を得て防疫に努めること。

 厚生労働省健康局は、前項に掲げる措置に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第8節 個別疾患対策
第1
人工透析(図6参照(PDF:249KB))
 人工透析については、慢性腎障害患者に対し、災害時においても継続して提供する必要があるほか、クラッシュシンドロームによる急性腎障害患者に対して提供することも必要であり、また、透析医療の実施に当たっては、水・医薬品等の確保が重要であることから、次の方法により、人工透析の供給体制を確保する。

(1) 情報収集及び連絡
 社団法人日本透析医会が、被災都道府県に伝達する被災地及び近隣における人工透析患者の受療状況及び透析医療機関の稼働状況に係る情報に基づき、被災都道府県・市町村は、広報紙、報道機関等を通じて、透析患者や患者団体等へ的確な情報を提供し、受療の確保を図ること。
(2) 水及び医薬品等の確保
 被災都道府県は、社団法人日本透析医会が提供する透析医療機関における水・医薬品等の確保状況に関する情報に基づき、必要な措置を講ずること。

厚生労働省健康局及び医政局は、前項に掲げる措置に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第2
難病等(図7参照(PDF:249KB))
 難病患者等への医療を確保するためには、医薬品等(例:ALS等の在宅人工呼吸器用酸素、クローン病の成分栄養、膠原病のステロイド系薬品)の確保が必要であることから、次の方法により、難病等に係る医療の供給体制を確保する。
(1) 情報収集及び連絡
1) 被災都道府県は、被災地及び近隣における難病患者等の受療状況及び主な医療機関の稼働状況を把握し、広報紙、報道機関等を通じて難病患者や患者団体等へ的確な情報を提供し、受療の確保を図ること。
 また、人工呼吸器等を使用している在宅の難病患者の状況の把握に努めるとともに、これら患者の状況に応じた必要な措置を図ること。
2)  厚生労働省健康局は、特定疾患対策研究班員を通じて把握した被災地及び近隣における特定疾患患者の受療状況及び主な医療機関の稼働状況について、被災都道府県へ提供すること。
 また、厚生労働省健康局は、特定疾患対策研究班員を通じて把握した被災地等の肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)などの疾病予防に関する情報を被災都道府県へ提供すること。
(2)  医薬品等の確保

 被災都道府県は、把握した医療機関における医薬品等の確保状況に基づき必要な措置を講ずること。
 また、被災都道府県は、人工呼吸器等を使用している在宅の難病患者に必要な電力、必要な物品等の確保状況に基づき必要な措置を講ずること。

 厚生労働省医政局、健康局及び医薬食品局は、前項に掲げる措置に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第9節 公費負担医療に係る対応
 厚生労働省公費負担医療関係部局は、公費負担医療制度対象者の医療を確保する観点から、患者票等を現に所持していない場合等における公費負担医療事務の円滑な実施について、被災都道府県・市町村等に対し、必要な助言等を行う。

第4章 福祉に係る対策
第1節 市町村民生部局の体制(図8参照(PDF:249KB))
 非常災害の発生に際しては、発災直後の遺体の取扱い、避難所の設置管理、食事・物資の提供等の災害救助関係業務のほか、被災市町村の民生関係業務として、生活福祉資金の貸付、応急仮設住宅等における衛生部局と連携をとった保健福祉サービスの実施、り災証明の発行等、非常災害の発生により新たに発生する業務を含め、膨大な種類と量の業務が発生することから、被災市町村においては、災害の規模及び被災市町村における行政機能状況等を勘案し、以下の点に留意しながら、福祉に係る災害応急対策を実施する。
(1) 災害発生により新たに発生する食事・物資の分配業務、遺体の取扱業務等の災害救助関係業務と並行して、障害者及び高齢者に対する福祉サービス等の福祉関係業務の増大にも対応できるよう、業務処理体制の確保に努めること。
(2) 近隣市町村民生部局と災害援助協定を締結している場合にあっては、速やかに応援を要請すること。
(3) 被災都道府県を通じ、厚生労働省社会・援護局に対し、他都道府県の市町村民生部局職員の応援を要請すること。
(4) 応急仮設住宅における保健福祉サービスの実施に代表されるように、災害発生後一定の期間経過後に開始されるべき業務が数多く存在することから、時間の経過とともに変化する状況に対応した組織と人員の投入に留意しつつ、対策を講ずること。

 被災都道府県及び厚生労働省社会・援護局、障害保健福祉部、老健局、雇用均等・児童家庭局その他の関係部局は、被災市町村が実施する前項の措置に関し、他の都道府県・市町村への協力要請等必要な支援を行う。

第2節 災害時要援護者に係る対策
 非常災害の発生に際しては、平常時より在宅保健福祉サービス等の提供を受けている者に加え、災害を契機に新たに災害時要援護者となる者が発生することから、これら災害時要援護者に対し、時間の経過に沿って、各段階におけるニーズに合わせ、的確なサービスの提供等を行っていくことが重要であることに鑑み、被災市町村は、以下の点に留意しながら、災害時要援護者対策を実施する。
(1) 在宅保健福祉サービス利用者、独り暮らし老人、障害者、難病患者等の名簿を利用する等により、居宅に取り残された災害時要援護者の迅速な発見に努めること。
(2) 災害時要援護者を発見した場合には、当該災害時要援護者の同意を得て、必要に応じ、以下の措置を採ること。
1) 避難所(福祉避難所を含む)へ移動すること。
2) 社会福祉施設等への緊急入所を行うこと。
3) 居宅における生活が可能な場合にあっては、在宅保健福祉ニーズの把握を行うこと。
(3) 災害時要援護者に対する保健福祉サービスの提供を、組織的・継続的に開始できるようにするため、すべての避難所を対象として、災害時要援護者の把握調査を開始すること。

 被災都道府県及び厚生労働省社会・援護局、障害保健福祉部、老健局、雇用均等・児童家庭局その他の関係部局は、被災市町村が実施する前項の措置に関し、他の都道府県・市町村への協力要請等必要な支援を行う。

第3節 社会福祉施設等に係る対策
 被災社会福祉施設等は、あらかじめ定めた避難誘導方法等に従い、速やかに入所者の安全を確保する。

 被災地に隣接する地域の社会福祉施設等は、施設機能を低下させない範囲内で援護の必要性の高い被災者を優先し、施設への受入れに努める。

 被災社会福祉施設等は、水、食料品等の日常生活用品及びマンパワーの不足数について把握し、近隣施設、都道府県・市町村等に支援を要請する。

 被災都道府県・市町村は、以下の点に重点を置いて社会福祉施設等の支援を行う。

(1) ライフラインの復旧について、優先的な対応が行われるように事業者へ要請すること。
(2) 復旧までの間、水、食料品等の必須の日常生活用品の確保のための措置を講ずること。
(3) ボランティアへの情報提供などを含めマンパワーを確保すること。

 被災都道府県及び厚生労働省社会・援護局、障害保健福祉部、老健局、雇用均等・児童家庭局その他の関係部局は、物資及びマンパワーの広域的支援に関し、他の都道府県等からの応援体制の確保等の支援を行うほか、利用契約等を弾力的に行うことなどを助言することを含め、上記対策全般について、被災都道府県等の支援を行う。

第4節 障害者及び高齢者に係る対策
 被災都道府県・市町村は、避難所や在宅における一般の災害時要援護者対策に加え、以下の点に留意しながら障害者及び高齢者に係る対策を実施する。
(1) 被災した障害者及び高齢者の迅速な把握に努めること。
(2) 掲示板、広報誌、パソコン、ファクシミリ等を活用し、また、報道機関との協力のもとに、新聞、ラジオ、文字放送、手話つきテレビ放送等を利用することにより、被災した障害者及び高齢者に対して、生活必需品や利用可能な施設及びサービスに関する情報等の提供を行うこと。
(3) 避難所等において、被災した障害者及び高齢者の生活に必要な車椅子、障害者用携帯便器、おむつ等の物資やガイドヘルパー、手話通訳者等のニーズを把握するため相談体制を整備すること。
(4) 被災した障害者及び高齢者の生活確保に必要な車椅子、障害者用携帯便器、おむつ等の物資やガイドヘルパー、手話通訳者等の人材について迅速に調達を行うこと。
(5) 関係業界、関係団体、関係施設を通じ、供出への協力要請を行う等当該物資の確保を図ること。
(6) 避難所や在宅における障害者及び高齢者に対するニーズ調査を行い、必要に応じて、公的宿泊施設、旅館及びホテル等を避難所として借り上げて活用を図るほか、ホームヘルパーの派遣や施設への緊急入所等必要な措置を講ずること。

 厚生労働省社会・援護局、障害保健福祉部、老健局、雇用均等・児童家庭局及び医政局は、前項に掲げる措置に関し、他の都道府県・市町村への協力要請、関係団体との調整等必要な支援を行う。

第5節 児童に係る対策
第1
要保護児童の把握等
 被災都道府県・市町村は、次の方法等により、被災による孤児、遺児等の要保護児童の発見、把握及び援護を行う。
(1) 避難所の責任者等を通じ、避難所における児童福祉施設からの避難児童、保護者の疾患等により発生する要保護児童の実態を把握し、被災都道府県・市町村に対し、通報がなされる措置を講ずること。
(2) 住宅基本台帳による犠牲者の確認、災害による死亡者に係る義援金の受給者名簿及び住民からの通報等を活用し、孤児、遺児を速やかに発見するとともに、その実態把握を行うこと。
(3) 被災都道府県・市町村民生部局は、避難児童及び孤児、遺児等の要保護児童の実態を把握し、その情報を親族等に提供すること。
(4) 孤児、遺児等保護を必要とする児童を発見した場合には、親族による受入れの可能性を探るとともに、養護施設への受入れや里親への委託等の保護を行うこと。また、孤児、遺児については、被災都道府県・指定都市における母子福祉資金の貸付、社会保険事務所における遺族年金の早期支給手続を行うなど、社会生活を営む上での経済的支援を行うこと。

 厚生労働省雇用均等・児童家庭局は、社会保険庁と連携を図りつつ、前項に掲げる措置に関し、他の都道府県・市町村への協力要請、関係団体への調整等必要な支援を行う。

第2
育児用品の確保
 厚生労働省医政局、雇用均等・児童家庭局は、関係団体を通じて、哺乳びん、粉ミルク、ポット、ベビーベッド、紙おむつ、幼児用肌着等の育児用品を確保するとともに、関係省庁及び省内関係部局との連携の下に関係業界に対し、供出を要請する。

第3
児童のメンタルヘルスの確保
 被災都道府県・指定都市は、被災児童の精神不安定に対応するため、児童相談所において、メンタルヘルスケアを実施する。

 厚生労働省雇用均等・児童家庭局は、被災都道府県・指定都市のメンタルヘルスケアの実施に際し、全国の児童相談所への協力要請等必要な支援を行う。

第4
児童の保護等のための情報伝達
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局、被災都道府県・市町村等は、被災者に対し、掲示板、広報誌等の活用、報道機関の協力、パソコンネットワーク・サービスの活用により、要保護児童を発見した際の保護及び児童相談所等に対する通報への協力を呼びかけるとともに、育児関連用品の供給状況、利用可能な児童福祉サービスの状況、児童福祉施設の被災状況及び復旧状況等について的確な情報提供を行う。

第6節 ボランティア活動の支援
第1
ボランティア活動に関する情報提供
 被災都道府県・市町村は、被災者の様々なニーズの把握に努めるとともに、近隣都道府県・市町村や報道機関を通じて、求められるボランティア活動の内容、必要人員、活動拠点等について情報提供を行う。

 厚生労働省社会・援護局は、ボランティア活動が円滑に行われるよう、必要な助言及びその他の支援を行う。

第2
被災地におけるボランティア支援体制の確立
 被災地の都道府県・市町村、社会福祉協議会、全国社会福祉協議会、日本赤十字社等は、速やかに現地本部及び救援本部を設置し、行政機関等関係団体との連携を密にしながら、以下により、ボランティアによる支援体制を確立する。
(1) 現地本部における対応
 被災地の社会福祉協議会は、ボランティア活動の第一線の拠点として現地本部を設置し、被災者ニーズの把握、具体的活動内容の指示、活動に必要な物資の提供等を行うこと。
(2) 救援本部における対応
 被災地周辺であって通信・交通アクセスが良い等適切な地域の社会福祉協議会等は、救援本部を設置し、ボランティアの登録、派遣等のコーディネート、物資の調達等を行い現地本部を支援すること。

 厚生労働省社会・援護局は、全国社会福祉協議会、日本赤十字社等関係団体と必要な調整を行う。

第7節 救援物資及び義援金の受入れ
 被災都道府県・市町村は、国民、企業からの救援物資について、被災者が必要とする物資の内容を把握し、報道機関等を通じて迅速に公表すること等により受入れの調整に努める
 厚生労働省社会・援護局は、必要に応じ救援物資に関する問い合わせ窓口を設ける等の支援を行う。

 被災都道府県・市町村は、義援金について、支援関係団体で構成する募集(配分)委員会を組織し、義援金総額、被災状況等を考慮した配分基準を定めるとともに、報道機関等の協力を得て、適切かつ速やかな配分を行う。

 厚生労働省社会・援護局は、義援金の募集・配分に関し、助言等必要な支援を行う。

第5章 生活衛生に係る対策
第1節 遺体の火葬等(図9参照(PDF:249KB))
第1
広域的な火葬に関する計画の実施への支援
 厚生労働省健康局は、遺体の搬送及び火葬の支援について、必要に応じ、被災地の近隣都道府県に対し、被災都道府県への協力を要請する。また、大規模搬送が必要な場合には、被災都道府県と連携を図りつつ、関係省庁に対し協力要請する。

 厚生労働省健康局は、被災市町村による迅速な火葬許可事務の実施が困難であると認められる場合には、戸籍確認の事後の実施等実態に応じた事務処理を行うよう、市町村及び関係機関に周知する。

 被災都道府県は、あらかじめ整備された広域的な火葬に関する計画に基づき、被災市町村と連携して、広域的な火葬の実施を支援する。

 被災都道府県等は、多数の遺体の搬送を円滑に行うため、葬祭業者との連携による霊柩車等の確保、関係省庁等の協力によるヘリコプターの活用等の措置を講ずる。

 被災都道府県等は、遺体の保存及び円滑な火葬の実施のため、民間事業者の協力のもと十分な量のドライアイス、柩、骨壷等を確保する。

 被災地の近隣都道府県は、被災都道府県の広域的な火葬に関する計画の実施に協力する。

 厚生労働省健康局は、被災都道府県等の協力を得て、死亡者数、火葬場の被災状況、火葬場の利用状況その他の広域的な火葬に必要な最新の情報を収集する。

第2
火葬相談窓口の設置
 被災市町村等は、速やかな火葬を要望する遺族のため、必要に応じ、火葬相談窓口を設置し、火葬場、遺体の搬送体制等に関する適切な情報を提供することにより、円滑な火葬の実施を支援する。

第2節 飲料水の確保(図10参照(PDF:249KB))
第1
被災地の状況把握
 厚生労働省健康局は、発災直後から、都道府県を通じて、水道施設の被災状況、断水状況等について定期的に情報収集を行う。

第2
応急給水及び応急復旧
 被災水道事業者等は、地域防災計画及びあらかじめ定めた行動指針に基づき、応急給水及び応急復旧を実施する。

 被災水道事業者等は、応急給水及び応急復旧の実施に必要な人員・資機材が不足する場合には、相互応援協定等に基づき、都道府県を通じて、他の水道事業者等に支援を要請する。

 被災都道府県は、地域防災計画及びあらかじめ定めた行動指針に基づき、都道府県内の水道事業者等及び関係団体に対して、広域的な支援を要請し、支援活動の調整を行う。

 厚生労働省健康局は、被災都道府県からの要請があった場合又は被災状況から判断して必要と認める場合には、都道府県を通じて全国の水道事業者に対し支援を要請し、調整等を行うとともに、現地に対策拠点を設置する。

 厚生労働省健康局は、防災基本計画第2編第3章第2節第1項等の規定に基づく水道施設の復旧に係る作業許可手続の簡素化について、必要に応じ、関係省庁に要請する。

第3
被災者への情報伝達
 厚生労働省健康局、都道府県及び水道事業者等は、被災者に対し、掲示板、広報誌等の活用、報道機関の協力、パソコンネットワーク・サービスの活用により、水道施設の被災状況、二次災害の危険性、応急給水及び応急復旧状況、復旧予定時期、飲料水に関して保健衛生上留意すべき事項等について的確な情報提供を行う。

第3節 食品衛生の確保
第1
食中毒の未然防止
 被災都道府県(保健所設置市及び特別区を含む。以下この節について同じ。)は、食品衛生監視員を食品の流通拠点に派遣し、食品の配送等における衛生確保の状況を監視させ、必要に応じ指導を行わせる。

 被災都道府県は、食品衛生監視員を避難所等に派遣し、食品の衛生的取扱い、加熱調理、食用不適な食品の廃棄、器具・容器等の消毒等について必要に応じ指導を行わせる。

 被災都道府県は、食品関係営業施設の実態調査を実施し、施設の構造、食品取扱設備、給水等の点で衛生上著しく劣る場合には、改善を指導する。

 被災地の食品衛生協会は、被災都道府県と協力し、食品関係営業施設に対し、加熱調理等、食品の衛生的取扱いについて相談に応じ、指導を行う。

 厚生労働省医薬食品局食品安全部は、被災都道府県との連絡体制を確保し、必要に応じ、近隣都道府県等に対し衛生確保のための支援要請を行う等必要な支援を行う。

第2
食中毒発生時の役割分担
 食中毒患者が発生した場合、被災都道府県は、食品衛生監視員に所要の検査等を行わせるとともに、食中毒の原因食品、原因施設を調査して、被害の拡大防止に努める。

 被災都道府県は、食中毒被害が拡大する懸念のある場合については、厚生労働省健康局及び食品安全部に報告する。

 厚生労働省健康局及び食品安全部は、食中毒の被害が甚大で、被災都道府県のみでの処理が困難であると認められる場合には、被災都道府県の要請に基づき、近隣都道府県等に支援要請を行う等被害拡大防止のための必要な支援を行う。

第6章 毒物劇物に係る対策
第1節 災害情報の収集・連絡
第1
毒物劇物事故情報等の連絡
 毒物劇物による大規模な事故が発生した場合、被災都道府県は、厚生労働省医薬食品局に連絡するものとする。

 厚生労働省は、大規模な事故が発生した場合、事故情報等を官邸(内閣情報調査室)、関係省庁(国土交通省、消防庁、警察庁、防衛庁、海上保安庁、環境省等)、関係都道府県及び関係機関に連絡する。

 厚生労働省医薬食品局は、事故情報等の連絡の際には、当該毒物劇物の特性、取扱上の注意事項等応急対策の実施に当たり必要な情報等を連絡する。

 都道府県は、厚生労働省から受けた情報を、関係市町村、関係機関等に連絡する。

第2
毒物劇物事故発生直後の被害の第1次情報等の収集・連絡
 被災都道府県は、必要に応じ市町村等の協力を得つつ、人的被害の発生状況、火災の発生状況等の情報を収集するとともに、毒物及び劇物取締法に基づく毒物劇物営業者等からの届出又は立入検査等により情報を収集することにより、被害規模に関する概括的な情報を把握し、厚生労働省医薬食品局に連絡する。

 厚生労働省は、被害規模を迅速に把握するとともに、これらを速やかに官邸(内閣情報調査室)及び関係機関に連絡する。

 社会的影響が大きい大規模な毒物劇物災害が発生した場合には、厚生労働省は被害の第1次情報を速やかに官邸(内閣情報調査室)に連絡する。

第3
毒物劇物事故一般被害情報等の収集・連絡
 被災都道府県は、必要に応じ市町村等の協力を得つつ、被害の情報を収集するとともに、毒物及び劇物取締法に基づく毒物劇物営業者等からの届出又は立入検査等により情報を収集することにより、被害状況に関する情報を把握し、厚生労働省医薬食品局に連絡する。

 厚生労働省は、収集した被害情報を必要に応じ内閣総理大臣に報告する。

 厚生労働省は、収集した被害情報を共有するために、関係省庁、関係機関に連絡する。

第4
毒物劇物事故応急対策活動情報の連絡
 被災都道府県は、毒物及び劇物取締法に基づく毒物劇物営業者等からの届出又は立入検査等により収集した毒物劇物営業者等の応急対策の活動状況、対策本部設置状況等の情報を厚生労働省医薬食品局に連絡する。

 被災都道府県は、必要に応じ市町村等の協力を得つつ、厚生労働省又は非常災害対策本部の設置後は非常災害対策本部に、応急対策の活動状況、対策本部設置状況等を随時連絡する。

 厚生労働省は、収集した応急対策活動情報を、必要に応じ内閣総理大臣に報告する。

第2節 災害の拡大防止活動
 被災都道府県は、必要に応じ市町村等の協力を得つつ、毒物劇物災害時に毒物劇物の流出・拡散の防止、流出した毒物劇物の除去、住民等の避難など適切な応急対策を講ずるものとする。

 被災都道府県は、毒物及び劇物取締法の規定に基づき、毒物劇物営業者等に対し、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じるよう指導する。

 厚生労働省医薬食品局は、前2項に掲げる措置に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第7章 労働災害防止対策
 被災地域を管轄する労働基準監督署長は、二次災害を引き起こすおそれのある事業場の事業者に対し、危険な化学設備等の使用の停止、危険・有害物の漏えい防止等の保安措置、労働者の退避その他の応急措置について、必要な監督指導を行うこと等により、被害の拡大を防止するよう努めるものとする。

第8章 社会保険に係る対策
第1節 災害対策本部及び災害対策支部の設置
 被害状況に応じて、必要と認められる場合には、可及的速やかに社会保険庁に社会保険災害対策本部を設置する。

 被災都道府県の社会保険事務局は、災害対策支部を設置する。社会保険災害対策本部及び支部は、相互に緊密な連携を図りながら、社会保険業務の機能回復のための対策を実施する。

第2節 緊急業務処理体制の整備
 社会保険災害対策本部は、社会保険業務を円滑に実施するため、具体的な情報を収集するとともに継続的に情報収集を行う。

 社会保険災害対策支部は、速やかに社会保険業務復旧のため、庁舎及び職員の確保を図る等の緊急業務処理体制を整備する。

 厚生労働省保険局は、社会保険災害対策本部、被災都道府県及び関係機関との十分な連携を図り、被保険者証を紛失した等により、被災者が被保険者証を提示できない場合における保険医療機関への受診について、周知に努める。

 社会保険災害対策本部及び支部は、関係機関との充分な連携を図り、支払通知書等を紛失した場合の年金受給方法等円滑な社会保険業務の実施に努める。

 厚生労働省保険局は、社会保険災害対策本部及び被災都道府県とともに、健康保険組合等の保険者、社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会と十分な連携を図り、円滑な審査・支払体制の確保に努める。

第3節 行政サービスの確保
 社会保険災害対策本部及び支部は、被災地の被保険者及び年金受給者等に対して、できる限りの行政サービスを確保するため、災害復旧対策として次に掲げる事項について、必要に応じて、弾力的かつ機動的な対応を行う。
 厚生労働省保険局は、国民健康保険及び組合健康保険について、同様の措置を採ることができるよう、被災都道府県・市町村に対し、助言等を行う。

医療保険関係
 医療保険における健康保険被保険者証再交付業務などを迅速に処理するほか必要に応じ、健康保険被保険者証の提示の手続きの簡素化、一部負担金等の支払に係る特例措置等について、厚生労働省保険局とともに、関係団体への速やかな協力要請を行うなど迅速に対応する。

年金関係
 日本郵政公社及び金融機関等と調整を行い、被災地の年金受給者が確実に年金を受給できるように努める。

船員保険関係
 船舶所有者の事業所等が被災したことにより、休業し、報酬を受けることができない被保険者について、失業保険金の支給の特例等の立法措置が行われる場合には厚生労働省保険局とともに、国土交通省との連絡調整を図りつつ、必要な運用方針を定める。

保険料関係
 保険料に係る納期限の延長や、免除について、必要に応じ、措置を講ずる。
なお、健康保険等の保険料の免除について、立法措置が行われる場合は、厚生労働省保険局、年金局及び雇用均等・児童家庭局とともに速やかに運用方針を定める。

その他
(1) 各種届書の添付書類の簡素化を図るなど弾力的な運用に努める。
(2) 社会保険事務所等が被災により機能が麻痺した場合においても、被保険者等への迅速な対応が図られるよう、必要な職員の派遣、社会保険事務所等の機能を代行する等の対応に努める。
(3) 災害による特例措置の実施等について、チラシ、ポスターの作成、政府広報の活用、フリーダイヤルを設置するなどにより、被災地の被保険者及び年金受給者に対し、的確な情報を提供する等サービスの向上を図る。

第9章 被災者の救護に関する対策
第1節 厚生労働省関係施設の提供
 関係部局の長は、被災者の避難及び一時収容のために必要があると認めるときは、厚生労働省関係施設を設置し又は運営する団体に対し、管理運営上特段の支障のない限り、被災者に当該厚生労働省関係施設を利用させるために必要な措置等を講ずるよう要請するものとする。

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