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第1編 災害予防対策

厚生労働省防災業務計画


平成13年 2月14日厚生労働省発総第
平成21年 3月10日厚生労働省発社援
11
0310001
号制定
号修正

この計画の目的
 この計画は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第36条第1項並びに大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)第6条第1項、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年法律第92号)第6条第1項及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成16年法律第27号)第6条第1項の規定に基づき、厚生労働省の所掌事務について、防災に関し講ずるべき措置及び地域防災計画の作成の基準となるべき事項等を定め、もって防災行政事務の総合的かつ計画的な遂行に資することを目的とする。

この計画の効果的な推進
 厚生労働省は、この計画を効果的に推進できるよう、毎年、災害対策基本法第36条第1項の規定に基づき、この計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正するものとする。

第1編 災害予防対策
第1章 総則
第1節  厚生労働省災害対策連絡調整会議の設置
 災害予防対策、災害応急対策及び災害復旧・復興対策を円滑に講ずることを目的とした常設の連絡調整組織として、厚生労働省災害対策連絡調整会議(以下「連絡調整会議」という。)を設置する。

 連絡調整会議は、前項の目的を達成するため、厚生労働省防災業務計画の作成、実施及び見直し並びに中央防災会議等への参加及び関係省庁等との連携等に関し、厚生労働省内における必要な連絡調整を行う。

 連絡調整会議の組織は、厚生労働省災害対策連絡調整会議設置規程(別紙1)に定めるところによる。

第2節  平常時における連絡体制の整備
 連絡調整会議の構成員並びに厚生労働省災害対策本部組織規程(別紙3)に掲げられている本部員会議構成員、幹事会構成員、事務局員及び防災担当職員(以下「災害対策本部構成員等」という。)は、厚生労働省災害対策本部構成員等必携(以下「必携」という。)を常時携帯する。

 連絡調整会議の構成員は、携帯電話を携帯すること等により常時連絡がとれるようにする。

 災害対策本部構成員等は、非常災害が発生し、又は発生するおそれがあることを知った場合に、直ちに参集することができるよう、平常時から、厚生労働本省への複数の交通手段及び独立行政法人国立病院機構災害医療センターへのルートを確認しておく。
(注1)
 非常災害とは、東京23区内・震度5強以上、その他の地域・震度6弱以上等を目安とする。
(注2)
 第2編第1章第2節第2に規定する厚生労働省災害対策本部を厚生労働本省に設置することが困難であると認められる場合に、第2編第1章第2節第4第2項の規定に基づき、独立行政法人国立病院機構災害医療センターに、同本部を設置する。

 人事異動等により、災害対策本部構成員等が変更になる場合には、前任者は以下の事項について後任者に引継ぎを行うとともに、変更になる旨を連絡調整会議事務局に報告する。
(1) 災害対策本部構成員等である旨の引継ぎを行うこと。
(2) 必携その他の防災関係書類等の引継ぎを行うこと。
(3) 厚生労働省防災業務計画の実施等に係る当該構成員等の役割の引継ぎを行うこと。


第3節
防災に関する教育訓練等
第1
防災に関する教育
 連絡調整会議は、災害対策本部構成員等に対して、毎年4月、9月及び1月を目途に、講習会の実施等を通じ、防災に関して必要な以下に例示する知識等の周知徹底を行う。
(1) 災害対策基本法、災害救助法(昭和22年法律第118号)その他の関係法令の概要
(2) 厚生労働省防災業務計画及び所掌に係る災害対策マニュアルの概要
(3) 非常災害時の連絡網
(4) 阪神・淡路大震災その他の過去の非常災害における取組の概要

第2
防災に関する訓練
 連絡調整会議は、毎年9月1日に実施される政府の総合防災訓練に併せて以下の訓練を行う。
(1) 東海地震注意情報の伝達訓練
(2) 厚生労働省非常参集訓練
(3) 厚生労働省災害対策本部及び厚生労働省地震災害警戒本部設置運営訓練
(4) 地震防災応急対策に係る措置の実施訓練
(5) その他省内の防災体制に関する訓練

第3
防災に関する意識の啓発
 厚生労働省社会・援護局その他の関係部局は、毎年1月17日の「防災とボランティアの日」、その前後の「防災とボランティア週間」その他の適当な機会を捉え、関係団体等への指導・援助等を通じ、一般住民の防災に関する認識を高めるための措置を講ずる。


第4節  災害対策に係る研究の推進
 厚生労働省関係部局は、災害対策に係る研究を推進するよう努める。

 阪神・淡路大震災等の経験を踏まえ、推進すべき研究テーマは別に定める。

 厚生労働省関係部局は、災害対策に係る研究成果が得られた場合には、広く関係者等に周知するよう努める。

第5節 情報化の進展に対応した災害予防対策の充実
 厚生労働省関係部局は、以下の点に配慮しつつ、情報化の進展に対応した災害予防対策の充実を図るように努めるとともに、必要に応じ、都道府県及び市町村に対し、助言及びその他の支援を行う。
(1) 災害応急対策の実施に関し、有用な情報のデータベース化を行うこと。
(2) 災害応急対策の実施に関し、有用な情報のバックアップを図ること。
(3) プライバシーへの配慮を行うこと。

第6節  厚生労働省庁舎及び関係施設の安全性の確保
庁舎等の安全化
 厚生労働省各部局においては、その管理に係る庁舎の耐震性の確保に特に配慮するとともに、庁舎内における書棚、機器類等の設置方法(転倒防止器具の取付け等を含む。)、書籍、ファイル等の整理整頓等に常に留意し、災害発生時における庁舎内の安全確保を図るものとする。

関係施設の安全化
 厚生労働省は、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第16条に規定する公共職業能力開発施設及び独立行政法人国立病院機構、独立行政法人労働者健康福祉機構その他特別の法律に基づいて設立される厚生労働省関係の法人(以下「厚生労働省関係独立行政法人等」という。)が設置し、又は運営する医療施設、療養施設その他の施設(以下「厚生労働省関係施設」という。)について、耐震性の強化、液状化対策の充実等を通じ、その安全性の確保に努める。

第7節 防災中枢機能等の確保、充実
厚生労働省は、大規模災害の発生時に、本省が防災中枢機能を果たし得るよう、以下の措置を講じる。
(1) 庁舎の耐震性の強化、非常用発電機及び燃料の確保等に努める。
(2) 災害時の利用に供するため、食糧、飲料水等の備蓄等に努める。

行政機能の維持・確保のための体制整備
 厚生労働省各部局においては、災害発生に伴う行政機能の停止又は低下を最小限に止めるため、災害発生時等における職員の出勤及び配置の基準・業務処理手順等については、厚生労働省業務継続計画(首都直下地震編)を踏まえて実施するものとする。
 また、機械処理システムの運用を所管する部局においては、災害に対する機械処理システムの保護、復旧、運用の確保等の観点から、常に研究、見直しを行い、システム更改時等において必要な措置を講ずるとともに、被災による各種機械処理システム停止時における業務処理手順の徹底その他の措置を講じておくものとする。
第8節 厚生労働省関係独立行政法人等への指導等
厚生労働省関係施設利用者の安全確保
 関係部局の長は、厚生労働省関係施設の利用者が災害発生時に安全かつ迅速に避難を行うことができるよう、当該厚生労働省関係施設を設置し、又は運営する法人に対し、避難計画の作成、防災訓練の実施等について措置を講ずるよう要請するものとする。

関係団体における防災体制の確保
 1のほか、厚生労働省の所掌事務について総合的な防災体制を確保するため、関係部局の長は、厚生労働省関係独立行政法人等その他の関係団体における防災業務計画の作成、厚生労働省関係独立行政法人等内部及び厚生労働省との間の緊急連絡体制の整備、防災訓練、防災研修等の実施、厚生労働省関係独立行政法人等の管理に係る施設の耐震性の確保及び施設内の安全確保等について必要な助言及びその他の支援等を行うものとする。

第2章 災害救助法に係る防災体制の整備
第1節 都道府県における防災体制の整備
 都道府県は、他都道府県との災害援助協定の締結、応急仮設住宅建設用地の把握、救助物資の備蓄又は物資供給に係る関係業者との協定の締結等により、災害発生時に災害救助法による応急救助が迅速かつ適正に実施されるよう防災体制の整備に努める。

 厚生労働省社会・援護局は、関係省庁、関係業界等と連携を図り、食品、飲料水及び生活必需品の調達可能量並びに応急仮設住宅の建設に要する資機材の供給可能量等について把握し、これを情報提供することにより、都道府県の防災体制の整備を支援する。

 厚生労働省社会・援護局は、都道府県に対し、当該都道府県の災害救助法施行細則、災害救助法の実施体制等について随時情報提供を求め、必要に応じ、助言を行う。

 厚生労働省社会・援護局は、都道府県の災害救助担当者に対し、災害救助に関する知識を高め、担当職員としての適切な行動がとれるよう、災害救助業務の周知徹底等を図る。

第2節 災害時の応急救助に係る計画の整備
 都道府県は、災害救助法による応急救助の迅速かつ円滑な実施に資するため、適宜、地域防災計画を見直し、市町村に対しその周知徹底を図る。

 都道府県は、災害救助法第30条の規定に基づき、救助の実施に関する事務の一部を市町村が行うこととする場合は、あらかじめ市町村が行う応急救助の種類・程度、方法及び期間等について明確にしておく。

第3節 災害救助基金の積立状況
 厚生労働省社会・援護局は、都道府県の災害救助基金の積立状況を把握するとともに、積立最少額の遵守について要請する。

第3章 医療・保健に係る災害予防対策
第1節 医療施設の災害に対する安全性の確保
 厚生労働省医政局、都道府県及び市町村は、医療施設の災害に対する安全性を確保するため、医療施設の管理者が実施する以下の事項に関し、必要に応じ、助言及びその他の支援を行う。
(1) 医療施設における耐震性その他の安全性を確保すること。
(2) 医療施設における電気、ガス、水道等のライフラインの確保に関すること。
(3) 医療施設の職員及び入院患者に対し、災害対策に関する啓発を行うこと。
(4) 医療施設の職員及び入院患者に対し、避難訓練を実施すること。

 厚生労働省医政局及び都道府県は、医療施設の管理者に対して、医療施設における消火器具、警報器、避難用器具等の整備保全及び電気器具、石油その他の危険物の適切な管理について指導する。

 厚生労働省医政局、健康局及び医薬食品局並びに都道府県は、放射性同位元素、病原微生物、毒物類等の保健衛生上危害を生ずるおそれのある物を取扱う医療施設の管理者に対して、災害の発生時におけるこれらの物の取扱いについて指導する。

第2節 災害時医療体制の整備
第1
都道府県内における体制整備
 都道府県は、医療計画等に基づき、保健所の活用等に配慮しつつ、災害時医療体制の整備に努める。

 厚生労働省医政局は、都道府県による災害時医療体制の整備に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第2
地域の医療関係団体との連携
 都道府県及び市町村は、災害時における医療の確保のため、地域の医療関係団体との協定の締結等により、連携の強化に努める。
 都道府県は、あらかじめ日本赤十字社との災害救助法による医療等の実施に係る委託契約を締結し、災害時における救護班の確保に努める。

第3
災害拠点病院の整備
   都道府県は、災害時の患者受入機能、水・医薬品・医療機器の備蓄機能が強化され、応急用資器材の貸出し等により、地域の医療施設を支援する機能等を有する災害時に拠点となる災害拠点病院を選定し、又は設置することにより、災害時医療体制の整備に努める。

第4
災害派遣医療チーム(DMAT)等の体制整備
厚生労働省医政局は、災害派遣医療チーム(DMAT)等の運用にかかる体制を整備するために、日本DMAT活動要領を策定する。

2 都道府県は、日本DMAT活動要領に基づき、DMAT運用計画を策定し、災害派遣医療チーム(DMAT)等の運用にかかる体制を整備する。

3 都道府県は、救護班による災害時における医療の確保のため、常時、日本赤十字社各支部との協定内容の確認等を行うなど連携の強化に努める。

4 厚生労働省社会・援護局は、都道府県に対し日本赤十字社関係の情報提供等を行うなど、都道府県との連携の強化を図る。

5 日本赤十字社は、日赤救護班の運用及び災害派遣医療チーム(DMAT)との協働に係る体制を整備する。

第5
災害時情報網の整備
 厚生労働省医政局、健康局及び都道府県は、大規模災害発生時において医療機関における傷病者数等の状況等の被害の規模を推測するため、広域災害及び救急医療に関する情報システム(コンピュータ等を利用し、災害時に医療施設の診療状況等の迅速な把握が可能な広域災害・救急医療情報システム)により、国・都道府県間、都道府県・市町村・保健所間、保健所・医療施設間等の災害時における情報収集及び連絡体制の整備に努める。

第6
災害時の対応マニュアルの作成等
 都道府県は、既存の救急医療体制で対応できない規模又は種類の災害が発生した場合の被災地における医療供給の支援体制、医療関係団体との協力体制、患者等の搬送方法、都道府県域を超えた支援体制等について、地域防災計画への記載に努めるとともに、都道府県間の連携について配慮するものとする。

 すべての病院は、災害時における救急患者への医療支援に備え、災害時における情報の収集・発信方法、救急患者の受入れ方法、救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等の派遣方法等を記したマニュアル(以下「病院防災マニュアル」という。)の作成に努める。

厚生労働省医政局は、都道府県に対し、地域防災計画における医療供給の支援体制の整備について必要な助言及びその他の支援を行うとともに、病院に対し、病院防災マニュアル作成のためのガイドラインを周知する等により、必要な支援を行う。

第3節 災害時における救急患者等の搬送体制の確保
 都道府県は、災害時における救急患者及び医療活動従事者の搬送のため、平常時から、陸路・海路・空路を利用した複数の搬送手段の確保に努める。

 厚生労働省医政局は、防災基本計画(平成9年6月3日中央防災会議決定)第2編第2章第3節2(2)等に掲げる救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等の緊急輸送や同節2(3)に掲げる傷病者の搬送を円滑に進めることができるようにするため、国土交通省、海上保安庁、防衛庁、消防庁及び警察庁(以下「緊急輸送関係省庁」という。)との必要な調整を行う。

第4節 後方支援体制の確保
 都道府県は、当該都道府県においては対処することが困難な規模の非常災害が発生した場合における医療を確保するため、近隣都道府県と調整し、災害時の相互協力体制の確立に努める。

厚生労働省医政局は、前項の相互協力体制の確立のため、必要に応じ、助言その他の支援を行う。

第5節 医薬品等の安定供給の確保
第1
災害時情報網の整備
 都道府県は、医療機関、医薬品等関係団体、日本赤十字社、都道府県薬剤師会等と協力し、災害時における医薬品等の供給に関する情報収集及び連絡体制の整備に努める。

 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、都道府県、医薬品等関係団体、日本赤十字社、社団法人日本薬剤師会等と協力し、災害時における医薬品等の供給に関する情報収集及び連絡体制の整備に努める。

第2
災害時における医薬品等の搬送体制の確保
 都道府県は、災害時における医薬品等の搬送のため、平常時から、マンパワーの確保及び自転車、自動二輪車を含めた搬送手段の確保に努める。

 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、防災基本計画第2編第2章第4節1(2)に掲げる医薬品等の緊急輸送を円滑に進めることができるようにするため、緊急輸送関係省庁との必要な調整を行う。

第3
医薬品等の供給、管理等のための計画
 都道府県は、「大規模災害時の医薬品等供給システム検討会報告書」(平成8年1月厚生省大規模災害時の医薬品等供給システム検討会報告)等を参考とし、関係者間の情報連絡体制、災害用の備蓄医薬品等の確保方策、保管・管理体制等を内容とする医薬品等の供給、管理等のための計画の策定に努める。

 厚生労働省医政局及び医薬食品局は、都道府県が行う医薬品等の供給、管理等のための計画策定に際し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第6節 災害医療対策に係る研究及び研修の推進
 厚生労働省医政局は、医療機関等の役割、救護班・災害派遣医療チーム(DMAT)等の活動、災害時の情報網、災害時に多発する傷病者の診療技術等災害医療対策に係る研究及び研修を推進する。

第7節 防疫に係る防災体制の整備
 都道府県及び市町村は、防災業務担当者に対して、関係法令、実務等に関する講習会、研究会等を実施すること等により、災害時の防疫活動の迅速かつ適切な確保に努める。

 都道府県は、災害時の衛生状態の悪化や拡大により、防疫に必要な器具機材等が不足する場合に備え、平常時から、器具機材の確保や近隣都道府県との応援体制の確立に努める。

 厚生労働省健康局は、都道府県及び市町村が行う防疫に係る防災体制の整備に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第8節 個別疾患に係る防災体制の整備
第1
人工透析
 都道府県は、クラッシュシンドロームによる急性腎障害患者への対応も含めた災害時の人工透析医療を確保するため、社団法人日本透析医会その他の関係機関と協力し、透析患者の受療状況及び透析医療機関の稼働状況の把握並びに必要な水・医薬品等の確保に努める。

 厚生労働省健康局は、都道府県が行う人工透析医療に係る防災体制の整備に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第2
難病等
 都道府県は、人工呼吸器等を使用している在宅の難病患者その他特殊な医療を必要とする患者(以下「難病患者等」という。)に対する災害時の医療を確保するため、医療機関等の協力を求めるとともに、連絡体制を整備するなど、難病患者等の受療状況及び医療機関の稼働状況の把握並びに必要な医薬品等の確保に努める。

 厚生労働省健康局は、都道府県が行う難病等に係る防災体制の整備に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第4章 福祉に係る災害予防対策
第1節 市町村民生部局の防災体制の整備
 市町村民生部局は、避難所及び応急仮設住宅の管理運営から災害時要援護者に対する衛生部局と連携をとった保健福祉のサービスの提供等に至るまで、非常災害に際しては膨大な業務を処理することとなるため、以下の点に留意しつつ、可能な限り災害時の業務処理をルール化すること等により、防災体制の整備に努める。
(1) 災害時の業務増を踏まえた十分なシミュレーションを行い、災害の発生により新規に発生する業務が適切に行われるよう、職員の確保や業務分担の確認等を行うこと。
(2) 福祉事務所等の相談機関や管下の保健福祉サービス事業者との連絡・連携体制を整備すること。
(3) 必要に応じ、災害時における市町村民生行政に係る協力体制の在り方を含んだ市町村間災害援助協定を締結すること等により、相互協力体制を確立すること。
(4) 住民の個人情報の保護について十分な配慮を行いつつ、在宅の災害時要援護者の状況を把握すること。

 都道府県は、管下の市町村民生部局が行う防災体制の整備に関し、必要な助言及びその他の支援に努める。

 厚生労働省社会・援護局、障害保健福祉部、老健局、雇用均等・児童家庭局その他の関係部局は、災害時における市町村民生行政の確保に関するマニュアル作成のためのガイドラインを示すこと等により、必要な支援を行う。

第2節 保健福祉サービス事業者の災害に対する安全性の確保
 厚生労働省社会・援護局、障害保健福祉部、老健局、雇用均等・児童家庭局その他の関係部局、都道府県及び市町村は、保健福祉サービスの災害に対する安全性を確保するため、保健福祉サービス事業者が実施する以下の事項に関し、必要に応じ、助言及びその他の支援を行う。
(1) 国庫補助制度及び交付金の積極的な活用等により、社会福祉施設等における耐震性その他の安全性を確保すること。
(2) 社会福祉施設等の職員及び利用者に対し、災害対策に関する啓発を行うこと。
(3) 社会福祉施設等の職員及び利用者に対し、避難訓練を実施すること。
(4) 発災時において、既にサービスの提供を受けている者に対し、継続してサービスの提供を行うことができるようにするとともに、災害時要援護者に対し、社会福祉施設等への緊急受入れその他のサービス提供を可能な限り実施していくため、入所者サービスに必要な物資の備蓄、施設の余剰スペースの把握、サービス事業者間における災害援助協定の締結等に努めること。

 厚生労働省社会・援護局、障害保健福祉部、老健局、雇用均等・児童家庭局その他の関係部局、都道府県及び市町村は、保健福祉サービス事業者に対して、社会福祉施設等における消火器具、警報器、避難用具等の整備保全及び電気器具、石油その他の危険物の適切な管理について助言及びその他の支援を行う。

 厚生労働省社会・援護局、障害保健福祉部、老健局、雇用均等・児童家庭局その他の関係部局は、保健福祉サービス事業者に対して、災害時における保健福祉サービスの提供に関するマニュアル作成のためのガイドラインを示すこと等により、必要な支援を行う。

第3節 災害時におけるボランティア活動を支援するための環境整備
 厚生労働省社会・援護局は、災害時におけるボランティア活動の環境整備のため、以下の取組を行う。
(1) 災害時におけるボランティア活動を支援するためのマニュアルを作成すること。
(2) ボランティア保険の普及を図ること。

 都道府県及び市町村は、災害時におけるボランティア活動を支援するための環境整備のため、以下に例示する取組を行うよう努める。
(1) 社会福祉協議会、日本赤十字社及びボランティア団体と連携を図り、ボランティアの総合的な登録、教育・訓練、調整等を行うこと。
(2) 災害時のボランティア活動のあり方、求められるマンパワーの要件、活動の支援・調整等についての講習会等を実施すること等により、ボランティアコーディネーターの養成を行うこと。
(3) 他の地域のボランティア拠点との連絡調整を円滑に行うことができるようにするため、非常用電話、パソコン等の整備を図り、拠点相互のネットワークを構築すること。

 厚生労働省社会・援護局は、都道府県及び市町村が行う災害時におけるボランティア活動を支援するための環境整備に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

第5章 生活衛生に係る災害予防対策
第1節 遺体の火葬体制の整備
 都道府県は、近隣都道府県等と協力し、広域的な観点から災害時における遺体の円滑な火葬を支援するための火葬場の火葬能力、遺体の搬送・保存体制等を記した広域的な火葬に関する計画の策定に努める。

 市町村は、広域的な火葬に関する計画に関して、職員にあらかじめ十分に周知させること等により、災害時における遺体の円滑な火葬の支援に備えるよう努める。

 厚生労働省健康局は、「広域火葬計画の策定について(平成9年11月13日付け衛企第162号厚生省生活衛生局通知)」に基づき、都道府県が広域的な火葬に関する計画を策定するため、必要な助言及びその他の支援を行う。

 厚生労働省健康局は、衛生行政報告例に基づく基礎的情報のほか、火葬場の名称、所在地、一日当たりの火葬能力、職員の配置状況、周辺の交通事情等に関する情報の収集に努める。

第2節 水道施設に係る防災体制の整備
第1
水道施設の耐震化等
 厚生労働省健康局は、水道事業者及び水道用水供給事業者(以下「水道事業者等」という。)が水道施設の耐震化を図る取組の参考となる指針(以下「水道耐震化計画策定指針」という。)の周知に努める。

 水道事業者等は、水道耐震化計画策定指針を参考に、各地域の特性を踏まえて、具体的に目標を定めて、計画的に耐震化を進めるよう努める。

 水道事業者等は、緊急時に応急給水用の水を確保できるよう、配水池容量の拡大、緊急遮断弁の設置等を計画的に推進するよう努める。

 厚生労働省健康局は、水道事業者等が行う水道施設の耐震化及び応急給水用水の確保のための措置に関し、必要な指導・助言及びその他の支援を行う。

第2
災害時応急体制の整備
 厚生労働省健康局は、水道施設に係る災害時応急体制を整備するため、以下の措置を行う。
(1) 都道府県及び水道事業者等と協力し、災害時における広域的な情報収集・連絡体制の整備に併せて、管路等の重要な施設の情報のデータベース化及びオンライン化を図ること。
(2) 応急給水(生活用水に供されるものを含む。以下同じ。)及び応急復旧活動に関する行動指針を作成すること。
(3) 水道事業者等が行う応急給水及び応急復旧に必要な資機材の備蓄の状況を定期的に把握すること。
(4) 応急給水及び応急復旧に必要な資機材が水道事業者等の間で共用できるよう、仕様・規格の統一化等に努めること。

 都道府県は、水道施設に係る災害時応急体制を整備するため、以下の措置を行うよう努める。
(1) 管下の水道事業者等と協力し、災害時における広域的な情報収集・連絡体制を整備するために、広域通信網及びその回線の二重化等によるバックアップシステムの整備を図るとともに、管路等の重要な施設の情報のデータベース化及びオンライン化を図ること。
(2) 応急給水及び応急復旧活動に関する行動指針を作成すること。

 水道事業者等は、水道施設に係る災害時応急体制を整備するため、以下の措置を行うよう努める。
(1) 応急給水及び応急復旧活動に関する行動指針を作成すること。
(2) 地方公共団体の防災担当部局と協力し、災害時の情報伝達手段を整備すること。
(3) 他の水道事業者等と調整し、災害援助協定を締結すること等により、相互協力体制を可能な限り広域にわたって確立すること。
(4) 応急給水及び応急復旧に必要な資機材の備蓄を行うとともに、その調達を迅速かつ円滑に行う体制を整備すること。
(5) 消防水利の多様化促進、緊急輸送手段の確保等について、平常時から、関係機関と協議・調整を行うこと。

 厚生労働省健康局は、都道府県及び水道事業者等が行う水道施設に係る災害時応急体制の整備に関し、必要な指導・助言及びその他の支援を行う。

第3
住民による飲料水の確保等
 水道事業者等は、地方公共団体の防災担当部局と協力し、2〜3日分の飲料水の備蓄や、給水装置、受水槽の耐震化の推進等について、住民等が自主的に取り組むよう啓発に努める。

第6章 毒物劇物に係る災害予防対策
第1節 毒物劇物営業者等における安全性の確保
 都道府県は、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)の規定に基づく毒物劇物営業者、特定毒物研究者及び業務上取扱者(以下「毒物劇物営業者等」という。)の製造所、営業所、店舗、研究所その他業務上毒物又は劇物を取り扱う場所(以下「毒物劇物関係施設」という。)に対する立入検査を徹底すること等により、毒物劇物関係施設の安全性の確保に努めるものとする。

 都道府県は、毒物劇物営業者等による毒物劇物危害防止規程の作成及び遵守、定期点検及び自主点検の実施等の自主保安体制の整備を推進するものとする。

 都道府県は、毒物劇物営業者等に対し、講習会、研修会等の実施に対する協力等により、保管管理及び毒物劇物に関する知識の向上を図ることにより、毒物劇物関係施設における保安体制の強化を図るものとする。

 厚生労働省医薬食品局は、前3項に掲げる措置に関し、必要な助言及びその他の支援を行う。

 厚生労働省医薬食品局は、毒物劇物による災害発生の徹底的な原因究明に努め、その結果に基づく管理の徹底を指導するとともに、新たな対策が必要な場合には、技術基準として法令に定める等により、毒物劇物関連施設の安全性の向上に努めるものとする。

第7章 社会保険に係る災害予防対策
 社会保険庁、社会保険大学校及び社会保険業務センター並びに地方社会保険事務局、地方社会保険事務局事務所及び社会保険事務所(以下「社会保険関連施設」という。)は、以下の点に留意した防災体制の整備を行う。
(1) 職員はもとより来訪者等の安全を確保するため、消防設備、通信設備、医薬品、避難用具等の整備を図るとともに、これらの定期的な点検を実施すること。
(2) 社会保険関連施設のうち老朽化していると認められるものについては、耐震等の調査を行うこと。また、この調査結果に基づき、必要があると認められるときは耐震等への配慮を行うこと。
(3) 災害時に情報の収集伝達を迅速かつ的確に行うため、一般電話が不通の場合であっても、行政電話、非常電話、非常電報等あらゆる通信手段を用いて情報の収集伝達を行うための連絡ルートの確保を図ること。

第8章 労働災害に係る災害予防対策
大規模な爆発、火災等の災害の防止
 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)等の定めるところにより、安全衛生管理を図り、大規模な爆発、火災等の労働災害の防止を図るものとする。

企業における防災の促進
 労働基準監督署長は、労働災害防止等のための監督指導に当たり、事業者に対して、地震その他の自然災害の発生に備えた避難、救助等の訓練の実施について啓発指導を行うものとする。

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