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経済情勢の悪化による技能実習生の解雇等への対応について

地 発第0121011号
基監発第0121001号
職開発第0121001号
職保発第0121002号
職外発第0121001号
能外発第0121001号
平成21年1月21日

都道府県労働局
 総務部長 殿
 労働基準部長 殿
 職業安定部長 殿

厚生労働省
大臣官房地方課長
労働基準局監督課長
職業安定局雇用開発課長
職業安定局雇用保険課長
職業安定局外国人雇用対策課長
職業能力開発局海外協力課外国人研修推進室長

 現下の厳しい経済情勢の中、開発途上国等への技能移転を図ることを目的として我が国に受け入れられている技能実習生に関しても、技能実習の実施期間の途中での解雇等がなされ、その生活に重大な影響を与えるとともに、技能実習制度の本来の目的が達せられない等の問題が生じているところである。
 ついては、技能実習生に係る不適切な解雇等を予防する等により技能実習制度の円滑かつ適正な実施を確保することが重要であることから、下記に留意の上、労働局内の関係部署が連携して技能実習生の解雇等の事案への適切な対応に遺漏なきを期されたい。

1 技能実習生に係る不適切な解雇、雇止めの予防等

(1)不適切な解雇、雇止めの予防等のための啓発指導等

 技能実習生について、解雇や雇止め、労働条件の切下げ等がなされる場合は、日本人労働者と同様に、労働基準法等で定める法定労働条件が確保されなければならず、また、労働契約法や裁判例等に照らしても適切な取扱いが行われなければならないものであること。特に、技能実習生は、在留期間に限りがあるため有期労働契約により雇用されている場合が一般的であるが、有期労働契約により雇用されている技能実習生については、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間中に解雇できないものであること(労働契約法第17条第1項)。
 さらに、技能実習生は、一定期間の技能実習を実施することにより開発途上国等への技能移転を図ることを目的として我が国に受け入れられているものであり、受入れ企業は、予定された技能実習期間中の技能実習生の雇用の確保及び技能実習の継続に最大限努める必要があるものであること。
 したがって、技能実習生に係る不適切な解雇や雇止めの予防等のための啓発指導及び相談対応に当たっては、平成20年12月9日付け地発第1209001号・基発第1209001号「経済情勢の悪化を踏まえた適切な行政運営について」(以下「局長通達」という。)記の1及び2(1)により対応するほか、技能実習制度においては受入れ企業が技能実習の継続に最大限努める必要があることについても受入れ企業等に十分に説明すること。

(2)各種助成制度の活用

 技能実習生については、上記(1)のとおり、本来、予定された技能実習期間中を通して技能実習が継続的に実施されるべきものであるが、受入れ企業が、その 事業活動の縮小等に伴い、やむを得ず技能実習生について、休業を実施せざるを得ない場合は、中小企業緊急雇用安定助成金及び雇用調整助成金の助成対象とな る可能性があるので、その旨を教示すること。

(3)リーフレット等の活用

上記(1)及び(2)の受入れ企業等への説明にあたっては、既に配布しているパンフレット「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」等に加えて、別添のリーフレット「外国人研修生・技能実習生を受け入れている事業主の皆様へ」を活用すること。

(4)情報収集と迅速な対応

 技能実習生に係る大量整理解雇等の情報を把握した場合には、局長通達記の2(3)に基づき、迅速な情報収集を行うとともに必要な指導を行うこと。
 さらに、必要に応じて、上記(1)と同様に、技能実習制度においては受入れ企業が技能実習の継続に最大限努める必要があることについても十分に説明すること。
 また、財団法人国際研修協力機構(以下「JITCO」という。)等関係機関との連携を図り、情報収集に努めること。

2 受入れ企業における技能実習の継続が不可能となった場合等の取扱い

(1)技能実習の継続が不可能となった場合等の啓発指導等

 受入れ企業が技能実習の継続に最大限努めたにもかかわらず、倒産等により技能実習生が解雇されるなど技能実習の継続が不可能となった場合には、法務省が定めた「研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(以下「法務省指針」という。別紙1参照)において、技能実習生が技能実習の継続を希望するときには、受入れ企業は、JITCO等関係機関の協力・指導等を受けるなどして新たな受入れ企業を探す必要があるとされていること。
 したがって、受入れ企業、受入れ団体等から、技能実習の継続が不可能となったことに係る相談が寄せられた場合には、法務省指針の内容について教示するとともに、受入れ企業が受入れ団体と協力して努力を尽くしても新たな受入れ企業を見つけられない場合等には、JITCOに協力を求めるよう啓発指導を行うこと。
 また、技能実習生から技能実習の継続が不可能となったことに係る相談が寄せられた場合には、受入れ企業に対して、受入れ団体、JITCO等関係機関の協力・指導等を受けるなどして新たな受入れ企業を探すよう、啓発指導を行うこと。
 なお、法務省指針においては、技能実習移行前の研修生についても同様に、受入れ企業及び受入れ団体がJITCO等の協力を受けるなどして新たな受入先を探す必要があるとされていることから、これについても必要に応じて情報提供を行うこと。

(2)外国人雇用状況届による状況の把握と適切な指導等

 技能実習生についても外国人雇用状況の届出の履行確保に努めること。特に、技能実習生の離職に係る届出がなされた場合に、雇用保険被保険者資格喪失届に記 載された喪失原因等から解雇又は雇止めが疑われる場合については、上記(1)のとおり、事業主には、新たな受入れ企業を探す必要があることが法務省指針に 規定されていることを周知・指導するとともに、労働基準行政等の関係部署に必要に応じて情報提供を行うこと。

(3)雇用保険制度の運営

 技能実習生については、受入れ企業との間に雇用関係があるため雇用保険の適用を受けるものである。このため、受入れ企業の倒産等により技能実習の継続が不 可能になった技能実習生については、JITCO等とも必要に応じて連携を図りつつ、当該技能実習生が技能実習の継続を希望する場合には、雇用保険の取扱い に遺漏のないよう、迅速かつ的確な対応を図ること。

3 JITCOにおける対応

 JITCOにおいては、研修・技能実習制度が適切に運営されるよう以下の対応を実施するものであることから、上記1及び2の対応に当たり参考とすること。

(1)技能実習継続のための支援

 受入れ企業及び受入れ団体が、技能実習生の技能実習を継続するために努力してもなお、新たな受入れ企業を見つけられない場合には、受入れ企業及び受入れ団 体の申出等に基づき、新たな受入れ先の開拓、情報提供等の支援を行うこととしていること(法務省指針及び平成5年4月5日付け厚生労働大臣公示「技能実習 制度推進事業運営基本方針」(別紙2参照)参照)。なお、研修生についても同様である。

(2)労働関係法令等の周知啓発

 巡回指導や相談対応の機会を捉えて、受入れ企業等に対し、制度の目的や労働契約法等を踏まえ技能実習の継続に最大限努めるよう指導を行っているほか、技能 実習生を受け入れているすべての受入れ団体に、リーフレットを送付し、受入れ団体の傘下の受入れ企業に対する労働関係法令等の周知徹底を依頼する予定であ ること。

(3)相談体制の拡充

  • [1] JITCO本部及び17地方駐在事務所に経済状況悪化緊急相談窓口を設置し、受入れ企業及び受入れ団体等からの相談に応じることとしていること。
  • [2] JITCO本部における外国人研修生・技能実習生を対象とした母国の言語での相談について、相談時間の延長等を図り、相談体制の充実を図ることとしていること。

(4)関係行政機関連絡会議

 JITCO地方駐在事務所が主催する関係行政機関連絡会議により関係行政機関との連携を図り、円滑な問題対応を行うこととしていること。

(別紙1) ○ 研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針(抄)

(平成19年12月 法務省入国管理局)

第2 適正な研修の実施について

3 適正な入国・在留のための留意点

(5) 倒産等により研修が継続できなくなった場合の取扱い

 第二次受入れ機関が倒産等して,研修が継続できなくなる場合があります。
 このような場合であっても,研修生が引き続き研修を行うことを希望し,適正な研修を実施する体制を有していると認められる他の機関に受け入れられるときは,引き続き在留が認められます。したがって,研修を継続できなくなった機関が受け入れていた研修生が,研修の継続を希望している場合には,当該機関は,その旨を地方入国管理局等に申し出るとともに,財団法人国際研修協力機構(以下,「JITCO」といいます。)等関係機関の協力・指導等を受けるなどして,新たな受入れ機関を探す必要があります。

第3 適正な技能実習の実施について

2 適正な在留のための留意点

(4) 倒産等により技能実習が継続できなくなった場合の取扱い

 実習実施機関が倒産等して,技能実習が継続できなくなる場合があります。
 このような場合であっても,技能実習生が引き続き技能実習を行うことを希望し,適正な技能実習を実施する体制を有していると認められる他の機関に雇用されるときは,引き続き在留が認められます。したがって,技能実習を継続できなくなった機関が雇用していた技能実習生が,技能実習の継続を希望している場合には,当該機関は,その旨を地方入国管理局等に申し出るとともに,JITCO等関係機関の協力・指導等を受けるなどして,新たな実習実施機関を探す必要があります。

(別紙2) ○ 技能実習制度推進事業運営基本方針(抄)

(平成5年4月5日厚生労働大臣公示)
(平成20年7月28日最終改正)

II 各論

12 技能実習の継続が不可能となった場合の取扱い

  • (1) 技能実習の継続が不可能となった場合には、受入れ企業等は、自ら又は受入れ団体を経由して直ちにその旨を(財)国際研修協力機構に報告するものとする。
  • (2) 技能実習の継続が、受入れ企業等の倒産、受入れ企業等が不正行為認定を受けたこと等により不可能になった場合において、技能実習生に責がなく、かつ本人が継続して実習を希望するときには、(財)国際研修協力機構において、関係機関・受入れ団体と協議しつつ、必要に応じて公共職業安定所とも連携を図りながら、当該技能実習生が他の企業等で技能実習を継続することが可能となるように努力するものとする。

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