( | 労働組合の有無) まず、労働組合が組織されているかどうか。組合が「ある」というところが78.0%、「ない」が21.9%あった。業種別にみて「ない」が多かったのはサービス業(46.1%)、卸売業や建設業でも3割を上回った。 |
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( | これからの企業内労使関係) 今後の企業内労使関係について、どのようなことが考えられるか(図3−5)。(1)会社と社員の個別的な雇用関係の比重が高まる(雇用関係の個別化)、(2)良好な労使関係を維持していくことが難しくなる(労使関係の悪化)、(3)個々人の処遇や評価をめぐる苦情への対応の必要性が高まる(個別苦情処理の必要)、(4)労働組合による経営への発言が活発化する(組合の発言の活発化)、(5)従業員代表は監査役に加わる(労働者重役制)、(6)労働組合の存在感が希薄化する(労働組合の希薄化)、(7)労働組合がパートなどの非正規社員の利益を守るために活動するようになる(組合による非正社員利益の代表)、(8)管理職の組合員化が進む(管理職の組合員化)、という8つの項目について、それぞれ「大いにありうる」「ありうる」「ありえない」と考えられるかについて尋ねてみた。 第1に、「大いにありうる」という回答が多かったのは、たとえば「個別苦情処理の必要」(15.2%)、「雇用関係の個別化」(12.5%)、「労働組合の希薄化」(9.7%)などであった。 第2に、「ありうる」という回答がめだったのも、「個別苦情処理の必要」(70.9%)、「雇用関係の個別化」(55.1%)、「労働組合の希薄化」(50.3%)といったもののほか、「組合の発言の活発化」(46.1%)、「労使関係の悪化」(45.4%)、「組合による非正社員利益の代表」(42.6%)などであった。 第3に、「ありえない」という回答が多かったのは、「労働者重役制」(83.2%)と「管理職の組合員化」(64.6%)であった。 したがって、これらの結果からみるかぎり、労働組合の存在感が希薄化するのと並行して雇用関係の個別化が進み、それだけ個別苦情処理の必要が高まっていくというひとつの趨勢をみてとることができる。逆に、従業員代表が監査役に就任するとか、管理職の組合員化が進むとはみられていない。 |
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( | 企業グループ労使関係のゆくえ) すでにみたように、企業グループ人事管理の成熟が予想される。それでは、企業グループ労使関係のほうはどうか。 第1に、労働組合が組織されている場合、その組合は企業グループ労協・労連に加盟しているか。中核的組合であるかどうかは別として、「企業グループ労協・労連に加盟している」が56.2%、「グループ労協・労連はない」が35.9%であった。「グループ労協・労連があるのに加盟していない」というところは1.9%とほとんどなかった。 第2に、いかなる労使協議・団体交渉のあり方が望ましいか(図3−6)。 「企業グループ全体で労使協議するのがよい」が15.8%、「グループ全体で団体交渉するのがよい」が0.9%、「親会社の協議に子会社がオブザーバー参加するのがよい」が6.7%、「子会社の協議に親会社がオブザーバー参加するのがよい」が9.9%、「労使協議や団交はバラバラに個別に行うのがよい」が61.2%となっている。 このように、企業グループで一元化した労使協議・団体交渉を行うという意見が16.7%、親会社あるいは子会社が労使協議・団体交渉にオブザーバー参加するという意見が16.6%、したがってこれら両者を合わせると、全体の3分の1になる。しかし、労使協議・団体交渉は個別企業内で行えばよいという見方が6割を超えた。 第3に、労働協約の締結方法については、基本的な労働条件については「会社とグループ労協・労連で「包括的」労働協約を締結するのがよい」が1割強(11.9%)、「包括的労働協約は締結しないが、グループ内の話し合いは何らかの方法を工夫したほうがよい」が16.2%、「企業グループ内の労使関係はあくまで個別企業内の労使関係による労働協約によるのがよい」が7割弱(67.8%)とめだって多かった(図3−7)。 したがって、ひとことでいえば、企業グループ人事管理に比べて企業グループ労使関係は未成熟といったシナリオが浮かび上がる。 |
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( | 小括)
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