4 労働時間に過不足が生じた場合について

 フレックスタイム制において、実際に労働した時間が清算期間における総労働時間として定められた時間に比べて過不足が生じた場合には、当該清算期間内で労働時間及び賃金を清算することがフレックスタイム制の本来の趣旨ですが、それを次の清算期間に繰り越すことの可否については次のとおりです。

1  清算期間における実際の労働時間に過剰があった場合
 総労働時間として定められた時間分はその期間の賃金支払日に支払いますが、それを超えて働いた時間分を次の清算期間中の総労働時間の一部に充当することは、その清算期間内における労働の対価の一部がその期間の賃金支払日に支払われないこととなり、労働基準法第24条に違反し許されません。したがって、清算期間における実際の労働時間に過剰があった場合、その過剰分はその清算期間内で清算しなければなりません。

例

2  清算期間における実際の労働時間に不足があった場合
 総労働時間として定められた時間分の賃金はその期間の賃金支払日に支払いますが、それに達しない時間分(不足分)を加えた翌月の総労働時間が法定労働時間の総枠の範囲内である限り、不足分を翌月に繰り越して清算する方法と、不足分に相当する賃金をカットして支払う方法があります。

例:繰越し清算


 あらかじめ法定労働時間の総枠を超えて労働することを予定するような制度は適当でないので、繰り越された時間を加えた次の清算期間における労働時間が法定労働時間の総枠の範囲内となるように、繰り越し得る時間の限度を定める必要があります。

例:賃金のカット



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